はじめに
春はいつまで?
菜の花と撮りたい鉄道路線
いすみ鉄道
外房線
おすすめしたい桜と鉄道の撮影地
磐越東線 小野新町〜夏井
山陰本線 末恒〜宝木
天気の良し悪しで決める桜の構図
只見線 会津本郷〜会津高田
只見線 会津柳津〜郷戸
小田急小田原線 渋沢〜新松田
山陽本線 大道〜四辻
新緑の頃
中央本線 長坂〜小淵沢
大糸線 信濃川上〜白馬大池
羽越本線 遊佐〜吹浦
福知山線 丹波大山〜下滝
奥羽本線 庭坂〜板谷
豊肥本線 内牧〜阿蘇
おわりに
春と鉄道写真 作例集
まとめ
1987年、兵庫県出身。日本大学芸術学部写真学科卒業。鉄道を制作活動の舞台としてスチル、ムービー問わず作品作りに注力する。広告、鉄道誌、カメラ誌等で活動している。日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。2018年 個展「SL保存場」富士フォトギャラリー銀座、2021年 個展「描く鉄道。」オリンパスギャラリー東京・南森町アートギャラリー。
ウェブサイト:
http://www.daisuke-yamashita.com
SNS(Instagram):
https://www.instagram.com/yamadai1987/
このシリーズ
「冬の鉄道写真」
でもお伝えしたように、色のない枯れた風景の中では一般ウケする綺麗な作品というのは撮ることが難しい。極寒の積雪地域ならまだしも、大半の鉄道風景は枯れ色の中でひと冬を過ごす。だから春の到来は喜びが大きいのかもしれない。
関東に住んでいると、伊豆の河津桜の便りがその序章となる。2月中旬のまだ充分寒い頃でも、その報せを聞くと「この春はどこに行こうか」とぼちぼち考えを巡らせ始めている。
一般に春というのはどの時期までだろうか。
私は葉が芽吹く頃、いわゆる新緑の季節も春の仲間にしている。これを初夏と見る人もいるが、風景に色をつける一番の功労者はやはり落葉樹の若葉だと思うので、山全体が淡い緑に覆われるまでを春だと捉えている。
桜ももちろん素敵だが、この新緑の風景こそ私が一番好きな春のイメージである。詳しい話は後ほど写真を交えて話していこう。
季節のことを書き始めると、ついつい鉄道の話がおざなりになってしまうのはわるいクセ。鉄道車両が何かよりも風景のインパクトのほうが私には重要だからだ。鉄道のいわゆる“ネタ”に執着せず、どんな風景が撮れるかで旅先を決めてみてはいかがだろうか。
ここでは菜の花がたくさん咲く千葉県の鉄道を例にご紹介しよう。
SONY α1・FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS・547mmで撮影
絞りF6.3・1/500秒・ISO100・WBマニュアル
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
国鉄型の気動車を譲り受けたことで人気に火がついた千葉県のいすみ鉄道は、車両以外にも沿線に咲く菜の花が風物詩になっている。沿線の至る所に菜の花が自生し、2月末頃から4月にかけて黄色い絨毯を走るような景色を楽しめる。一般の気動車も花と同じ黄色をしているというのもおもしろい。
作例は大多喜駅と小谷松駅の中間にある踏切の脇から撮影したもの。奥の線路の直線部分に対して正対するポジションをとり、手前に大きく群生した菜の花を入れてボカしている。画面内を占める菜の花の面積を、ポジショニングと画角の選択でできる限り多く見せるのがポイントだ。
» 詳細を見る
» 詳細を見る
NIKON D700・Nikon AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR・24mmで撮影
絞りF5・1/1000秒・ISO200・WBマニュアル
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
こちらは4月上旬、JR外房線の安房鴨川駅付近で撮影した。たまたま農道の脇に群生していた菜の花を見つけて、花にレンズを近づけて撮ったものだ。
畳1枚分程度のわずかなエリアに自生した菜の花でも、レンズとの距離を近づけてやることでボリュームを稼ぐことができる。あとは列車との距離で画角を決めるといい。比較的列車が近い場合は広角気味に、遠い場合は望遠気味にして、あまり列車が大きくなりすぎないようにするとその分風景が生きてくる。
こうしてみると千葉県を走る鉄道車両には菜の花をイメージさせる黄色が多く使われている。そして外房線には海を思わせる青もある。これを読んでいるあなたの地元の鉄道車両にも、その風土に由来した色が使われているかもしれない。そんな目線で車両を見てみると、いつもより少し親近感が湧くのではないだろうか。
» 詳細を見る
鉄道写真を始めて間もない人は、いや何十年やっている人でも、常々こう思っているはず。
「いい撮影地が知りたい」
私もSNSなどで発表される写真を見て、ここはぜひ行ってみたいという思いに駆られることはよくある。そう撮影地の情報はいくらあっても困らないのだ。
そこで今回は、まだあまり広く知られていないおすすめ桜撮影地を2ヶ所紹介しよう。
SONY α7RⅣ・FE24-70mm F2.8 GM・34mmで撮影
絞りF10・1/800秒・ISO400・WBマニュアル
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
まずは福島県を走る磐越東線から。路線半ばにある夏井駅は「夏井千本桜」という桜の名所の最寄り駅だが、この千本桜と列車をうまく絡めた写真はこれまでなかなか撮れなかった。
しかし夏井川沿いに桜の並木を北の端までいったところに、こんなにもドンピシャな撮影地があったとは。意外と見逃しているものである。ここなら線路が真横を向くので上下どちらの列車も撮ることができるし、線路との距離と使いたい画角の関係もちょうど良い。
その画角というのは、広くしすぎて画面周辺の桜がスカスカにならないようにするのがポイント。天辺と左右の3辺を花の密度を保った状態で見切れさせることで外への広がりを見る人に想像させる効果がある。
惜しむらくは、この区間の列車の少なさ。9時台までの上下4本のあとは14時台まで列車がない。午後は桜に山の影が落ち始めるので午前中に撮るのがおすすめだ。
» 詳細を見る
» 詳細を見る
SONY α7RⅣ・FE16-35mm F2.8 GM・22mmで撮影
絞りF10・1/800秒・ISO400・WBマニュアル
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
別カットもお見せしておこう。先ほどの写真とは列車の進行方向が逆の写真である。厳密に言えば、実際の進行方向は写真からはわからない。
大事なのは構図によって列車がどちらに動いているかを感じさせるということだ。ひとつ前の写真もこの写真も、列車は画面の左右どちらかに寄せて配置し、かつ画面の中央ではなく外側を向くように写し止めている。
こうすることで、車両の端部が見えている方を先頭にして動いているように感じるのである。この視覚効果にはきっと心理学的理由があるのだろうが、難しいことは考えずに覚えておくといいことである。
注意点としては、たとえば気動車の排煙がたなびいていたり、乗客の座席が後ろ向きだったり、そもそも機関車牽引の列車だったりと、進行方向が視覚的に見えてしまう要素はいろいろある。そういった要素と矛盾しないように撮るというのが一般的である。
» 詳細を見る
SONY α7RⅣ・FE24-70mm F2.8 GM・47mmで撮影
絞りF5・1/500秒・ISO1600・WBマニュアル
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
次は鳥取県の写真だ。山陰本線の末恒駅〜宝木駅間にある水尻池に咲く桜である。池のほとりに桜の木が植樹されていて、市街地よりやや遅れて花を咲かせる。列車に乗っていれば窓越しに見ることができるが、海岸線から少し奥まったところにあるため、国道を走っていると気づかない場所だ。
私も度々訪問しているが、情報が少ないため開花の時期を予測するのが難しく、いままで撮ることができたのは早朝の「瑞風」を撮ったこの写真だけである。長編成に対してはこれくらいロングでも良いが、基本的には短い列車ばかりなので、もう少し狭い画角で少しアップに撮ってやるのが良いだろう。
春霞という言葉があるように、春の晴天は撮影基準でいうところの「晴れ」ではないことが多い。何となく薄日は射していても、写真にすると空が真っ白に霞掛かったように写ってしまう。これでは「晴れた写真」とは言えないのだ。
また三寒四温という言葉も春先を表す言葉である。暖かい日も増える一方、冷たい雨が降る日もあり、天候が安定しないのである。
そんな気まぐれな春の撮影を満足にするために、天気が悪い時でも素敵な写真に仕上げるための構図術をご紹介しておこう。
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
(共通)SONY α7RⅢ・FE16-35mm F2.8 GM・23mmで撮影
絞りF11・1/250秒・ISO125・WBマニュアル
(上)9時52分撮影
(下)10時37分撮影
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
ある日、奥羽本線の庭坂駅付近で桜と新幹線「つばさ」を撮った。穏やかな好天に恵まれ、きちんと空が青く写る状況だったため、桜の下から仰ぎ見るような構図を選択。吾妻連邦の鮮やかなコントラストとは対照的に、穏やかな心で撮影を始めた。
しかし1時間もしないうちに霞が青空を侵食し始めた。体感としてまだ薄日はあって「晴れ」の天気に変わりはないが、それでももう桜の花は雲色に濁っていくいっぽうである。このような展開で同じ構図で撮り続けるのは、あまりいい結果が出ないと思われる。
» 詳細を見る
SONY α7RⅢ・FE100-400mm F4.5-5.6 GM OSS・128mmで撮影
絞りF9・1/1000秒・ISO200・WBマニュアル
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
そんな時はこちらの写真のように、背景に空がまったく入らないようにするのがベターである。先ほどの作例とこの作例とに写るのは同じ桜の木だが、撮影距離が大きく離れ、レンズも望遠に切り替えている。こうすることで、列車の背後の木々が相対的に高く見え、空を入れずに撮ることができるようになった。
せっかく見えている吾妻連邦をカットせざるを得ないため勇気ある決断が必要だが、「白い空」はそれほどに避けなければいけない存在なのだ。
» 詳細を見る
OM SYSTEM OM-D E-M1 MarkⅢ・M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO・9mm(35mm判換算18mm)で撮影
絞りF8・1/500秒・ISO400・WBマニュアル
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
» 詳細を見る
SONY α7RⅣ・FE16-35mm F2.8 GM・18mmで撮影
絞りF11・1/1600秒・ISO640・WBマニュアル
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
会津盆地に訪れた春を只見線で撮った。1枚目の列車はバッチリねらい通り撮れて喜んだのだが、その後急速に雲が厚くなり次の列車ではあえなく曇天に。こうなると空を思い切り飛ばしてしまわない限りすべてがダークな世界になる。
SONY α7RⅣ・FE70-200mm F2.8 GM OSS・94mmで撮影
絞りF8・1/500秒・ISO500・WBマニュアル
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
そこで、同じ只見線でも山間を走る区間に移動してきた。ここなら空を入れずに撮ることができ、相対的に桜も明るさを維持できる。日射しがない分しっとりした印象にはなるが、天気の悪さを感じずに見ることができる。
» 詳細を見る
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
(共通)OM SYSTEM OM-D E-M1X・M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO
(上)9mm(35mm判換算18mm)で撮影
絞りF6.3・1/1000秒・ISO400・WBマニュアル・撮影時間13時18分
(下)12mm(35mm判換算24mm)で撮影
絞りF7.1・1/1000秒・ISO400・WBマニュアル・撮影時間15時5分
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
こちらは天気ではなく撮影時間による空の変化に対応した例で、カメラを西に向けて撮っていたのが1枚目、やや北向きに向けて撮ったのが2枚目だ。1枚目を撮影していると、だんだん太陽が正面に回り込んできて空が青く写らなくなってくる。そこで同じ桜並木で他の構図を検討。2枚目の構図に行き着いた。
構図の考え方や画角に大差はないが、時間帯によっても空の印象は変わるため、あらかじめ撮影日一日の段取りをして、撮影順序を間違えないようにするのも大切だ。
» 詳細を見る
» 詳細を見る
SONY α1・FE70-200mm F2.8 GM OSS・90mmで撮影
絞りF16・1/8秒・ISO100・WBマニュアル
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
極論を言えば、天気が悪い時に無理して風景的にまとめる必要はない。エスケープ案として、積極的に流し撮りを選択しよう。列車を大きく捉えることができて空をカットしやすいという理由もある。
講師業をするときに生徒さんによく言うのは「無難に失敗しにくいシャッター速度で撮るのは仕事でやること。作品のつもりで撮るなら失敗を恐れず遅いシャッター速度で攻めるべき」ということだ。
それを実践すべく、自分も絶対に失敗できないワンテイクの撮影でない限りは大胆な低速シャッターを使うようにしている。桜の場合は枝や幹がブレて見えなくなるくらいがいい。花の色だけが残り一部が透けて見えるような描写になればなるほど、現実感とのギャップが効いてくる。
「山笑う」や「水温む」など春の季語として知られているが、個人的には5月頃の新緑時期の風景が山笑い水温むの言葉にぴったりだと思う。地面色をしていた木々に芽生えの淡い色がつき、田には苗を迎える温い水が湛えられる。そんな時期である。
ポイントは、新緑・水田のほかにあとひとつ、山がある。それも雪形がしばらく溶けない2000m級の高山が特に美しい。残念ながら日本アルプスより西の地域では、陸地の成り立ちからして高山が少なく、2000mを超える山はすべて東の地域にある。西日本では代わりに新緑の輝きを大きく取り込むといいだろう。
いずれにしても美しい新緑の舞台に列車を登場させてあげられれば、もううっとりするような春の鉄道シーンの完成だ。
ここに紹介したいくつかの作例で、皆様にもうっとりしてもらえたら幸いである。
OM SYSTEM OM-D E-M1 MarkⅡ・M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO・50mm(35mm判換算100mm)で撮影
絞りF5.6・1/1250秒・ISO400・WBマニュアル
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
この場所は新緑、水田、山と三拍子揃った、とっておきのスポットで、朝方の上り特急「あずさ」の一瞬の出演を迎えるに最適だ。空気も澄んで甲斐駒ヶ岳のピークも良好。
構図を組む上では山のピークと列車の先頭部が対角線の関係に配置するのがベターで、列車は画面の外から入ってくるところではなく、緑から飛び出してくる姿で写し止めたい。
» 詳細を見る
OM SYSTEM OM-D E-M1 MarkⅡ・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO・12mm(35mm判換算24mm)で撮影
絞りF5.6・1/600秒・ISO400・WBマニュアル
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
長野県の白馬村は、北アルプスの山々が競い合うように列を成している姿が望める。信州随一の大パノラマである。5月の中旬には田植えも始まり、水田に写る山容も楽しめる。田植え後は苗が大きくならないうちに撮りおさめたい。
» 詳細を見る
OM SYSTEM OM-D E-M1X・M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO・23mm(35mm判換算46mm)で撮影
絞りF5.6・1/1250秒・ISO200・WBマニュアル
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
山形県と秋田県にまたがる独立峰、鳥海山をバックに走る羽越本線。お米どころ庄内平野らしいシーンである。5月上旬に平野一帯の田植えが始まり、植えられたばかりの稲が風にそよそよと揺られる様子が広がる。
ここでは広大な水田を画面の半分以上に配置し、画面左寄りの畦の収束する先に列車を配置した。鳥海山はそれに対して右寄りに配置しバランスをとった。
OM SYSTEM OM-D E-M1X・M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO・67mm(35mm判換算134mm)で撮影
絞りF6.3・1/500秒・ISO400・WBオート
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
背景に特に高山などを配置しない、すなわち空の写らないカットでは、新緑の美しさを際立たせるために半逆光で撮ることにこだわりたい。芽生えたばかりの若葉はまだ薄いため、反射光で見るより透過光で見たほうが色鮮やかに見えるからだ。キラキラと輝くような描写も期待できる。
ここでいう反逆光とは新緑の木々に対してのことで、列車に対することではない。つまりこの作例のような渓谷になっているところでは、カメラに対して逆光となる方向のやや高いところからの光線が適していると言える。
だから上述した空が写らないというのは、意図的に空が写らないようにしているのだ。逆光なので列車の表面は影になるが、景色を美しく見せることを優先する上では仕方ない。露出はカメラの出た目よりややオーバー目に撮るといい。
SONY α7RⅣ・FE70-200mm F2.8 GM OSS・113mmで撮影
絞りF8・1/640秒・ISO400・WBマニュアル
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
桜の写真でも紹介した山形新幹線「つばさ」は、新緑シーズンも素晴らしい。濃淡豊かな様々な緑色に包まれて走る姿を撮った。
ここでも半逆光へこだわり、空を避ける絵づくりをして緑を美しく見せている。この時期の旬である藤の花も取り込むために列車は小さくなったが、逆光に強い白色の車体のおかげで、列車の存在感はご覧の通り充分である。
SONY α7RⅣ・FE 12-24mm F2.8 GM・24mmで撮影
絞りF8・1/500秒・ISO200・WBマニュアル
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
九州・熊本にある阿蘇山群を背景に走る豊肥本線を二辺塚城跡から望む。
実は阿蘇は過去の大噴火でできた大きなカルデラの中にある。火山の中に田畑や街が形成されて鉄道も走ったという珍しい場所だ。有名な涅槃像という横になったお釈迦様に見える山々のシルエットをこの場所からも感じることができる。
5月には雪が残らないどころか、山の上の方まで新緑が進み、休耕田と合わせて緑の絨毯を広げたようなパノラマビューである。列車の色が出にくくサイズも小さくなるため、背景に溶け込まない位置に写し止めてあげるのがいいだろう。
鉄道風景写真は鉄道写真なので、鉄道を取り入れて初めて作品として完成するのだが、画面の90%以上は風景その他が占めているわけで、そこが今ひとつだと絶対に写真が弱くなる。
だから、花の咲き具合は現地観光課やSNSなどを当たって情報を得、撮影地の当ては複数つけておくなど、旬のタイミングに訪問するためにでき得る準備は惜しみたくない。
そうして撮れた写真はきっとほかとは違ってくるはずだ。もし思ったように撮れなくても、その時の準備はきっと来年、再来年に生きてくるだろう。
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
Photo & Text by 山下大祐 (やました・だいすけ)