特徴/操作性
性能的には上位機種に迫る高性能機
優れたオートフォーカス
軽量で扱いやすいボディ
実写レビュー
軽量で非常に取り回しの良いボディ
キビキビと動作するオートフォーカス
レンズ性能を活かせる高性能センサー
画質
解像感
高感度性能
EOS R6 MarkIIとの比較
手ぶれ補正
電子ビューファインダー(EVF)
オートフォーカス
操作性
メリット・デメリットとおすすめユーザー
リーズナブルな価格と軽量さは大きなメリット
手ぶれ補正が無い事のデメリット
初めてのフルサイズ機、はじめてのRFマウントとしておすすめ
まとめ
Canon EOS R8の大きな特徴は上位モデルに迫る高性能機だという事です。
イメージとしては上位モデルとなるEOS R6 MarkIIからボディ内手ぶれ補正を無くした機種といった位置づけながら、価格は実売で10万円以上安くなるのでお得感の非常に高いモデルだと言えます。
手ぶれ補正が無い分軽量な点もポイントで、これから本格的に写真を始めたいと考えるユーザーにも使いやすいモデルです。
Canon EOS R8が上位機種ゆずりの高い性能を持っている注目ポイントはオートフォーカスです。
Canon独自の高速高精度なオートフォーカスシステムである「デュアルピクセルCMOS AF II」は勿論、被写体認識の対象も上位モデルと同じだけ用意されており、フォーカスに関してはEOS R6 MarkIIとほぼ同等と考えて良いでしょう。
オートフォーカス性能は後から性能アップを図るのが難しいので、最初から性能が高いモデルを購入しておくと結果的に長く使えるカメラになります。
Canon EOS R8を使い始めてまず感じたのはカメラボディが軽いという事です。
ボディ重量は500gを下回る約461g、今回テスト撮影に使ったRF24-105mm F4 L IS USMと合わせても1kgちょっとで、長時間持ち歩いても負担にならない重さとなっています。
又、指がかりの良い深いグリップは、ある程度重いレンズを装着してもしっかりと構える事ができるので、入門向けの軽量なレンズしか使えないという事もありません。
作例1:F4 1/1000 ISO100 露出補正±0 焦点距離:24mm
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
Canon EOS R8はフルサイズミラーレスの中でも特に軽量な部類に入るボディです。
上位モデルとなるEOS R6 MarkIIと比較して200g程度軽量になり、持ち運びの負担が少く軽快に撮影できるボディとなっています。
軽量ですが握りやすいグリップを装備しているので、少し重めのレンズを付けたり多少無理な体制でフレーミングする際にも安心感がありました。
作例2:F4 1/80 ISO320 露出補正±0 焦点距離:79mm
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
軽量である事は撮影の負担を大きく軽減してくれます。
お散歩写真を撮るのにあまり大きく重いボディは見た目にも大袈裟になりますが、EOS R8にF4通しのLレンズの組み合わせは程よくコンパクトで、アクティブな撮影を妨げる事はありません。
RF24-105mm F4 L IS USMはレンズ性能が高いので、EOS R8の解像感を損なわないのもポイントです。
作例3:F4 1/100 ISO125 露出補正±0 焦点距離:85mm
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
撮影のリズムを損なわないキビキビと動作する高速で高精度なオートフォーカスを持っています。
スナップ写真には、恰好を付けて言えばインスピレーションを感じた瞬間にストレス無くシャッターが切れるカメラが理想ですが、オートフォーカスの性能はそういった意味でとても重要です。
Canon EOS R8のオートフォーカスは上位モデルとほぼ同等のレベルにあるので、ノーストレスで子気味の良い撮影ができました。
作例4:F4 1/160 ISO125 露出補正-0.7 焦点距離:105mm
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
被写界深度が薄くなる近接撮影は、精度の面でもスピードの面でもオートフォーカス性能は重要です。
ひと昔前であればマクロはマニュアルフォーカスで撮るのが普通だったと思いますが、最近のAFは非常に高性能なので、オートフォーカスに任せても十分精度の高い撮影が可能になりました。
それでもピントを合わせなおす事が一般的な撮影より多くなるのも事実なので、EOS R8のような高速なAFを持ったカメラが使いやすくなります。
作例5:F4 1/80 ISO125 露出補正-1.0 焦点距離:50mm
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
今回のテスト撮影では高性能なLレンズを使いましたが、EOS R8のセンサーはレンズ性能の良さを活かせる高性能なセンサーだと感じました。
6000万画素を超えるような高画素機がある時代なので2420万画素というと画素数が多いとは感じ無いですし、実際、4,000万画素のカメラでテストしないとレンズ性能の違いが明確にならない事が多いのも事実ですが、立体感やコントラスの付き方など、解像感以外の部分でレンズ性能の良さが実写に良く反映されている気がします。
変な話ですが、純正以外の、例えばオールドレンズなどを使うボディとしても、画素数と高感度性能のバランスが良くおすすめのカメラです。
作例6:F4 1/500 ISO100 露出補正±0 焦点距離:61mm
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
映像エンジンDIGIC Xが作り出す画は美しいカラーバランスが魅力です。
あまり後処理でいじらず、カメラ任せである程度以上の写真を撮りたければDIGICは他社と比較してもかなり高いレベルにあり、特に初心者の方にも安心しておすすめできる要因となっています。
あまり硬すぎないでフィルム写真のような柔らかさを持っているのも好感が持てます。
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
高い解像感とコントラスを持ち、高性能なレンズと組み合わせればレンズ性能にしっかりと応えてくれます。
シャープでありながら硬くなりすぎず、細かい部分の立体感が良くつくのもEOS R8の良いところで、初心者から長年写真に親しんできた上級者まで満足度の高い画と言えるでしょう。
後述のとおり高感度性能も比較的高いので、手ぶれ補正の無いオールドレンズなどを使うにも良いかもしれません。
ISO1600作例
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
ISO6400作例
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
ISO25600作例
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
ISO3200くらいまでは100%に拡大してみても感度によるノイズの発生はそれほど多くなく、立体感や諧調についても十分なレベルにあります。
ISO6400くらいからノイズの発生が明確にわかるようになり、ザラザラとした立体感に乏しい画になって来ますが、これも100%まで拡大して見た時の話で、許容範囲と感じるかは撮影者次第といったところでしょう。
ISO12800を超えるとノイズが多くなり映像エンジンが画をつくっている感も増して来ますが、つくり過ぎていないせいか意外とリアリティを保っており、このあたりは流石老舗のカメラメーカーといった感じです。
EOS R8を上位モデルとなるEOS R6 MarkIIと比較した際に大きなポイントとなるのが、ボディ内手ぶれ補正の有無でしょう。
ここで注意したいのが、RFレンズの多くはレンズ内手ぶれ補正を搭載しており、EOS R8が手ぶれ補正が使えないわけでは無いという事です。
ボディ内手ぶれ補正の有無の違いは、一部のレンズで手ぶれ補正が使えない事と、ボディとレンズ両方の手ぶれ補正を使った協調補正ができないので手ぶれ補正の効きが弱いという事になります。
両機種のコストの差は小さくないので、使いたいレンズに手ぶれ補正が有るかと、極端に強力な手ぶれ補正機能が必要かどうかを考慮して検討するのがよいでしょう。
EOS R8の電子ビューファインダーは約236万ドットとEOS R6 MarkIIの約369万ドットに比べて少なく、滑らかさなどで劣る事から両機種の違いとして注目されるポイントですが、個人的には言う程の違いは無いように感じました。
というよりもEOS R6 MarkIIのファインダーが良すぎるというのが正直な感想で、一般的にはEOS R8でも十分に見やすいと言えるのではないでしょうか。
しかし、ファインダーについてはこだわるユーザーも多く、特にマニュアルフォーカスでの撮影が多いなら実際の写真の歩留まりにも影響して来るので、気になるなら実際にのぞいて確認した上で購入するのが良いかもしれません。
EOS R8のオートフォーカスはデュアルピクセルCMOS AF IIを搭載し、全画面AFエリアやAFスピード0.03秒、低輝度合焦限界EV-6.5、被写体認識の対象など上位モデルのEOS R6 MarkIIと同等の性能を持っています。
高速で高精度なオートフォーカスは上位モデルのアドバンテージとなる事が多い中、同等のAFを持っている事はコストパフォーマンスの面でもEOS R8の大きなメリットです。
今回のテストでは動きものの撮影はしませんでしたが、通常撮影でのフォーカスのスピードや安定感から考えると、Canonのフルサイズミラーレスの中でもトップクラスの適性を持っていると思います。
EOS R8の操作上のデメリットはEOS R6 MarkIIには当然のように搭載されているマルチコントローラーが無い事です。
上級者になるほど、明るく被写界深度の浅いレンズを使うようになるので、コサイン誤差を避ける為にフォーカスポイントを頻繁に異動するようになりますが、EOS R8にはマルチコントローラーが無いので、フォーカスポイントの異動が少し面倒です。
特に電子ビューファインダーで撮影している時には、一度ファインダーから目を離してタッチモニターを使うといったアクションが必要で、煩わしく感じました。
EOS R8の大きなメリットは高性能でありながら比較的リーズナブルな価格を実現している事で、とてもコスパの高い機種だと感じます。
特にオートフォーカス性能は上位機種と比較しても高いレベルにあり、静物から動体まで幅広い被写体に対応できるオールラウンドな機種です。
軽量な事もポイントで、入門者からベテランまで幅広いユーザーに使いやすい機種となっています。
多くの機種が採用するボディ内手ぶれ補正が無い事は撮影条件によってはデメリットとなるでしょう。
手ぶれ補正は手ぶれを防いで失敗が少なくなるというメリットだけでなく、暗い場所など条件が悪くてもISO感度を低く抑えられる(静物に限った事ですが)ので画質にもある程度影響がある点も見逃せません。
レンズ内手ぶれ補正だけだと、ボディ内手ぶれ補正に比べて2、3段効きが弱くなる事が多いようなので、使うレンズや使用する条件・コストを、上位モデルのEOS R6 MarkIIと比較しながら選択する必要があります。
安心のCanon RFマウントを採用した軽量なボディは、初めてのフルサイズ機、ないしは初めてのRFマウント機としておすすめです。
軽量で使い勝手が良く高画質な機種なので、RFマウントを体験するのにもってこいの機種と言えるでしょう。
オートフォーカスの性能が良いので、より上位のモデルを購入してもストレス無く使えるサブとして長く使える機種として、幅広いユーザーにおすすめです。
» 詳細を見る
» 詳細を見る
Photo & Text by フジヤカメラ 北原