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2023.05.04
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Nikon NIKKOR Z 50mm f/1.8 S レビュー × 熊切大輔|開放のボケ味も高画質で楽しめるS-Lineの大口径標準レンズ

Nikon NIKKOR Z 50mm f/1.8 S レビューのキービジュアル
NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sは、絞り開放から撮像範囲周辺部までシャープな解像が可能な、フルサイズ(ニコンFXフォーマット)用の大口径標準レンズです。2枚の非球面レンズで絞り開放でもサジタルコマフレアを抑制しており、良好な点像再現性が得られます。

また、精度・静粛性を高めたAF駆動、高い光学性能を実現し、大口径レンズならではの近距離撮影時にも自然で柔らかな美しいボケ味も楽しむことができます。

今回はフォトグラファーの熊切大輔さんに、東京の街と桜をテーマにスナップ撮影とレビューをして頂きました。


ライター熊切大輔(くまきり・だいすけ)イメージ
■フォトグラファー紹介

熊切大輔(くまきり・だいすけ)

1969 年東京都新宿生まれ。東京工芸大学短期大学にて写真表現を学ぶ。卒業後、株式会社日刊ゲンダイ写真部に入社プロ野球や社会面や文化面なども担当する。その後フリーとなる。現在は「人」という要素を中心にメディア、企業オフィシャル撮影・広告など様々なジャンルで撮影活動中。作品はスナップ写真で東京や世界の街を切り撮っている。高校や大学、専門学校などで講師として指導も⾏う。公益社団法人日本写真家協会理事。

はじめに

標準レンズである50mmは、ある意味そのブランドの顔になる存在と言っても過言でないだろう。焦点距離の真ん中、基準値であるようにそのブランドのこだわりや方向性の指針ともなる気がする。

NIKKOR Z 50mm f/1.8 S の特徴

NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sは、高品質の証でもある「S-Line」の名を冠しているだけあってその品質の高さを実感することができるレンズだ。

50mmとしては若干長めの鏡胴は415gという重量感とあわせて缶飲料一本分といったところか。Zマウントになりレンズ設計の自由度が上がった上での性能とサイズ感のバランスを取った結果での落とし所ということになる。

ナノクリスタルコートを採用した9群12枚レンズ構成の中にEDレンズ2枚を施し、軸上色収差をしっかりと補正するなど高画質になったNikon(ニコン)Zシリーズの性能に解像感の高さで応えてくれる。

NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sを装着したZ 9の画像
今回の撮影機材
Nikon Z 9・NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

NIKKOR Z 50mm f/1.8 S の作例

50mmレンズは、スナップ撮影にバランスがよい画角

ニコンZ 9・NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sで撮影した橋を渡る都電と桜の画像

ニコンZ 9・NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
絞りF2・AE(1/640秒)・ISO200・WBオート・–2EV補正

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今回は桜の時期にこのレンズを持って街を歩いてみた。桜そのものを撮るのも楽しいがスナップ写真で表現するときは、その周りや他の要素といかに組み合わせてストーリーや街の特徴を捉えるかが表現方法の一つとなる。

50mmの画角は広い景色をほどよく切り撮りつつ、周りの環境を豊富に取り込むことができるバランスの良い表現に向いている。満開の桜の中、橋を渡る都電のタイミングを図って周辺情報を意識して撮影した。

明るいF値で、自然なボケ味の画作りができる

ニコンZ 9・NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sで撮影した卒業生の後ろ姿と桜の画像

ニコンZ 9・NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
絞りF2・AE(1/2500秒)・ISO400・WBオート・−0.3EV補正

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自然で柔らかく嫌味のないボケ味。背景がボケすぎるとその街の状況、すなわち季節感などが写ってこなくなる。開放F値1.8のボケ味まさに「ちょうどよく」背景情報をほどよく残してくれる。

今年は卒業式シーズンに桜が咲いた。華やかな門出でを終えた地元の学生たちに声をかけ撮影させてもらった。ニコンのソフトのスナップブリッジを経由してその場で写真を渡すと「良い記念となりました!」と笑顔で応えてくれた。

ニコンZ 9・NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sで撮影した桜の木々を背景に振り返る女性の画像

ニコンZ 9・NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
絞りF1.8・AE(1/250秒)・ISO100・WBオート・+0.3EV補正
モデル=桜田澪(舞夢プロ)

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ボケ味を活かした画作りはポートレート撮影にも相性が良い。広がりのある空間を存分に写し込み天気の良い美しい桜の背景を活かした構図で表現した。

引きでもある程度の距離さを活かしてボケ味を程よく活かす。単焦点ならではのフットワークを活かして被写体との距離感をコントロールしてレンズ表現のバリエーションを付けるのが楽しい。

思い切って対象に寄ることで、背景を美しい玉ボケで演出できる

ニコンZ 9・NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sで撮影した桜のアップの画像

ニコンZ 9・NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
絞りF1.8・AE(1/10000秒)・ISO100・WBオート・+0.7 EV補正

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やはりボケ味最大限楽しむには思い切った寄りの画にチャレンジしたいところだ。40cmまで寄れる近接撮影はボケ味の代名詞でもある玉ボケも美しく表現してくれた。

桜の優しい存在感を柔らかく写し出す。またテーブルフォトにも使いやすく日常の様々な被写体を選ばず切り撮れる使い勝手の良さが魅力だ。

静かで滑らかなフォーカシングはシャッターチャンスを逃さない

ニコンZ 9・NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sで撮影した犬の散歩をする女性の画像

ニコンZ 9・NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
絞りF5・AE(1/320秒)・ISO200・WBオート・–0.3EV補正

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AFは非常にスムーズだ。STM(ステッピングモーター)を採用で静かで滑らかなフォーカシングを実現している。AF精度も高く街の瞬間にスピーディに合焦しシャッターチャンスを逃さない。

街の反射する光景は魅力的な被写体だ。うまく合わさるとまるで合成写真のように重なるレイヤーが美しい一つの画となって浮かび上がってくる。

被写体が窓枠の外から画角に入ってきて柱の影に隠れるまでは案外時間がない。素早く正確なフォーカスでわずかな瞬間を捉えることができた。

まとめ

焦点距離はもちろん画作りにおいても基準、中心となるレンズが50mmだ。コストパフォーマンス、大きさなどバランスが良く、かつ妥協のない表現力を持った標準レンズを使いこなすことが、写真の基礎力をあげることになると思う。

作例に使用したレンズ

Nikon NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

【商品情報】Nikon NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

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Nikon NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sバナー画像

作例に使用したカメラ

Nikon Z 9

【商品情報】Nikon Z 9

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Nikon Z 9バナー画像

Photo & Text by 熊切大輔(くまきり・だいすけ)

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