はじめに
NIKKOR Z 50mm f/1.8 S の特徴
NIKKOR Z 50mm f/1.8 S の作例
50mmレンズは、スナップ撮影にバランスがよい画角
明るいF値で、自然なボケ味の画作りができる
思い切って対象に寄ることで、背景を美しい玉ボケで演出できる
静かで滑らかなフォーカシングはシャッターチャンスを逃さない
まとめ
作例に使用したレンズ
Nikon NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
作例に使用したカメラ
Nikon Z 9
1969 年東京都新宿生まれ。東京工芸大学短期大学にて写真表現を学ぶ。卒業後、株式会社日刊ゲンダイ写真部に入社プロ野球や社会面や文化面なども担当する。その後フリーとなる。現在は「人」という要素を中心にメディア、企業オフィシャル撮影・広告など様々なジャンルで撮影活動中。作品はスナップ写真で東京や世界の街を切り撮っている。高校や大学、専門学校などで講師として指導も⾏う。公益社団法人日本写真家協会理事。
標準レンズである50mmは、ある意味そのブランドの顔になる存在と言っても過言でないだろう。焦点距離の真ん中、基準値であるようにそのブランドのこだわりや方向性の指針ともなる気がする。
NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sは、高品質の証でもある「S-Line」の名を冠しているだけあってその品質の高さを実感することができるレンズだ。
50mmとしては若干長めの鏡胴は415gという重量感とあわせて缶飲料一本分といったところか。Zマウントになりレンズ設計の自由度が上がった上での性能とサイズ感のバランスを取った結果での落とし所ということになる。
ナノクリスタルコートを採用した9群12枚レンズ構成の中にEDレンズ2枚を施し、軸上色収差をしっかりと補正するなど高画質になったNikon(ニコン)Zシリーズの性能に解像感の高さで応えてくれる。
ニコンZ 9・NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
絞りF2・AE(1/640秒)・ISO200・WBオート・–2EV補正
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今回は桜の時期にこのレンズを持って街を歩いてみた。桜そのものを撮るのも楽しいがスナップ写真で表現するときは、その周りや他の要素といかに組み合わせてストーリーや街の特徴を捉えるかが表現方法の一つとなる。
50mmの画角は広い景色をほどよく切り撮りつつ、周りの環境を豊富に取り込むことができるバランスの良い表現に向いている。満開の桜の中、橋を渡る都電のタイミングを図って周辺情報を意識して撮影した。
ニコンZ 9・NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
絞りF2・AE(1/2500秒)・ISO400・WBオート・−0.3EV補正
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自然で柔らかく嫌味のないボケ味。背景がボケすぎるとその街の状況、すなわち季節感などが写ってこなくなる。開放F値1.8のボケ味まさに「ちょうどよく」背景情報をほどよく残してくれる。
今年は卒業式シーズンに桜が咲いた。華やかな門出でを終えた地元の学生たちに声をかけ撮影させてもらった。ニコンのソフトのスナップブリッジを経由してその場で写真を渡すと「良い記念となりました!」と笑顔で応えてくれた。
ニコンZ 9・NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
絞りF1.8・AE(1/250秒)・ISO100・WBオート・+0.3EV補正
モデル=桜田澪(舞夢プロ)
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ボケ味を活かした画作りはポートレート撮影にも相性が良い。広がりのある空間を存分に写し込み天気の良い美しい桜の背景を活かした構図で表現した。
引きでもある程度の距離さを活かしてボケ味を程よく活かす。単焦点ならではのフットワークを活かして被写体との距離感をコントロールしてレンズ表現のバリエーションを付けるのが楽しい。
ニコンZ 9・NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
絞りF1.8・AE(1/10000秒)・ISO100・WBオート・+0.7 EV補正
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やはりボケ味最大限楽しむには思い切った寄りの画にチャレンジしたいところだ。40cmまで寄れる近接撮影はボケ味の代名詞でもある玉ボケも美しく表現してくれた。
桜の優しい存在感を柔らかく写し出す。またテーブルフォトにも使いやすく日常の様々な被写体を選ばず切り撮れる使い勝手の良さが魅力だ。
ニコンZ 9・NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
絞りF5・AE(1/320秒)・ISO200・WBオート・–0.3EV補正
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AFは非常にスムーズだ。STM(ステッピングモーター)を採用で静かで滑らかなフォーカシングを実現している。AF精度も高く街の瞬間にスピーディに合焦しシャッターチャンスを逃さない。
街の反射する光景は魅力的な被写体だ。うまく合わさるとまるで合成写真のように重なるレイヤーが美しい一つの画となって浮かび上がってくる。
被写体が窓枠の外から画角に入ってきて柱の影に隠れるまでは案外時間がない。素早く正確なフォーカスでわずかな瞬間を捉えることができた。
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Photo & Text by 熊切大輔(くまきり・だいすけ)