SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary の実写レビューです。
Iシリーズ7本目となる広角レンズは、超広角レンズでありながら画質の均質性に優れた高性能レンズです。特徴、画質、操作性を実際に撮影した作例をもとにレビューします。
併せて既存製品との比較や、使って欲しいおすすめのユーザーを紹介します。
特徴/操作性
軽量コンパクトな大口径超広角レンズ
周辺部までシャープな高い光学性能
Iシリーズに共通の高い質感、滑らかな操作性
実写レビュー
開放からシャープで高い描写性能
高い画質の均質性は純正を上回る
コンパクトで使い易い操作感
フレーミングの難しい超広角レンズはアングルを工夫
画質
解像感
周辺部画質
フリンジ
レンズ補正のON/OFF
他レンズとの比較
Iシリーズ 24mm F2 DG DN | Contemporaryとの比較
SONY FE 20mm F1.8 Gとの比較
おすすめユーザー
大口径の超広角レンズとしては非常にコンパクト
歪曲収差補正の使用により画角が少し狭くなる
こんな使い方がおすすめ
まとめ
SIGMA(シグマ)20mm F2 DG DN | Contemporary の特徴は、F2という明るさ、20mmの超広角レンズ、最高クラスの性能でありながら、軽量コンパクトにデザインされている事です。
これは、広角レンズを設計しやすいミラーレス用レンズである事と、カメラのレンズ補正を積極的に活用して、レンズでないと補正出来ない収差の除去を集中的に行う設計になっている事によります。
これは高性能レンズは大きいという常識を、デジタルならではの機能を使って覆した優れたコンセプトと言えるでしょう。
20mm F2 DG DN | Contemporary は、20mmの超広角レンズであることから、風景写真などで使用される事を想定して解像度と画質の均質性を重視した、周辺部までシャープな高性能レンズです。
FLD、SLDレンズを各一枚と、非球面レンズを3枚使用する事で周辺部まで高い解像感を維持しており、風景写真はもとより星野写真などの周辺部までシャープな画質が求められる撮影にピッタリのレンズとなっています。
歪曲収差などカメラ補正に任せられる部分はカメラに任せて、レンズでしか補正出来ないサジタルコマフレアなどを集中的に補正する設計となっている事も、結果的にバランス良く高性能なレンズとなっている要因でしょう。
他のIシリーズレンズと共通の高い質感、滑らかな操作性は、20mm F2 DG DN | Contemporary の特徴のひとつです。
明るい広角レンズはマニュアルフォーカスでピントを合わせるのが意外と難しく、風景撮影などでは拡大表示を使って精密に行う必要がありますが、滑らかなフォーカスリングのおかげでスムーズにピントを合わせる事が出来ます。
動画など、ピント移動自体が表現となる撮影でも、滑らかなピント移動により美しい映像表現が可能となるでしょう。
フィルター径 | 62mm |
---|---|
最短撮影距離/最大撮影倍率 | 22cm/1:6.7 |
最小絞り | F22 |
絞り羽根 | 9枚(円形絞り) |
マウント | SONY Eマウント/Lマウント |
長さ | 74.4mm(SONY Eマウント)/72.4mm(Lマウント) |
重量 | 370g |
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SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary は開放からシャープで高性能なレンズです。
今回はContemporaryのレンズという事でテストボディにα7IVを選択しましたが、Art並みの高い描写性能を持っているので、α7RIVやfp Lといった高画素機でも安心して使えるレンズだと思います。
超広角レンズらしい、抜けのいいシャープな画が、開放から安心して楽しめます。
焦点距離20mmという事で、開放でもボケが大きくなるのはかなり被写体に近寄った時だけですが、ボケはSIGMAのレンズらしく美しいものでした。
最短撮影距離は22cmなので、広角マクロとして使うのは少し厳しいですが、ボケを活かした表現をしたくなるレンズです。
SONY Eマウント用の大口径広角レンズとしては現時点でのベストと言ってもいい、優秀な描写性能を持ったレンズと言えるでしょう。
描写性能以上に驚くのが画質の均質性です。
広角レンズでは周辺部の画質が悪くなるのが普通ですが、20mm F2 DG DN | Contemporary ではそういった事はほとんど感じられませんでした。
風景や星野写真など、画質の均質性が強く求められる撮影でも安心して使えるレンズだと思います。
画質の均質性においては、純正レンズを凌駕するレベルです。
広角レンズを設計しやすいミラーレス専用レンズである事、ボディ内レンズ補正を最大限活用してレンズでしか補正出来ない収差の除去に集中して設計されている事がその原因だと思いますが、純正を超えるレベルに有る事には驚きました。
デザイン的にも優れており、ミラーレス用の決定版と言っても過言ではない20mmだと感じました。
SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary の特徴として挙げられるコンパクトさは、撮影に軽快さをもたらしてくれます。
今回の作例は街中のスナップにしましたが、カメラを片手で持ちながらシャッターを切るのも軽快で、ストレス無く扱えました。
比較の作例を撮る為に、SIGMA 24mm F2 DG DN | Contemporary とSONY FE 20mm F1.8 G を一緒に持ち歩きましたが、レンズ3本を持っても軽量でカメラバックには余裕があったので、次は他のIシリーズと組み合わせて使いたいと思えた程です。
広角レンズは開放で背景をボカすか絞り込んでパンフォーカスにするか、絞りを大きく動かす事が多くなりますが、20mm F2 DG DN | Contemporary の絞りリングは絞りを変えるのが楽しくなるほど操作感が良いものです。
クリック感がしっかりしているので逆に1/3といった細かな調整も安心で、カメラのコマンドダイヤルよりも操作性が良いと感じます。
今回の撮影ではマニュアルフォーカスを使う事はありませんでしたが、フォーカスリングは非常に滑らかで、風景写真などで拡大表示を使った厳密なピント合わせもし易そうです。
画角が広く余計なものが入ってしまう超広角レンズは、街中ではフレーミングが難しいレンズです。
そんな時は上を向いたり下を向いたりしてアングルを工夫してみてはいかがでしょうか。
20mm F2 DG DN | Contemporaryは逆光耐性も高く、逆光でもゴーストやフレアが入る事は殆ど無いので安心です。仮に入ってもアングルを少し変える、絞り値を変えるといった工夫で改善するので試してみましょう。
引きが取れないというと、狭い部屋の中などの撮影を思い浮かべますが、自分の真下、足元の写真も引きが取れない写真のひとつと言っていいでしょう。
20mmの超広角レンズなら遠近感の誇張を使って、普段は撮れないような被写体を大きく画面に入れて撮る事が出来るのです。
超広角を使うコツは上を向いたり下を向いたりとアングルを工夫する事にあるかもしれません。
超広角レンズである事を感じさせない、周辺部まで非常にシャープなレンズです。
作例1の周辺部を拡大して、解像感を見てみましょう。
今回はテスト撮影に3300万画素のSONY α7IVを使いましたが、より高画素のα7RIVやSIGMA fp Lにも対応出来る高い解像力を持っています。
同クラスの超広角レンズの中でも最高クラスの画質と言っていいでしょう。
SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary は画面中央部と周辺部分での画質の差が少ない、画質の均質性も優れています。
拡大して中央部と周辺部の画質の違いを見てみます。
周辺部の画質が僅かに眠いですが、超広角の20mmレンズである事を考えるとかなり良好な部類に入ります。
何より広角レンズにありがちな周辺部の流れが皆無で、星野写真など周辺まで均質な画質が求められる撮影にも安心して使えそうです。
明暗差の激しい被写体を撮影した際、わずかにフリンジが入りました。とは言えかなり拡大してやっとわかる程度なので、画像処理で簡単に除去出来るレベルです。
余談ですが最近見たアニメの中で、逆光の際、パープルフリンジが入れてあるシーンがあって驚きました。アニメは画なのでそのままでは当然パープルフリンジは入りません。わざわざ加筆してあるのです。
逆光ではパープルフリンジが入るのが当たり前で、フリンジを入れる事で、よりリアルに表現出来るという事だと思うので、周辺光量落ちのように、フリンジを入れるのも写真の表現のひとつになるかもしれません。
大きく拡大して、最も明暗差の激しい場所にわずかに発生するだけです。
SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary は、カメラのレンズ補正機能を使う事を前提に設計されたレンズです。
今回のテスト撮影でも、歪曲収差補正と倍率色収差補正は常時ONにして使いました(周辺光量補正はOFF)。
ここでは敢えて歪曲収差補正をOFFにした場合の収差の出方と画角の変化を見てみます。
本来の使い方ではありませんが、歪曲収差補正OFFでは陣笠型の収差がかなり大きく出ています。
補正をONにすると、収差は除去され直線がしっかりと直線として描写されますが、画角が少し狭くなってしまうので、どうしても画角を広くとりたい場合は、歪曲収差を許容して補正をOFFにする選択も有りかもしれません。
購入の際に迷いそうなスペックのレンズ2本と比較して、20mm F2 DG DN | Contemporary の良さとライバル機種の優位な点を解説します。
SIGMAには殆ど同じ大きさのIシリーズの広角レンズ24mm F2 DG DN | Contemporary があります。
明るさも同じで画角の差も小さいので、どちらを選ぶか迷うレンズだと思いますが、選択のポイントはわずかな画角の差と焦点距離からくるボケの大きさだと思います。2本のレンズを使って同じ場所から撮影して、画角と背景の入り方、ボケの大きさを比較してみましょう。
わずか4mmの焦点距離の差ですが、写真の印象は大きく変わりました。
24mmは背景の入り方が狭く、ボケも20mmと比較して大きくなるので、構図が整理された写真になっています。対する20mmは背景が広く入り遠近感の誇張も大きくなるので、情報量が多い超広角らしい写真になっていると思います。
20mmは構図を整理するのが少し難しいですが、上手くいった時は超広角らしいより迫力のある写真になる面白さがあるのではないでしょうか。
次に純正の超広角レンズSONY FE 20mm F1.8 Gとの比較との比較です。
ほぼ同じスペックのレンズで、気になるところは画質という事になると思います。
中心部と周辺部で2本のレンズの画質の差をみてみましょう(F値をF2に合わせる為に、純正は絞って使っています)。
中心部の画質は、わずかに純正レンズの方がコントラストが高くシャープです。開放F値が僅かに違うので、明るさを合わせる為に純正レンズは絞ってテストをしている事もこの差につながっているかもしれません。
又、SIGMAのレンズの方が諧調が豊かで立体感に富むので、ここは好みといっていいいレベルの違いだと思います。
次に周辺部の画質を比較してみます。
逆に周辺部ではSIGMAのレンズの方が解像感が高くシャープでした。
純正は中心部との画質差が大きく、画面の均質性という意味ではSIGMAに軍配が上がりそうです。
SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary を是非おすすめしたいユーザーについて解説します。
広角レンズが充実したIシリーズレンズの中で最も広い画角のレンズは、明るいF値と高画質で、多くの方に使って欲しいレンズです。
最高クラスの性能を持っている開放F2の明るい超広角レンズとしては非常にコンパクトです。
純正と比較しても一回り小さく、標準レンズのような形でカメラバックへの収まりがいいところもポイントと言えるでしょう。
デザインだけでなく写りの傾向も他のIシリーズと統一感があるので、最もワイドなIシリーズレンズ(2022.2.10現在)として是非活用したレンズです。
SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary の数少ないウィークポイントが、カメラ内レンズ補正の使用により画角が少し狭くなってしまうところです。
レンズ補正のON/OFFの項に、同一フレーミングで歪曲収差補正をON/OFFした作例を載せてありますので、参考にして下さい。
純正と比較しても、歪曲収差補正をONにした際の画角変化は大きいので、この点もSIGMAを選ぶか純正を選ぶかのポイントになるかもしれません。
旅行やスナップなど、気軽に超広角ならではの誇張された遠近感や広い画角を楽しみたいユーザーに是非おすすめしたいレンズです。
特に旅行で美しい風景に出会った時など、純正にも劣らない高い描写性能と画質の均質性は大きな武器となるでしょう。デザインや物としての質感にも優れているので、写真を楽しんで撮る事が出来ます。
20mm一本だけで写真を撮りに行くという事は少ないと思いますが、例えば35mmなどと組み合わせる場合も、Iシリーズの統一感のある描写やボケ味が使えるのも、SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary の強みのひとつです。
・開放F2の20mm超広角レンズとしてはコンパクトです
・超広角らしい遠近感の誇張が楽しめます
・周辺部までシャープで画質の均質性が高いレンズです
・Iシリーズに共通の高い質感と滑らかな操作感を持っています
・SONY Eマウント用の20mmレンズの中でベストとも言えるバランスのいいレンズです
レンズ選びの参考にしていただければ幸いです。
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