Nikon(ニコン) AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR の実写レビューです。
普段よく使われる事が多い画角域を幅広くカバーしている上、全域で開放F4通しというスペックを備えた、使いやすいまさに「標準的」なズームレンズです。
2010年の発売なので少々古めの製品ですが、最新のミラーレスボディと組み合わせた際の実写を中心に紹介します。
特徴/操作性
望遠端120mmまでの余裕あるズーム比
Nikonらしいスタンダードな操作性としっかりとした造り
ナノクリスタルコート採用によるゴースト、フレアの少ない鮮明な画像
実写レビュー
開放では柔らかな描写
絞り込む事で急激に解像感が増す
広いズーム域により素早く撮影出来る
カメラ側のレンズ補正は積極的に利用したい
近接撮影
画質
まとめ
Nikon(ニコン) AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VRは、ズーム比5倍という一般的な標準ズームよりもズーム比が広い事が特徴の標準ズームレンズです。発売は2010年9月で、単品販売だけでなく、D750やD810等のミドルクラス機のキットレンズとしても設定されていました。
ズーム比の大きい標準ズームというと同時代の他社製品では24-105mmがありましたが、AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VRは望遠端を120mmまでとして「あともう少し大きく写したい」というニーズに応えた製品です。
120mmまでをカバーする事で望遠ズームに交換するタイミングを遅らせる事が出来るので、シャッターチャンスに強い1本と言えるかもしれません。
本体外装はプラスチック製ですが、Nikon(ニコン)の製品らしくしっかりとした堅牢な造りです。質感・操作感ともにチープな印象はありません。
操作性はNikonのスタンダードなもので、鏡筒側面にはスライド式の切り替えスイッチが3つ、上からAF/MF切り替え、VR(手ぶれ補正)動作ON/OFF、VR動作モード切り替えとなっています。VR動作モードは通常撮影時の「ノーマル」と、揺れる乗り物に乗りながら撮影する場合の大きくゆっくりした動きをぶれとして認識して的確に補正する「アクティブ」の2種類が選べます。
大きさは小さくはありませんが、ミドルクラスのデジタル一眼レフカメラに装着する標準レンズとして、バランスの良い大きさと言えるでしょう。
Nikon(ニコン)の上級クラスのレンズではおなじみの、レンズ内での光の反射を徹底的に防ぐ「ナノクリスタルコート」が採用されています。
テスト撮影は天候に恵まれず小雨が降る中でしたが、コントラストの低い条件でもメリハリが付いてレンズ性能の高さがうかがえました。
複雑で多くのレンズが使用されるズームレンズは、反射面が多い分フレアによる影響を受けやすいですが、ナノクリスタルコートのおかげで逆光線でも抜けのいい描写が期待出来そうです。
フィルター径 | 77mm |
---|---|
最短撮影距離/最大撮影倍率 | 0.45m(ズーム全域)/0.23倍 |
最小絞り | F22 |
絞り羽根 | 9枚(円形絞り) |
長さ | 103.5mm |
重量 | 約710g |
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テストボディにはミラーレス一眼カメラのNikon(ニコン)Z 7IIを選択、純正のFTZマウントアダプターを装着して使いました。見た目は少し不格好に見えますが、実際に手に取った時のバランスは悪くありません。
操作感もAF速度を含めて自然に使用でき、今回の撮影でもアダプターを使っている事を特別に意識する事はありませんでした。
共通設定として、ピクチャーコントロールはスタンダード、ホワイトバランスはオート1、各種レンズ補正はオフにしています。小雨が降るあいにくの空模様でしたが、街中を散策しながらスナップ撮影をしました。
絞り開放ではやや甘い柔らかい描写のレンズという印象を受けました。
作例は雨に濡れた路面を少し離れて切り取るようなイメージで望遠端の120mmで撮っていますが、昨今の超高解像なレンズの描写を見慣れてしまったせいか、テストボディが高画素機のZ7IIだからか、シャープさよりも柔らかさが目につきます。
レンズ補正オフでは周辺光量の落ち込みも顕著です。
開放F4ということもあって大きなボケは作りにくいですが、ボケ味に癖のようなものは無く使い易いレンズだと思います。
全域で最短撮影距離が変わらないので、望遠端を使って被写体に近づけば大きなボケを活かした写真が撮れるでしょう。
絞り込む事で急激に解像感が増すレンズです。
作例はF8まで絞って撮影していますが、開放での甘さはなりを潜め、シャープな描写となっています。
秋の訪れを感じさせる花壇に近づいてスナップ。花や葉の細かなディテールまでシャープに描かれました。
室内へ移動して広角端の24mmで撮影しました。
「目に刺さるような鋭さ」ではないものの、拡大しても鉄骨1本1本がしっかりと描写されています。
選択する絞りによって顕著に画質が変化するのは、少し古いレンズに多い特性ですが、被写体に応じて絞り値を変える事で写真の雰囲気を変えられるので、使い方によっては便利な特性と言えるでしょう。
Nikon(ニコン) AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VRの広いズーム域により、思いついた瞬間、的確にシャッターを切る事が出来ました。
単焦点レンズで割り切って撮るのもいいですが、逆に手当たり次第に思ったまま撮っていけるズームレンズもスナップ写真で使うのは楽しいと、ズーム比の大きい標準レンズを使ってあらためて気づきました。目に付いたものを素早く切り取っていくのがスナップ撮影の醍醐味です。
ズーム域のレンジの広さのおかげで、余計な事を考えずに思いのままに撮れるような気がします。
カメラの補正機能無しでは糸巻き型の歪曲収差が目立ちます。
多少画角が狭くなるデメリットはありますが、建物など直線の多い被写体ではカメラ側のレンズ補正を積極的に利用する方がいいでしょう。
今回の撮影は補正をOFFにして行いましたが、街中のスナップですし折角付いている機能なので、使えば良かったと少し後悔しました。
AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VRの最短撮影距離は0.45m、最大撮影倍率は0.23倍と、比較的マクロ撮影にも強いレンズとなっています。ズーム全域で最短撮影距離が変わらないので、望遠端が最大撮影倍率となるのもポイントです。
綺麗に整えられた花壇があったので近接撮影を試みました。
作例は最も撮影倍率が高い120mmで撮影していますが、ワーキングディスタンスも十分にとれ、近接でのボケ味も良く被写界深度も適度なので、望遠側での使用が使い易いと感じました。
作例4を拡大して画質を見ます。
10年以上前の、しかもズーム比の大きい標準ズームレンズという事で、中心部は高性能ですが周辺部ではやや甘い描写となります。
作例F9まで絞り込んでいるので、レンズ性能のピークに近いと思いますが、周辺部をよく見るとパープルフリンジの発生や眠さが少し目立つ描写となりました。一眼レフ用のレンズでズーム比も大きいので、このくらいが性能の限界なのではないでしょうか。
当時はかなりの高性能レンズと言われたモデルが、今見ると物足りなくなる事に、ここ10年のレンズ性能の向上を感じるとともに、レンズ性能のほんのわずかの粗も写しとめる高画素機の性能の高さを改めて感じました。
Nikon(ニコン) AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VRは、広いズーム域、平均以上の画質、比較的高いマクロ性能を持った、使い易い標準ズームレンズです。
使い込めば物足りないと感じる事になると思いますが、平均点的にスペックがまとまっているレンズとはそういうものでしょう。使えば使う程「もっとボケ味が欲しい」「もっとシャープに」「もっと近くに寄りたい」といった具合に不満が出てくるはずですが、ある意味これはカメラマンの成長を表しているのでしょう。
このレンズを軸に、望遠ズーム、単焦点、マクロ、という具合にレンズ交換の必要性や楽しさを知らしめるのも、標準ズームの役割なのかもしれません。
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