Panasonic(パナソニック) LUMIX G 14mm/F2.5 ASPH. の実写レビューです。
2010年に発売されたマイクロフォーサーズマウントの広角レンズは、被写界深度の深さを活かして、ピントを気にせずスピーディーに撮影したいストリートスナップなどにピッタリのレンズで、薄くコンパクトなデザインもそんな使い方を後押ししてくれます。
今回はズームレンズとは一味違う常用レンズとして人気の、LUMIX G 14mm/F2.5 ASPH.について実写レビューを中心にご紹介します。
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特徴/操作性
Panasonic(パナソニック) LUMIX G 14mm/F2.5 ASPH.の特徴は、重量約55g、フィルターサイズは46mm、長さは20.5mmと、非常に小型軽量である事です。
いわゆるパンケーキレンズと言われる薄型のデザインは、今回、テストボディに選んだLUMIX GX7 MarkIIIのクラシックなデザインにもぴったりで、持ち歩くのが楽しくなります。
ノーマルな一眼カメラ用レンズは、レンズがカメラから大きく出っ張るのが普通ですが、パンケーキレンズは薄いデザインなので出っ張らず、カメラバックなどへの収まりがいいのもメリットです。
小さいながら、画質に対してもこだわりを持った設計で、5群6枚のレンズの内3枚に非球面レンズが使われており、画面全体での画質の均一性とレンズの小型化に貢献しています。
円形虹彩絞りが採用され、ボケ味に配慮された設計になっているあたりも、比較的廉価な価格のレンズとは思えない、凝った作りと言えるでしょう。
小さいながらも単焦点レンズに期待される画質の良さを、十分意識したレンズだと思います。
フォーカスはインナーフォーカスが採用され、駆動時にもレンズは伸び縮みせずコンパクトなままです。
動作も非常に高速で、静粛性にも優れています。全長の半分近くをMFリングが占め、レンズの大きさの割に指がかりも良く使用感も良好です。
意外な事ですが、マイクロフォーサーズ用の28mm相当の単焦点レンズは本レンズとその後継である同スペックのII型の二本のみな事も、LUMIX G 14mm/F2.5 ASPH.の存在価値の一つと言えるでしょう。
フィルター径 |
46mm |
最短撮影距離/最大撮影倍率 |
0.18m/0.10倍(35mm判換算:0.20倍) |
最小絞り |
F22 |
絞り羽根 |
7枚(円形虹彩絞り) |
長さ |
20.5mm |
重量 |
55g |
実写レビュー
撮影には小型のレンズが似合うパナソニック GX7mkIIIを使用しました。
共通設定としてオートホワイトバランス、カラーはスタンダード、各種補正はOFFにしています。
Panasonic(パナソニック) LUMIX G 14mm/F2.5 ASPH.は、35mm判換算で28mmの広角レンズとなります。
スマホ等の画角に近く、見慣れた、悪く言えばありきたりな画角ですが、撮影後に見返してみると、以外にも纏まりのある写真が撮れていました。最近は単焦点の交換レンズと言えば、より画角が広い24mmの方が人気が高いようで、その画角に慣れた身としては、少し画角の狭い28mmの方が構図をまとめやすかったのかもしれません。
スマホで使い慣れた画角で、スマホ感覚で撮っても、比較すれば大型なマイクロフォーサーズセンサーと、高画質な単焦点レンズの組み合わせで撮った写真は奥行きや立体感が大きく違うと感じました。
焦点距離が短くF値も明るくないレンズは被写界深度が深いので、ボケを大きくしたければ、被写体に近寄ることが必要です。
広角レンズの特徴は被写体に近づいても背景が広く写る事なので、普段以上に撮りたい被写体に使づいて撮るのが、構図をまとめるコツの一つだと思います。
作例でもボケの量が絶対的に足りないようです。それでもせっかくの単焦点レンズです、被写体に思い切り近寄って、ボケた部分とピントの合った部分にメリハリを付けた写真を撮りたくなります。
太陽が画面に入るような逆光線ではフレアが発生します。
大きな特徴の一つが薄くコンパクトなデザインにあるので、無粋なフードなど付けないで楽しみたいレンズですから、いっそフレアの発生を楽しんでみてはいかがでしょうか。特に動画ではカメラの動きに合わせてフレアやゴーストが移動していく様はとても綺麗で、映像表現の一つとなっているくらいです。
ところでこの写真、有名な渋谷のハチ公を撮ったものですが、最近の若い子達は今でもハチ公前で待ち合わせたりするんでしょうか?
オートフォーカスのスピードは速く、咄嗟のピント合わせにもスピーディーに反応してくれました。
被写界深度が深いので分かり辛いですが、走行中のタクシーに一瞬でピントが合っています。マイクロフォーサーズレンズの中では初期のモデルですが、新しいレンズと比較しても遜色無い、高速なAF性能を持っていると言えるでしょう。
今回の撮影ではオートフォーカスの速度、精度に不満を感じる場面はありませんでした。
最短撮影距離は0.18m、最大撮影倍率は0.2倍(35mm判換算)と、近接には比較的強いレンズなので、35mm判換算28mmの画角と併せて、ちょっとしたテーブルフォトにも使い易いと感じました。
炎天下の中の撮影で歩き疲れたので、コンビニのコーヒーで一服しました。
撮影距離によってはボケの質が悪くなるのではと思っていたのですが、最短付近の方が悪くなるどころかやわらかく美しいボケになっているように感じました。
歪曲収差/画質
歪曲収差補正が自動でかかっているようで、直線の多い建物などを撮影しても歪みは感じられませんでした。
ストリートのスナップは、建物の形や素材、映り込みなどを活かした撮影をしたくなり、歪曲収差が気になるロケーションですが、そういった事を気にせず撮れるのは助かります。
次に拡大して解像感を見てみます。
マイクロフォーサーズのレンズはセンサーサイズの影響か、解像力のピークがF5.6付近の物が多いです。
作例もF5.6まで絞った写真ですが、非常にシャープな画となっています。
F8以上に絞ると回折現象の影響か、画質が甘くなって来るので、解像感を優先するならあまり絞り過ぎない方が良いようです。
まとめ
Panasonic(パナソニック) LUMIX G 14mm/F2.5 ASPH. は一見すると特徴のない地味なレンズに見えますが、実は基本的な部分がしっかりと作られた、Panasonic(パナソニック)らしい真面目なレンズです。
コンパクトな事は勿論、性能的にも決して低くないレベルにあり、オートフォーカスのスピードなど使用感も良好で、安心して使えます。35mm判換算で28mmは、画に特徴を持たせづらい難しい画角ですが、その分構図を工夫する余地が広いレンズでもあり、じっくりとファインダーに向き合うにはいい画角だと言えるでしょう。
実はリーズナブルな価格も魅力で、特に中古は格安なのでおすすめです。
Photo & Text by フジヤカメラ 田中