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2021.02.25
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FUJIFILM(富士フイルム) GFX100S 実写レビュー

FUJIFILM(富士フイルム) GFX100S 実写レビュー
FUJIFILM(富士フイルム)の中判ミラーレス一眼カメラGFX100Sの実写レビューです。

約1億200万画素、43.8×32.9mmの大型センサーを採用したGFX100Sは、画質的には最高クラスでありながらおよそ900gと軽量で、機動性に富んだカメラです。価格的にも1億200万画素センサーを採用したモデルとしてはお買い得感があります。

今回は中判デジタルの良さを、比較的手軽に楽しめるFUJIFILM(富士フイルム)GFX100Sを紹介したいと思います。
■この記事の監修

フジヤカメラ店

東京都 中野区のカメラ専門店 フジヤカメラ店です。カメラ、レンズ、三脚、動画機材まで、新品、中古機材を多数取り扱っております。中古在庫は常時3,000点以上!これからカメラを始める方も、ベテラン、プロカメラマンも、機材の事ならフジヤカメラ店にお任せ下さい。

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特徴/操作性


FUJIFILM(富士フイルム) GFX100S + GF50mmF3.5 R LM WR 正面
特徴は何と言っても大型センサーを搭載したカメラとしては、小型、軽量である事です。

FUJIFILM(富士フイルム) GFX100Sの重量は約900gですが、例えばフルサイズミラーレス一眼カメラのPanasonic(パナソニック)S1の重量は約1kg、デジタル一眼レフカメラのPENTAX(ペンタックス)K-1 MarkIIも同じく約1kgである事を考えると、GFX100Sがいかに軽量であるかわかると思います。
FUJIFILM(富士フイルム) GFX100S + GF50mmF3.5 R LM WR 背面
搭載されるセンサーは約1億200万画素、43.8×32.9mmの大型センサーで、専用設計された高性能なフジノンレンズと組み合わせて、最高クラスの画質を作り出します。

さらに、ボディ内に内蔵された最大6.0段の手ぶれ補正機能が、扱いの難しい大型センサー、高画素のカメラを身近なものにしてくれます。

大型センサーのカメラはレンズの焦点距離が、同じ画角ならフルサイズセンサーのカメラより長くなるので、手ぶれの危険が増しますから中判デジタルこそ強力な手ぶれ補正が必要になるのです。
FUJIFILM(富士フイルム) GFX100S センサー
実は、今回初めてFUJIFILM(富士フイルム)のGFXシリーズのカメラを使いました。

メニューや操作についても同社のXマウントのカメラと共通な部分が多く、ジョイスティックやタッチパネルの使い勝手もいいので、大型センサーのカメラを使っているという事はあまり意識せずに使えました。

カメラがコンパクトでボタンやレバーへの指がかりがいい事も、違和感なく使えた一要因だと思います。

実写レビュー


FUJIFILM(富士フイルム) GFX100S 作例1
作例1:1/85 f11 ISO125 露出補正-0.3
フィルム時代のイメージで、中判と言えば風景写真と思い、GF110mmF2 R LM WRを装着したGFX100Sを持って、先ずは風景の作例を撮りに出かけました。

Velviaはフィルム時代には風景写真で使う定番のフィルムの銘柄で、鮮やかな発色と高いコントラストで実物以上に印象的に風景を写しとめてくれます。

APS-CサイズセンサーのXマウントのカメラで何度も使ったフィルムシミュレーションのはずですが、より高いコントラストと細かな諧調の再現性は1億画素のGFX100Sならではの描写に感じます。
FUJIFILM(富士フイルム) GFX100S 作例2
作例2:1/85 f16 ISO1000 露出補正-1.7
レンズは、FUJIFILM(富士フイルム)フジノンレンズ GF110mmF2 R LM WRを使用しました。

ズームレンズを使わなかったのは、レンズ性能の高い単焦点レンズの方がテスト撮影には相応しいと思ったのと、1億画素もあれば多少のトリミングは問題ないだろうと考えたからです。

今回作例として出した写真は全てノートリミングですが、画像サイズは11648×8736ピクセルもあるので、フレーミングを整える程度のトリミングには画質を落とす事無く十分に耐えると思います。
FUJIFILM(富士フイルム) GFX100S 作例3
作例3:1/100 f9 ISO100 露出補正+1.3
個人的感想ですが、67判かそれ以上のシャープネス、コントラスト、諧調、発色だと感じます。

デジタルカメラは全般的にコントラスが高く光の条件が悪くてもシャープに撮れますが、そこからさらに一段シャープにした感じです。

それでいて900gしかない軽量なボディと強力な手振れ補正のお陰で撮影はアクティブにすすめられます。フィルム時代風景写真家に人気だったPENTAX 645NIIのボディ重量は1.3kg弱、手ぶれ補正も無くISO感度50のVelviaを装填して撮るには三脚は必須だった事を考えると、いい時代になったと思います。
FUJIFILM(富士フイルム) GFX100S 作例4
作例4:1/85 f5.6 ISO400 露出補正±0
空気感を写し撮れるほどの高画質さは、レンズ性能の良さも要因の一つのようです。

フルサイズセンサーと比較して、同じ画角なら焦点距離が長くなる大型センサーなのと、ある程度ピントが欲しい風景写真という事で、開放は避けて少し絞って使う事が多かったのですが、非常にシャープで高性能なレンズです。

天候に恵まれた事と、手ぶれ補正のお陰でISO感度を低く抑えられているのもポイントで、ノイズの無い滑らかな画となっています。高画素のカメラを活かし切りたいなら低感度での撮影が必須と言ってよく、条件によっては三脚を用意したいところです。
FUJIFILM(富士フイルム) GFX100S 作例5
作例5:1/1250 f2.5 ISO100 露出補正±0
今回のテスト撮影は川沿いの遊歩道を歩きながら行いました。

冬の河原にはあまり見るべきものも無く、FUJIFILM(富士フイルム) GFX100Sの目で見た以上のシャープネスとVelviaの鮮やかな発色にだいぶ助けられました。

又、GF110mmF2 R LM WRは、ある程度絞っても背景ボケが綺麗で、さすが大型センサー専用に開発されているだけの事はあります。
FUJIFILM(富士フイルム) GFX100S 作例6
作例6:1/950 f2.2 ISO100 露出補正-0.3
近接撮影も、ボディ内手ぶれ補正のお陰で比較的気軽に楽しめます。

今回用意したレンズはマクロレンズではありませんが、近接でのボケも大きく綺麗で最短撮影距離でのシャープネスも素晴らしいものでした。なにより、ティルト液晶を使って撮れるので中判で撮っているという感覚はありません。

初めてFUJIFILM(富士フイルム)の大型センサーカメラを使って、被写体が風景という事もありついフィルムの中判カメラと比べてしまいましたが、実際はフルサイズミラーレスと比較するのが正当な非常に機動力の高いカメラです。

ノスタルジックネガ


GFX100Sから搭載された、新しいフィルムシミュレーション「ノスタルジックネガ」を試しました。

アメリカンニューカラーをイメージしたフィルムシミュレーションという事で、アメリカンな雰囲気の雑貨店などが並び、イメージにぴったりな街並みの、福生の横田基地周辺に向かいました。
FUJIFILM(富士フイルム) GFX100S 作例7
作例7:1/1500 f3.5 ISO100 露出補正±0
FUJIFILM(富士フイルム)GFX100Sの起動性を活かして、1億画素を使った気軽なスナップがしたくて、レンズを小型軽量なFUJIFILM(富士フイルム)フジノンレンズ GF50mmF3.5 R LM WRに代えての撮影です。

広角レンズでF3.5は少し開放F値が暗い気がしますが、GFX100Sは広角でも焦点距離が50mmあるので、背景をボカす事が可能です。

ノスタルジックネガを使い始めて気づいたのは、コントラストを低くする為か少し露出がアンダーに振れる事が多いようで、これがノスタルジックネガの特徴となっているようです。
FUJIFILM(富士フイルム) GFX100S 作例8
作例8:1/480 f3.5 ISO100 露出補正+0.3
ノスタルジックネガの雰囲気を伝える為に、出来るだけ多くの色が入る被写体を探して撮りました。

少しアンダーになる傾向だったので、+0.3露出補正をかけて撮りましたが、逆に少し雰囲気が損なわれたような気もするので、出た目が正解なのかもしれません。例えばETERNAなどは、少し露出補正でオーバーにしても雰囲気が残るので、フィルムシミュレーションも色々試してみないとわからない事があります。
FUJIFILM(富士フイルム) GFX100S 作例9
作例9:1/340 f5.6 ISO100 露出補正±0
このカットは露出補正はかけずに、出た目で撮影しました。白が完全には白くならず、諧調が残った描写となっており、個人的にはこれが本来のノスタルジックネガのカラーなのかな、と思います。

アメリカンニューカラーのイメージに合う被写体を探して撮りましたが、イメージ通りの雰囲気になったと思います。

画質


1億画素のラージフォーマットカメラなので、いつもどおり1部分を等倍で切り出して画質を確認すると良さがわかりずらいと思います。

そこで今回は、フルサイズセンサーの6100万画素機と同じピクセル数までダウンサイジングした上で拡大画像を見ていただきたいと思います。

現行のフルサイズ機の最高クラスの画質と比較しても、大型センサー1億画素の優位性を感じていただけると思います。
FUJIFILM(富士フイルム) GFX100S 作例2拡大枠
枠内を拡大
FUJIFILM(富士フイルム) GFX100S 作例2拡大
細かい枝の一本一本まで解像しており、幹の丸みの諧調も十分以上に再現されていて非常に高画質です。

又、コントラストも非常に高く、眠さが殆ど感じられないシャープな描写は、フィルム時代の大判カメラの画を見ているようで、驚くべきレベルにあると思います。私自身もフルサイズがあれば十分と思っていましたが、やはり上には上があり、一度上を見てしまうとその素晴らしさに気持ちが傾いてしまうものです。

まとめ


実は、はじめて大型センサーのカメラを使ったのですが、気負う事無く気軽に使えるカメラだと感じました。使用感も既に何度も使ったXマウントシステムに近く、違和感なく使えたと思います。

少し違ったのは、レンズの特性が少し絞った方が結果が良いと感じた事で、焦点距離が長くなる分ピントが薄くなる事も考慮して、開放を避けながら撮影しました。

大きなカメラを敬遠していたのと、画素数が必要では無いと感じていた事から大型センサーにあまり興味がありませんでしたが、完全に食わず嫌いでした。実際に使ってみるとフルサイズセンサー以上の空気感や立体感は確かに魅力で、十分以上に納得できるものでした。

初めて使う大型センサーカメラが軽量コンパクトなGFX100Sで良かったと思います。
FUJIFILM(富士フイルム)GFX100S
Photo & Text by フジヤカメラ 北原
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