TAMRON(タムロン)70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD A047 ニコンZ用の実写レビューです。
リーズナブルな庶民派望遠ズームの解像感やフリンジなどの描写性能、フォーカスやズームなどの操作感、おすすめの被写体や使い方をご紹介します。
Zマウント用の軽量コンパクトなレンズは、気軽に望遠レンズを使いたいZマウントユーザーにおすすめの高性能レンズです。
特徴/操作性
コンパクトでリーズナブルな価格の庶民派望遠ズームレンズ
高画素機にも対応できる高い解像感
動物から風景まで幅広く対応できる扱いやすい画角
実写レビュー
遠くの風景でも美しい部分だけ切り取る事ができる
望遠レンズ特有の圧縮効果を使った撮影が楽しい
軽量コンパクトでいつでも気軽に持ち歩ける
動物や昆虫などの自然な表情を撮るのにも最適
画質
解像感
フリンジ
フレア/ゴースト
ライバルレンズとの比較
ライバルはNIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S ? NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S ?
Nikon Z用の望遠ズームとして唯一無二のレンズ
おすすめしたいユーザーとウイークポイント
Zマウントユーザーで気軽に望遠ズームを使いたい方に
フォーカススピードは普通レベル、F値が暗いデメリットも
リーズナブルな価格は普段使いの望遠ズームとして幅広いユーザーにおすすめ
まとめ
Nikon Zマウント用の純正レンズには、現時点で(2022.10.6現在)300mmまでの望遠域をカバーするリーズナブルな価格帯のレンズがありません。
TAMRON(タムロン)70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD A047 ニコンZ用 は、純正レンズにない焦点域をカバーすると言う意味で、価値ある一本と言えるでしょう。
軽量コンパクトである事も大きな魅力で、今回のテスト撮影ではカメラに取り付けてストラップで首から下げて常に持ち歩くスタイルで使いましたが、撮影や持ち運びが苦になる事も無く、とても身近な望遠ズームだと感じました。
ひと昔前であれば、70-300mmの焦点距離でF値が可変するレンズと言えば、性能よりコストを重視した、画質やつくりの悪いレンズが殆どでした。
しかし、最近ではカメラの高画素化やユーザーが求めるレベルが上がった事で、ズームなどの操作感もよく画質も高画質なレンズが多く発売されました。
TAMRON(タムロン)70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD A047 ニコンZ用 もそういったレンズのひとつで、価格やレンズのコンパクトさからは想像できない高画素機にも対応できる高い解像感を持ったレンズです。
個人的には純粋に望遠ズームと言えば、400mmまでないと少し物足りなく感じます。例えばプライベートでも撮影する動物園では300mmまでの焦点距離は少し中途半端で、被写体によっては撮影を諦めるケースもあるレンズというイメージでした。
しかし、ロケーションを特定せずスナップで使う望遠ズームとして使ってみると、300mmで足りないという事は殆ど無く、逆に望遠レンズの持つ圧縮効果やボケの大きさなどを活かした写真が楽しく撮れて、思いのほか幅広いシチュエーションに対応できる事に気付きました。
動物についても、ホームゲレンデにしている多摩動物公園のように広くない場所なら、幅広く対応できそうです。Nikonのカメラにはクロップ機能が搭載されているので、今回使用したZ 7IIのような高画素機ならクロップして使うという手もあります。
フィルター径: | φ67mm | 絞り羽根: | 7枚 (円形絞り) |
---|---|---|---|
最小絞り: | F22-32 | 最短撮影距離/最大撮影倍率: | 0.8m (WIDE) -1.5m (TELE)/1:9.4 (WIDE) /-1:5.1 (TELE) |
長さ: | 150.3mm | 重量: | 580g |
今回のテスト撮影で特に感じたのは、焦点距離や明るさが思いのほか風景写真に使えるという事です。遠くの風景を望遠効果で引き寄せて撮れるので、主題を絞ったシンプルな構図で撮る事ができます。
作例は富士山と甲府盆地ですが、風景写真でよく使われる70-200mmのズームレンズよりも100mm長い300mmまであるので、より迫力のあるフレーミングができました。
勿論、高い描写性能がある事が、このレンズを風景でも安心して使える大きな要素のひとつです。
TAMRON(タムロン)70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD の高い描写性能のおかげで、山の稜線が精緻に描写されました。
こういった言い方はメーカーに失礼かもしれませんが、価格を超越した写りの良さで、今回使用したZ 7IIのような高画素機でもなんら気負う事無く使えます。
風景写真では画質と被写界深度をある程度稼ぐために絞って使うのが普通なので、ある程度絞り込んで撮っている事も好描写の要因です。Z 7IIの強力な手ぶれ補正に助けられていいる部分もあります。
望遠レンズの特性には、遠くの物を大きく撮るという事以外に、圧縮効果が働いて遠近感が小さくなるという事があります。
作例はワイン用のブドウ畑ですが、望遠レンズの圧縮効果を利用してぶどうがより沢山なっているような効果を狙いました。
ご存知の方もいると思いますが、ワイン用のブドウは味を良くする為に余計なふさを剪定してしまうので、1木になるぶどうの量は実際にはかなり少な目です。
超望遠の圧縮効果を利用して、背景の富士山を大きくフレーミングしました。写真ではよく使われるトリックです。
300mmでの近接撮影は被写界深度が浅く、普通に撮ったのでは富士山がボケて何が写っているかわからなくなってしまうので、ピントを深くする為にかなり絞り込んで撮る必要があります。作例では最小絞りのF32を設定して撮影しましたが、ミラーレスカメラはEVFを使って被写界深度がどのくらいになっているか正確に把握できるので、こんな撮影の時でも便利です。
ちなみに撮影中はアルコールを摂取しない主義なので、ワインはスタッフが美味しくいただきました(笑)
300mmを含む超望遠レンズでありながら、レンズの全長は150.3mm、質量は580gと軽量なので気軽に持ち歩けるレンズとなっています。
今回のテスト撮影でもカメラに取り付けて気軽にスナップをするような使い方をしましたが、カメラが邪魔になる事も無く負担なく撮影できました。
撮りたいと思った時に撮れる快適さは旅行用にもおすすめです。旅行用というと広角や標準、あるいは高倍率ズームなどが頭に浮かびますが、写真にある程度主眼を置くなら、主題を絞りやすい望遠ズームも意外と使いやすいのです。
窓からの光を受けて美しく光るグラスを撮りました。標準レンズならかなり近寄って撮る事になりますが、望遠レンズなら少し離れた位置から撮れて便利です。
圧縮効果と大きなボケを活かして写体を絞り込みやすい事もポイントで、ただの記録写真にならず、ちょっといい写真が撮れます。
「写真は引き算」と昔からよく言われますが、特性を活かして引き算がしやすいレンズと言えるかもしれません。
TAMRON(タムロン)70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD A047 ニコンZ用 の最短撮影距離はTELE側で1.5m、最大撮影倍率は1:5.1(WIDE:0.8m/1:9.4)と、近接に極端に強いレンズではありません。
とは言えトンボ程度の大きさの被写体なら遠くからある程度大きく撮れるので、昆虫や猫などの撮影にも向いています。
被写体を驚かす事無く自然に撮れる事は、望遠レンズで近接撮影を行う大きなメリットです。
旅行の途中で立ち寄った牧場で飼われていた猫を撮影しました。オートフォーカスは動物AFに設定していますが、被写体認識も問題無く作動しました。
ちょっとブサイクな顔の、なかなか味わいのある猫です。
そんな猫の表情を引き立たせるように背景をシンプルに整理できるのも、望遠レンズの圧縮効果があったればこそです。
Z用のズームレンズの中では比較的リーズナブルな価格帯のレンズながら、高い描写性能を持ったレンズです。
先ずは作例3のブドウの写真を拡大して解像感を見てみます。
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ぶどうの丸みが伝わるシャープで解像感の高い描写です。
今回のテストボディは4575万画素のNikon Z 7IIですが、高画素機にも十分対応できる高い描写性能を持っています。
開放での撮影は、画質の面でもピントの面でも少し心配だったので、半絞りほど絞って撮影しました。
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今回のテスト撮影でフリンジの発生したカットはありませんでした。
LDレンズの使用は1枚だけですが、カメラ内補正と連動してうまく色収差を抑えているようです。
それほど贅沢にレンズを配置してあるわけではないので、少し意外な結果でした。
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逆光線ではまれにゴーストが発生しました。
しっかりした大型フードが付属しているので、半逆光では問題ないのですが、完全逆光のレンズに直接光があたるようなシチュエーションでは、弱い光でもわずかにゴーストが発生する事があるので注意が必要です。
同じような焦点域をカバーする純正レンズはNIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sと、NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR Sの2本です。
いずれもSラインの超高性能レンズで、Nikonが誇る高性能コーティング「ナノクリスタルコート」を施されており、ゴーストの発生は殆ど無い優秀なレンズです。
とは言え、価格には大きな開きがあり、重量や大きさもかなり違うので、本来比べるべきではない違うジャンルのレンズと言えます。
性能や価格、重量やサイズなどを考えると、TAMRON(タムロン)70-300mm F/4.5-6.3 Di III は、Nikon Zマウント用レンズの中でも唯一無二のレンズであり、現時点では純粋に比較対象となるレンズがありません。
最大の魅力は性能に対する価格、コストパフォーマンスであり、軽量コンパクトで使い勝手もいい事から、幅広いユーザーに使いやすいレンズとなっています。
Z マウントの唯一無二のレンズと言えるTAMRON(タムロン)70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD A047 ニコンZ用 は、気軽に望遠レンズでの撮影を楽しみたいユーザーには待望のレンズと言っていいかもしれません。
Sラインの高級レンズほどの性能はありませんが、ミラーレス専用設計のレンズは高性能であり、コスト的にも持ち運びの便利さ的にも幅広いユーザーにおすすめです。
全体的に高性能だが高額なシステムであるZ マウントの中にあって、手軽に望遠ズームを使いたいユーザーにおすすめです。
ステッピングモーターユニット「RXD」によるフォーカススピードは、ものすごく速いというレベルではありませんので、激しく高速で動く被写体では追従が難しいケースがあるかもしれません。
今回のような風景やスナップ撮影でも、大きくピントを外すと戻す際に若干のもたつきを感じました。
開放F値が明るいレンズではないので、暗い場所など条件が悪い時にはフォーカスに難が出るケースもあり得ます。子供の運動会など日中の撮影では問題ありませんが、例えばライブの撮影など暗い場所でのフォーカスは苦手と考えた方がいいでしょう。
こういった事を書くと開発したメーカーには少し失礼かもしれませんが、フルサイズ用のZ マウントレンズとしては最安値に近いコストパフォーマンスの高さも魅力です。
安かろう悪かろうにならないのもさすがTAMRONで、性能的にも安心しておすすめできます。
フルサイズのZ マウントカメラを使いたいけれど、望遠レンズがどれも30万円クラスになってしまうZ マウントシステムのなかにあって、比較的気軽に購入できる望遠ズームレンズは、望遠撮影をしたい幅広いユーザーにおすすめです。
・コンパクトでリーズナブルな価格ながら高性能なコスパの高いレンズです
・軽量コンパクトで気軽に望遠レンズを楽しめます
・美しい部分だけを切り取る風景写真にもおすすめです
・Z マウントには同じジャンルのレンズが無く、そういった意味でも価値の高い一本です
・昆虫を遠くから撮る事もできます(マクロ性能は高くないので小さな虫には不向き)
・オートフォーカスは速くないので高速で動く被写体には向きません
・逆光時にゴーストが出る事があります
レンズ選びの参考にしていただければ幸いです。
TAMRON(タムロン)70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD A047 ニコンZ用
TAMRON(タムロン)70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD A047 SONY E用
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