FUJIFILM(フジフイルム)フジノンレンズ XF50mmF2 R WR の実写レビューです。
フジフイルムXマウント用の中望遠レンズは、35mm判換算で約76mm相当となります。一般的な中望遠レンズの85mmよりも少し広めの画角となり、おかげでポートレートからスナップまで幅広く対応しやすいレンズです。
今回はXマウントのコンパクトな中望遠レンズの特徴、操作性、画質などを実写レビューを中心にご紹介します。
特長/操作性
コンパクトで高級感のある質感
防塵・防滴・-10℃の耐低温構造のタフネス性能
素早く俊敏なAF
実写レビュー
コントラストの高いメリハリのある描写
適度な画角と圧縮効果でシンプルで印象的な構図に出来る
絞りや撮影距離を問わず高い解像力を発揮
画質
まとめ
FUJIFILM(フジフイルム)フジノンレンズ XF50mmF2 R WRの最大の特徴はやはりその大きさでしょう。手のひらに十分収まる程の小ささと軽さなので、Xマウントの小型なボディとのマッチングも良好です。
外装は全面的に金属が用いられ、シンプルなデザインながら高級感があります。フォーカスリングの滑らかさ、絞りリングのクリック感も心地良く、撮影しない時でも動かしたくなりました。
専用設計の丸型フードが付属しており、こちらはプラスチック製ですが、コンパクトな本体デザインを損なわず遮光効果も高そうです。
品名に「WR(WEATHER RESISTANT)」の表記があるように防塵・防滴・-10℃の耐低温構造のタフネス性能を有しています。
可動部分などに施された10か所のシーリングが、レンズ内にホコリや水滴が入るのを防止、小雨やホコリの舞う環境下でも安心して使用出来ます。
今回撮った作例の中には、雨の中撮影したカットもありますが、信頼できるタフネス性能のおかげで、同じく防塵・防滴構造のボディ共々、雨を気にする事無く撮影に集中する事が出来ました。
オートフォーカスは高速で静粛です。
秘密は、インナーフォーカス方式を使って、軽量なフォーカスレンズを静粛性と制御性に優れるステッピングモーターで駆動している事で、ピントの薄い明るい中望遠レンズを快適に使う事が出来ました。
レンズ構成はED非球面レンズ1枚を含む7群9枚構成で、諸収差を良好に補正してあります。
フィルター径 | 46mm |
---|---|
最短撮影距離/最大撮影倍率 | 39cm/0.15倍 |
最小絞り | F16 |
絞り羽根 | 9枚(円形絞り) |
長さ | 59.4mm |
重量 | 200g |
フジヤカメラでは、FUJIFILM(フジフイルム)Xマウントレンズの中古商品を多数取り揃えております。在庫は日々更新されますのでどうぞこちらからご確認下さい。
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テストボディはX-T4、フィルムシミュレーションはデフォルトのSTD(PROVIA)を基本としつつ、今回は被写体や気分に応じて変更してみました。
共通設定としてホワイトバランスはAWB、その他画質に関わる設定は全て初期設定のままとしています。
生憎の雨模様でしたが、街中を散策しながらスナップ撮影しました。
美しい色合いとメリハリのある画作りはさすがFUJIFILM(フジフイルム)といったところでしょう。
雨天のコントラストの低い光線状態は、画が眠くなりがちな状況ですが、開放から1段少し絞っただけでシャープな鋭さが出せました。
光の条件によってフィルムシミュレーションを切り替え、コントラストを調整出来切るのもFUJIFILMの強みです。メリハリのある写真を撮る為に、ポジフィルムのシミュレーションを選択したのは正解だったと思います。
レトロ感を引き出す為にフィルムシミュレーションは「クラシックネガ」を選択しました。先ほどとは反対に、コントラストの低い光線状態を逆手に取って、少し眠い古い写真のような効果を狙ってみました。
人間が一点を注視した時の見え方に近いと言われ、一部分を切り取る印象的な構図を得意とする中望遠レンズなので、コントラストの低い描写でも寝ぼけた写真にはなりません。
勿論、レンズの基本性能が優れているからという事が前提となりますが、FUJIFILM(フジフイルム)フジノンレンズ XF50mmF2 R WR はそういった意味で心配は不要でしょう。
35mm判換算で約76mm相当の画角となる中望遠レンズは、自然な圧縮効果と適度に狭い画角で、構図を整えやすい焦点距離だと思います。
85mmよりも微妙に広い画角と標準レンズには無い圧縮効果に、他には無い心地よさでフレーミング出来ると感じました。最近は標準レンズに50mmでは無く40mmを使うのが流行りのようですが、このほんの少しの違いを楽しむのも、写真やレンズ選びの魅力の一つと言えるのではないでしょうか。
作例3でも、押しくらまんじゅうをするかのような建物や船のごちゃごちゃ感を、標準レンズでは難しい圧縮効果を使って表現出来ました。
水溜まりに反射する道路標識をドラマチックに切り取る為に、フィルムシミュレーションをETERNAブリーチバイパスにセットしてシャッターを切りました。
日常的な光景ですが、雨で色の無い情景が引き立って、印象的な写真になったと思います。FUJIFILM(フジフイルム)フジノンレンズ XF50mmF2 R WR の自然な遠近感と標準レンズよりも遠くから撮れる画角が、街中のこんなシーンを切り取っていくのにバッチリはまりました。
開放近辺だとわずかに周辺光量落ちが見られますが、このレンズの良さを活かすなら、むしろプラスに働く特長と言えるのではないでしょうか。
戦前からあるという建物を、モノクロのフィルムシミュレーション「ACROS」に設定して撮影しました。
レンズ性能の良さと併せて質感をより引き出せたと思います。
フィルムシミュレーションでの画作りが、高いレンズ性能と合わさる事で、FUJIFILM(フジフイルム)ならではの評価の高い独特な描写が生まれるのを改めて実感できました。
絞りや撮影距離にかかわらず高い解像力を発揮するレンズです。
作例6のような被写体のディテールを重視するような写真でも、解像感に不満が出る事はありませんでした。FUJIFILMのXマウントカメラは、条件によってはAPS-Cサイズセンサーでフルサイズ並みの画質が出ていると感じる事がありますが、XF50mmF2 R WRはそういったカメラの性能を十分以上に活かせていると思います。
細かいパターンと葉の色をリアル以上に強調したかったので、フィルムシミュレーションにVelviaを選択したのも正解でした。
質感の描写にも優れたレンズです。
剥がれかけた塗装を剥がそうとしたら乾いたパキッという音がする。そういったイメージが写真から伝わって来るような、シャープで立体感のあるリアルな描写を見せてくれました。
フィルムシミュレーションに落ち着いたカラーバランスのクラシッククロームを選択したのも、重さの伝わる写真になった要因の一つかもしれません。
最短撮影距離は39cmと、中望遠の単焦点レンズとしては比較的近くまで寄れるレンズです。
とは言えマクロと言えるほどの撮影倍率は持っていないので、あくまで近くまで寄れるレンズ程度に考えておくのが正解でしょう。
柔らかく美しいボケ味なので、最短付近でシンプルで抽象的な構図にトライするのも面白いのではないでしょうか。
絞りや撮影距離を問わず高い解像力があり、高性能なレンズです。
作例4を拡大して画質を見てみましょう。
カメラ側に設定メニューが無いので、常時自動的に補正がかかっていると思われますが、歪みは感じられず均一に整った性能を持っていると言えそうです。
FUJIFILM(フジフイルム)フジノンレンズ XF50mmF2 R WR は、小型軽量、タフネス、高い解像力を持った、バランスのいいレンズだと思いました。
柔らかく美しいボケ味と開放F2の適度な被写界深度は、気負う事無く使える気軽な中望遠レンズという印象です。開放F2という事で被写体との距離によってはボケの大きさに不満が残る事が無い訳ではありませんので、より大きなボケを求めるならF1.0のレンズの購入を検討する方がいいかもしれません。
FUJIFILM(フジフイルム)のレンズラインナップには、同じく開放F2の広角レンズ「XF23mmF2 R WR」と標準レンズ「XF35mmF2 R WR」がありますので、特徴が近いこれら3本を揃えて、コンパクトなシステムで楽しむのも、FUJIFILMカメラのコンパクトさを活かすという意味で、良い組み合わせだと思います。
フジヤカメラでは、FUJIFILM(フジフイルム)Xマウントレンズの中古商品を多数取り揃えております。在庫は日々更新されますのでどうぞこちらからご確認下さい。
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