TAMRON(タムロン) 28-75mm F2.8 Di III VXD G2 (Model A063) の実写レビューです。
高画質でコンパクトなF2.8通しの大口径標準ズームレンズとして好評だった旧モデルを新設計したG2は、サイズ感はそのままに、より高性能になりました。
前モデルとのスペック比較、使い勝手や操作感などについて実写レビューを中心にご紹介します。
特徴/操作性
旧モデルを上回る高い光学性能
高速なAFを可能にするリニアモーターフォーカス機構VXD
最大撮影倍率1:2.7のマクロ性能
旧モデル(Model A036)との違い
実写レビュー
優れた描写性能
高速なオートフォーカスによる快適なピント合わせ
美しいボケ味
マクロ撮影
画質
まとめ
28-75mm F2.8 Di III VXD G2 (Model A063) は、高性能でコンパクトな大口径ズームとして好評だった前型A036を光学設計から見直したリニューアルモデルになります。
旧モデルが発売された2018年当時は、6100万画素の高画素機SONY α7RIVはまだ存在していません。今回の実写テストではそのα7RIVをテストボディとして使いましたが、周辺部まで破綻する事無くシャープに写っており、最新の高画素機にも対応出来る性能の高さが伺えます。
性能面で正当に進化を遂げている事は、買い替えを検討しているユーザーにも安心なのではないでしょうか。
オートフォーカスには高速・高精度なAFを可能にするリニアモーターフォーカス機構VXDを新たに搭載しています。
被写界深度の狭い大口径レンズでは高速・高精度なオートフォーカスが必須となりますが、28-75mm F2.8 Di III VXD G2 (Model A063)のフォーカススピードはスムーズで良好です。
動くものを取らなければ必要無いのでは?と思われがちですが、通常の撮影でも思った場所に思った時に正確にピントが合う事は、撮影のストレスの大小に大いに関わります。写真を撮っている方なら撮影のリズムが意外と重要な事は容易に理解出来るでしょう。
1:3を超える撮影倍率を持つ、近接撮影にも強いレンズです。
正直に言って、マクロ撮影が必要な被写体以外、意図しなければここまでの撮影倍率を使う事は少ないと思いますが、近接に強いという事がもたらす余裕が重要なのかもしれません。
今回の実写レビューでは意図的に最短撮影距離付近になるように撮影しました。少し残念なのは、ズームレンズの場合どうしても最大撮影倍率が出るのが広角側となる事で、使い勝手のいい望遠域では少し撮影倍率が落ちてしまう事です。
フィルター径 | 67mm |
---|---|
最短撮影距離/最大撮影倍率 | 0.18m (WIDE)-0.38m (TELE)/1:2.7 (WIDE) / 1:4.1 (TELE) |
最小絞り | F22 |
絞り羽根 | 9枚 (円形絞り) |
マウント | ソニー Eマウント用 |
長さ | 117.6mm |
重量 | 540g |
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旧モデルと比較して一番の違いは、レンズ設計が全面的に新しくなっている事です。
詳しくは実写レビューを見ていただくとして、6100万画素の高画素機にも対応出来る高水準なレベルに引き上げられています。
絞り開放や画面周辺部でも画質の低下が少ないのもポイントで、大口径ズームに期待される高い画質を実現していると言えるでしょう。ボケ味についても他のTAMRONレンズと同様柔らかく美しいもので、同社のレンズを何本か同時に使っても違和感のない統一感があると思います。
28-75mm F2.8 Di III VXD G2を手に取って、最初に良くなっていると感じたのは、実は外観の仕上げでした。
細かい事ですが旧モデルの仕上げは使っていると擦り傷などが付きやすいやや弱い印象でしたが(実際数時間のテスト撮影で傷が付いてしまう事もありました)、28-75mm F2.8 Di III VXD G2 (Model A063)は傷が付きにくい堅牢な仕上げに感じました。少しツヤがある見た目は賛否あると思いますが、実用の面では着実に進歩していると思います。
中古カメラ店のスタッフとしては、外観に傷が付かない方が買い取りを高く出来るので、この改善は嬉しいところです。
TAMRON(タムロン) 28-75mm F2.8 Di III VXD G2 (Model A063) は、開放からシャープで周辺部まで解像感の高い優れた描写性能を持っています。
今回の実写レビューではテストボディに6100万画素の超高画素機α7RIVを使用しましたが、レンズ由来の眠さを殆ど感じさせないシャープさで、高画素を活かし切れるレンズだと感じました。
旧モデルが悪いわけではありませんが、6100万画素のカメラとの組み合わせではわずかに眠さを感じる事もあったので、時代に即したリニューアルがなされたものと思われます。
周辺部まで均質に高い画質を持っている事も特筆すべき点です。
作例ではピントを画面の右隅付近にしていますが、開放F2.8を選択しているにもかかわらず描写力が低下する事は殆どありませんでした。
フリンジの発生も、等倍で確認してわずかにわかる程度なので、気にする必要は無いでしょう。
VXDによる高速なオートフォーカスで、素早くピント合わせをする事が出来ます。
作例はハイアングルの少し無理な体制でフレーミングおり、ピントがまごついたりするとストレスを感じる場面でしたが、快適に撮影する事が出来ました。
フォーカスのスピードの速さは動く物を撮る時に必要と考える方が多いと思いますが、静物の撮影でも高速なオートフォーカスが撮影のストレスを大きく低減してくれるのです。
勿論オートフォーカスが速い事の最大のメリットは一瞬の出会いに対応出来る事です。
猫の撮影自体は難しくありませんが、こちらを向いてくれるのは一瞬である事も多く、カメラ、レンズといった機材の良否がシャッターチャンスをものに出来るかの分かれ目となる事も少なくありません。作例でも20枚以上シャッターを切ってカメラの方を向いていてくれたのはわずかに2カットだけでした。
露出も構図も後からある程度調整出来ますが、ピントはそうはいかないので、一瞬を切り取る写真と言う芸術にとって最も重要な要素の一つと言えるかもしれません。
ボケの美しさについても申し分ありません。
作例は水鏡に移ったモミジを撮影していますが、水面に浮いた落ち葉も背景の木々の緑も素直に美しくボケていると思います。
大口径の単焦点レンズに慣れた身としては、中望遠75mm F2.8のボケの大きさに少し不満が残りますが、そこはレンズの大きさとのバランスなので高望みというものでしょう。
ボケ自体は綺麗だと思うのですが少し気になる点もあります。
それは口径食が目立つ事で、特に画面四隅では半月型に大きく形が崩れてしまいました。通常の撮影ではあまり気にならないと思いますが、夜景などでは目立つケースもあると思いますので、ある程度絞るなどの対応が必要かもしれません。
幸い28-75mm F2.8 Di III VXD G2は円形絞りを採用していますから、F5.6程度までは絞りの形はほぼ真円を維持します。
TAMRON(タムロン) 28-75mm F2.8 Di III VXD G2 (Model A063)の最短撮影距離はワイド端で0.18m、最大撮影倍率は1:2.7となり近接撮影に強いレンズと言えるでしょう。
作例ではワイド端の28mmを使って最短撮影距離付近で撮影していますが、美しいボケ味でマクロらしい写真になりました。
近接撮影ではボケの大きさの不満も無くなるので、積極的に使いたい機能です。意図的にワイド側で背景を広く入れたマクロ撮影を楽しみたくなるレンズだと思います。。
ミラーレス一眼カメラのティルトモニターはマクロ撮影に革命を起こした機能です。
いまさらですが、意識してワイドのマクロ撮影をしていて素直にそう感じました。
開放F2.8のコンパクトな標準ズームが1:2.7の最大撮影倍率を持ち、軽量でティルト液晶を持ったミラーレス一眼カメラと組み合わされる事で、撮影や表現の幅が大きく広がったと実感できるテスト撮影でした。
TAMRON(タムロン) 28-75mm F2.8 Di III VXD G2 (Model A063) の大きな改善点である画質について、画像を拡大して確認します。
最初に近接、開放での画質を作例3を拡大して見てみましょう。
開放近接での画像なのでピントがかなり薄くなっていますが、ピント面は眠さを感じない高解像でシャープな画質です。
6100万画素の高画素センサーを使った写真からの拡大である事を考えると、非常に高いレベルの画質といえるでしょう。
次に開放、画面周辺部での画質を見てみます。
暗くて少しわかりずらいかもしれませんが、ピントのある木の幹付近の葉などがシャープに描写されていて高解像である事が確認できます。
明暗差の大きい箇所にわずかにパープルフリンジが確認出来ますが、ここまで拡大してやっと確認出来る程度なので少ないレベルだと思います。
ズームレンズ、開放F2.8、画面周辺、6100万画素の高画素機の画質としてはトップクラスに優秀な画質だと言えるでしょう。
好評の大口径標準ズームが正当進化を遂げたというのが第一印象です。
スペック的に大きく変わった部分は無いものの、旧モデルのサイズ感を維持しながらここまで高性能に進化したのは凄いと思います。細かい事ですが外観の仕上げが傷のつきにくい仕様となった事も個人的に嬉しいところです。
TAMRON(タムロン) 28-75mm F2.8 Di III VXD G2 (Model A063) は6000万画素クラスの高画素機まで対応出来る、大口径標準ズームに求められる要素を高い次元でバランスさせた高性能レンズだと感じました。
フジヤカメラでは、TAMRON(タムロン)ミラーレス用レンズを探すの中古商品を多数取り揃えております。在庫は日々更新されますのでどうぞこちらからご確認下さい。
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