はじめに
私のソニーα遍歴
α7R Ⅴの魅力
理想のモニター!? 新開発4軸マルチアングル液晶モニター
低感度の解像感は?
リアルな立体感と描写に息を呑む
高感度画質は?
α1には劣るものの、現像時の露光量アップで同等レベルまで追い込める
シャドウ部のノイズ特性は?α7R Vとα1の比較
α7RVを高感度ノイズ(露光量+3.00)で撮影
α7RV高感度ノイズ(露光量+1.00)で撮影
α1高感度ノイズ(露光量+3.00)で撮影
高感度ノイズは?ISO800とISO3200の比較
ISO800
ISO3200
低照度環境下での手持ちAF撮影と手ブレ補正
リアルタイム認識AF
AIプロセッシングユニット新搭載でさらに進化した認識精度
約2億4080万画素の画像が得られるピクセルシフトマルチ撮影
補正あり
補正なし
より緻密に調整できるようになった露出ブラケット
まとめ
解像感はα史上ナンバーワン、スチルカメラとしての完成度が高いα7R Ⅴ
被写体別!ソニーα7R Ⅴフォトギャラリー
自然風景
猫
ポートレート
旅スナップ
作例に使用したカメラ
SONY α7R V
作例に使用したレンズ
SONY FE 12-24mm F2.8 GM/FE 24-70mm F2.8 GM II/FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD/ZEISS Loxia 2/35 E-mount
作例に使用した機材
Profoto オフカメラフラッシュB10/Air Remote TTL(ソニー用)/Phottix Raja Quick-Folding Softbox 65cm
星景ポートレートの第一人者。写真家 礒村浩一氏に師事。カメラ関係の写真や動画のセミナーの講演、カメラ雑誌などの執筆・寄稿、TV関連の動画撮影なども行う。カメラ関連のメーカー作例など撮影。著書は、『ポートレートRAW現像入門』(玄光社)、『フォトグラファーのためのポートレートポージング入門』(玄光社)、『風景RAW現象入門』(玄光社)。WPC2017 ウェディング部門日本代表。日本写真家協会正会員(JPS)。LightroomやPhotoshopを使用した現象レタッチサロン「セキの沼『写研部』」運営。
https://community.camp-fire.jp/projects/view/300146
これまで筆者が購入してきたソニーαシリーズ歴はα7S、α7 Ⅱ、α7R Ⅱ、α7R Ⅲ、α7 Ⅲ、α6600、α7S Ⅲ、α1、α7 Ⅳと愛用してきました。
各シリーズにはそれぞれ特徴があり、使い勝手も様々です。
その点を踏まえて今回、宮古島へ行く機会があったのでポートレートと風景を中心とした実写レビューをしたいと思います。
掲載された写真は非圧縮RAW+JPEGで撮影し、Adobe Lightroom Classic CC(ピクセルマルチショットを除く)において現象、露出合成を行っています。現像時のRAWの耐久性なども視野に入れてご参考にご覧ください。
筆者が最も気になっていたのが、新開発4軸マルチアングル液晶モニターです。
従来のチルト液晶モニターと横開きのバリアングル液晶の利便性をひとつにまとめられた理想のモニターだと実感しました。
この新開発4軸マルチアングル液晶モニターは本体からはみ出さずにチルト(上方向約98度、下方向約40度)してローアングルやハイアングル撮影ができる他、縦位置(オープン位置では270度まで回転できる)でも使い勝手が良く、横方向(180度)で反転表示も細かく設定できるので、VLOGとしての自撮り機能も充実しています。
バリアングルに関しては端子にケーブルを接続していると、モニターの回転範囲が制限されていることを除けば、とても使い勝手は良かったです。
低感度に関しては画素数が高ければ高いほどメリットがあり、その場の空気感や立体感を記録して表現することが可能。
有効約6100万画素だから味わえる、リアルな立体感と描写に息を呑むほどドキドキさせられます。
SONY α7R V・SONY FE 70-200mm F2.8 GM OSS II・105mmで撮影
絞りF10・1/200秒・ISO100・AWB・RAW
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高画素カメラで一番懸念されやすいのが高感度で撮影した際の画質です。星景ポートレートを撮る筆者にとっては欠かせないポイントです。
カメラを購入した時に必ずチェックしているのですが、ダークノイズテストをします。大抵この作業でそのカメラの長秒による高感度ポテンシャルが分かります。
ボディキャップをつけるか絞りF値は最大で光が入り込まないようにします。次にシャッタースピード30秒でISO感度を1600、3200でテストします。現像時に露光量を上げることでシャドウ部のノイズの特性を確認することができます。
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比較するとα1の方が輝度ノイズが少ないのが分かります。これはセンサーと画像処理エンジンの違いです。
露光量+1.00でα1とほぼ同等になります。
つまり現象時にシャドウを持ち上げた際にどれだけキレイに暗部を表現できるかが分かります。
カラーノイズ(RGBノイズ)がないのは色に影響が出にくいので高画素カメラとしては扱いやすいです。
SONY α7R V・TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD・20mm・ISO800で撮影
絞りF2.8・AE・AWB・RAW
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SONY α7R V・TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD・20mm・ISO3200で撮影
絞りF2.8・AE・AWB・RAW
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ノイズは増えますがディテールはしっかり残っています。これは筆者の経験ですが、長秒時においては低画素のカメラよりも高画素カメラの方がディテールが残っているのでキレイだったりします。カラーノイズがほぼ無いので、その場にいるかのような忠実な表現ができるのはメリットです。
※ただし長秒ではない場合はそうとも限らない場合があります。
暗い場所でどれだけAFが正確かどうかは撮れ高に影響がでます。今回は本当に暗い洞窟の中で撮影しました。
EV−4.0の暗いシーンにおいても高精度で被写体を捕捉する能力があるので、なんの心配もなく撮影できました。
そして最適化されたアルゴリズムによる手ブレ補正システムがトータルで進化したので、手ブレしやすい筆者においてはとても大きな進化だと思いました(笑)
洞窟内でのポートレートではストロボを使用していますが、普段ウェディングを撮影する身としてAF補助光は常にOFFで撮影しています(※その場の空気感やムービーカメラマンに影響を出さないため)。補助光なしでここまで正確にピントを合わせてくれるのは非常に感動しました。
対応する手ブレ補正機構内蔵レンズとの組み合わせで最高8.0段、ブレによる解像度低下を強力にサポートしてくれるので有効約6100万画素の高解像性能をより発揮することができます。三脚を使用できないシーンや手持ちで動画撮影する際は大きな武器になるので従来よりも安定した撮影が可能です。
(ストロボなし)SONY α7R V・TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD・20mmで撮影
絞りF2.8・1/20秒・ISO200・AWB・RAW
モデル 辻 美咲
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(ストロボあり)SONY α7R V・TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD・20mmで撮影
絞りF2.8・1/20秒・ISO200・AWB・RAW
モデル 辻 美咲
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α7R Vでは、AIプロセッシングユニットを搭載することで、被写体の骨格情報を使ってその動きを高精度に認識することができるようになり、人物の瞳の認識精度がα7R IV比で60%向上されている。顔が斜めのシーンや、遮光や逆光といった従来難しかったシーンでも、より高い認識精度で狙った人物を捉えるので非常に安定したAFで瞳を捉えることができます。
麦わら帽子を被ったシーンでは結構な確率で帽子にピントを持っていかれがちですが、ちゃんと瞳にピントが合っていることが確認できます。
SONY α7R V・TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD・20mmで撮影
絞りF2.8・1/4000秒・ISO100・AWB・RAW
モデル 辻 美咲
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さらに意地悪にも真逆光によるポートレートでも瞳にピントが合っているので、非常にレベルが高くなっていることに驚きました。
SONY α7R V・TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD・40mmで撮影
絞りF2.8・1/640秒・ISO100・AWB・RAW
モデル 辻 美咲
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自然風景での撮影にも対応できる進化した「ピクセルシフトマルチ撮影」。α7R Vでは、ボディ内手ブレ補正機構を高精度に制御して計16枚の画像を撮影して、合計約9億6320万画素分の膨大な情報を、約2億4080万画素(19,008×12,672)の画像生成が可能です。
これまで撮影中に人物や木の葉などの被写体の動きが生じた場合、正しく合成されないケースもありましたが、ソニー純正のソフトウェア「Imaging Edge Desktop(TM)」の最新バージョンでは、合成時に画像に含まれる人物や木の葉などの数ピクセル単位のわずかな動きを自動検出し補正します。
動きのある滝のある風景を撮影してみました。「Imaging Edge Desktop(TM)」で合成する際に、動き補正機能というのがあります。これは従来のRシリーズ(ILCE-7RM3/ILCE-7RM3A/ILCE-7RM4/ILCE-7RM4A)では使えないα7R Vに搭載された新しい機能です。これにチェックを入れないと動いている部分はドット絵のようにピクセルが目立ってしまいます。しかし、この動き補正機能を使用することによって動いている部分は多少解像感が落ちてしまうものの、使える約2億4080万画素の画像へと進化します。
これは風景写真において非常に嬉しい機能です。安心してピクセルシフトマルチ撮影で超高画素を楽しむことができます。
SONY α7R V・SONY FE 70-200mm F2.8 GM OSS II・38mmで撮影
絞りF5.6・1/6400秒・ISO800・AWB・RAW(補正あり)
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SONY α7R V・SONY FE 70-200mm F2.8 GM OSS II・38mmで撮影
絞りF5.6・1/6400秒・ISO800・AWB・RAW(補正なし)
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より緻密に調整できるようになった露出ブラケット。風景撮影する際、特に逆光など地上と空との露出差が大きいシーンでは重宝する機能です。暗く撮影してRAW現像時にシャドウを持ち上げるといった現象方法もありますが、シャドウ部のノイズやハイライトの白飛びを防ぎ、ダイナミックレンジの広い高画質な画像を生成することができます。
今回は撮影枚数9枚、露出ずらし量 ±1.0で撮影して合成しました。
SONY α7R V・SONY FE 24-70mm F2.8 GM II・30mmで撮影
絞りF8.0・1/8000秒・ISO100・AWB・JPEG
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今回はポートレートと風景を中心的に撮影してレビューしましたが、スチルとしてのカメラの完成度を感じました。
ポートレートの肌の質感や風景の解像感においてはα史上最もレベルが高い機種だと思いました。
高画素だけど長秒による高感度撮影も楽しめるので、星空にチャレンジしたい方でも候補に入れて良いと思います。
液晶モニターはこれまでのαの不満を払拭するかの如く私の想像を超えた素晴らしい出来でした。欲を言うと端子を接続している時でも邪魔にならなければと思いましたが、現状でも相当満足度が高かったです。今後さらに期待が高まります。
リアルタイム認識AFと手ブレ補正も進化しているので、これまで撮影困難だったAF撮影や手持ち撮影も難なくこなせる優等生です。
唯一、残念と思ってしまったのが、JPEG+RAWで1枚あたり約130MBあるので記録メディアの容量には気をつけなければ、あっという間に終わってしまいます。そういう点においてフィルムカメラのように丁寧な撮影を楽しめるスチルカメラです。
AFで失敗したく無い、撮れ高や高画質を優先したい方におすすめです。
SONY α7R V・TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD・20mmで撮影
絞りF8.0・1/80秒・ISO100・AWB・RAW
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SONY α7 R V・ZEISS Loxia 2/35・35mmで撮影
絞りF8.0・1/640秒・ISO200・AWB・RAW
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SONY α7R V・TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD・20mmで撮影
絞りF5.6・1/500秒・ISO200・AWB・RAW
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SONY α7R V・SONY FE 12-24mm F2.8 GM・13mmで撮影
絞りF7.1・1/200秒・ISO100・AWB・RAW
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SONY α7R V・SONY FE 24-70mm F2.8 GM II・70mmで撮影
絞りF2.8・1/2500秒・ISO200・AWB・RAW
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SONY α7R V・ZEISS Loxia 2/35・35mmで撮影
絞りF2.0・1/1600秒・ISO100・AWB・RAW
モデル 辻 美咲
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SONY α7R V・TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD・34mmで撮影
絞りF5.6・1/800秒・ISO100・AWB・RAW
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SONY α7R V・TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD・29mmで撮影
絞りF2.8・1/30秒・ISO400・AWB・RAW
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SONY α7R V・ZEISS Loxia 2/35・35mmで撮影
絞りF5.6・1/4000秒・ISO200・AWB・RAW
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Photo & Text by 関 一也 (SEKI KAZUYA)