Nikon(ニコン)一眼レフカメラ用の広角レンズAF-S NIKKOR 28mm f/1.8Gの実写レビューです。
2014年5月に発売されたAF-S NIKKOR 28mm f/1.8Gは、フルサイズセンサー対応（FXフォーマット）の広角レンズです。同社の開放F1.8のレンズラインナップは、設計が新しい事もあり、画質的に優秀なものが多くこのレンズも高性能なレンズです。
今回は一眼レフ用の広角レンズとしては比較的コンパクトなAF-S NIKKOR 28mm f/1.8Gの、性能や使い勝手を実写レビューを中心に紹介したいと思います。
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Nikon(ニコン) AF-S NIKKOR 28mm f/1.8G
特徴/操作性
Nikon(ニコン)にはAF-S NIKKOR 28mm f/1.4E EDという大口径レンズもありますが、AF-S NIKKOR 28mm f/1.8Gのメリットは、比較的軽量コンパクトだという事です。
28mm f/1.4の重量が645gなのに対して、AF-S NIKKOR 28mm f/1.8Gの重量は330gとおよそ半分で、この軽さが長時間歩き回るスナップ撮影などで有利に働きそうです。
又、開放f1.8の単焦点レンズというと、F1.4のレンズの下位モデルで性能的にも劣ると考えられがちですが、AF-S NIKKOR 28mm f/1.8Gについて言えば、ナノクリスタルコートの採用などにより上位モデルに迫る高性能レンズとなっています。
AF-S NIKKOR 28mm f/1.8GにはVR（手ぶれ補正）は搭載されておらず、操作部はMFリングとA/M切替スイッチのみとシンプルです。
AF駆動にはSWM（超音波モーター）が採用されており高速、高精度です。動作音も最近のミラーレス用レンズの無音に近いものと比べるとややノイジーですが、それでも小さくスムーズで、余程静かな場所で無い限り気になる事は無いでしょう。
一眼レフ用のレンズとしては比較的新しい設計である事の恩恵を各所に感じます。
外装はプラスチックで、剛性はあるものの価格を考えるとややチープな印象です。しかし、VRが無い事も含めて、それらが軽量化に寄与しているとも言えるので、これはトレードオフの関係と言えるでしょう。
全体的に押さえるべき部分を押さえた、Nikon(ニコン)らしい基本に忠実なつくりだと思います。
| フィルター径 |
67mm |
| 最短撮影距離 |
0.25m |
| 最小絞り |
F16 |
| 絞り羽根 |
7枚（円形絞り） |
| 長さ |
80.5mm |
| 重量 |
約330g |
実写レビュー
軽量コンパクトさを活かして、気軽なスナップを楽しみました。
テストボディは、Nikon(ニコン)D750、ピクチャーコントロールはスタンダード、ホワイトバランスはAUTO、ヴィネットコントロールや自動歪み補正は全てOFFに設定しています。
作例1：F1.8 1/4000 ISO100
今回は上野駅周辺でフォト散歩のつもりで、駅に到着して撮った最初のカットです。
絞り開放で、少しアンダー目に露出を設定した為か、強めに出た周辺減光が目立つ写真となりました。思っていたよりも周辺減光がかなり強かったので驚きましたが、個人的にはこういうレンズが嫌いではありません。
開放から少し絞ってあげるだけで改善されるので、嫌な場合はF2.8くらいまで絞るか、ヴィネットコントロールをONにする事で改善します。しかし、あえてOFFにする事で中央を目立たせるのも、表現としては面白いかもしれません。
作例2：F2.8 1/640 ISO100
駅を出てそぞろ歩いていると、金属で出来た風鈴のようなオブジェが目を引きました。
シャープな金属の質感がうまく描写できるか、Nikon(ニコン)AF-S NIKKOR 28mm f/1.8Gの描写性能を確認するつもりでシャッターを切りました。
開放から1絞り半、F2.8まで絞ると開放時以上にピントが一気に鋭くなり、金属の冷たい質感が写し取れました。周辺減光も大幅に改善して、周辺までシャープな高性能レンズらしい写りです。
作例3：F11 1/200 ISO100
F5.6～11辺りまで絞ると周辺光量がほぼ完全に均一となり、解像力もさらに向上します。
上記写真はF11まで絞っていますが、これ以上絞ると回折の影響で解像度が低下してきます。デジタルカメラは回折現象の影響を受けやすいので、絞った際の最も美味しい部分を把握しているのは重要です。
AF-S NIKKOR 28mm f/1.8GはどうやらF5.6～11あたりが最も描写性能が高い美味しい部分のようです。
作例4：F1.8 1/2500 ISO100
奥行き感を出したくて手前の薬屋さんの行燈にピントを合わせています。
開放でも十分な解像力とコントラストがありシャープなレンズです。それでいてボケの立ち上がり方もなだらかでソフトなので、ポートレート撮影等にも良さそうです。
彩度も高く抜けのいい気持ちのいい描写だと思います。
作例5：F4 1/500 ISO100
一眼レフ用の広角レンズらしく樽型の歪曲収差が発生します。
酷いという程ではありませんが、被写体によっては気になるので、必要なら自動ゆがみ補正を使って補正する方がいいでしょう。
作例6：F1.8 1/3200 ISO100
最短付近の描写も良好で、金網の様なごちゃごちゃとした背景でも美しいボケ味です。広角レンズは写る範囲が広い分、構図が散漫になりやすいですが、近接もそつなくこなすレンズは、明るいF値と併せてピントを使って構図を整理する事も可能です。
そんな時ボケが綺麗な事は一つの武器で、前ボケも汚くならず前後でボケ方が大きく違うようなことも無いAF-S NIKKOR 28mm f/1.8Gは、使い易いレンズと言えるでしょう。
作例7：F8 1/1250 ISO100
太陽をもろに画面内に入れてもゴーストはおろかフレアも出ないのはさすがナノクリスタルコートと言うべきでしょうか。
Nikon(ニコン)が誇る最高性能のコーティングに舌を巻きつつ、全く出ないというのはそれはそれで可愛げが無いと思ったりしてしまいます。
決して高級レンズと言える価格帯の製品ではありませんが、レベルとしてはそれに準ずる性能を持っているNikon(ニコン)のレンズが、少し小憎らしくなる程でした。
画質
ミドルグレードのレンズですが、高級レンズに匹敵する良好な描写です。拡大して解像感を見てみます。
枠内を拡大
中心部の描写とは言え、かなり細かい部分まで写っていてシャープです。
開放F1.8での作例ですが、細かい部分のボケも綺麗でF1.8を積極的に活かして撮りたくなるレンズです。明暗差のある部分に若干フリンジがのっているのが惜しいところですが、後処理で修正出来るレベルだと思います。
まとめ
上野らしい写真がほぼ無かった事はさておき、開放と絞った状態での描写の変化も周辺減光がある程度で少なく、高級タイプのレンズではありませんが、それに準ずる高い描写性能を持っていると感じました。
AF速度・精度も良好、逆光耐性も非常に優秀で言う事はありません。
Nikon(ニコン) AF-S NIKKOR 28mm f/1.8G の性能は、FTZアダプターを介して、より高い性能が求められるZシリーズのカメラにも対応出来るレベルにあると思います。全長は長くなりますがレンズが軽量な為バランスも良く、一眼レフ・ミラーレスどちらに装着しても使い易いレンズではないでしょうか。
今回は、レンズの発売年を考えてD750をテスト機に選びましたが、よりシビアな描写を求められるZ7などの高画素機で試したくなる、高性能なレンズだと感じました。
Nikon(ニコン) AF-S NIKKOR 28mm f/1.8G
Photo ＆ Text by フジヤカメラ 田中
