Leica(ライカ)カメラの中でもトップクラスの人気をほこる「Q2」
Leica(ライカ)というとマニア垂涎のカメラであり、どこか敷居が高いモデルが多い中、肩の力を抜いて純粋に写真とLeicaの魅力を楽しめるモデルである事が、「Q2」の人気の秘密なのかもしれません。
今回のプロフェッショナルレビューでは、そんなLeica Q2を普段から持ち歩いてスナップなどを撮影しているフォトグラファーの鵜川 真由子さんにその魅力を語っていただきました。
普段使いにコンパクトな高性能機、Leica(ライカ)Q2をチョイス
使っていて気分のあがる操作性
近所の海辺散歩もLeica(ライカ)Q2と。すぐに有効4730万画素の35mmフルサイズセンサーの描写の虜に。
大口径レンズ搭載のコンパクト機は、街でのボケを生かしたスナップ撮影にも最適
外だけでなく家のなかでも大活躍。低照度でのAFもピタリ。
写真のクオリティ、AF性能、描写力はもちろん、Leica(ライカ)Q2は純粋に写真を楽しめるカメラ
まとめ
私はどこへ行くにも毎日カメラを持ち歩いていて、どれにするかを決めるのはその日の気分やどんな場所へ行くか、などなど色んな理由があるわけですが、基本的に荷物が多いので普段使いのカメラはできるだけコンパクトなものを選びます。
サイズや重量ではLeica(ライカ)Q2は条件にピッタリでしたが近頃すっかりズームレンズでの撮影に慣れていたため、単焦点でしかもレンズ交換ができないカメラの購入を少し迷っていました。それでもLEICA SUMMILUX f1.7/28mm ASPH. のついたコンパクトカメラというのは魅力的だったし、35mm、50mm、75mmクロップも可能というのもあり、思い切って購入することにしました。
写真愛好家の父のカメラコレクションの中にLeica(ライカ) M6がありました。彼がとても大切に扱っていたのをよく覚えています。それを今は私が譲り受けて使っているため、デジタルのライカに興味を持ったのは自然の流れでした。
実際に使ってみて、絞りをレンズ側で変える時にはフィルムカメラを思い出して嬉しくなりました。簡単にマクロに切り替えられる機能もとても重宝しています。そしてシャッターを切るときの静かな音がなんとも上品。使っていると気分が上がる、そんなカメラだなと思いました。
絞り・シャッタースピード・感度のダイヤルがシンプルでわかりやすく、マニュアルモードを使うことが多い私にも素早くスナップが撮れることが嬉しいです。
ちょうど海の近くに引っ越ししたばかりでよく海辺を歩いては写真を撮っていたのですが、正直なところ、初めてシャッターを切って画像を確認した時の衝撃は忘れられません。有効4730万画素の35mmフルサイズセンサーが作り出す、深みのある美しい色彩の描写に思わず心を奪われてしまい、Leica(ライカ)Q2はすぐに頼れるパートナーとなったのでした。
何でもない夕焼けの写真ですが、シャドウ部が潰れてしまわず、しっかり階調が描写されています。夕陽のオレンジのグラデーションも美しく再現されていて、まるでその場の空気感まで写しとっているようです。
砂浜に無数の足跡が。回り道をせず、壊れた柵の合間から海へ急ぐ様子が伝わってきます。28mmの広角レンズにより、手前は大きく、次第に小さくなる無数の足跡が奥行きを感じさせます。
若いカップルが手を繋ぎ、大きな岩場の上を海に向かって弾むように歩いていくのが微笑ましくて撮った一枚。昼と夜の光が混ざった時間帯の微妙な色合いが美しいです。
海には色んなものが打ち上がっているのも興味深いです。岩場の一角に寄ってみると綺麗な星形をしたヒトデが。
ぐっと腰を落とし、近づいて撮りました。夕陽が好きでよく撮っていたのですが、自然と日没まで海で過ごすことが増えていきました。そんな時に撮った一枚です。
この頃から私はすっかり LEICA SUMMILUX が描写する”深い青” の虜になってしまったのでした。
まだマンボウ発令中だった東京・渋谷の街。オフィスの明かりがまったくついていない様子にゾクっとしたのを覚えています。
道端に咲く百合の花はこんなにも艶っぽく。F1.8 という明るさで薄明かりの中でも低感度での撮影が可能。柔らかいボケ感が被写体を浮き上がらせ、存在を際立たせます。大きなボケを利用する際にピント合わせは重要になりますが、AF は狙った場所を外しませんでした。
こんなふうにボケを利用すると様々な表現が可能になります。例えば、
何気ない日常の一場面。旅先で早起きをして、レトロな喫茶店でゆっくりモーニングを食べている時にパシャリ。写っている3人の群像劇です。
少しずつ暖かくなり、街にも活気が出てくる頃。道端に咲き誇るツツジの花ごしに行き交う人々も心なしか楽しそうに見える…というのは私の想像ですが、逆光でも柔らかい光の中でコントラストがつき、メリハリのある写真になっています。絞りを調整しながら液晶モニターでボケ感を確認すれば、思い通りの表現が可能に。
我が家のアイドル・ナナちゃんの横顔もキリリ。毛並みの1本1本まで繊細な描写力。ペットもまるで人間のポートレイトのような存在感になります。
外に持ち歩くのはもちろん、家の中でも大活躍の Leica(ライカ)Q2。せっかくなので愛しのペットの写真を少し紹介したいと思います。
窓辺の光と影を利用して、ちょっと変わった表現をしてみました。ピントが合いにくそうなカーテン越しの影にも AF は問題なくピタリ。
猫です。丸くなって眠っている猫です。同色のソファーと同化しているのが面白く思わずシャッターを切った一枚です。絞りを開放にして撮ることで周りは完全にボケて被写体だ けが浮き上がり、謎の物体感を醸し出しています。
うちのナナちゃん、可愛すぎません?と思わず親バカ発言が出てしまうこの一枚。家の中の定常光で撮影。ISO6400 でも荒れない粒子のきめ細かさ。
「Leica(ライカ)FOTOS」アプリを使えば SNS へのアップロードも可能です。私の instagram にはナナ専用アカウントがあるため、撮ったらすかさず投稿できるのも猫好きにとっては嬉しい機能です。
写真を始めた学生の頃はズームレンズの存在を知らず、唯一持っていた 24mm の単焦点レンズで街中を歩き回って写真を撮っていました。ズームレンズと違い、広角・単焦点レ ンズというのは被写体を大きく写したければ近づかなければ撮れません。つまり自分の足で動き回り、時にはコミュニケーションを取りながら被写体との距離感を掴む、スナップの基本のようなものです。SUMMILUX f1.7/28mm ASPH. のついた Leica(ライカ)Q2 はその頃の、写真を純粋に楽しむ気持ちを思い出させてくれるカメラでもあると思いました。
先ほどのモーニングを食べた喫茶店で出会った小鳥さん。ケージ越しの僅かな伱間から見える小さな目も AF はとらえます。
電車の中でふと見下ろすと、自分の影が。その日かぶっていた帽子と、はいていたスカートの縞模様がいいアクセントになりました。こんなふうに何気ない時間の中にもシャッタ ーチャンスが隠れているため、いつでも取り出して写真が撮れるよう、常にカバンに潜ませておける Leica(ライカ)Q2 のコンパクトさは嬉しい要素です。
窓に向かうカウンター席で一人夕食を食べていた時のこと。ガラスにこちらの世界が写り込み、都会のビル群と相まって SF のような不思議な世界を作り出していました。複雑な 模様に見えますが、人や車など細部までしっかり描写されていて解像度の高さがうかがえます。
面白い影ができているところに女性の足が。広角レンズならではのパースがついて印象的な構図になりました。
夕暮れの海辺で見つけた靴跡。人は写っていないけれど、人の気配を感じる写真です。画面で伝わるでしょうか…夕陽に照らされて玉虫色に光る砂の輝きが。こんなに絶妙な色合 いを、難なく表現できることに感動すら覚えます。
海も空も、毎日見ていても一つとして同じ時はありません。この日は、淡いパステルカラーの色鉛筆で描いたような空の色。そんな繊細な色も綺麗に表現してくれます。そこに佇む一人の女性。彼女は一体何を思うのでしょうか。
電車の車窓から見た風景。
この中にテーマやコンセプトを決めたりわざわざ撮りに行った写真は一枚もありません。いつものように過ごし、その時々に目にしたことや感じたこと、つまり生活の延長にあるものをそのまま写し撮ったものばかりです。気軽に使えてなおかつクオリティが高い写真が撮れるというのが、Leica(ライカ)Q2 の最大の特徴なのでしょう。
・新開発の有効画素数 4730 万画素のフルサイズセンサー
・最大記録画素数で撮影できる 28mm の焦点距離と、35mm、50mm、75mm のクロップが可能。焦点距離の撮影範囲を示すブライトフレームを液晶モニター上にデジタル表示することも可能。
・開放 F 値 F1.7 の大口径単焦点レンズを搭載。マニュアル、オートを切り替えられるフォーカスリングを採用。また、最短撮影距離 17cm のマクロ撮影も可能。
・新開発の高精細 368 万ドットの有機 EL 電子ビューファインダーを搭載。
・最大記録画素数 4730 万画素で 10 コマ/秒の高速連写性能。
・アプリ「Leica(ライカ)FOTOS」に対応。スマートフォンへの送信や、リモート撮影が可能。