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2023.03.13

【2023年】カメラバッグのおすすめと選び方をプロカメラマン鹿野貴司が解説

カメラバッグのおすすめと選び方をプロカメラマン鹿野貴司が解説メインビジュアル
カメラバッグが欲しいと思ったときに、いつもカメラを持ち歩いているプロのカメラマンがどんなカメラバッグを使っているんだろうと疑問に思ったことはありませんか?

今回のプロフェッショナルレビューは、そんな疑問にお答えするべくプロカメラマン鹿野貴司氏がおすすめのカメラバッグと愛用のカメラバッグを紹介します。

さらに、どんなところに気を付けてバッグを選んだらいいかポイントを解説しますので初めてカメラバッグが欲しいという方もカメラバッグを買い替えようと検討している方もぜひ参考にしてくださいね。


ライター鹿野貴司(しかの・たかし)イメージ
■フォトグラファー紹介

鹿野貴司(しかの・たかし)

1974年東京都生まれ。多摩美術大学卒業後、さまざまな職業を経て写真家に。広告や雑誌などを手掛けるかたわら、スナップやドキュメンタリーの作品を精力的に発表している。近年の写真展に「#shibuyacrossing」(ソニーイメージングギャラリー)、「煩悩の欠片を燃やして菩提の山へ走れ」(ナインギャラリー)など。昨年9月には『いい写真を撮る100の方法』(玄光社)を出版。日本写真家協会会員。
Instagram: @shikanotakashi
Twitter: @shikanotakashi

はじめに

昨年末にかなり本気の大掃除をしたら、押入れの奥からカメラバッグが次々と発掘されました。酷使された懐かしいものもあれば、ああこれ買ったね…(つまり一度も使っていない)というものも。そんなカメラバッグ収集家の鹿野です。

DOMKE F-3Xの画像

カメラバッグの選び方

カメラやレンズにあるのが沼とすると、カメラバッグは闇かもしれません。買っても買っても「これだ!」という答えが出ません。そのとき持ち運ぶ機材や行き先、撮影するジャンルによって適したものが違うから仕方ないのです。というわけでうちの押入れには無数のカメラバッグがあったわけですが、選び方にはそれなりにこだわりを持っているつもりです。カメラバッグで撮影のパフォーマンスや疲れ具合が変わってくるからです。

選び方のポイント

ショルダータイプのカメラバッグを下げている人の画像

選び方のポイントその1は、現場で頻繁にレンズなどを出し入れするのか、現場まで安全・快適に機材を運ぶことを目的にするのか。前者であればショルダータイプ、後者はリュックタイプやキャリータイプが基本になります。その2は収納したい機材の量。少なければ後者でもショルダーで十分ですし、多ければ前者でもリュックの方がよいかもしれません。

ショルダーはミラーレス1台+α程度を収める小さなものから、カメラ2台にレンズ一式、アクセサリーまで収納できる大型のものまで多種多様です。ただし最近は優れたリュックが増えたので、大型のショルダーはあまり見かけなくなりました。一方でデザイン性に優れ、カメラバッグに見えないおしゃれなものも増えています。また通常のショルダーバッグにカメラを収納するためのインナーケースも進化。僕もプライベートではアウトドアブランドやハンドメイドのショルダーバッグに、インナーケースを入れて使っています。一方でカメラバッグとして作られたショルダーバッグには、一般のバッグにはない耐久性や機能性もあります。

収納部分をチェック

カメラバッグからノートパソコンを取り出している画像

一方のリュックは近年、デザインや機能面が著しく進化しています。開口部もたとえば背中側に設けることで中身の盗難を防いだり、側面に設けることで片方の肩に掛けたまま内部へアクセスできるなど、好みや用途に合わせて選ぶことができます。収納部分のレイアウトもさまざまですが、チェックしたいのは

① レンズを装着した状態のカメラ
② バッテリーなどのアクセサリー類や、財布・鍵などの小物
③ ノートパソコン・タブレット
④ ミニ三脚や傘などの長いもの
をそれぞれどこにどう収納できるかです。 ①は真っ先に収納するアイテムなので当然ですが、使い勝手を大きく左右するのは②です。ポケットの数や位置をチェックしましょう。③④は必要ない人もいるかもしれませんが、そのスペースがあると後々役に立つことが多いと思います。たとえばノートパソコンの収納ポケットには小さなレフ板や着替えを畳んで収納することもできます。

運ぶ機材が重たく、かつ移動途中で撮影することが基本的にないという人は、リュックよりもキャリーがいいかもしれません。運搬中の衝撃が大きいので、ケース本体や中の間仕切りがしっかりしたものを選びましょう。

飛行機移動が多い人はサイズと重量に要注意

キャリーバッグの画像

また飛行機移動が多い人はサイズと重量に要注意。機内持ち込みが可能なのはJAL・ANAとも通常55cm×40cm×25cm以内、かつ3辺の合計が115cm以内です。重量も10kg以内で、当然ながら軽い方が多くの機材を詰めることができます。キャリーは移動中持ち上げる必要が多々あるので、軽いに越したことはありません。

スリングやトートといった種類も

トートバッグの画像

カメラバッグには他にもスリングやトートといった種類もあります。スリングは自転車移動が多い人に、トートはたとえば通勤に使うなど、カメラバッグであることを悟られたくない(けれどカメラバッグが必要)という人におすすめです。もちろん先ほどのようにインナーケースを併用することで、市販のトートを活用することもできますが、精密機器であるカメラやレンズを運ぶのでストラップなどの縫製がしっかりしたものを選びましょう。

私の愛用カメラバッグを紹介

ここで少し僕のカメラバッグを。以前ショルダーに機材を詰め込んで仕事に赴いていた頃は、肩こりや腰痛に悩まされました。しかし荷重が左右均等になるリュックを使うようになって、負担がだいぶ軽減されました。

TENBA ソルティスバックパック24Lの画像

リュック(バックパック)「TENBA ソルティスバックパック24L」

今ほとんどの仕事で背負っていくのは「TENBA(テンバ)・ソルティスバックパック24L」です。試したとき背負いやすかったのが一番の理由ですが、バッグ自体が軽い(約1.5kg)こととポケットが多いこと、また上下2気室であることも決め手になりました。カメラとレンズの収納スペースは下半分で、上は間仕切りがないフリースペースです。最近は機材といえばミラーレス2台に、交換レンズは比較的コンパクトなものを3〜5本程度なので下半分で収まります。上は料理や人物の撮影なら大型ストロボを、出張なら着替えなど道中で必要なものを詰めます。

また僕の仕事は目立つ場所から撮らねばならず、しかしながら黒子なので目立つのは困る場合もあります。そのため仕事用カメラバッグはブラック一択なのですが、デザインもシンプルで悪目立ちしない点が気に入っています。 

ミニショルダー

ミニショルダーバッグ各種の画像

プライベートでは先に触れた通り、小さなショルダーバッグにインナーケースを入れて使うことがほとんどです。最近は機材が小さくなったせいもありますが、一眼レフ+標準ズームとか、ミラーレス+標準レンズと広角レンズといった軽装備なので、大きなバッグが必要ないのです。

赤いタグがおなじみの「Manhattan Portage(マンハッタンポーテージ)」はまだ日本では珍しかった20年以上前、ニューヨークで初めて購入。最近では小さめのコラボモデルを集めています。右の「MYSTERY RANCH/INDIE(ミステリーランチ・インディー)」は小さいながら収納力が抜群。もっとも出番の多いバッグです。ノートパソコンや資料がたくさんあるときに使うのは、出張先の京都で偶然見つけた「青衣」のトートバッグ(写真左後ろ)。妻にプレゼントしたものの、趣味に合わないのか使う気配がないので僕が拝借…ということは購入時から想定済みです。

DOMKE F-3Xの画像

ショルダー「DOMKE F-3X」

こちらはショルダーのカメラバッグでお気に入りのドンケ・F-3Xです。ドンケといえば今はバリスティックナイロン素材もありますが、かつては帆布のみ。高校生の頃、特大のF-1X(色はタン)を買い、ボロボロになるまで使い倒しました。写真の仕事を始めたときはF-2を購入。先日大掃除をしたらボロボロの状態で発見されました。

一方で限定色・チョコレートブラウンのこのF-3Xは今もときどき愛用中。この色のF-2を買い逃して悔しい思いをしたのですが、程なくしてF-3Xで再登場。ほぼ色だけが理由で買ったのですが、使ってみるとプライベートな撮影にちょうどいいのです。クッションは底にあるのみですが、ポケットが多くて収納力は抜群。アメリカ製らしい質実剛健さも、最近のカメラバッグにはなかなか見られないものです。

プロカメラマンがおすすめするカメラバッグ7選

というわけでフジヤカメラの取り扱い商品から、タイプ別にいくつかおすすめのカメラバッグを選んでみました。

ショルダー

DOMKE F-2の画像

DOMKE F-2

先に紹介したドンケから、現行で最大のF-2を。米国人報道カメラマンのドンケさんがカメラバッグを自作。それを見た友人たちが「俺も」「俺も」と欲しがったのがブランドの始まりですが、そのオリジナルモデルこそF-2なのです。
見た目は大柄ですが約1.2kgと軽く、帆布のおかげで肩に掛けても体になじみます。幅広のストラップは滑り止め加工が施され、ずれにくく歩きやすいのも特徴です。ドンケさんは走れるぞとアピールしていたとか。

メインの収納部分が縦・横・深さどれもたっぷりで、市販のインナーケースやパーテーションを併用することでさまざまな使い方ができます。容量は11.5リットルで、目安としてはフラッグシップクラスの一眼レフ・ミラーレスを2台、レンズも大口径を中心に4〜6本収めることができるといったところでしょうか。

【商品情報】DOMKE F-2

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DOMKE F-2バナー画像

リュック(バックパック)

thinkTANKphoto バックストーリー13の画像

thinkTANKphoto バックストーリー13

見た目も使い勝手もシンプルなバックパックです。収納例は一眼レフ・ミラーレスに広角・標準・望遠の大口径ズームトリオ、ストロボ。あるいはレンズを装着した一眼レフ・ミラーレス2セットに、小さな交換レンズ3~5本といったところ。

1気室ですが、仕切りを自在にアレンジでき、バックパネルまたは上部を開閉することで機材の出し入れも快適です。またポケットがとにかく多く、小物が多くなりがちなプロカメラマンにはありがたい限り。13インチまでのノートパソコン・タブレットやペットボトルも収納可能です。 

【商品情報】thinkTANKphoto バックストーリー 13

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Manfrotto ムーバー50 バックパックの画像

Manfrotto ムーバー50 バックパック

スクエアというかキューブというか、見事な立方体です。某アウトドアメーカーのこんなリュックを高校生や大学生がよく背負っています。以前高校で教えていたときに教え子に聞いたら、あれはたくさんモノが入るし、出し入れがしやすいんだそうです。余計な話でしたが、このリュックも大柄&2気室でそんな使い勝手のよさを感じます。

収納例は一眼レフ・ミラーレスにレンズ5〜6本、ストロボなどのアクセサリーといったところ。ノートパソコンも15インチまでOKで、加えてタブレットも入ります。外見がカメラバッグっぽくないので、出張のついでに撮影も…という釣りバカ日誌のハマちゃんのようなあなたにおすすめ。もちろん機内持ち込みも可能です。

【商品情報】Manfrotto Manhattan ムーバー50 バックパック

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Kenko aosta Sanctuary III RK650の画像

Kenko aosta Sanctuary III RK650

これ、フジヤカメラでとても売れているんだそうです。500〜600mmの超望遠レンズ専用リュックという、スポーツも乗り物も動物も撮らない僕にはまったくをもって評価しづらいシロモノ。でも売れるには理由があるに違いない…と思って、いろいろ見てみると。

表は迷彩柄なのに、内側はド派手な黄色になっています。見えないところでオシャレ?と思いきや、暗所での視認性を高めるためだとか。レンズはカメラに装着した状態で収納できるし、一脚や小物を入れるスペースもあったりして、よくできているなぁと思います。

【商品情報】Kenko Kenko aosta アオスタ Sanctuary III RK650

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キャリー

thinkTANKphoto エアポートセキュリティ V3.0の画像

thinkTANKphoto エアポートセキュリティ V3.0

米国で2005年創業という新しいメーカーですが、最近プロカメラマンがキャリーをゴロゴロ転がしていると、87%はthinkTANKphoto製品です(鹿野調べ)。こちらもまた米国らしいタフさと、良い意味での飾り気のなさが特徴のブランドです。なかでもこのエアポートセキュリティは定番中の定番モデル。その名から想像できる通り、飛行機の機内持ち込みが可能です。また航空会社に預けるというケースも想定しており、TSAロックが装備されています。

収納例は一眼レフ・ミラーレスのフラッグシップ機を2台、レンズは4〜6本といったところ。またメーカーのカタログによると600mmF4クラスのレンズも収納可能とのことです。なお外のポケットには17インチのノートパソコンと10インチのタブレットを収めることができます。そうした収納力もさることながら、ホイールやハンドルの動きがスムーズで、剛性感もすばらしいものがあります。と原稿を書いていて、飛行機移動の少ない僕も欲しくなりました。

【商品情報】thinkTANKphoto Airport Security エアポートセキュリティ V3.0

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スリング

Peak Design エブリデイスリング 3Lの画像

Peak Design エブリデイスリング 3L

使い勝手のよさとスタイリッシュなデザインが特徴のPeak Designから、ミラーレス1台で身軽に動くのにぴったりな人気モデルを。レンズを装着したカメラのほか、小さめの交換レンズが1本収納できます。

体にフィットする形状で、ショルダーストラップもクッション性のある素材を使用。たすき掛けのほか、ウエストバッグとしても使えます。さらにバッグ側面にPeak Designのクイックリリース「キャプチャー」を装着することで、カメラをワンタッチで装着できます。ちなみに容量はこの3リットルのほか、6リットルと10リットルがあります。

【商品情報】Peak Design エブリデイスリング 3L

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WANDRD ローム スリング 3Lの画像

WANDRD ローム スリング 3L

WANDRD、最近見かける機会が増えました。フジヤカメラでもやはり人気だそうです。正直僕も欲しいアイテムがいくつかあり、そのひとつがこれです。ストラップを調節することでメッセンジャーバッグやウエストバッグにも早変わり。ハンドルが上部と両サイドにあり、手提げ状態でも使いやすそうです。

ミラーレスとレンズ1〜2本を収納できますが、カメラバッグらしくないデザインなのがまたいい。こちらも容量は3リットルのほか、6リットルと9リットルがあります。というわけで3と6で迷っています。

【商品情報】WANDRD ローム スリング 3L

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しかしカメラバッグの話だけで、よもやこんな長編になるとは。ご精読ありがとうございました。皆さまもよきお買い物を。

・カメラバッグで撮影のパフォーマンスや疲れ具合が変わる
・頻繁にレンズなどを出し入れするならショルダーバッグ
・安全・快適に機材を運ぶことを目的にするならリュックタイプやキャリータイプ
・好みや用途に合わせて選ぶ
・飛行機移動が多い人はサイズと重量に注意
・ストラップなどの縫製がしっかりしたもの
・リュックは荷重が左右均等になるので身体への負担が軽減される
・小さなショルダーバッグにインナーケースを入れて使うこともおすすめ

Photo & Text by 鹿野貴司(しかの・たかし)

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