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2024.01.13
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SONY FE 70-200mm F4 Macro G OSS II レビュー × 鹿野貴司|高画素機の能力を存分に引き出す軽量コンパクトな望遠ズームレンズ

SONY FE 70-200mm F4 Macro G OSS II レビュー × 鹿野貴司|高画素機の能力を存分に引き出す軽量コンパクトな望遠ズームレンズキービジュアル


ライター鹿野貴司(しかの・たかし)イメージ
■フォトグラファー紹介

鹿野貴司(しかの・たかし)

鹿野貴司(しかの・たかし)
1974年東京都生まれ。多摩美術大学卒業後、さまざまな職業を経て写真家に。広告や雑誌などを手掛けるかたわら、スナップやドキュメンタリーの作品を精力的に発表している。近年の写真展に「#shibuyacrossing」(ソニーイメージングギャラリー)、「煩悩の欠片を燃やして菩提の山へ走れ」(ナインギャラリー)など。昨年9月には『いい写真を撮る100の方法』(玄光社)を出版。日本写真家協会会員。
Instagram:@shikanotakashi
Twitter:@shikanotakashi

コンパクトな望遠ズームがさらにダイエット

フルサイズミラーレス機をいち早く商品化したソニーは、レンズのラインナップも充実。そして近年は新製品とともに、既存のレンズの改良版も意欲的にリリースしている。今回取り上げる「FE 70-200mm F4 Macro G OSS II」も、名称からわかる通り同じスペックの2代目モデル。発売は2023年7月で、初代は2014年3月に発売されたので、9年ちょっとでのリニューアルというわけだ。

あらゆる場面で小ささ=機動力が生きてくる

コンパクトながら遮光性の高いフードも、鏡筒と同じホワイトに塗装。直射日光を浴びても黒のように熱を持たない。

ソニーα7R V・FE 70-200mm F4 Macro G OSS II・200mmで撮影
絞りF8・1/200秒・ISO500・AWB・JPEGエクストラファイン

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200mmまであれば、街角で見つけた印象的な光景をスパッと切り取ることができる。

ソニーα7R V・FE 70-200mm F4 Macro G OSS II・200mmで撮影
絞りF4・1/250秒・ISO2500・AWB・JPEGエクストラファイン

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小型化の代償で、望遠側+遠景では口径食が少しだけ目立つ。もっともスペックを考えれば“この程度”というのが正直なところ。被写体が近く、ボケも大きくなると目立たなくなる。

ソニーα7R V・FE 70-200mm F4 Macro G OSS II・200mmで撮影
絞りF4・1/320秒・ISO100・AWB・JPEGエクストラファイン

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ボケ味そのものは前後ともになだらかで美しい。青空を背景に黄色いイチョウという、軸上色収差が起こりやすいシチュエーションだが、ほとんど気にならないレベルだ。

ズーム方式を見直して画質や利便性を向上

サイズを細かくチェックしていくと、初代は全長175mm・最大径80mm・重さ840g(三脚座を含まず)。対して2代目の本レンズは全長149mm・最大径82.2mm・重さ794g(同)。わずかに太くなったものの、フィルター径は72mmで変わらず。そして全長は26mmも短縮されている。一眼レフ時代のソニーAマウントと、現在のEマウントのフランジバック(センサーからマウントまでの距離)の差が26.5mmなので、Aマウントレンズをアダプターを介して使ったことがある人ならその差を実感しやすいかと思う。

短くなったのにはタネと仕掛けがあり、ズームをしても初代は全長の変わらないインナーズーム方式だったのが、鏡筒が繰り出される方式に変わった。そのため望遠端では本レンズのほうが長くなる。そう書くと先代のほうがよかったように思われそうだが、そのぶんカメラバッグに収納しやすくなり、光学設計にも自由度が増している。描写性能の向上はもちろん、最短撮影距離が短縮され、ズーム全域で撮影倍率0.5倍を実現。レンズ名に「Macro」を冠するにいたった。

もっとも短い70mm側(左)と、もっとも伸びる200mm側(右)。全長はだいぶ変わるものの、重量バランスはさほど変化がない。

ソニーα7R V・FE 70-200mm F4 Macro G OSS II・112mmで撮影
絞りF4・1/125秒・ISO1000・AWB・JPEGエクストラファイン

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望遠ズームでは最短撮影距離が一定で、広角側になると引き気味でしか撮れないレンズも少なくないが、本レンズはズーム全域で最大撮影倍率が変わらない。そのため構図や遠近感をアレンジしやすい。石像の質感も実にリアルだ。

ソニーα7R V・FE 70-200mm F4 Macro G OSS II・133mmで撮影
絞りF8・1/160秒・ISO250・AWB・JPEGエクストラファイン

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ズームのありがたみを痛感するのは、こうした造形的なフレーミングをしたいとき。遠近感による歪みを極力抑えたかったので、壁に背中がつくところまで下がって、ズームで構図を微調整した。

解像力もボケ味もすばらしく高画素機にもフィット

今回、初代と同一条件で比較することはできなかったが、僕の記憶では初代も普及型レンズよりワンランク上の描写力を持っていた。当時よりカメラのスペックも向上しているので、あくまで印象ベースの話になってしまうが、本レンズはさらにキレ味が増し、それゆえに立体感のある描写をするように感じる。またひと昔前の望遠ズームは周辺部が甘くなるものが多かったが、本レンズは絞り開放から、そしてズーム全域で隅々までシャープに像を結ぶ。今回はα7R Vとα7CRという約6100万画素の高画素機で実写したが、センサーの能力を存分に引き出すことができた

撮影者から見て左側の側面にはAFやOSS(手ブレ補正)に関するスイッチが。フォーカスホールドボタンも見えるが、縦位置撮影を考慮して上と下にも設けられている。

ソニーα7R V・FE 70-200mm F4 Macro G OSS II・179mmで撮影
絞りF5.6・1/20秒・ISO100・AWB・JPEGエクストラファイン・流し撮りで効果的なOSSのモード2を使用

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F4という控えめな明るさだが、ボケ味も非常に美しい。夜景の点光源など難しい条件ではさすがにわずかな乱れはあるものの、携行性の優れたズームレンズとしては極めて優秀だと思う。ポートレートや、さらに近接能力の高さを生かして花や昆虫を撮るには適したレンズといえそうだ。

ズーム全域でハーフマクロという驚異の近接能力

その近接能力だが、最短撮影距離は70mmで0.26m、200mmで0.42m。被写体をぐっと大きく写しても、レンズ先端から被写体までの距離が稼げるので、自分やカメラの影が写り込む心配も少ない。さらに初代では装着不可だったテレコンバーターにも対応。たとえば2倍テレコンバーターを装着すれば140-400mmF5.6の超望遠ズームに変身するが、同時に撮影倍率もアップ。ズーム全域で等倍まで寄れるという、驚異のマクロレンズになるのだ。

ソニーα7R V・FE 70-200mm F4 Macro G OSS II・200mmで撮影
絞りF4・1/125秒・ISO2000・AWB・JPEGエクストラファイン

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神社で見つけた南天の実。枝越しであまり近寄れないのと、背景をシンプルにしたくて、200mm側の最短撮影距離(0.42m)で撮影した。

まとめ

2021年11月発売とひと足先にリニューアルしているFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIも、このスペックとしては小型軽量を誇っており(全長200mm・最大径88mm・重さ1045g)、本レンズより一段階上の「Gマスター」にカテゴライズされながら価格差は約10万円。どちらかで迷う人は多いだろう。究極の画質を求めるなら迷わずF2.8だと思うが、一方でもし本レンズを手にしても、不満を抱く人は少ないと思う。小さくて軽いことがメリットになる場面は誰しもあり、さらに近接能力の高さはF2.8より大きく勝っている。初代やF2.8に比べて、確実に撮影領域が広がると思う。

ソニーα7CR・FE 70-200mm F4 Macro G OSS II・104mmで撮影
絞りF8・1/250秒・ISO250・AWB・JPEGエクストラファイン

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拡大すると解像感もさることながら階調の豊かさ、とりわけシャドウ部の粘りを感じる。

ソニーα7CR・FE 70-200mm F4 Macro G OSS II・85mmで撮影
絞りF8・1/200秒・ISO250・AWB・JPEGエクストラファイン

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上の写真と同じ場所から、くるっと振り返って反対側を撮影。実は単焦点派の僕も、こういうときはズームでよかったと痛感する。

作例に使用したカメラ

【商品情報】SONY α7R V

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作例に使用したレンズ

【商品情報】SONY FE 70-200mm F4 Macro G OSS II

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Photo & Text by 鹿野貴司(しかの・たかし)

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