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2021.01.14
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TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY E 実写レビュー

TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY E 実写レビューキービジュアル

APS-Cサイズセンサーカメラ用の大口径ズームレンズTAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eは、約4.1倍のズーム比を持っていながら全域でF2.8と明るく、オールラウンドな活躍が期待できるレンズです。実写レビューを中心に、性能や操作感、動画での使い勝手を紹介します。


■この記事の監修

フジヤカメラ店

東京都 中野区のカメラ専門店 フジヤカメラ店です。カメラ、レンズ、三脚、動画機材まで、新品、中古機材を多数取り扱っております。中古在庫は常時3,000点以上!これからカメラを始める方も、ベテラン、プロカメラマンも、機材の事ならフジヤカメラ店にお任せ下さい。

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特徴・操作性

17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eの画像

TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eは、4.1倍という高いズーム比を持ちながら全域でF2.8を達成したAPS-Cサイズセンサーカメラ用の非常に汎用性の高いレンズです。

初めてスペックを見た時、同社のフィルム時代の名レンズSP AF 28-105mm F/2.8 LD Aspherical IFを思い出しました。デジタルで言うフルサイズに対応したレンズであるため、こちらは巨大なレンズでしたが、高倍率、大口径、高性能という相容れない理想を並び立たせようとするTAMRONの野心を感じます。

17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eを横から撮影した画像

コンパクトなAPS-Cサイズセンサーのカメラに取り付けると小さくはありませんが、全域で開放F2.8というスペックや、手振れ補正VCを内蔵していることを考えると十分にコンパクトなレンズと言えます。

後述しますが、手ぶれ補正VCが動画向きにチューニングされていることや、引きと寄りを取りやすいズーム倍率などから、1本で便利に使う動画用ズームレンズとしても優秀なスペックです。

17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eを正面から撮影した画像

外観はプラスチックですが、チープな印象はなくしっかりしたつくりです。なによりズームやフォーカスは滑らかで実用的な操作感で、特にズームの動き出しは一気に動いてしまうこともなくゆっくりと正確なフレーミングが可能です。

ズーム比が大きいのでフードは短めですが、しっかりしたバヨネットの花形タイプです。

フィルター径67mm最短撮影距離0.19m(WIDE)/0.39m(TELE)
最大撮影倍率1:4.8(WIDE)/1:5.2(TELE)最小絞りF22
絞り羽根9枚(円形絞り)マウントSONY Eマウント
長さ119.3mm重量525g

実写レビュー

17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eで撮影したのれんの画像
作例1:1/200 f2.8 ISO100 露出補正±0 焦点距離:39mm

風景をスナップする撮影が続いていたので、今回は気分を変えてストリートスナップに出かけました。

まだ開店前の飲み屋さんですが、のれんの鮮やかな赤色に、桜のプリントが目についてレンズを向けました。布の滑らかな質感がしっかり再現されてシャープです。

普段は単焦点レンズを使うことが多い私ですが、思った場所からフレーミングを調整出来るズームはやはり便利で、素早く撮影したい時には重宝します。

17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eで撮影した窓の画像
作例2:1/100 f2.8 ISO100 露出補正±0 焦点距離:65mm

毎日のように様変わりしてしまう街中の風景ですが、ふと見上げると時代を感じる古いものがあったりします。

カメラやレンズでもそうですが、なぜ人はこうも古い物に魅力を感じるのでしょうか?と、最新のレンズを装着したデジタルカメラのシャッターを切りました。

F2.8の薄いピントのおかげで、古臭いどこか魅力的なすりガラスに、自然と視線が向かいます。手前にわざと余計なものを入れたくなるのも、明るいレンズならではです。

17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eで撮影した湖の画像
作例3:1/400 f4.0 ISO100 露出補正±0 焦点距離:70mm

公園の池をカモが一羽泳いでいました。55mmまでのレンズだったら諦めたかもしれませんが、70mmは35mm判換算で105mmの中望遠なので、カモも写真の一部になる大きさで撮影できました。

スナップ程度であれば、最も使う画角が凝縮された17-70mmの焦点距離はとても使いやすく、ボケについてもF2.8だとある程度満足出来るレベルになるので、TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDは、オールラウンドに使いやすいレンズです。

17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eで撮影した紅葉の画像
作例4:1/200 f2.8 ISO100 露出補正±0 焦点距離:51mm

TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDをオールラウンドたらしめる理由のもうひとつの理由は、近接に強いことです。

0.19m(WIDE)/0.39m(TELE)の最短撮影距離は、ズームレンズを使っているのを忘れるくらい、被写体に寄る事を躊躇なく行えるレベルです。勿論マクロレンズの代わりになるレベルにはありませんが、単焦点の標準レンズを超える撮影倍率は、レンズの利便性を大きく高めてくれていると思います。

17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eで撮影したモミジの葉の画像
作例5:1/400 f2.8 ISO100 露出補正±0 焦点距離:28mm

もう真冬ですが、紅葉したモミジの葉がわずかに残っていました。

ズームレンズのメリットに、焦点距離によって背景をどのくらい広く入れるかを調整出来る事があげられます。このカットでは標準より少し広角寄りにズームして、被写体に近寄って撮る事で背景を賑やかに入れるようにしました。

もちろん、F2.8の大きく綺麗なボケが一役買っています。

17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eで撮影したジャズ喫茶の看板の画像
作例6:1/250 f2.8 ISO100 露出補正+0.3 焦点距離:70mm

学生時代によく行ったジャズ喫茶「MEG」がまだありました。

数年前に閉店するといううわさを聞いた気がするので、経営が変わっているのかもしれませんが、懐かしくてカメラを向けていたら、颯爽とした女性が写り込み、少しドラマチックな写真になりました。

当時、吉祥寺にはもう一軒「A&F」というジャズ喫茶があり、こちらもよく行くジャズ喫茶でしたが、やはり10年以上前に閉店してしまい、今は影も形もありません。

17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eで撮影した壁面の絵の画像
作例7:1/60 f5 ISO100 露出補正-0.3 焦点距離:39mm

壁に描かれた画がどうにも魅力的でシャッターを切りました。ガン吹きされた壁の質感やあちこちについた傷や汚れが、画の雰囲気と絶妙にマッチしています。

実は解像力のテスト用に撮ったカットですが、画の雰囲気も味わいがあって好きです。

17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eで撮影した植物の画像
作例8:1/320 f2.8 ISO100 露出補正±0 焦点距離:25mm

シュロの木だと思いますが、冬の光を浴びた幾何学的な形が面白くてシャッターを切りました。

何気ない情景を写すのもストリートスナップの醍醐味です。TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDの、4.1倍のズーム比、全域開放F2.8、高い近接性能は、幅広い表現を可能としてくれて、自然とカット数が増えていました。

動画テスト

17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eを手に取っている画像

TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDの4.1倍のズーム比は、引きと寄りを撮る動画でも使いやすい画角になります。

さらにF2.8の明るさはAPS-Cサイズセンサーの高感度の弱さを補い、滑らかなズームの操作感はちょっとずつ動かすじんわりとしたズームの表現に使えるので、動画用レンズかと思えるくらい、動画撮影と相性のいいレンズです。

17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eを手に取って構えている画像

さらにTAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDの手ぶれ補正VCは、動画撮影時に配慮した補正効果が得られるようチューニングされており、従来より自然な補正効果を得られます。

画質

「ワイドレンジと高画質の両立」という製品コンセプトの通り、TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXDも、他のTAMRON レンズ同様高いレベルの光学性能を持っています。

拡大して描写性能を見てみましょう。

17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eで撮影したのれんの画像
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17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eで撮影したのれんの拡大画像

開放F2.8、焦点距離は約29mmでの描写ですが、解像感、立体感ともに非常に高いレベルにあり、のれんの縫い糸がわかるレベルで細かい部分まで解像しています。コントラストも高く、メリハリのある抜けのいい描写です。

次にF5まで絞ったカットで周辺部の描写を見てみます。

17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eで撮影した壁面の絵の画像
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17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eで撮影した壁面の絵の拡大画像

ガン吹きの細かい凹凸までよく描写されており、周辺部にありがちな画像の流れもほとんど無くシャープです。F2.8の大口径、4.1倍という広いズーム比を持ちながら、単焦点レンズ並みの非常に高い描写性能だと感じました。

【商品情報】TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY E

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TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070) SONY Eバナー画像

まとめ

APS-Cサイズセンサーカメラ用の標準ズームとして、幅広い表現力と高い性能を持った非常に使い易いレンズだと思います。F4クラスの標準ズームのズーム比を持ちながら、全域2.8のF値を持っている上、さらに手ぶれ補正VC搭載となれば、汎用性が高くなるのは当然です。

さらに高い描写性能を持っており、個人的にはα6000シリーズの標準ズームとして決定版と言っていいレンズに感じました。ズームリングの滑らかな操作感や動画向きにチューニングされた手振れ補正VC機能など、動画用としても使い易そうです。
Photo & Text by フジヤカメラ 北原

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