FUJIFILM(富士フイルム)XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR の実写レビューです。
非常に軽量で扱いやすい超望遠ズームの、解像感、フリンジなどの画質、フラッグシップ機X-H2Sと組み合わせた際の使用感などを、実際に撮影した実写をもとにレビューします。
特にX-H2Sの被写体認識との相性が良く、野鳥や動物撮影に威力を発揮しそうです。
特徴/操作性
非常に軽量な超望遠ズーム
スーパーEDレンズ4枚、EDレンズ3枚を使用した贅沢な設計
高い手ぶれ補正能力
実写レビュー
リニアモーターを使用した高速なオートフォーカス
驚くほどの軽量さが撮影のストレスを軽減
X-H2Sとの相性が抜群
高い描写性能
画質
解像感
フリンジ
フレア/ゴースト
比較
SONY FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSとの比較
FUJIFILM XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WRとの比較
おすすめユーザー
軽量さと高速なオートフォーカスにFUJIFILM Xマウントの新たな可能性を感じる
望遠側の開放F値が、あと半絞り明るければ言う事なし
望遠撮影をする全てのユーザーにおすすめ、特にX-H2Sとの相性は抜群!
まとめ
FUJIFILM(富士フイルム)XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR は、600mmまでの超望遠ズームとしてはトップクラスに軽量なレンズです。
一般的なフルサイズ用の600mmをカバーするレンズが2kg前後の重量なのに対して、2割ほど軽量な約1.6kgしか無く、アップダウンのある場所を歩き回りながらの撮影でもストレスを大幅に軽減してくれました。テストに使ったX-H2Sのようなグリップの深いボディなら、カメラのグリップだけで片手で持ち運べるくらいです。
内部はマグネシウム合金、外装をプラスチックにする事で軽量化がはかられていますが、白く塗装された鏡筒にプラスチックの安っぽさは無く、高級感のあるデザインとなっています。
望遠レンズでは問題となりやすい色収差を抑制する為、スーパーEDレンズ4枚、EDレンズ3枚を贅沢に使用し、色収差の少ない抜けのいいシャープな描写のレンズとなっています。
フリンジの発生も無く、最新レンズらしい高い描写性能を持っている事は、XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR の大きな特徴のひとつです。
FUJIFILMから既に開発発表がされているX-H2に搭載される4000万画素を超える高画素センサーにも安心して対応できそうです。
XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR を装着したX-H2Sのファインダーをのぞいて最初に感じたのは手ぶれ補正能力の高さです。
望遠レンズは手ぶれによりフレーミングするのが難しいレンズですが、クラス最高となる五段の手振れ補正により、35mm判換算で900mm相当となる超望遠レンズをかまえているとは思えない、安定した視野となる事に先ずは驚かされました。
軽量さと高い手ぶれ補正能力が、超望遠レンズを使う敷居を一段低くしてくれそうです。
フィルター径: | Ø82mm | 最短撮影距離/最大撮影倍率: | 2.4m /0.24倍(テレ端) |
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最小絞り: | F22 | 絞り羽根: | 9枚(円形絞り) |
長さ: | 314.5mm | 重量: | 1,605g |
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超望遠レンズは、オートフォーカスが高速である事が必須条件のひとつです。XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR は高速なリニアモーターとインナーフォーカスを採用しており、35mm判換算900mm相当の超望遠での撮影も子気味良くこなす事ができました。
X-H2Sから搭載された被写体認識との相性も抜群で、被写体に「電車」を選択しておけば、作例のように電車が画面中央になくても優先的にピント合わせを行ってくれます。
中央線程度のスピードなら、ほぼピントを外すことなく正確に補足してくれました。
作例はこちらに向かった走って来た電車を撮影後、くるりと振り向いて車掌さんを撮影しています。
当然ながら撮影距離が大幅に変わり、ズームの操作も必要になるシチュエーションですが、高速なオートフォーカスが素早くピントを合わせてくれました。
電車に設定した被写体認識がどういう動きを見せるか少し心配でしたが、電車が画面にない時は通常モードでフォーカスするようです。
動物園はアップダウンが多く思いのほか距離も歩かなければならないので、健康にはいいかもしれませんが、撮影を目的にすると体力的に辛い場所です。ましてや重い超望遠レンズを持ち歩くのは相当なストレスがかかります。
FUJIFILM(富士フイルム)XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR は重量約1.6kgと、600mmまでの超望遠ズームの中ではトップクラスに軽量なレンズとなっており、撮影の疲労を軽減してくれました。
今回はストラップは使わず、ほとんどカメラのグリップか三脚座を持っていましたが、筋肉痛になる事も無く快適に撮影を進められました。
動物の撮影ではできるだけ目線を動物に合わせるようにしています。小さな生き物を撮る際には必然的にカメラのアングルを低くする必要があり、体制的に苦しい事もしばしばです。そんな時、レンズが軽量だと非常に助かります。
場合によってはモニターを使ってしまう事も考えますが、日中の明るい時間帯はモニターが見づらくなるので、無理な体制でもできるだけファインダーをのぞいてきちんとフレーミングしたいものです。
作例は、網や手すりを避ける為に中腰の体制でしたが、軽量なレンズのおかげで手ぶれする事もなく撮影する事ができました。
XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR はフラッグシップ機X-H2Sとの相性が抜群にいいレンズです。
今回の撮影で強く感じたのは、X-H2Sに搭載された高い完成度の被写体認識が、600mmまでの超望遠レンズと非常に相性がいいという事で、電車、動物、鳥のいずれでも高速なオートフォーカスが高い精度でピントを合わせてくれました。
正直に言うと、動くものを撮影する際のFUJIFILMのオートフォーカスにあまり期待していなかったので、いい意味で大きく予想を覆される結果となりました。
最短撮影距離は全域で2.4m、最大撮影倍率は0.24倍(テレ端)、さらにAPS-Cサイズセンサーなので近接でもある程度の能力を発揮するレンズです。
FUJIFILMのオートフォーカスは小さなものを認識せずピントが抜けてしまいやすいのが短所でしたが、X-H2SのAFはこういった部分も改善されているので、例えば昆虫のような近づくと逃げてしまう被写体に望遠マクロとして使う事もできます。
X-H2Sの高いオートフォーカス性能がXF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR の活躍の場を広げてくれる気がしました。
FUJIFILM(富士フイルム)XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR は高い描写性能を持ったレンズです。
高画素を活かす解像感の高さは勿論、逆光耐性も高くフリンジもほとんど発生しないなど、純正らしい安定した性能を持っています。
多くの特殊レンズを贅沢に使った設計は伊達ではありません。
今までにも多くの望遠ズームレンズを使って来ましたが、中でも特に使いやすいレンズのひとつだと感じました。
高性能、高速といった超望遠レンズとして必要な要素をハイレベルに持っているだけでなく、APS-Cセンサー専用設計であることを最大限活かせるよう軽量化されたボディは、今までに無い望遠レンズの可能性を感じます。
野鳥や鉄道など、望遠レンズをメインに使う被写体を撮影するユーザーに、XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR とX-H2S は新たな選択肢になるようなハイレベルなレンズ、カメラです。
非常に高い描写性能を持ったレンズです。拡大して解像感を見てみます。
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作例9:F10 1/500 ISO2000 露出補正±0 焦点距離:352mm
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マクロ撮影という事で1絞りほど絞っていますが、それを考慮しても高い解像感を持つ高性能なレンズです。
明暗差が大きいような被写体を撮影しても、フリンジの発生はほとんどありません。純正レンズらしい安定した性能です。
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今回のテスト撮影では、ゴーストやフレアが発生する事はありませんでした。
効果の高いフードの装着が前提ですが、XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR は光線状態による画質の変化も少ない、逆光耐性の高いレンズだと言えるでしょう。
600mmまでのズームレンズはフルサイズ用のものがほとんどなので、FUJIFILM XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR と直接比べられるレンズは少ないですが、高画素のカメラをラインナップするメーカーならクロップしてAPS-Cとして使えるので、ライバル機種となるかもしれません。
例えばSONYのFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSをα7IVに装着してクロップすると、1400万画素のAPS-Cカメラと言えなくもありませし、大きさ的にもX-H2Sと大差なくなります。とは言えX-H2Sは2600万画素オーバーでメカシャッターでも15コマ/秒(α7IVは10コマ/秒)、電子シャッターなら40コマ/秒が切れるので、APS-Cカメラとしては圧倒的に高性能です。
更にレンズの重量は500g前後XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR の方が軽量なので、APS-C専用に設計してある分使いやすさという意味ではUJIFILM の方がだいぶ良さそうです。
FUJIFILM Xマウントの望遠ズームとしては長らくXF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR が使われて来ましたが、XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR の登場でその座をあけわたす事になるかもしれません。
大きさこそXF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR の方が大きいですが、重量の差は300gほどしかなく、望遠ズームを使う撮影では長すぎて困る事もあまりないので、これから購入するならXF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR の方がおすすめと言えるのではないでしょうか。
価格差が思ったほど無いのもポイントです。
今回、XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR とX-H2Sの組み合わせでテスト撮影を行い、いい意味でFUJIFILMではないメーカーのカメラを使っているような印象を受けました。高速なオートフォーカス、軽量なレンズ、高い被写体認識の精度などは、今まであまりFUJIFILMのカメラには求めなかった要素ですし、そもそも、望遠レンズを使う為に選択するメーカーではなかったからです。
そんな中、プロ向けのフラッグシップ機と、使いやすい超望遠ズームが満を持しての登場。最初は少し疑心暗鬼でしたが、使うにつれて「あれ?いつもと違うぞ」という印象が強くなってきました。テスト撮影を終えてみれば、例えば望遠レンズで野鳥を撮りたい、というお客様にも安心してすすめられるカメラ、レンズが1機種増えていました。
軽量な超望遠ズームと高速なオートフォーカスを持ったカメラの登場に、FUJIFILM Xマウントカメラの新たな可能性を感じさせられました。
今回のテスト撮影でXF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR に唯一不満を感じたのは、開放F値です。
X-H2Sとの組み合わせではAFが遅くなるなどの弊害はありませんでしたが、夕方の鉄道撮影では、あと半段シャッタースピードを速くしたいと感じる事が何回かありました。
大きさや重量とのバランスもあると思いますが、開放F値が一般的なフルサイズ用の超望遠ズームと同じ5-6.3だったら言う事なしだったのにと、少しだけ残念に思いました。
望遠レンズを多用する被写体を撮影する全てのユーザーにおすすめできるレンズです。
カメラには最低でもX-T4、できればX-H2Sを選択する事が条件ですが、FUJIFILMで望遠撮影をするなら最上の組み合わせと言えるでしょう。フィルムシミュレーションを使った鉄道や野鳥撮影は思っていた以上に楽しそうです。
軽量で非常に使い勝手がいい事もポイントで、他メーカーで望遠撮影をしているユーザーに買い替えをおすすめしたいくらいの完成度だと感じました。
・非常に軽量で使いやすい超望遠ズームレンズです
・高速なオートフォーカスはフラッグシップ機X-H2Sとの相性抜群です
・高い描写性能を持ちます
・望遠撮影がメインとなる被写体に幅広く対応できます
・FUJIFILMの新たな可能性が感じられるレンズです
レンズ選びの参考にしていただければ幸いです。
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