Voigtlander (フォクトレンダー) HELIAR 40mm F2.8 Aspherical VM の実写レビューです。
クラシカルなデザインと、滑らかで心地よい操作を楽しめる高い質感、はっきりと周辺光量が落ちる癖のある写り方は現代によみがえったオールドレンズのようですが、絞り込む事で高画素のデジタルカメラにも対応する解像感も併せ持っており高性能なフルサイズミラーレスでも安心して使えます。
スナップに最適なコンパクトなレンズを、オールドレンズを使うミラーレスカメラとして定評のあるSIGMA(シグマ) fpに装着、実際に撮影した実写レビューを中心にご紹介します。
特徴/操作性
伝統のヘリアー構成を現代的にアレンジ
撮影しない時でも動かしたくなる操作感
中心部は高い解像感を持つのでピント合わせは慎重に
実写レビュー
開放からシャープな現代的な描写
絞りで周辺光量をコントロール
スナップ撮影で扱いやすい画角
夜のスナップも軽快に
画質
解像感
逆光性能
フリンジ
おすすめのユーザー
まとめ
Voigtlander (フォクトレンダー) HELIAR 40mm F2.8 Aspherical VM は、1900年に設計された、3群5枚の「ヘリアー」構成を現代のデジタルカメラ向けに、非球面レンズを取り入れてアレンジしたレンズです。
ベースモデルは、2014年に発売されたクローズフォーカスアダプターを使うソニーEマウント向けレンズ「HELIAR 40mm F2.8」で、同レンズにヘリコイドを内蔵の上、Mマウント用に光学系を最適化したモデルとなります。
Mマウント用の他にL39スクリューマウント用も同時にラインナップされ、カラーもシルバー、ブラックから選べるので撮影者の好みや手持ちのカメラやマウントアダプターに幅広く対応出来るようになりました。
Voigtlander (フォクトレンダー) レンズの特徴にレンズの質感や操作感の良さが挙げられます。
写真、カメラ好きは撮影しない時でもなんとなくヘリコイドや絞りリングを動かしてしまうものですが、HELIAR 40mm F2.8 Aspherical VM の操作感はヘリコイドや無限遠のロックなどを手のひらで味わっているだけで楽しくなる良好なものです。金属製の鏡筒は、クロームメッキされたシルバーも、黒色塗装が施されたブラックも高い質感を持ち、眺めているだけで楽しくなります。
付属している専用フードと被せキャップは、装着した際にレンズ全体で違和感無くデザインを楽しめる仕様です。
クラシックな外観のレンズですが、開放でも画面中心部は高い解像感を持つので、ピント合わせは拡大表示を利用して慎重に合わせる事をおすすめします。
ピントを正確に合わせてこそ、レンズ性能の高さと周辺部に向かって柔らかく落ちる描写性能を作画に活かせるというものです。
なによりゆっくりとマニュアルフォーカスでピント合わせを楽しむのも、フォクトレンダーのレンズの楽しみ方のひとつなのですから。
フィルター径: | φ34mm | 最短撮影距離: | 0.7m |
---|---|---|---|
最小絞り: | F22 | 絞り羽根: | 10 枚 |
マウント: | VM /Lマウント | 長さ: | 21.2mm |
重量: | 131g |
フジヤカメラでは、Voigtlander (フォクトレンダー) レンジファインダー用レンズの中古商品を多数取り揃えております。在庫は日々更新されますのでどうぞこちらからご確認下さい。
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テストボディにはコンパクトでデザイン性にも優れ、クラシックなレンズとも相性がいいSIGMA(シグマ) fpを選択しました。
マウントアダプターには焦点工房の製品を使用、この組み合わせならまるでレンジファインダーカメラを使っているようなミニマムな撮影が可能です。
カラーモードはスタンダード、ホワイトバランスはAWBに設定しています。
ピントの合った部分、特に画面中心部は現代的なシャープで高い解像感を持っています。
レンズ構成は伝統的な3群5枚のヘリアー構成ながら、非球面レンズが使われている事と、現代の高い工作精度が活きているのかもしれません。
開放F2.8という事で標準レンズとしてはボケの大きさに少し不満が残るものの美しいボケ味だと思います。
開放では周辺部の描写がやや落ちますが、それ以上に目立つのが周辺光量落ちです。
しかし、作例3のように絞り込む事で周辺光量落ち、画質ともに大幅に改善されるので、基本性能は高いレベルにあるものの、絞りでレンズの特性をコントロールするオールドレンズのような扱いが必要になります。
オールドレンズとの違いは、絞り込んだ際の性能のピークが同社のアポランターを彷彿とさせる非常に高いレベルにあるという事で、レンズ性能の二面性を、選択する絞りによって楽しみながら作画に活かしたいところです。
50mmよりもやや広い40mmは、近年人気の高まっている焦点距離です。
スナップなど普段からカメラとレンズを持ち歩いて気軽に写真を楽しむユーザーが増えた事から、標準~広角の画角が人気となり、ほんの少しの画角の違いにもこだわりを持って選びたいというユーザーが増えたからかもしれません。
いずれにしても自分にベストな画角を、細かく刻まれた焦点距離の単焦点レンズから選べるのはありがたい事です。
使っていて少し気になった点は、ヘリコイドを操作すると一体化された絞りリングが一緒に回ってしまう事です。
クラシックなデザインを優先している為仕方のない部分で、私は一度無限遠の位置でロックさせてから絞りを先に決めて、その上でピント位置を決めるようにしました(テスト撮影なので同じ構図で絞りを変える必要が頻繁にあるのには少し困りましたが(笑))。
そんなちょっとした作法を身に着ける事でよりレンズに愛着が持てる、と前向きに捉える事にしました。
SIGMA fpにはボディ内手ぶれ補正が内蔵されていませんが、F2.8の明るさを使えばナイトスナップにも十分使えます。
夜間の撮影では開放でのハレーションなど、細かなレンズの欠点がより誇張されるので、オールドな雰囲気は夜の方が活きるかもしれません。
開放では周辺部に口径食が発生しますが、シンプルなレンズ設計の為か素直なレモン型なので、あまり気にならないでしょう。
作例5を拡大して解像感を見てみます。
画面四隅を除けば、開放でも高い解像感があります。
四隅ではやや眠さが目立つようになりますが、絞る事で改善するので、全般的に高い解像感を持った使い易いレンズと言えるでしょう。逆に解像感の面では眠いオールドレンズのような写りを期待すると裏切られてしまうかもしれません。
fp Lのような高画素機でも工夫次第で十分使える高性能レンズと言えそうです。
わざと画面内に太陽を入れてみましたが、ゴーストやフレアの発生はありませんでした。
高性能なマルチコーディングと鏡筒の内面反射処理の恩恵によるものでしょう。
こういった部分も現代的なレンズに近いと言えます。
フリンジの発生について、作例6を拡大して確認してみます。
HELIAR 40mm F2.8 Aspherical VM はMマウントのレンズなのでボディ内補正に対応しておらず、色収差由来と思われるフリンジが発生しています。
とは言え、発生の度合いが酷いという程ではないので、後処理である程度除去する事が可能でしょう。
カラーではマイナス要素として扱われるフリンジですが、モノクロにした場合、味として評価されるケースもあるので、上手く付き合いたいところです。
クラシックなデザインと高い質感、滑らかな操作性は持っているだけで楽しくなるレンズです。
現代的な高い解像感や逆光耐性を持ちながら、大きく落ちる周辺光量など、表現を楽しくするレトロな描写を併せ持っているので、フルサイズミラーレスでこだわって作画する中級~上級者におすすめのレンズと言えるでしょう。
モノクロとの相性も良さそうなので、フィルムライクな写りをデジタルでつくりたいユーザーにもおすすめです。
・クラシックな設計ですが非球面レンズを使用し高い解像力を持ちます
・コンパクトなデザインと使い易い画角でスナップに最適です
・明暗差の大きい部分にはフリンジが発生します
・高い質感と滑らかな操作感を持ったレンズです
レンズ選びの参考にしていただければ幸いです。
フジヤカメラでは、Voigtlander (フォクトレンダー) レンジファインダー用レンズの中古商品を多数取り揃えております。在庫は日々更新されますのでどうぞこちらからご確認下さい。
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