特徴・操作性
開放F2.8の大口径レンズでありながら非常にコンパクト
高い描写性能
滑らかで上質な操作感と使いやすいデザイン
実写レビュー
軽量コンパクトで軽快に撮影できる
SIGMAらしい高い描写性能
コンパクトだが操作性は抜群
スナップでは少し持て余す事も
画質
解像感
周辺部画質
フリンジ
フレア・ゴース
ライバルレンズとの比較
TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXDとの比較
FUJIFILM XF10-24mmF4 R OIS WRとの比較
メリット・デメリットとおすすめユーザー
非常にコンパクトで高性能な広角ズーム
フードの取り付けには若干の不安が
風景から動画まで幅広いユーザーにおすすめ
作例に使用したカメラ
SONY α6700
作例に使用したレンズ
SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporary
まとめ
SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporaryを初めて手にして、先ず感じたのはそのコンパクトさです。APS-Cミラーレスカメラ用のレンズとは言え、開放F2.8通しの10mmからの広角ズームである事を考えると、この大きさは驚きに値します。
重量はわずか255g(SONY Eマウント)。既に発売されているAPS-Cミラーレス用のF2.8通しの標準ズーム18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryと合わせても約550gと軽量で、荷物を軽くする為に機材を置いていくという事も少なくなりそうです。
付属のフードは押し込んで装着する独特の機構で、小型化に貢献しています。こういった細かい部分にまでこだわってコンパクトさを追及しているあたりは実にSIGMAらしいところです。
コンパクトなだけでなく開放から非常に高い描写性能を持っている事もSIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporaryの大きな魅力です。
画面中心部の描写は単焦点レンズ並みで、今回テストボディで使ったSONY α6700の2600万画素ではオーバーサンプリングとなってしまう程でした。
機材を軽くする事でよりアクティブに撮影できる風景写真でも安心して使える高い解像感をもっています。
ズームリングの動きはとても滑らかで細かな画角の調整もやりやすいレンズです。
ズームリング部分が少し太くなっているユニークなデザインは、ファインダーを覗きながらでもズームリングの位置が確認しやすいと感じました。
コンパクトなレンズやカメラは操作が窮屈になるケースもありますが、デザイン面で工夫されているおかげで通常のレンズと同じかそれ以上に使いやすいレンズだと思います。
作例1:F2.8 1/160 ISO100 露出補正±0 焦点距離:10mm
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporaryをテストボディのα6700に装着すると、このカメラ用に用意されたのではないかと思えるほどデザイン的にもサイズ的にもベストフィットしました。
開放F2.8通しのズームレンズが付いているとは思えないほどコンパクトで、まるで標準の単焦点レンズが付いているようです。
今回は用意しませんでしたが、同じくAPS-Cミラーレス用の標準ズームと組み合わせれば、スナップなら無敵と言っていいコンビになるのではないでしょうか。
作例2:F2.8 1/160 ISO100 露出補正±0 焦点距離:15mm
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
撮影はお店のある中野駅近辺で行いました。
中野にはフォトジェニックな古い建物が残っていますが、狭い路地の中では引くことが出来ずに撮影を諦めるケースもあります。その点、広角ズームなら余裕を持ってフレーミングする事が出来て便利です。
SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporaryは歪曲収差補正をONにして使う事を前提に設計されているレンズなので、補正をONにする事で建物などの直線が歪む事なく自然な描写で写し取る事ができます。
作例3:F2.8 1/60 ISO100 露出補正+0.3 焦点距離:13mm
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
コンパクトさと描写性能は相容れないものだと思っていましたが、SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporaryにはそういった事はあてはまりません。
コンパクトさを優先して設計されているようでいて描写性能にも妥協が無いのは、さすがSIGMAといったところです。
フィルム時代に風景写真を撮っていた頃はレンズにしろカメラにしろ良いものは大きいという時代だったので、ここまで高性能なレンズをこのサイズで使える現代のカメラマンをちょっと羨ましく思います。
作例4:F11 1/500 ISO100 露出補正-1.0 焦点距離:14mm
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
今回のテスト撮影で少し後悔したのは、テストカメラにFUJIFILM X-H2かX-T5を選ばなかった事です。
ここまで高性能なレンズであれば、APS-Cサイズカメラの中でも随一の高解像ど誇るX-H2かX-T5で試すべきでした。
特に中心部の画質は非常に良好で、まるで単焦点レンズの画を見ているようです。
作例5:F2.8 1/2500 ISO100 露出補正±0 焦点距離:10mm
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
コンパクトなレンズは操作が窮屈な事もありますが、SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporaryはズームリングが一段太くなった独特のデザインで、とても使いやすく感じました。
シンプルでゆびがかりの良いゴムのローレットや動き出しからスムーズなズームの動作も、快適な撮影を後押ししてくれます。
細かなガタなども無く、全体的に品質の高さを感じられるレンズです。
作例6:F2.8 1/60 ISO100 露出補正+0.7 焦点距離:18mm
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporaryは動画に使うのにも良さそうです。
動画ではズームを表現のひとつとして使いますが、これだけ滑らかなズームなら美しい映像表現が期待できそうです。軽量コンパクトなので、ジンバルなどでも使いやすいでしょう。
広角レンズは手ぶれが目立たないので、ハンドヘルドでアグレッシブに撮影したり、動きながらの撮影で疾走感を出すのにも向いています。ピント位置による画角の変化(フォーカスブリージング)が少ないのも動画用レンズとしては嬉しいポイントです。
作例7:F2.8 1/160 ISO100 露出補正-0.7 焦点距離:13mm
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
今回のテストは気軽な街中のスナップにしましたが、広角だけでは少し持て余す事になりました。広角でなければ、というシーンも勿論ありますが、どちらかと言えばもう少し望遠が欲しいと感じるシーンの方が多かったです。
という訳で、個人的にはこのレンズ1本で楽しむよりも、同じくAPS-C用のコンパクトな標準ズーム18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryと一緒に使うのがおすすめです。
35mm判換算15~75mmをF2.8通しの2本のレンズでカバーできるので、軽快に、幅広い撮影ができるでしょう。なにせ、両方持っても約550gとペットボトル1本分程度の重さしかないのですから。
作例8:F11 1/30 ISO100 露出補正-0.7 焦点距離:10mm
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
撮影中に望遠端が24mm(35mm判換算約35mm)まであればな、と何度か思いました。
スナップで人気の28mmと35mmという2つの画角を1本のレンズに詰め込む事ができますし、標準ズームと組み合わせてもズーム域が重なるので、レンズ交換がやりやすくなると感じたのです。
とは言えこれはサイズとのトレードオフとなるので、少々高望みと言えるかもしれません。
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
非常に高い描写性能を持っており、特に中心部の解像感はAPS-Cミラーレス用レンズの中でもトップクラスなのではないでしょうか。
コンパクトさに目を奪われてしまうSIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporaryですが、描写性能もトップクラスです。
風景写真など高い解像感が必要な被写体にも安心して使えるレンズだと思います。
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
明暗差のかなり大きな被写体でもフリンジの発生は見られませんでした。
色収差を徹底的に除去するよう、FLDガラス1枚、SLDガラス3枚を使用した贅沢な設計と、ボディ内の倍率色収差補正を併用により、フリンジの発生について心配する必要はなさそうです。
最近のSIGMAのレンズは逆光にも強く、このあたりも風景写真に安心しておすすめできるポイントのひとつです。
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
逆光でフレアが発生する事がありましたが、素直な出方であまり気になりません。
又、ゴーストの発生が少ない事も特筆すべき点で、そういった意味でも超広角を含むズームレンズとしては異色な部分です。
コンパクトにする為に画質を犠牲にしている、といった事は殆ど感じられない非常に描写性能の高いレンズだと思います。
ライバルメーカーのTAMRONがラインナップするAPS-Cミラーレス用広角ズームは画質の良さで定評のあるレンズです。
画質についてはTAMRONが上回るというレビューもあるようですが、今回、SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporaryを使ってみた限りはその差はわずかなのではないでしょうか。
軽量コンパクトな事、広角側が10mmとわずかに画角が広い事がSIGMAを選ぶメリットです。
個人的に一番選択を迷いそうだと思ったレンズはFUJIFILM XF10-24mmF4 R OIS WRです。
Xマウントユーザーだけが選べるレンズではありますが、旧モデルが発売された当初から名レンズとして高い評価を得ており、開放F4通しである事や高い描写性能、望遠端が24mm(35mm判換算35mm)まである使い勝手の良さなど、バランスの良いとても優秀なレンズとなっています。
SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporaryの長所はコンパクトな事で、特にX-T5のような小さな機種だとそのメリットは大きいでしょう
写真を撮る上で撮影機材がコンパクトである事のメリットは多くあります。
持ち運びが楽という事はその最たるものですが、機材が軽量だと普段よりアグレッシブに撮影できるので思いがけないシャッターチャンスをものにできるかもしれません。
個人的にはハイアングルやローアングルで撮る事も多いので、機材が軽いと楽だなと思う事が多々あります。
今回実際に使ってみた際に少し気になった点がフードの取り付けです。
レンズ全体のコンパクトさにも寄与している独特の機構ですが、取り外しはともかく取り付けがどうもスムーズにできなくてスッキリしません。取り付けの際に壊してしまいそうな不安を感じるのです。
慣れの問題もあるとは思いますが、もう少しわかりやすい取り付け方法だったら良かったのにと感じました。
広角レンズが必要という前提ならば幅広いユーザーにおすすめできるレンズです。軽量コンパクトで高性能な事はレンズとして理想的で、非常に使い勝手のいいレンズだと思います。
又、動画に使うのにも手ごろで、動画画質に定評のあるSONYとFUJIFILMのマウントがそれぞれ用意されているのも良い点です。
APS-Cミラーレス用のレンズとして欠点の少ないとても良いレンズなので、将来的にCanon RFとNikon Zマウントが発売されれば言う事無しなのにと思いました。
» 詳細を見る
» 詳細を見る
Photo & Text by フジヤカメラ 北原