FUJIFILM(富士フイルム)からXマウントのフラッグシップ機「X-H2S」「X-H2」が発表されました。
プロユースを前提にしたFUJIFILMのフラッグシップ機は、高速モデルと高画素モデルの2タイプに分化。用途により最適化されたAPS-Cミラーレスの中でも最高クラスの性能を持っています。
先に発売予定のX-H2Sを中心に特性や特徴、ライバル機種との比較を解説します。
FUJIFILMからXマウントのプロ向けフラッグシップ機が登場
X-H2S[高速モデル]の特徴
新センサー「X-Trans CMOS 5 HS」による高速処理
プロユースに対応する高速性
進化したオートフォーカス性能
高い防塵防滴性能がプロの過酷な使用をサポート
信頼性が高くレスポンスのいいオペレーション、デザイン
X-H2[高解像モデル]の特徴
クラス最高画素数4000万画素X-Trans CMOS 5 HSセンサー
X-H2Sの高い動画性能がプロのニーズに応える
高い動画画質
動画に対応したデザイン
進化した手ぶれ補正
新製品レンズ XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR
X-H2Sの高速性を活かす超望遠ズームレンズ
軽量でインナーズームを採用したコンパクトなデザイン
新製品レンズ XF18-120mmF4 LM PZ WR
動画向き高倍率ズーム
ライバル機種との比較
Canon EOS R7との比較
OLYMPUS/OM SYSTEM(オリンパス/オーエムシステム) OM-1との比較
おすすめのユーザー
FUJIFILMが更なる進化を遂げた
よりオールラウンドなブランドに
まとめ
2018年に発売されたFUJIFILM(富士フィルム)のプロカメラマン向けモデルX-H1から4年。Xマウントのプロ向けフラッグシップ機がX-H2S、X-H2という2つのモデルに分化して帰って来ました。
今回は性能は勿論、操作性やデザインまでプロカメラマン向きに開発された、FUJIFILMの最新機種について、先に発売が予定されているX-H2Sを中心に、特徴やライバル機種との比較などを解説したいと思います。
いずれもAPS-Cミラーレスの特性を良く理解しているFUJIFILMならではの、条件によってはフルサイズを凌ぐ高性能カメラとなっています。
高速モデルX-H2Sの特徴として最初に取り上げたいのは、FUJIFILMとして初めて裏面照射積層型センサーとなった2616万画素の新センサー「X-Trans CMOS 5 HS」です。
プロ機として高精度で高速な機種であるX-H2Sの開発には、積層型センサーによる高速処理は必須であったと言えるでしょう。
裏面照射積層型センサーの搭載により電子シャッター使用時のローリングシャッター歪みが殆ど出なくなりました。
X-H2SはメカシャッターではAF/AE追従での約15コマ/秒の、電子シャッターでは同じく約40コマ/秒の高速連写が可能です。
例えば野鳥の撮影などでは、ほんのわずかの羽根の角度や向きで写真の価値が変化しますが、40コマ/秒の高速連写のおかげで、より多くのコマの中から最高の一枚を選び出す事が出来るようになりました。裏面照射積層型センサーの採用により、電子シャッター使用でもローリングシャッター歪みがほとんど発生しないので、動く被写体で電子シャッターを安心して使えるのもポイントです。
又、動画撮影では、4K/120pのハイフレームレートに対応しているので、高画質でのスローモーション撮影が可能となりました。
メーカーの担当営業に直接聞いてみたところ、X-H2Sのオートフォーカス性能について、プロカメラマンからの評価が高かったそうです。
オートフォーカスについて先行するS社の上位機種と比較するとやや劣るとの事ですが、今まで以上のFUJIFILM担当者の自信から、かなり期待が持てそうです。
新アルゴリズムの採用、被写体認識機能の搭載、120回/秒の高速演算処理などカタログ上のスペック上も大きく進化しています。又、今までのFUJIFILMのカメラでは小さな被写体をAFが認識してくれなくて、ピントが抜けてしまう事も多かったのですが、X-H2Sはこういった細かな問題にも対応しているようなので、個人的にも一番期待している部分です。
X-H2Sの特徴として、プロカメラマンの過酷な使用に耐える高い防塵防滴性能があげられます。
防塵防滴性能には、メーカーによって性能の差がありますが、FUJIFILM X-H2Sはその中でもトップクラスの性能を持っているようです。
防塵防滴性能の高さが、実際に過酷な環境下で使用したプロカメラマンの声として届いているようなので、かなりのハイレベルと思って良さそうです。
FUJIFILMと言えば、シャッターダイヤルやISO感度ダイヤルが独立している、分かりやすいオペレーションが特徴のひとつです。しかし、X-H2S、X-H2では、一般的なモードダイヤルが採用されています。
コマンドダイヤルをメインにカメラの操作を行うモードダイヤルは、慣れればスピーディーにカメラを操作出来る事や、他メーカーからFUJIFILMに乗り換えた際も、操作に共通点が多く、多くのカメラを操作した経験のあるプロカメラマンにも馴染みやすいでしょう。
メディアスロットはCFexpress Type BカードとSDカードに対応したデュアルスロットを採用、ストラップ金具が固定式になったり、フォーカスの切り替えレバーがより堅牢で防水性の高いボタン式になったりと、プロ機としての信頼性を重視したデザインとなっています。
高解像モデルX-H2の特徴は、昨日のX Summitでは詳しく発表されませんでした。
しかし、APS-Cミラーレスカメラの中で最高クラスとなる、新開発の4000万画素 X-Trans CMOS 5 HRセンサーが搭載された、高い解像力を持ったモデルとなるようです。
ボディ筐体はほぼX-H2Sと同じデザインのようなので、高い操作性や防塵防滴性能を持つとともに、2モデルを並行して使う際にも混乱がなさそうです。
X-H2はフルサイズ機でも高画素に位置する4000万画素X-Trans CMOS 5 HRを搭載する事で、名実ともにフルサイズ機に肩を並べるAPS-Cミラーレスカメラとなる楽しみなモデルと言えそうです。
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X-H2Sは最大で6.2K/30p、4Kでは120pのハイフレームレート撮影に対応、動画カメラとしても非常に高いレベルにあります。
新規搭載されたF-Log2は、14+ストップと広いダイナミックレンジを持っており、業界標準となる4:2:2 10bitやProResでの内部記録も可能なので、プロのニーズに十分以上にマッチした高画質での動画記録が可能と言えるでしょう。
X-H2Sのユニークな機能に、4Kなどの大サイズでの長時間撮影時に発生する熱問題を解決する、冷却ファンが外付け出来る事があります。
省電力での撮影が可能なX-H2Sは、4Kでもある程度の長時間撮影が可能ですが、4:2:2 10bitやProResなど、より重たいデータの扱いでは電動ファンの存在は大きなメリットです。内蔵せずに外付けとする事で、カメラのコンパクト化が達成されるので、合理的な仕組みだと言えるでしょう。
バリアングルモニターにケーブル類が干渉しないよう各インターフェースが配置されているなど、動画撮影の利便性を高めるデザインとなっています。
動画撮影用に手ぶれ補正がより強力になりました。
X-T4に搭載されて好評だった「ブレ防止モードブースト」がより強力になり、三脚無しでもカメラを固定して撮影しているような安定した映像が撮影できます。
又、従来のカメラではパーンするような、ボディを大きく動かす撮影ではボディ内手ぶれ補正がカクつく事もありましたが、X-H2Sでは大きく改善しているようです。
X-H2Sの高速さを活かす高性能な超望遠ズームレンズ、XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WRが併せて発表されました。35mm判換算で900mmまでの望遠ズームレンズは、テレコンバーターに対応しており、スーパーEDレンズ4枚/EDレンズ3枚を使用し色収差を効果的に補正した高性能レンズです。
AF駆動にはリニアモーターを使用しており、高速なX-H2Sとの相性も抜群と言えるでしょう。
テレコンバーターが使用できるので、超望遠が必要なあらゆるシチュエーションにこれ1本で対応できそうです。
XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WRの最大の特徴は望遠ズームレンズとしては驚異的に軽量な約1.6kgという重量でしょう。
外装にはプラスチックを、内部にはマグネシウム合金を使用する事で、驚くほどの軽量化を達成しています。
インナーズームを採用しており、ズームしても全長が変わらなず操作性に優れている点もXF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WRの大きなメリットです。
XF18-120mmF4 LM PZ WRは動画向きの高倍率ズームレンズです。
F4という比較的明るいF値をズーム全域で使える上、電動ズームにより一定スピードでのズーミングが可能な事など、動画を撮影する際の使用感に配慮した設計となっています。
フォーカス時の画角の変化「ブリージング」が殆ど起きない設計となっている事も、本格的な動画撮影用レンズとして大きなメリットと言えるでしょう。
同じAPS-Cミラーレスカメラで、同じくプロをターゲットにデザインされたカメラと言えば、発表されたばかりのCanon EOS R7で、X-H2、H2Sの強力なライバルです。
3300万画素センサーと電子シャッター30コマ/秒の高速連写で、1台で幅広いシチュエーションをこなせるCanon EOS R7に対し、高速さではX-H2Sが、高精細さではX-H2がそれぞれ上回る事がFUJIFILMを選択する要因となるでしょう。ローリングシャッター歪みがほとんど出ない事もX-H2Sの大きなアドバンテージです。
又、XマウントにはAPS-Cサイズセンサー用のコンパクトで高性能な多彩なレンズが用意されており、これはAPS-Cミラーレス専用マウントの大きなメリットと言えるでしょう。逆にEOS R7は、フルサイズとの併用が可能な事がメリットです。
フルサイズ機と真っ向勝負するフラッグシップ機であるという点において、OLYMPUS/OM SYSTEM(オリンパス/オーエムシステム)のOM-1は、X-H2、H2Sの真のライバルと言えるかもしれません。レンズまで含めたコンパクトなシステムである点も、立ち位置が被るカメラです。
既に高速、高性能で定評のあるOM-1のオートフォーカスや被写体認識に、FUJIFILM X-H2Sがどこまで肉薄出来るかがポイントとなるでしょう。
新しく発表された超望遠ズームの性能如何によっては、OM-1の牙城を崩すキラーカメラとなる可能性もあります。
良くも悪くもアマチュアイズムに溢れたFUJIFILMの中にあって、プロカメラマン向けに振り切ったX-H2、H2Sの2機種は異色とも言える存在です。
逆に言えば、FUJIFILMがやや苦手として来た高いレベルの高速性に挑戦した機種とも言え、高速と高画素の2モデルというデジタルカメラ創成期にあったようなラインナップをとった事も、FUJIFILMがAPS-Cサイズセンサー専用マウントであるXマウントのメリットや限界を知り尽くした上で、フラッグシップ機に本気で取り組んだ結果な気がします。
高速性能とフィルムシミュレーションが両方とも活きる被写体、例えば野鳥などには、X-H2Sがバッチリはまるのではないでしょうか。
X-H2S、X-H2の登場により、FUJIFILM Xマウントがシステムとして完成の域に達したと感じます。Xマウントにプロレベルのカメラが加わった事で、システムとしてカバーできないジャンルが無くなったと言えるでしょう。
例えば、将来的に本格的に野生動物の撮影に取り組みたいと相談を受けても、おすすめするブランドの中からFUJIFILMを外す必要が無くなりました。
勿論、今のFUJIFILMでも野鳥や野生動物の撮影は出来ますが、それを専門に撮るならもっといいカメラがある、と言う必要が無くなった、そんなイメージです。
・FUJIFILMのフラッグシップ機は、高速モデルのX-H2S、高画素モデルのX-H2の2機種がラインナップ
・X-H2SはFUJIFILMとして初めて2616万画素の裏面照射積層型センサーを搭載した高速モデル
・X-H2はAPS-Cミラーレスではクラス最高の4000万画素の高画素センサー
・高速、高性能になったオートフォーカスは、FUJIFILMとしては初めて被写体認識を搭載
・6.2K/30p、4K/120p撮影など、動画でも高い性能を発揮
・軽量で高性能な超望遠ズーム、動画向きの高倍率ズームの2本の新レンズが併せて発表
カメラ選びの参考にしていただければ幸いです。
フジヤカメラでは、FUJIFILM ミラーレスカメラの中古商品を多数取り揃えております。在庫は日々更新されますのでどうぞこちらからご確認下さい。
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