はじめに
カメラバッグの選び方
選び方のポイント
収納部分をチェック
飛行機移動が多い人はサイズと重量に要注意
スリングやトートといった種類も
私の愛用カメラバッグを紹介
リュック(バックパック)「TENBA ソルティスバックパック24L」
ミニショルダー
ショルダー「DOMKE F-3X」
プロカメラマンがおすすめするカメラバッグ7選
ショルダー
リュック(バックパック)
キャリー
スリング
1974年東京都生まれ。多摩美術大学卒業後、さまざまな職業を経て写真家に。広告や雑誌などを手掛けるかたわら、スナップやドキュメンタリーの作品を精力的に発表している。近年の写真展に「#shibuyacrossing」(ソニーイメージングギャラリー)、「煩悩の欠片を燃やして菩提の山へ走れ」(ナインギャラリー)など。昨年9月には『いい写真を撮る100の方法』(玄光社)を出版。日本写真家協会会員。
Instagram:
@shikanotakashi
Twitter:
@shikanotakashi
昨年末にかなり本気の大掃除をしたら、押入れの奥からカメラバッグが次々と発掘されました。酷使された懐かしいものもあれば、ああこれ買ったね…(つまり一度も使っていない)というものも。そんなカメラバッグ収集家の鹿野です。
カメラやレンズにあるのが沼とすると、カメラバッグは闇かもしれません。買っても買っても「これだ!」という答えが出ません。そのとき持ち運ぶ機材や行き先、撮影するジャンルによって適したものが違うから仕方ないのです。というわけでうちの押入れには無数のカメラバッグがあったわけですが、選び方にはそれなりにこだわりを持っているつもりです。カメラバッグで撮影のパフォーマンスや疲れ具合が変わってくるからです。
選び方のポイントその1は、現場で頻繁にレンズなどを出し入れするのか、現場まで安全・快適に機材を運ぶことを目的にするのか。前者であればショルダータイプ、後者はリュックタイプやキャリータイプが基本になります。その2は収納したい機材の量。少なければ後者でもショルダーで十分ですし、多ければ前者でもリュックの方がよいかもしれません。
ショルダーはミラーレス1台+α程度を収める小さなものから、カメラ2台にレンズ一式、アクセサリーまで収納できる大型のものまで多種多様です。ただし最近は優れたリュックが増えたので、大型のショルダーはあまり見かけなくなりました。一方でデザイン性に優れ、カメラバッグに見えないおしゃれなものも増えています。また通常のショルダーバッグにカメラを収納するためのインナーケースも進化。僕もプライベートではアウトドアブランドやハンドメイドのショルダーバッグに、インナーケースを入れて使っています。一方でカメラバッグとして作られたショルダーバッグには、一般のバッグにはない耐久性や機能性もあります。
一方のリュックは近年、デザインや機能面が著しく進化しています。開口部もたとえば背中側に設けることで中身の盗難を防いだり、側面に設けることで片方の肩に掛けたまま内部へアクセスできるなど、好みや用途に合わせて選ぶことができます。収納部分のレイアウトもさまざまですが、チェックしたいのは
また飛行機移動が多い人はサイズと重量に要注意。機内持ち込みが可能なのはJAL・ANAとも通常55cm×40cm×25cm以内、かつ3辺の合計が115cm以内です。重量も10kg以内で、当然ながら軽い方が多くの機材を詰めることができます。キャリーは移動中持ち上げる必要が多々あるので、軽いに越したことはありません。
カメラバッグには他にもスリングやトートといった種類もあります。スリングは自転車移動が多い人に、トートはたとえば通勤に使うなど、カメラバッグであることを悟られたくない(けれどカメラバッグが必要)という人におすすめです。もちろん先ほどのようにインナーケースを併用することで、市販のトートを活用することもできますが、精密機器であるカメラやレンズを運ぶのでストラップなどの縫製がしっかりしたものを選びましょう。
ここで少し僕のカメラバッグを。以前ショルダーに機材を詰め込んで仕事に赴いていた頃は、肩こりや腰痛に悩まされました。しかし荷重が左右均等になるリュックを使うようになって、負担がだいぶ軽減されました。
今ほとんどの仕事で背負っていくのは「TENBA(テンバ)・ソルティスバックパック24L」です。試したとき背負いやすかったのが一番の理由ですが、バッグ自体が軽い(約1.5kg)こととポケットが多いこと、また上下2気室であることも決め手になりました。カメラとレンズの収納スペースは下半分で、上は間仕切りがないフリースペースです。最近は機材といえばミラーレス2台に、交換レンズは比較的コンパクトなものを3〜5本程度なので下半分で収まります。上は料理や人物の撮影なら大型ストロボを、出張なら着替えなど道中で必要なものを詰めます。
また僕の仕事は目立つ場所から撮らねばならず、しかしながら黒子なので目立つのは困る場合もあります。そのため仕事用カメラバッグはブラック一択なのですが、デザインもシンプルで悪目立ちしない点が気に入っています。
プライベートでは先に触れた通り、小さなショルダーバッグにインナーケースを入れて使うことがほとんどです。最近は機材が小さくなったせいもありますが、一眼レフ+標準ズームとか、ミラーレス+標準レンズと広角レンズといった軽装備なので、大きなバッグが必要ないのです。
赤いタグがおなじみの「Manhattan Portage(マンハッタンポーテージ)」はまだ日本では珍しかった20年以上前、ニューヨークで初めて購入。最近では小さめのコラボモデルを集めています。右の「MYSTERY RANCH/INDIE(ミステリーランチ・インディー)」は小さいながら収納力が抜群。もっとも出番の多いバッグです。ノートパソコンや資料がたくさんあるときに使うのは、出張先の京都で偶然見つけた「青衣」のトートバッグ(写真左後ろ)。妻にプレゼントしたものの、趣味に合わないのか使う気配がないので僕が拝借…ということは購入時から想定済みです。
こちらはショルダーのカメラバッグでお気に入りのドンケ・F-3Xです。ドンケといえば今はバリスティックナイロン素材もありますが、かつては帆布のみ。高校生の頃、特大のF-1X(色はタン)を買い、ボロボロになるまで使い倒しました。写真の仕事を始めたときはF-2を購入。先日大掃除をしたらボロボロの状態で発見されました。
一方で限定色・チョコレートブラウンのこのF-3Xは今もときどき愛用中。この色のF-2を買い逃して悔しい思いをしたのですが、程なくしてF-3Xで再登場。ほぼ色だけが理由で買ったのですが、使ってみるとプライベートな撮影にちょうどいいのです。クッションは底にあるのみですが、ポケットが多くて収納力は抜群。アメリカ製らしい質実剛健さも、最近のカメラバッグにはなかなか見られないものです。
というわけでフジヤカメラの取り扱い商品から、タイプ別にいくつかおすすめのカメラバッグを選んでみました。
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しかしカメラバッグの話だけで、よもやこんな長編になるとは。ご精読ありがとうございました。皆さまもよきお買い物を。
Photo & Text by 鹿野貴司(しかの・たかし)