TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060) 富士フイルム X マウント の実写レビューです。
オリジナリティの高い大口径広角ズームの画質、使い勝手、他レンズとの比較などを実際に撮影した実写をもとにレビューします。
F2.8の明るさを持ちながら驚くほど軽量コンパクトにデザインされた超広角ズームは、近接撮影にも強く街中のスナップから本格的な風景撮影まで気軽に幅広く使えるレンズです。
特徴/操作性
APS-Cサイズミラーレス用のコンパクトな大口径超広角ズームレンズ
最短撮影距離0.15mの高いマクロ性能
Xマウント純正レンズには無い明るく気軽に使える広角ズーム
価格を感じさせない滑らかな操作感
実写レビュー
スナップにも気軽に持ち出せるコンパクトなサイズ
高いマクロ性能とF2.8の明るさが超広角レンズの可能性を広げる
滑らかな操作感で使い心地がいいレンズ
優れたコストパフォーマンス
画質
解像感
周辺部画質
フリンジ
フレア/ゴースト
他レンズとの比較
FUJIFILM XF8-16mmF2.8 R LM WRとの比較
FUJIFILM XF10-24mmF4 R OIS WRとの比較
おすすめユーザー
コンパクトネスと高いコストパフォーマンスを持つ事が大きなメリット
ズーム域の狭さとつくりが純正に劣る点がデメリット
実用性の高さとコスパを重視するユーザーにおすすめ
まとめ
TAMRON(タムロン) 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060) 富士フイルム X マウント は、FUJIFILM Xマウント用の35mm判換算16.5-30mmをカバーする大口径超広角ズームレンズです。
ズーム域をある程度限定する事と、APS-Cミラーレスカメラに特化した設計で高い描写性能とコンパクトなサイズを両立しています。
超広角レンズの中には前玉が大きく張り出しておりフィルターが装着出来ないレンズもありますが、TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD ではTAMRONレンズではおなじみとなった67mm径のフィルターが装着できるので、動画などフィルターワークが必須の使用でもコストを抑えて運用する事ができるでしょう。
超広角レンズは非常に広い範囲が写るので、スナップなどの一般的な撮影では余計なものが入らないようにフレーミングするのに困る事があります。
そんな時被写体まで近寄る事ができれば被写体を絞る事ができるので使い勝手の幅が広がります。
さらにTAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD はズーム全域でF2.8と明るいので、ボケを活かして被写体を浮き上がらせるような撮り方も可能です。
現在(2023.05.30)FUJIFILM Xマウントの純正レンズには2本の超広角ズームが用意されていますが、いずれも実売価格でTAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD よりも高額なレンズとなっています。
いずれの純正レンズも高性能で魅力的なレンズですが、コスト的にも軽量コンパクトさによる気軽さという意味でもTAMRONに少し劣るようです。
撮影のスタイルにもよりますが、広角レンズは無いと撮れない被写体がある出来れば持っていたいレンズなので、高い性能を持ちかつ軽量コンパクトで使い勝手もいいTAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD は、純正レンズの穴を埋める価値あるレンズだと思います。
このレンズに限らずTAMRONレンズ全般に言える事ですが、ズームリングの操作感が非常に滑らかで使用感がいいところも大きな魅力です。
写真で細かな画角を決めやすいという事は勿論、動画ではズームを使った映像表現がしやすい事もメリットとなります。
ひと昔前であれば、レンズメーカー製のレンズにそこまで求める人も少なかったと思いますが、最近のレンズメーカー製レンズは純正並み、ことによると純正以上に高性能である事も多く、これは写真業界にとって大きな進歩だと言えるでしょう。
大口径の超広角ズームというと大きく重いだけでなく、前玉が出っ張ったいわゆる出目金レンズも多く、取り扱いにも気をつかう持ち運びが億劫なものが多いと思います。
TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD はそんな大口径ズームの常識を打ち破るような軽量コンパクトなデザインで、67mmのフィルター枠も備えており、スナップなどに気軽に持ち出せる、持ち出す気にさせてくれるレンズです。
超広角ならではの遠近感の誇張や画角の広さを活かした表現を、是非スナップ撮影に活かしてみてください。
個人的に超広角レンズを持ってのスナップ撮影ではカメラを上に向けて撮る事が多くなります。
建物の多い都会のスナップでは、間延びしてしまいがちな空が遠近感の誇張によって画面の多くをを占める周囲の建物によって狭くフレーミングする事ができるというのが主な理由です。
東京の空は狭いなどといった使い古された表現ではありますが、都会の空を狭く撮るのに超広角レンズはピッタリのレンズです。
広角レンズは広い画角のせいでフレーミングが散漫になってしまいがちです。
マクロ性能が高い広角レンズは被写体にギリギリまで近寄る事ができますし、背景をボカす事でフレーミングを整理する事もできます。
そんな理由から、スナップに使いやすい広角レンズの条件に最短撮影距離が短いという事があげられると思いますが、TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD の広角端での最短撮影距離は15cmとレンズ先端に被写体がぶつかるくらい短い、スナップ用の超広角レンズとして使い勝手のいいものです。
広角マクロのメリットのひとつにボカした背景に情報を多く入れられる事があります。
F2.8、近接での撮影でも標準や望遠に比べてボケが小さい広角レンズは、ボケていてもなんとなく状況がわかるからです。
又、被写体に寄りきっても背景が広くフレーミングされるのも超広角レンズの特性で、昆虫や花などのマクロ撮影をする際に、周囲の状況や天候、被写体の小ささを説明するのに一役買ってくれます。
最近のレンズメーカー製レンズが高性能な事にはしばしば驚かされますが、TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD は描写性能だけでなくオートフォーカスのスピードや動作のスムーズさが良好なのにも目を見張りました。
TAMRONの多くのレンズはズームの操作感が非常に良いので、細かな画角を調整するのに非常に便利です。
過去にはレンズメーカーのレンズ=安かろう悪かろうという時代もありましたが、最近はそんな事はなく純正以上のクォリティや性能、使い勝手の良さを求められるようになりました。
映画やドラマなどで、ゆっくりと俳優さんにズームで寄っていくような映像を見た事がある方も多いのではないでしょうか。
動画ではズームの動き自体が映像表現として使われるので、ズームの動きの良し悪しはそのまま出来上がりの良し悪しにつながります。
TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD はズームの動作がスムーズな事と合わせて軽量コンパクトな上、F2.8の明るさで背景をある程度ボカす事もできる、趣味で本格的な動画撮影をするユーザーにもおすすめのレンズです。
TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD の大きな魅力のひとつにコストパフォーマンスの高さが挙げられます。
実売価格は10万円を切っており(2023.05.30現在)、F2.8固定の大口径超広角ズームとしては異例の安さと言っていいでしょう。
APS-Cセンサーカメラはボディサイズが小さいといったメリットの他にも、同じ性能なら価格を抑えられるというメリットがあります。高性能でコンパクトなレンズの存在が、APS-Cサイズセンサーカメラの価値を高めてくれるでしょう。
TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD の特徴のひとつである、ズーム全域で開放F値が2.8であるという事による「ISO感度を上げる事ができる」「ボケを大きくできる」といった事は、APS-Cサイズセンサーの弱点を補うものです。
明るいレンズである事がフルサイズ以上にメリットとして大きいのがAPS-Cサイズセンサー用レンズなのです。
カメラの性能を最大限活かせるレンズという意味でも、リーズナブルな価格の大口径ズームレンズの存在は大きな意味があると思います。
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画面中心付近の画像は非常にシャープです。
今回のテスト撮影ではFUJIFILMの高画素機X-H2で行いましたが、TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060) 富士フイルム X マウント は、カメラの画素数を活かしきる高い解像感を持ったレンズとなっています。
まるでフルサイズ機で撮ったような切れのいい画質は、APS-Cサイズセンサーでフルサイズに挑戦し続けるFUJIFILMカメラにぴったりの画質と言えるでしょう。
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大口径の超広角レンズという事で、絞り開放では周辺部の画質は若干甘くなります。
F2.8の大口径レンズは、超広角とは言えコサイン誤差が発生する可能性があったので周辺部でピントを合わせ直していますが、開放絞りでは中心部分と比べてわずかに甘い描写となってしまいました。
とは言え超広角を含むズームレンズとしては優秀な部類だと思いますし、作例のように全体を撮る場合は絞り込んで使うのが普通だと思いますので、実用上大きな問題とはならないでしょう。
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フリンジの発生は非常に良く抑制されており、今回のテスト撮影では目立つフリンジは確認できませんでした。
LDレンズ2枚、XLDレンズ1枚を使用した、色収差を少なくする贅沢な設計が大きく影響しているものと思われます。
フリンジはモノクロなどでプラスに働くケースもありますが、風景などでシャープに見せたい時には厄介な欠点となるので、特に広角レンズの使われるシチュエーションを考えるとほとんど発生しない事はメリットとして大きいと言えるでしょう。
完全逆光などレンズ前玉に直接強い光があたるようなケースでゴーストが発生する事がありました。
とは言え目立たない程度に薄いもので、コーティングや内面反射処理が良好である事がうかがえます。
前玉が大きくフードを長く出来ない大口径の超広角ズームレンズはゴーストが発生しやすいレンズですが、TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD はそういった部分も優秀なレンズと言えます。
FUJIFILM Xマウント純正の大口径広角ズームレンズはXF8-16mmF2.8 R LM WRです。
焦点距離8mmからという本格的な超広角ズームは、画質についても妥協無く設計されており、その分サイズはXマウントレンズの中では大きめのレンズとなっています。35mm判換算12mmからの画角をカバーしており、いわゆる出目金と呼ばれる前玉が出っ張ったレンズの為、前枠にフィルターは取り付けられません。高性能で優秀なレンズですが、一般ユーザーや気軽な撮影には持ち出すのをためらうハードルの高さが短所です。
TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD は広角端の画角や細かな画質については劣るものの、リーズナブルな価格と軽量コンパクトさによる使い勝手の良さがメリットです。
TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD の最大のライバルレンズはFUJIFILM XF10-24mmF4 R OIS WR かもしれません。
明るさこそ1段暗いF4となるものの、35mm判換算35mmをズーム域の中に含み、さらに1mmとは言え広角側も広い点は、レンズとしての表現の幅に大きな違いとなるからです。さらに、多くの実績がありFUJIFILMユーザーの中では高性能で使い勝手のいいレンズとして有名であり、タイトルを10回防衛した無敗のチャンピオンのようです。
対するTAMRONのメリットはワイド端15cmという近接能力の高さ(FUJIFILMは24cm)と小型軽量さ、それにリーズナブルな価格のチャレンジャーです。
TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD の大きなメリットは、性能や仕様が高いレベルでバランスされているにも関わらず、小型軽量でコストパフォーマンスに優れている点です。
FUJIFILM純正の2本のレンズはそれぞれTAMRONよりも優れた点がありますが、いずれも価格面ではTAMRONよりも高額でコストパフォーマンスの良さの点ではTAMRONの方がメリットが大きそうです。
サイズや近接能力の高さなどTAMRONが明確に優れている点があるところもポイントです。
デメリットとして挙げたいのはズーム域の狭さです。
これは二兎を追う者は一兎をも得ずのとおり軽量コンパクトである事とトレードオフなので、仕方のない点ではあります。とは言え超広角レンズとしては少し物足りなく感じるケースもあるので、本格的な超広角撮影は純正レンズに一歩ゆずると考えて良さそうです。
又、使用感はともかく、外観の仕上げなど持つ喜びを満足させてくれるビルドクオリティはないので、これもFUJIFILM純正レンズに一歩劣る点です。
以上のような点からTAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD をおすすめしたいのは、実用的な超広角レンズをリーズナブルな価格で手に入れたいユーザーです。
特に単焦点の明るい標準を持っているユーザーなら広角を1本で補えるレンズとして用途にうまくマッチするのではないでしょうか。
性能的にもハイレベルにあり、特にある程度絞って、パンフォーカスで使う場合には純正レンズに劣らない非常に高いレベルの描写性能を持っている点もポイントです。
・FUJIFILM Xマウント用のコンパクトな大口径超広角ズームレンズ
・純正のラインナップの穴を埋めるような仕様のレンズです
・中心部の画質は4000万画素のカメラにも対応できる高い解像感があります
・ゴーストの発生はわずかです
・ズームリングの動きは滑らかで価格以上の操作感です
・最短撮影距離0.15mの高いマクロ性能で、使いやすい広角レンズとなっています
・実用性の高さとコスパの高さは大きな魅力です
レンズ選びの参考にしていただければ幸いです。
【商品情報】TAMRON(タムロン)11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060) 富士フイルム X マウント
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