α6700 の特徴
ついに裏面照射型センサーが搭載
フルサイズ上位モデルの技術がフィードバック
コンパクトで写真、動画をシームレスに楽しめる
α6600 との比較
オートフォーカスが大幅に進化
有効約2600万画素 APS-C裏面照射型 センサーの搭載でより高画質に
シネマカメラ並みの動画性能
FX30 との比較
操作性の違い
XLRハンドルユニット
ライバル機種との比較
Canon EOS R7
FUJIFILM X-T5
OM SYSTEM OM-1
α6700 をおすすめしたいユーザー
豊富なレンズラインナップは大きなメリット
APS-Cサイズミラーレスの中で最高性能ではない
高いレベルであらゆる用途に対応できるオールラウンド機は幅広いユーザーにおすすめ
まとめ
ついに有効約2600万画素(静止画時)のAPS-C裏面照射型Exmor R(TM) CMOSセンサーが満を持して搭載されました。これにより低照度や高感度での描写性能の向上が期待できます。
残念ながら常用ISO感度は旧モデルとほとんど同じですが、画質が向上している事はぼぼ間違いないと思われます。
旧モデルのα6600では高感度で少し画をつくっている感があったので、より自然でリアルな画づくりとなっている事に期待したいところです。
機能的にはフルサイズの上位モデルα7RVに近く、SONYの最新機能が幅広く搭載されているという印象です。
特に、各社がしのぎを削る被写体認識AFについては6つの対象を持ち、望遠に強いAPS-Cサイズセンサーカメラの能力を最大限発揮できる仕様となっています。
位相差検出方式の測距点が最大759点とα6600(425点)から大幅に向上しており、より細かく高精度なオートフォーカスが可能となりました。
α6700 は6Kオーバーサンプリングによる高画質な4K動画や、4K 120pによる高画質なスローモーション、動画撮影時の高性能な手ブレ補正「アクティブモード」の搭載など、動画カメラとしても高性能な機種です。
高精度な被写体認識AFを持っておりピントをカメラ任せにできる事も動画撮影がやりやすいポイントとして見逃せません。
ピントにシビアにならなくてすむ分明るい単焦点レンズが使いやすいので、ボケを大きくしつつISO感度を低く保つことで画質の向上を図れるといったメリットも見逃せません。
4年ぶりの新機種という事で、旧モデルのα6600よりも進化している点がいくつもあります。その筆頭がフォーカス性能、特に被写体認識AFです。
α6600では検出対象が人、動物の2つであったのに対して、α6700では人物、動物、鳥、昆虫、車/列車、飛行機と6つに増えているだけでなく、車/列車、飛行機、昆虫では被写体全体だけでなく、先頭部分や頭部を自動的に認識、追尾する事が可能です。
被写体認識は今まで撮れなかった瞬間が撮れるようになる画期的な機能ですが、4年の進歩がそのまま性能差となっています。
α6700ではついに裏面照射型センサーが搭載されました。
一般的に高感度性能が向上すると言われる裏面照射型センサーの搭載により、静止画では暗所での画質向上が、動画では使えるISO感度の幅が広くなる事によるNDフィルターの運用がしやすくなる、といったメリットが生まれます。
ISO感度の設定がほとんど変わっていないのは不思議ですが、より自然でリアルな描写が期待できそうです。
α6700では4K 120pのハイフレームレート撮影をはじめ、動画機能もα6600と比較して大幅に向上しています。
画質は勿論、ジンバル無しで動きながら滑らかな動画撮影が可能な高性能手ブレ補正「アクティブモード」や、インスタントにシネマチックなルックが楽しめる「S-Cinetone」、カメラが被写体を認識して自動的に画面をクロップするオートフレーミング機能など、初心者からベテランまで幅広いユーザーに便利な機能が搭載されています。
α6700の優れた動画画質はシネマラインの末弟FX30に匹敵するレベルになります。どちらを選ぶか、選択のポイントとなる事のひとつが操作性です。
基本的にアイレベルで撮る事を前提としてデザインされているα6700とは違い、FX30は動画撮影でよく用いられるチェストポジションでの撮影をメインとしてデザインされており、本格的な動画撮影ではこの方が使いやすいと感じる事も多いでしょう。
操作性を重視して選ぶなら、動画主体ならFX30、写真主体ならα6700という選択になりそうです。
XLRハンドルユニットの存在もFX30のアドバンテージのひとつです。高性能な本格派のマイクはXLR端子で接続するのが一般的だからです。
反面、SONYにはコンパクトで高性能なオンカメラマイクが用意されており、こういったアクセサリーの装着は専用のマルチインターフェースシューで行うので、α6700にスマートに接続する事ができます。
ECM-B1MなどのSONYのコンパクトな指向性マイクは高音質なので、アマチュアユーザーなら十分かもしれません。
最近の高性能なAPS-Cサイズセンサーミラーレスの口火を切った機種と言えばCanon EOS R7ではないでしょうか。
発売は昨年2022年ですが、その存在感と性能の高さはトップクラスで、3250万画素の高画素センサーやレンズ内ISとボディー内手ブレ補正の協調制御による最大8.0段のボディ内手ぶれ補正など、α6700が遅れをとっている部分もあります。
対するα6700のメリットはレンズラインナップです。純正レンズにAPS-Cサイズ用レンズのラインナップが多い事はもちろん、SIGMAなどの高性能なサードパーティー製レンズを選べるのもSONYを選択するメリットのひとつです。
α6700のライバル機種として次にあげたいのはFUJIFILM X-T5です。前モデルからオートフォーカスと被写体認識機能が大幅に向上した事で、高速性能という意味でも最高クラスのAPS-Cミラーレスのひとつとなりました。
APS-Cサイズセンサー専用に設計されたXマウントレンズは高性能かつ個性的でコンパクト、SONYと同等の魅力的なラインナップです。
対するα6700のメリットは、信頼性で上回る被写体認識AFとマイクなど動画撮影アクセサリーの充実で、動画とのハイブリッド機としてはα6700に軍配があがりそうです。
α6700のライバル機種として最後にあげるのはOM SYSTEM OM-1です。センサーサイズこそ小さくなりますが、画質的には高いレベルにあり、よりコンパクトで高性能なレンズ群も充実しています。
フラッグシップらしいつくりの良さもOM-1を選ぶポイントとなります。
α6700のメリットはやはり信頼感のあるオートフォーカスで、被写体認識AFについてはSONYの方が高性能と考えて良さそうです。
機能的にバランスが良く幅広いユーザーにおすすめできるα6700ですが、推しポイントの最初にレンズを持ってきたいと思います。
ミラーレスへの移行を他メーカーに先んじて行ったSONYはフルサイズも含めて幅広いレンズラインナップを持ち、被写体や予算に合わせてレンズを選びやすいメーカーです。
SIGMAやTAMRON、Voigtlanderなど高性能で個性的なサードパーティー製レンズが多く存在する事もポイントで、レンズ遊びをするのも楽しいメーカーとなっています。
少し残念ポイントは基本性能が全てハイレベルである事は間違いありませんが、他社と比較して最高では無い事です。
ミラーレスカメラの世界で常にトップを走って来たSONYというメーカーに過剰な期待がある事は否めませんが、後発という事もあり最高性能のモデルが登場すると思っていたので少し残念に感じました。
上位モデルが出るのでは?と少し疑ってしまいます。
APS-Cサイズセンサーを搭載したフラッグシップ機とも言えるα6700は、現在のSONYのミラーレスカメラの中でもトップクラスに高機能なオールラウンドカメラです。
写真、動画いずれの性能もトップクラスであり、幅広いレンズラインナップも含めてあらゆるシーン、シチュエーションに対応する事ができるでしょう。
画素数と高感度性能こそハイエンドのフルサイズ機にはかないませんが、それ以外の点ではいずれもハイスペックで、被写体を限定しない幅広いユーザーにおすすめできる機種となっています。
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Photo & Text by フジヤカメラ 北原