FUJIFILMから、フラッグシップモデルの最新機種 X-T4 が発表されました。
X-T3 の発売から約1年半、比較的早い時期でのモデルチェンジに感じますが、X-T4の内容は前機種を大きく一新したもので、X-H1すら凌駕する、現時点でのFUJIFILM Xシリーズの、最高性能のカメラとなっています。
X-T4 がX-T3 から進化した点、X-H1との違いも含めて、比較してみたいと思います。
機種名(発売日) | X-T4(2020/春頃予定) | X-T3(2018/9月) |
センサー | X-Trans CMOS4 | X-Trans CMOS4 |
画素数 | 2,610万画素 | 2,610万画素 |
画像処理エンジン | X-Processor 4 | X-Processor 4 |
液晶モニター | 3.0型バリアングル式 New | 3.0型3方向チルト式 |
モニタードット数 | 約162万ドット New | 104万ドット |
タッチパネル | 〇 | 〇 |
常用ISO感度 | 160~12800 | 160~12800 |
連続撮影速度(メカシャッター) | 15コマ New | 11コマ |
連続撮影速度(電子シャッター) | 30コマ New | 20コマ |
EVF/倍率 | 369万ドット/0.75倍 | 369万ドット/0.75倍 |
動画サイズ(最大) | DCI4K | DCI4K |
フレームレート/ビットレート | 60p/400Mbps | 60p/400Mbps |
ボディ内手振れ補正 | 〇(5軸/最高6.5段)New | 無し |
バッテリー | NP-W235 New | NP-W126S |
静止画撮影可能枚数 | 約500枚(ノーマルモード時) | 約390枚(ノーマルモード時) |
重さ(本体のみ) | 約526g | 約489g |
FUJIFILM X-T4 の最大の進化点は、Xシリーズでは、X-H1以降初めてボディ内手振れ補正が搭載された事です。
しかもその性能は、X-H1を凌駕する最大6.5段の効果(CIPA規格準拠、ピッチ/ヨー方向)を発揮します(X-H1:最大5.5段)。
又、現時点で29本あるFUJIFILM Xマウント用レンズのうち18本で、最大値の6.5段の手振れ補正効果を発揮するのも特筆すべき点で、 X-T4のユーザーなら、レンズの手振れ補正の有無を気にせずに手振れ補正の恩恵を最大限享受出来そうです。
X-H1よりもコンパクトなボディに、強力な手振れ補正を搭載した事は、コンパクトさが身上のAPS-Cサイズセンサー搭載カメラとして大きなメリットになると思います。
X-T4 は、メカシャッター時で、15コマ/秒の高速連写を実現しており(X-T3:11コマ/秒)、進化したアルゴリズムにより、最短約0.02秒の高速なオートフォーカスと併せて、動体撮影にも高いレベルで対応します。
新しくなったAFアルゴリズムは、カメラから離れていく被写体の追従性能や、瞳AFの性能向上も図られているという事なので、スピード、精度、両面の性能アップが期待出来そうです。
少し前にX-T3で列車を撮る機会があったのですが、列車がフレームからはみ出すまで高精度にオートフォーカスが追従してくれました。
FUJIFILMのオートフォーカスがイマイチだったのも過去の話だな、と思った矢先に、さらにAF性能がアップした X-T4 が発表され、AFについても安心しておススメ出来る機種になったな、感じました。
新機種が投入されると、新しいフィルムシミュレーションが追加される事が多いFUJIFILMですが、今回の X-T4 では ETERNA ブリーチバイパス が追加されました。
ETERNA ブリーチバイパスは、フィルム現像手法の一つである「銀残し」を施したようなフィルムシミュレーションで、低彩度、高コントラスの独特な表現が可能となります。
勿論、最新機種ですので、X Pro3 で好評を博した クラシックネガ モードも搭載されており、X-T4は、全18モードと、現時点で最も多くのフィルムシミュレーションを搭載したカメラ、という事になります。
X-T4 は背面液晶が、バリアングルモニターになりました。
個人的には、チルト式が好きですが、他メーカーも含めて多くの機種が採用するバリアングルモニターは、一般的には受け入れられやすいと思います。
ドット数も162万ドットと向上しています(X-T3:104万ドット)。
基本的な画質(サイズ、転送ビットレートなど)は、X-T3 に準じますが、X-T4 ではシャッターダイヤル下に、静止画/動画切り替えダイヤルが新たに搭載され、静止画/動画それぞれの設定を、独立して行う事が出来るようになっています。
おかげで、ダイヤルの切り替えだけで、スムーズに静止画/動画の移行が可能となり操作性の向上が図られています。
又、ハイフレームレートはFHD 240pが可能となり(X-T3:120p)、FHD 24pで10倍のスローモーションが可能となりました。
X-T4 のボディ内手振れ補正の恩恵は静止画だけにとどまりません。
動画撮影時に使用できる電子式の手ブレ補正機能「DIS」、DISのON/OFFに関わらず使用できる「ブレ防止ブーストモード」という2つのブレ補正機能を併せて搭載し、手持ち撮影でも、ブレの少ない滑らかな撮影をアシストしてくれます。
ジンバルのような大型の機材を使わなくても、それに近い画を撮れるようになる時代はすぐそこまで来ているのかもしれません。
バッテリーが新型のNP-W235に変更された事で、撮影可能枚数は、ボディ単体でも静止画撮影で500枚(ノーマルモード時、X-T3:390枚)と大きく向上しています。
カメラの厚みが少し厚くなったので、バッテリーグリップはあらたに専用のVG-XT4が用意されており、NP-W235を2個装填する事で、最大約1700枚の連続撮影を行う事が可能です。
又、X-T3ではマイク端子と別にヘッドホン端子が装備されていましたが、X-T4はヘッドフォン端子が廃止され、かわりにヘッドホン用アダプターが付属するようです。
とても魅力的な機種だと感じました。
FUJIFILM X-T4 は、強力な手振れ補正機能と、フィルムシミュレーション、高性能化されたオートフォーカスや高速連写など、フラッグシップ機らしい、オールラウンドに使える機種という印象です。
特に、多くのレンズで6.5段の強力なボディ内手振れ補正が使えるのは魅力で、単焦点レンズなど手振れ補正が内蔵されていないレンズの使用範囲が大きく広がりそうです。
又、手振れ補正機能の搭載は、動画撮影にも恩恵がありそうで、個人的にも「DIS」「ブレ防止ブーストモード」は、是非試してみたい機能です。ワンオペでのジンバルの運用は結構大変なので、カメラだけであらゆるシーンや表現に対応出来るような機能は、大歓迎です。
写真から映像表現まで、幅広く対応出来るカメラだと感じました。早く使ってみたいです。