Nikon(ニコン)から、プロ、ハイアマチュア向けのフルサイズミラーレスカメラ Z 8が発表になりました。
コンパクトなもうひとつのフラッグシップ機とも言えるZ 8は、高速性能や高い信頼性をコンパクトなボディに凝縮した、プロだけでなくアマチュアも含めた幅広いユーザーに使いやすい機種です。
Z 8の特徴とZ 9やZ 7IIとの違い、他メーカーのライバル機種との比較などを詳しく解説します。
Nikon Z 8の特徴
Z 8は、一言で言えばグリップの取れるZ 9だが
性能的にはZ 9のほぼ全てを継承
パワーバッテリーパック MB-N12
動画ユーザーにはZ 8の方が使いやすい
Z 9との比較
グリップが外れる事のメリット、デメリット
メモリーカード、バッテリーなどより一般的な構成に
コストパフォーマンスと重量
Z 7IIとの比較
積層型センサー搭載による優れた高速性能とローリングシャッター歪みの低減
縦横4軸チルト式画像モニターや被写体検出オートフォーカスなど後発故の強みも
メカニカルシャッターの有無
ライバル機種との比較
SONY α1との比較
Canon EOS R5との比較
Nikon(ニコン)Z 8をおすすめしたいユーザー
使いやすい最高クラスのフルサイズミラーレスカメラをお探しのユーザー
幅広い被写体を最高クラスの性能で撮影したいユーザー
すべてのNikonユーザー
Nikon Z 8のここが惜しい
まとめ
NikonZ 8は一言で言えばグリップの取れるZ 9です。
言い換えればコンパクト化したフラッグシップ機とも言える高性能機であり、別売のグリップをつけ外ししてサイズを変える事ができるので、より幅広いユーザーに使いやすい機種となっています。
勿論、グリップが一体となっている事のメリットもあるわけで、どちらかと言えばアマチュア向けのフラッグシップ機といった位置づけのカメラと言えるでしょう。Nikonではフィルムのフラッグシップ機F5以降、ハイエンドのプロ機が縦位置グリップ一体型となりましたが、外れない事により大きく重いというメリットがある一方、堅牢性で勝るというメリットもあります。
Z 8は、高速、高解像で高感度性能にも優れた積層型ニコンFXフォーマットCMOSセンサーや被写体認識機能など、ほぼ全ての機能をフラッグシップ機Z 9から受け継いでいます。
性能という意味ではZ 9と同じと言っていいでしょう。
プロのシビアな撮影に対応できるよう設計されたフラッグシップ機の性能を持ちながらコンパクトなサイズである事と、バッテリーやメディアスロットなどが、一般ユーザーにも使いやすくデチューンされているところがZ 8 の大きな魅力です。
Z 8 には別売でパワーバッテリーパック MB-N12 が用意されています。
タテヨコどちらで構えても同じような感覚で使えるパワーバッテリーパック MB-N12 は、バッテリーを2個装填する事で撮影可能コマ数を1.8倍にできるだけでなく、バッテリーパック部分だけでUSB給電に対応しているので、充電器としても利用する事もできます。
グリップ一体型のZ 9と比べるとデザイン的にややスマートさに欠けるのが欠点ですが、取り外せる事が大きなメリットなので、そういった部分には目をつぶるべきかもしれません。
Z 9はプロの動画へのニーズに対応して、動画カメラとしても非常に優秀ですが、カメラを縦に構える事がほとんどない動画では、グリップ部分はややお荷物と化していました。
ケージなどに入れて使う際にもあまりカメラが大きいと使い勝手の悪さにつながります。
Z 9と同等の性能でコンパクトなZ 8 は、Nikonのカメラで動画を撮りたかったユーザーには待ち焦がれたカメラと言えるのではないでしょうか。
先に述べたとおり、グリップが外れる事の最大のメリットは撮影条件に応じてカメラをコンパクトにできる事です。性能的にはZ 9に魅力を感じているが、大きすぎると感じていたアマチュアユーザーも多かったと思いますので、Z 8はそういったユーザーにもぴったりのカメラと言えるでしょう。
デメリットは防塵防滴の面では不利になる点とグリップを取り付けるとむしろ大きくなってしまう点です。
防塵防滴性能については、Z 9がD6相当なのに対して、Z 8ではD850相当との事なので、やはり取り外せる部分がある分、弱くなってしまうようです。サイズについては、現時点ではグリップ装着時の正確な大きさがわからなかったのですが、写真を見る限り明らかに高さがZ 9より高く見え、デザイン的にも少し不格好な印象を受けるので、グリップ装着での使用を前提にするならZ 9の方が良さそうです。
Z 8のメディアスロットは、ハイクラスのデジタルカメラでは一般的になりつつある高速メディアCFexpress(Type B)カードと、より一般的SDカードのダブルスロットになっています。
記録スピードという意味ではCFexpress カードの方が優秀ですが、コストパフォーマンスという意味ではSDカードの方が良いので、アマチュアユーザーには嬉しい変更と言えるでしょう。SDXCメモリーカードはUHS-II規格に対応しているので、RAWなどの重たい記録形式にもある程度対応する事が可能です。
もうひとう忘れてならないのが、バッテリーがEN-EL15cになった点で、Z 9に採用されたEN-EL18dはとても高性能ですが、実売で2万円以上する(2023.5.11現在)高額なバッテリーなので、6千円前後(2023.5.11現在)で購入できるEN-EL15cはコストの面でかなり有利です。Z 8は、こういった意味でもアマチュアユーザーに優しい高性能機と言えるのではないでしょうか。
2023年5月18日にZ 9は値上がりを予定しているので、現時点でZ 8のコストパフォーマンスの高さは議論できませんが、フラッグシップ機であるZ 9とほぼ同等の性能を持っている事を考えると、おそらくコスパの高い機種になると思われます。
(逆に言うと値上がり前のZ 9はかなりコスパの高い機種になると言えるでしょう。)
又、コンパクトになった事に合わせて、Z 9:約1340g→Z 8:約910g、と500g近く軽くなっているのもポイントです。
Z 8のスペックを見ると、Z 7IIのそれが一時代前のものである印象を受けてしまいます。
積層型センサーを搭載したZ 8は高画素と高速さを両立しており、いずれも非常にハイレベルです。他メーカーを見ても高画素機=遅いという事は無くなりつつありますので、Z 7IIは少し時代遅れな感じがしてしまいます。価格の違いは勿論ありますが、幅広い条件でハイレベルな性能を求めるならZ 8に大きなアドバンテージがあると言えるでしょう。
メカシャッターが搭載されていない事については賛否両論だと思いますが、高速読み出しによるローリングシャッター歪みがほとんど発生しないZ 8の電子シャッターは、これからのミラーレスを先取りしている機能だと思います。
個人的にバリアングルモニターがあまり好きではないので、最近の高級機に4軸チルトモニターが多く採用されている事を喜ばしく思います。Z 8もそういったトレンドはしっかりと押さえてあり、縦横4軸チルト式画像モニターが採用されました。
勿論、Z 9と同じく9種類の被写体自動検出を備えており、オートフォーカス性能でもZ 7IIを大きく凌駕します。又、Z 8では[飛行機]モードが独立して追加されており、Z 9よりもより強力な検出・追尾性能を発揮するといった進化もみてとれ、後発ならではの多くの強みを持ったモデルとなっています。
先に書いたとおり、メカニカルシャッターの有無については賛否両論だと思います。
高速読み出しによりローリングシャッター歪みがほとんど発生しない、とは言え、機構上全く発生しないと言いきる事も出来ないので、ほんの少しの形の変化が気になる被写体では、若干不安を感じる事もあるでしょう。そこはメカシャッターを搭載したZ 7IIのアドバンテージです。
個人的には人物、特にライブなどで激しく動く人物を撮影する際、なんとなく電子シャッターでは不安に感じる時があります。実際に歪みを感じた事があるわけでは無いのですが、メカシャッターを選択するこ事が多いです。
Z 9とα1を比較する際、グリップが外れるか否かの違いをよく聞いたような気がします。フラッグシップ機=プロ機と考えると、堅牢性は最も重要な要素のひとつであり、グリップが取り外しできるというリスクを犯しているα1はプロ機とは言えないといった事です。
そういった意味で、Z 8のライバル機種の最初にSONYのα1を挙げてみました。
正直に言って、Nikonの最新機種であるZ 8と改めて比べてみて、α1が非常に優れたカメラである事を再認識してしまいました。2021年発売なので、2年の開きがあるにもかかわらず、Z 8が明らかにα1より優れていると言える部分は少ないようです。被写体認識の数や縦横4軸チルト式画像モニターの採用などがZ 8の方が優れた点ですが、メカシャッターの搭載やコンパクトネスなど、2年前のカメラでありながら同格と言っていい性能を持っているのは凄い事だと思います。
ハイアマチュアからプロカメラマンまで多くのユーザーから支持されるCanon EOS R5をライバル機種の2番目に持ってきたいと思います。
Z 8と違い高速さを極限まで追い求めていない機種なので、少し毛色の違うカメラとなりますが、メカシャッターで12コマ/秒の高速連写ができるなど、高速性能でも高級機らしい高い性能を持っている点は見逃せません。
直接比べたわけではありませんが、被写体認識を含めたオートフォーカス性能はZ 8が優れていると思われるので、そういった機能が必要な被写体を頻繁に撮影するかが選択のポイントとなるでしょう。兄弟機のEOS R6がMarkIIとなり、オートフォーカス性能(特に被写体認識の精度の面で)の評価がかなり高いようなので、R5にMarkIIが登場するのが少し怖くはあります。
NikonZ 8は性能的にはフラッグシップ機Z 9と同等の機種ですが、グリップの取り外し、小型バッテリーやSDカードスロットの採用など、よりアマチュアでも使いやすい仕様となっているのが特徴です。
そういった意味で、大きく重いフラッグシップは少し使いずらいが、性能的には最高のものを求めたいハイアマチュアに特におすすめのモデルです。
Nikonが、S-Lineという他メーカーと比較しても最高クラスの性能を誇るレンズラインナップを持っている事もポイントで、画質面でこれ以上は無いというレベルの最高の性能で使える点もNikon Z 8を選択する動機となるでしょう。
コンパクトにできるという事で、幅広い被写体に対応できる点もZ 8の優位性です。
例えば街のスナップなどを大型のカメラでするのは、実際の使い勝手は勿論、気持ち的にも少し下がってしまうのではないでしょうか。そんな時、ボディ単体のZ 8なら、持ち運びの軽快さなどから使いやすいと思います。
Z 8なら、高画素を活かしたシャープで高解像度な風景写真から、コンパクトにレスポンス良く瞬間を捉えたいスナップ、野鳥やモータースポーツなど高速な被写体まで幅広く使い勝手のいいカメラとなってくれるでしょう。
店舗のスタッフとよく話題となる事に「Nikonのカメラは頑丈」というのがあります。定量的なデータを取ったわけではないので話半分に聞いて欲しいのですが、上位機種でなくても多少手荒に扱っても壊れないというイメージがNikonのカメラには常にあります。
多くのメーカーが自身のカメラの良さをアピールしますが、そういった事とは別に、長い間自然と培われた「文化」のようなものが各メーカーあるのではないでしょうか。
NikonのカメラにはそんなNikon社員の方々の文化を感じる事があります。そんな意味で、フラッグシップ機から多くの性能を受け継いだZ 8は、全てのNikonファン、Nikonユーザーにおすすめしたい、ハイクラスなカメラと言えるのではないでしょうか。
色々と書いてきましたが、最後にZ 8 が少し惜しいと感じた点をひとつ挙げておきたいと思います。これはZ 9の惜しい点とも言えますが、電子ビューファインダーのドット数が、さすがに高級機としては前時代的な気がします。
Canon EOS R3が約576万ドット、SONY α1が約943万ドットであるのに対して、NikonZ 8は約369万ドットと、他メーカーの中級機以下なのはさすがにいただけません。
ファインダーに使われる光学レンズの性能が最高と評価されているので、是非、よりドット数の多い映像で見てみたいところです。
・コンパクトなフラッグシップ機とも言える高性能機です
・別売でパワーバッテリーパック MB-N12 が用意されています
・CFexpress(Type B)カードとSDカードのダブルスロットで使いやすい仕様です
・バッテリーは小型でリーズナブルな価格のEN-EL15cとなっています
・被写体自動検出に[飛行機]モードが独立して追加されました
・防塵防滴性能についてはZ 9が一眼レフではD6相当なのに対してZ 8ではD850相当となります
カメラ選びの参考にしていただければ幸いです。
【商品情報】Nikon(ニコン) Z 8
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