FUJIFILM(富士フイルム) X-S10 の実写レビューです。
X-S10 は、コンパクトなボディにボディ内手ぶれ補正を持ち、初心者でも親しみやすい操作性を持った機種です。
FUJIFILM(富士フイルム)の良さを小さなボディに凝縮した機種 X-S10 の特徴を実写レビューを中心に見てみたいと思います。
一目瞭然の特徴は大きさとデザインです。
高級機 X-H1 を小さくしたようなデザインは、グリップが大きく張り出して、撮影の際のフォールディングがいいのは勿論、移動の際も安心して持ち運べます。
片手での撮影もし易く、改めてグリップの大切さを認識しました。
驚きなのは、このコンパクトなボディに、FUJIFILM Xマウントカメラとしては3機種目となる、ボディ内手振れ補正を搭載している事です。
最高、5軸6段と高級機の X-T4 には及ばないものの、ボディ内手ぶれ補正という強力な機能の搭載は、X-S10を選ぶ大きな動機となるでしょう。
操作性は、X-T200に近いモードダイヤルとコマンドダイヤルを中心としたタイプで、独特なクラシックな操作性が支持されて来たXマウントカメラの中で、どちらかというと普通な印象です。
デフォルトではフィルムシミュレーションに割り振られたダイヤルがある事は、フィルムシミュレーションを多用する方には、非常に使い勝手のいいものだと思います。
※ダイヤルはカスタマイズ可能
モニターは最近流行りのバリアングルモニターです。
ストラップが引っかかったり、水平が取りにくいなどの欠点もあり、個人的にあまり好きではありませんが、極端なローアングルでもモニター全体を確認し易いといったメリットもあるので、好みの問題だと思います。
高いグレードのカメラではないと思いますが、ジョイスティックを搭載しているのは好感が持てます。
全体的に欠点の少ない無難な操作性で、多くのユーザーの支持を得られそうです。
「旅するカメラ」、X-S10を手に持って最初に感じた印象です。
X-T4やX-Pro3ではちょっと大げさ、もっと気軽に持ち歩いて旅と写真を楽しみたい、そんな気持ちになるカメラです。
小さくカメラらしいスタイルがそんな気分にさせてくれたのかもしれません。
旅と食は切っても切り離せません。
門前にならぶ店の中に、団子屋を発見!みたらし団子ののぼりに向かってシャッターを切りました。
FUJIFILM(富士フイルム) X-S10は、フォーカスフレームを素早く変えられるジョイスティックと、正確なAFで、一瞬のスナップも難なくこなします。
今回撮影に訪れた深大寺は、背後から多くの水が湧き出て、近隣を清流となって流れています。
流れの中には美しい苔が生え、東京とは思えない光景です。
カメラを水面に差し出しながらの撮影ですが、X-S10のバリアングルモニターは、こういったローアングルの無理な体制でのフレーミングでは武器になります。
先ほどの茶店で、お団子をいただきました。
早朝からの撮影だったので、ちょっと休憩して腹ごしらえです。
左手で団子を、右手でカメラを構えての撮影ですが、深いグリップのお陰でカメラを落とす心配はありません。
まだ少し早いようですが、燃ゆるような真っ赤な色を見せる気の早いモミジが、紅葉の季節の到来を告げているようでした。
お気づきの方もいると思いますが、今回使ったレンズはキットのズームレンズでは無く、標準の単焦点レンズXF35mmF2 R WRを使いました。
条件によっては撮れない事もありますが、撮れる時はズームレンズより良く撮写る単焦点レンズは、割り切れば旅写真でも使い易く感じます。
湧水が湧きだす付近は、原生林と湿地になっています。
小さいながら東京都下とは思えない日本の原風景が広がっていて、カメラを向けるのが楽しくなります。
フィルムシミュレーションVelviaの真骨頂と言えるグリーンの発色により、緑が鮮やかに再現されました。
カラフルな落ち葉に心惹かれてカメラを向けました。
先ほどの水の写真と同様バリアングルモニターを使って、水面にカメラを近づけて撮影しています。
バリアングルモニターは、開くとストラップに引っかかってストレスなので、今回はストラップ無しで撮影しました。
おススメは、ハンドストラップを使う事です。
■おススメのハンドストラップ
深大寺はそばが有名です。
コンパクトなカメラを持っての旅気分が撮影のコンセプトだったので、名物をあじあわねばと、そばをいただきました。
上手い蕎麦は大盛でもぺろりと完食出来ます。
湧き水が流れる小川に、水中植物やコケが群生して綺麗です。
ほとんど反則と言っていいVelviaの美しい発色が、緑色を瑞々しく再現してくれます。
先ほどの蕎麦は、この清流あってこそと思いながらシャッターを切りました。
X-S10には、2種類の標準ズームキットが用意されています。
いずれもいいレンズですが、写真を楽しむなら、やはり単焦点レンズが欲しいところです。
今回の撮影で使用したXF35mmF2 R WRをはじめ、FUJIFILMの開放F2のレンズは、いずれもコンパクトのデザインと柔らかいボケ味でおススメのレンズです。
画角を変えられない単焦点レンズは、アングルや構図を工夫する技術が自然と身に付くので、これから写真を始める方にもおススメです。
勿論、1つの画角だけに専用に設計されているので、ボケが柔らかく綺麗で、高性能なのが普通です。
FUJIFILMの単焦点レンズの柔らかいボケ味は、一度使うと病みつきになりますよ!
□FUJIFILM(富士フイルム) X-S10におススメの単焦点レンズ
>>> FUJIFILM(富士フイルム) フジノン XF23mmF2 R WR
>>> FUJIFILM(富士フイルム) フジノン XF35mmF2 R WR
>>> FUJIFILM(富士フイルム) フジノン XF50mmF2 R WR
コンパクトでとても使い易い機種です。
大きなグリップが、持ち運びや片手撮りの際にとても有効だと感じました。
ダイヤル配置がX-T200に近い事から、入門機的なカメラと思いますが、ボディ内手ぶれ補正はじめ機能的には充実しているので、ユーザーのレベルを選ばない機種だと思います。
Photo & Text by フジヤカメラ 北原