1966年、東京都出身。日本大学芸術学部写真学科卒業後、専門誌、広告代理店を経て独立。水中から陸上のあらゆる被写体、天空のオーロラまで幅広いフィールド・分野を撮影。全天球360度カメラからハイエンドデジタルカメラと守備範囲が広くカメラ雑誌・Web媒体等で新製品機材インプレやHow to記事等も執筆。カメラグランプリ2022外部選考委員。
ミラーレス一眼Canon(キヤノン)EOS Rシリーズのスタンダード機EOS R6がフルモデルチェンジ。Rシリーズでは初めての2世代目となるEOS R6 MarkⅡが登場した。僅か2年たらずでのモデルチェンジを既存のEOS R6ユーザーはどう捉えるべきか?本記事公開時には既に購入したEOS R6 MarkⅡでの撮影を楽しんでいるユーザーもいるはずだが、購入を検討中という人も多いはず。メーカーの試用デモ機材も人気なため短期間だがEOS R6 MarkⅡの実写機会を得た。
特に注目の被写体検出の新機能や操作系のインプレと共に新旧EOS R6の撮り比べの結果から得られた印象などをお伝えしたい。
ボディサイズは横幅と奥行には変更がなく、全高は0.9mmだけEOS R6 MarkⅡが高くなっている。このくらいの差だとほとんど違いはわからない。
正面から見ればエンブレムの下にMarkⅡの文字のおかげで容易に見分けはつくし、操作系レイアウトの変更や軍艦部のエッジのつけかたなど僅かな違いはあるがデザインは基本的に踏襲。右手でグリップを握ると少し指かかりが良くなったようで、特に重量級レンズ装着のハンドリングで安定のグリップ感を実感できる。
R6 MarkⅡは、システム拡張性に優れた次世代インターフェース[マルチアクセサリーシュー]搭載に進化。
操作系の大きな変更は電源スイッチが右側に移動し、サブ電子ダイヤル2同軸のレバー操作になった。前機種では独立したボタンだったロック機能はON・OFFの中間位置に設けられた。また左肩の電源だったスイッチはほぼ同じ操作感のまま静止画撮影/動画撮影切り換えスイッチに置き換えられている。
右手側に主要操作部が集中したことで、ほぼ右手操作のみでも撮影が可能になったことは特に動画ユーザーには歓迎されると思う。EOS R6 MarkⅡでミラーレス一眼デビューするユーザーも違和感はないだろう。ただし、EOS R6の既存ユーザーには少々厄介だ。日頃のクセで電源を切ったつもりが動画モードに切り換えていただけというミスを起こしやすい。
今回はEOS R6との比較撮影で交互に撮影することも多く、我ながら情けない話だがこのスイッチ操作ミスが頻発した。初日はガマンしたが、あまりにも煩わしいのと、動画撮影テストは行わないので2日目以降はEOS R6 MarkⅡの静止画撮影/動画撮影切り換えスイッチを黒テープで覆い操作不可にして使用した。もちろん新旧機種の共用をしなければ数日で慣れるとは思うのだが…。
この電源操作の違いを除くと操作フィーリングはほぼ同等。ジョイスティック型のマルチコントローラーの形状が見直され、指アタリが優しくなった点は好印象。それを多用するメニュー操作も新機能の項目が増えたくらいで特に戸惑うことはないだろう。
被写体、レンズ、露出および撮影の諸設定を同じにして新旧機種の撮り比べをしてみた。晴天下で撮影時間差は3分程度に留めているので光線の違いはほぼ無いと考えて良い。
以下、掲載画像はすべてJPEGの撮って出し。EOS R6は有効画素数2010万画素でラージサイズのJPEGのピクセル寸法は5472×3648pix。一方EOS R6 MarkⅡは同2400万画素でピッタリ6000×4000pixとなるため、ピクセル等倍での再生時には当然だがEOS R6 MarkⅡで撮影した画像が少し大きく表示される。
屋外の被写体は3パターンを同条件で撮影。交互に見比べれば画像サイズの違いが解像感の印象に多少なりとも影響するかもしれないがハッキリ言って軽微な差だ。仮に撮影データを伏せてどちらか一方だけの画像を見た場合、撮影機種を特定するのは困難と思う。
EOS R6 MarkⅡ
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EOS R6
比較作例①
ピント位置は画面中央。
(共通データ)RF24-70mm F2.8 L IS USM
絞り優先F5.6・AE・ISO100・AWB
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EOS R6 MarkⅡ
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EOS R6
比較作例②
ピント位置は赤ブイの先端部分。
(共通データ)RF70-200mmF2.8 L IS USM
絞り優先F4.0・AE・ISO100・AWB
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EOS R6 MarkⅡ
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EOS R6
比較作例③
ピント位置は錨の彫刻の丸い部分。
(共通データ)RF70-200mm F2.8 L IS USM
絞り優先F5.6・AE・ISO100・AWB
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比較撮影をした日中屋外での一般的な撮影においては、解像感、階調表現、ホワイトバランス、カラーバランスのパラメータなどを含めた画づくりに決定的な差は感じられず、EOS R6の画像が見劣りすることもない。ただし被写体の性質や撮影環境によっては違いが出るだろうし、あくまで今回の撮影においてということでご理解いただきたい。
なおEOS R6 MarkⅡのセンサーではレンズ収差を補正できるデジタルレンズオプティマイザに対応している。キヤノンが有償で展開するネットワークとディープラーニングを利用したDigital Photo Professional RAW現像(Windowsのみ)サービスなど、より高画質を追求するためのRAW撮影における画像処理ではその真価を大いに発揮するはずだ。
画質性能において気になるのは、画素増加による感度特性への影響だろう。普通に考えれば1画素当たりの取り込める光の量が減るため、超高感度域でのノイズ低減に多少なりとも犠牲を伴いそうなものだが、EOS R6と同様に高画質を保ちながら静止画常用ISO102400の超高感度性能を両立しているという。
比較作例は安定したモデリングライト光源下で、ISO感度設定のみを変えながら撮影し、その中からボトム感度と超高感度域の一部を抜粋したもの。ノイズリダクション設定はすべてデフォルト。ホワイトバランスはオート(ホワイト優先)で統一。ピント位置は70-200mmズーム鏡筒のCanonロゴ部分に合わせている。高感度になるにつれ発生するノイズや色転びやヌケ等の影響を判別しやすいようカラーチャートも写しているので参考にされたし。
EOS R6 MarkⅡISO100
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EOS R6 ISO100
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EOS R6 MarkⅡISO6400
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EOS R6 ISO6400
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EOS R6 MarkⅡ ISO25600
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EOS R6 ISO25600
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EOS R6 MarkⅡ ISO51200
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EOS R6 ISO51200
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EOS R6 MarkⅡISO102400
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EOS R6 ISO102400
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(共通データ)RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM 絞り優先F11・AE・JPEGラージ・AWB
この感度比較作例でも画質比較と同様にEOS R6 MarkⅡは画像寸法が少し大きく表示される。つまりノイズも大きく見えてしまうという不利に働く部分はある。しかしそれらは考慮しなくてもかなりノイズ感の低い画を記録できていると思う。特に超高感度域の画像では、被写体の70-200mmレンズのズームやフォーカスリングラバーの溝の解像感などツブレやすい暗部の描写を拡大再生すると違いが分かりやすい。また70-200mm鏡筒先端にプリントされた製品名の文字列の再現性もEOS R6 MarkⅡが劣るようなことは無いと思う。
ただし、EOS R6 MarkⅡは色味が僅かに赤方向に振れているようでもある。これはAWBの誤差かもしれないが、画のヌケ感は前モデルEOS R6のほうが好印象であった。
開放F値が暗めのレンズや超望遠レンズのエクステンダー使用時などでシャッター速度を稼ぎたい時には高感度に頼らざるを得ないわけで、4桁後半の超高感度域も実用上じゅうぶんな画質と感じられた。もちろん常用感度とは言っても上限のISO 102400を積極的に使おうとは思わないが、撮影結果は色もしっかりのっているのでイザ必要となれば躊躇なく使ってよいだろう。
動く被写体へも的確にピントを合わせ続けるという撮影においては最も熟練の技が要する部分を、誰がシャッターボタンを押しても容易にこなしてしまうようにしたのがディープラーニング技術による被写体検出と、トラッキングAF。
従来機のキヤノンの被写体認識は「人(瞳・顔・動体)」「動物優先(犬、猫、鳥:瞳・顔・全身)」「乗り物優先(モータースポーツ:車・バイク)」であったが、動物優先には「馬」が、乗り物優先には「鉄道、飛行機(ジェット機・ヘリコプター)がそれぞれ検出可能な被写体として追加。またそれら全検出対象をカメラが判別してAF測距を行う「自動」が選択できるようになった。
被写体検出は写真の失敗で最も多いピント合わせを確実なものにする革新的な技術だが、従来機ではあらかじめ検出対象の被写体を選択しておく必要があった。
本来の狙いとは違うジャンルの被写体との予期せぬ遭遇はままあること。特に目的を定めず撮り歩いている場合など、いいと思ったシーンに遭遇してからの検出対象を変更するのは煩わしいし、シャッターチャンスに間に合わなければ意味がない。
実際にそんな経験をした人も少なからずいると思うが、その点では今回EOS R6 MarkⅡに追加された「自動」は本当に撮影フィーリングを軽快にしてくれる。また、検出対象から任意の被写体をだけを外す設定もできるので複数の検出対象が1画面に混在するようなシーンでは目的の被写体だけの検出精度を上げる使いこなしも可能だ。
なお、被写体検出対象の切り換えをファンクションボタンのダイレクト操作に割り当てることが可能となった。今回は動画撮影を行わないので、ファインダーから目を離さずとも人差し指で簡単にボタン位置を探して押せる録画スタートボタンに割り当てることにした。1プッシュごとに素早く「人物→動物優先→乗り物優先→自動→人物」とローテーションして設定できるようになり具合が良かった。
新たに動物優先の被写体対象として追加された「馬」と被写体をカメラが判断する「自動」の働き具合を確かめるため競馬場で試してみた。
被写体検出「自動」の基本思想としてメーカーが公表している優先条件は以下の通り。
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ゆっくりと近づいてくる様子を望遠レンズで狙った。馬の顔の向きの影響もあるかもしれないが、かなり距離は離れているが、ゴーグルを装着している騎手の頭部を優先して検出している。
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(共通データ)被写体検出「自動」・RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
シャッター優先AE・1/1000秒・+1/3EV補正・ISO400・JPEGラージ・AWB
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先の撮影距離から少し近づいたところで測距し直すと馬を検出し、さらにピンポイントで瞳にAF追従しているのがわかる。
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被写体検出「自動」・RF70-200mm F2.8L IS USM
シャッター優先AE・1/2500秒・+1/3EV補正・ISO640・JPEGラージ・AWB
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目の前を通過する様子をクローズアップ気味に撮影。馬の頭部も検出しやすいはずだが、ゴーグルで瞳が確認できない人物の顔を優先して自動検出している。
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被写体検出「自動」・RF70-200mm F2.8L IS USM
シャッター優先AE・1/1600秒・+1/3EV補正・ISO400 ・JPEGラージ・AWB
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こちらでは騎手が下を向いているために人物を検出できなかったのか「自動」は馬を主被写体として検出し、瞳にもピンポイントで合焦している。
被写体検出「自動」で疾走する馬体全体と騎手が入る構図で横方向から撮影。
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被写体検出「自動」・RF70-200mm F2.8L IS USM
シャッター優先AE・1/1600秒・+1/3EV補正・ISO500 ・JPEGラージ・AWB
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被写体検出「自動」が人物を検出したケース
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被写体検出「自動」・RF70-200mm F2.8L IS USM
シャッター優先AE・1/1250秒・+1/3EV補正・ISO400・JPEGラージ・AWB
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被写体検出「自動」が馬を検出したケース
返し馬(ウォーミングアップ)のシーンなので全力疾走ではないがスピードはそれなりに出ている状態。数回試したがゴーグルを装着していてもやはり人物を高確率で検出した。稀に馬を検出するケースもあったが、こればかりは撮ってみないとわからないというのが正直なところ。
しかし、これくらいの撮影距離で真横からの撮影の場合、馬と騎手の頭部は被写界深度内にあり、被写体検出がどちらを検出しようと結果的には両方ともほぼピントは得られる。
このような機能検証目的ではなく本来の撮影であれば、目的が馬か人なのか、狙いによって「動物優先」か「人物」かをあらかじめ選択しておけば検出精度は当然上がる。
つまりピントが奥に抜けたり明らかなピンボケを連写で量産するキケン性が低いことは確実なので、撮影者はフレーミングやシャッタータイミングに今まで以上に集中できるようになるのは確実にありがたいことだ。
被写体検出「自動」・RF70-200mm F2.8L IS USM
シャッター優先AE・1/160秒・ISO100 ・JPEGラージ・AWB
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頼れる被写体検出とトラッキングAFのおかげでファインダーで被写体追従に神経を集中できる。もちろんカメラとレンズ双方でも効く手ブレ補正の効果もあるとは思うが、こころなしか流し撮りの成功率も上がったような気がする。
次の4枚はレース終盤の最終コ―ナーから抜け出した2頭のバトルを被写体検出「動物優先」の設定で連続撮影した11コマから一部を抜粋したもの。夕方で光も乏しい状況ではあったがAFは最初のコマから青いマスクの馬の頭部を捉えている。
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(共通データ)被写体検出「動物優先」・RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
シャッター優先AE・1/1600秒・-1/3EV補正・ISOオート・JPEGラージ・AWB
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掲載4枚目の撮影時に頭部ではなく馬体を捕捉する広めのAFフレームになったが、その後すぐに頭部へのピンポイントAFに切り換わり、トラッキングも効いて終始同じ馬にピントを合わせ続け、ダイナミックなシーンを撮影することができた。
EVFで被写体を追いながらもAFの食いつきの手応えを実感でき、競走馬撮影の醍醐味と楽しさを存分に味わえるカメラだと思う。
激しい動きへのAF追従もそうだが、対象の被写体との距離が遠く、画面に対してかなり小さなサイズでもコンスタントに検出できている。今までにいくつか触ってきた同様の機能をもつライバルメーカーを含めたミラーレス機のなかでもランク的には上位だと思う。
被写体検出「人物」・RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
シャッター優先AE・1/1600秒・ISO25600・JPEGラージ・AWB
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陽も落ちて刻一刻と暗くなっていく状況でもAFは危なげなく被写体検出と測距を行えた。AFフレームが被写体を捉えているのに測距はできていないなどという中途ハンパなミスもないので安心してシャッターを切ることができる。
被写体検出「動物優先」・RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
シャッター優先AE・1/1600秒・ISO10000・JPEGラージ・AWB
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競走馬は作例でよく撮る被写体だがEOS R6 MarkⅡは被写体検出が対応したというだけでなく時間や暗さも気にせず撮れるカメラだと思う。輝き始めた満月を絡めてみた。135mmにしてもけっして明るいF値が得られるレンズではないのだが、「まだまだ余裕でしょ」とカメラに言われたような感覚。
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被写体検出「動物優先」・RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
シャッター優先AE・1/1600秒・-1/3EV補正・ISO25600・JPEGラージ・AWB
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月絡みの撮影のあと、ズームアップとカメラを構え直して撮影したこの日最後のショット。一押しで切れた連写の3枚を確認すると近づきつつある被写体に対してそれぞれ違うAFエリアで測距しているのがわかる。撮影結果はどれも変わらぬピントなのだが、こういうところもデキるカメラのようで頼もしい。
被写体検出の「乗り物優先」の対象として新たに加わった飛行機。旅客機で試してみたところ、やはりかなり遠く画面上で機体が小さい状態からも素早く検出され、一度食いつけばAF追従も良好だった。飛行シーンを追う過程で一時的に建築物などに遮られるようなケースでも、再び機体を目視できるようになってからのAF復帰までも素早く申し分なかった。
被写体検出「乗り物優先」・RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
シャッター優先AE・1/1000秒・ISO125・JPEGラージ・AWB
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被写体検出「乗り物優先」・RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM・エクステンダーRF×1.4
シャッター優先AE・1/800秒・ISO125・JPEGラージ・AWB
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構図をあらかじめ決めて待ち、着陸機が画面右から構図内に進入して新旧管制塔の中間にさしかかるタイミングで撮影。後方から狙うアングルで構図内に進入後は機体がどんどん遠ざかるがAFも迷うことなく胴体部分に素早く合焦して撮影できた。
EOS R6 MarkⅡでは連写性能も強化され電子シャッターでの最高速はAE/AF追従で40コマ/秒を達成。これは前モデルEOS R6の同20コマ/秒の2倍となる。
また約30コマ/秒のRAW撮影をAE/AF追従で行えるRAWバーストモードおよびシャッターレリーズのタイミングから0.5秒遡って記録が可能なプリ撮影機能はフルサイズEOS機では初搭載である。
プリ撮影ONではシャッターボタン押下の0.5秒前の時点から、同機能オフの場合は押下の瞬間から約189枚の連続撮影が可能。これにより人間ではなかなか対応しきれない一瞬のタイミングを撮影できるようになった。この機能は他社ライバル機や小センサーミラーレス一眼機が先行していたのでEOSファンにとっては待望の機能搭載のはず。
RAWバーストモードで撮影した画像は一連の連写画像をグループ化したファイルになって記録されている。カメラ本体の再生メニューでは簡単に展開して前画像を確認し、任意のシーンを簡単に新規RAWやJPEG画像ファイルとして保存が可能。ただし、保存前の段階では画像を拡大してピント状態の確認ができないなど、今一つ使い勝手がよろしくない。
一方、パソコンに画像ファイルを転送した場合、グループ化されたファイルは「Digital Photo Professional」のRAWバースト画像ツールを用いないとすべての連写コマを確認することはできないが、このツールでのチェック時には1枚ごと任意の箇所を最大400%まで拡大し細部のピント状態も確認できる。
次に掲載する3点はRAWバースト画像ツールで撮影した連写画像のなかからベストなシーンを1枚のRAWとして新規保存をしたファイルを「Digital Photo Professional」でJPEGに現像処理したもの。画質調整は撮影時のまま編集せずトリミングのみ行っている。
被写体検出「動物優先」・RAWバーストモード・プリ撮影・RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM・エクステンダーRF×1.4
シャッター優先AE・1/2000秒・ISO12800・RAW現像・AWB
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水中の獲物を見つけたカワセミが狙いを定めて枝から飛び立ちダイブを始めた瞬間。
被写体検出「動物優先」・RAWバーストモード・プリ撮影・RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM・エクステンダーRF×1.4
シャッター優先AE・1/2000秒・-2/3EV補正・ISO12800・RAW現像・AWB
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仕留めた獲物のエビをくわえて水中から飛び上がり、枝に戻ろうとする瞬間。
被写体検出「動物優先」・RAWバーストモード・プリ撮影・RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM・エクステンダーRF×1.4
シャッター優先AE・1/800秒・ISO3200・RAW現像・AWB
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獲物の小魚を飲み込みやすくするため、咥え直して頭の向きを変える瞬間。
撮影時はシャッターボタンを押しこむ瞬間に備えて半押し状態で待ちかまえるスタイル。プリ撮影はその半押し中は行われるわけで、撮影者も神経を研ぎ澄ました状態が続くし、カメラも通常の通電スタンバイ状態よりは電池を消耗するので、多用するならスペア電池は用意しておきたい。
久しぶりにカワセミの水中ダイブシーンを撮影したが、プリ撮影で味を占めると通常撮影には戻れなくなりそうな予感。一部には邪道な撮影機能だと毛嫌いする人もいるようだが、文明の利器はありがたく使うべきだと思う。
EOS R6 MarkⅡに搭載された新機能の少々ユニークな機能が2つある。一つ目は「HDR動体優先」という撮影モード。
通常のHDRモードでの撮影は露出の異なる画像を3枚撮影し、その撮影画像をもとにダイナミックレンジの広い画像を合成処理で得るもの。動く被写体では画像ごとにズレが生じて合成処理ができないため基本的には静止した被写体が前提である。
しかしこのHDR動体優先は、1ショットのみでダイナミックレンジの広い画像を得られる機能。名称の通り、動体撮影でもHDR効果の画像が得られるモードだ。操作は撮影メニューからHDR動体優先を設定し、通常撮影と同様に撮影するだけと簡単。
ただし、HDR動体優先設定時には以下の約束ごとを覚えておきたい。
・ISO感度の下限がISO800になる
・RAW撮影はできず画像ファイルはJPEG記録のみ
・メカシャッターの選択は不可
・「電子シャッター」設定時はローリングシャッター歪みが発生する場合がある
HDR動体優先撮影
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通常撮影
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撮影比較①
パドックを周回中の競走馬を撮影。馬の体色や顔の黒カバーを見比べると暗部が持ち上げられていることがわかる。効果の強弱などを設定する機能は無く、カメラ任せだが、いかにもHDRというクドさはさほど感じないので、結構実用的なHDRかもしれない。
HDR動体優先撮影
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通常撮影
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撮影比較②
夜景撮影では基本的には3ショット撮影画像で自動合成する「HDRモードDレンジ優先」を選択するほうが良さそうで、実際にキヤノンの機能紹介作例でもイルミネーションや都市夜景の作例が紹介されていたりする。しかし自動車のライトの光跡という要素があるため、敢えてHDRモード動体優先設定で撮影してみた。
標識や看板の文字が飛ばない程度に露出をマイナス補正しているため、通常のスローシャッターでは光の弱い部分はどうして見た目以上に暗く写ってしまうが、HDRを掛けると僅かな照明光しかあたっていない路面のディテールも見えてきて夜景に華やかさが出た。光跡撮影となれば今はインターバル撮影の比較明合成が当たり前かもしれないが、そこまで手間も時間もかけずにちょっと盛った感じの夜景をサクッと撮りたい時には使えそうだ。
もう一つのユニークな新機能はデジタルテレコン。×2.0と×4.0の2種類から選択できる。使用しているレンズの焦点距離が単純に設定した倍率相当になると考えて良い。
例えば100-400mmズームで2倍デジタルテレコンなら200-800mm相当。4倍なら400-1600mm相当という計算だ。AF測距は中央1点に固定される。
別の機能として備わっているAPS-Cセンサー相当の1.6倍クロップとの併用も可能で、その場合デジタルテレコンの倍率は×3.2倍と×6.4倍となる。
RF100-500mmF4.5-7.1 L IS USMで2022年最後の満月を手持ち撮影。
テレ端500mm
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×2.0デジタルテレコン(1000mm相当)
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×4.0デジタルテレコン(2000mm相当)
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×1.6クロップ機能と×4.0デジタルテレコンの併用(×6.4倍 3200mm相当)
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画像はカメラの自動処理により、設定倍率で切り出しとリサイズなどデジタル処理が施されてJPEG形式で記録される。画像を拡大しているため画質の低下は否めないがそこを気にしなければ超望遠レンズを遥かに超える撮影が楽しめる。
Photo & Text by 宇佐見 健(KEN USAMI)