目次
Leica SL3の特徴
SLシリーズの最新モデル
オートフォーカスが強化
軽量化により取り回しが更に向上
より操作しやすくなったデザイン
Leica SL2との比較
より高解像度に
像面位相差AFの追加
進化した映像エンジン
CFexpress TypeBが使用可能に
同調速度と手ブレ補正はSL2が有利
SONY α7RVとの比較
メリット・デメリット
数少ないフルサイズ6000万画素クラス機
大きなハードルとなるのは価格
おすすめしたいユーザー
10608 [ライカ SL3]
まとめ
ライカのフルサイズミラーレスカメラのSLシリーズから3世代目となる「Leica SL3」が発表されました。
M11シリーズやQ3と同様のトリプルレゾリューション搭載の6000万画素センサーや、約70gに軽量化されるなど歴代SLシリーズから大幅なアップグレードを遂げています。
スタジオ撮影からスナップ、はたまた動画撮影まで1台でさまざまな被写体・撮影シーンに対応できる最新のフラッグシップらしいカメラとなっています。
Leica SL3には、SLシリーズ初となる位相差検出(PDAF)が搭載されました。
初代SLではコントラストAF、そしてSL2ではコントラストAFの他にデプスマップ(物体検出AF)が追加となっていましたが、Leica SL3ではこれまでのAF方式に加えて、位相差AFとのトリプルハイブリッドAFとなりました。
これまでのSLシリーズもコントラストAFとしてはかなり早く、不満に感じることは少なかったですが、位相差AFによりさらなる高速化を望むことができます。
また、位相差AFは写真だけでなく、動画撮影にも効果を発揮しますので、これまで以上にオールラウンダーなカメラになってくれるのではないでしょうか。
近年のカメラは大型化の傾向にありますが、Leica SL3は先代であるLeica SL2からダウンサイジングされました。
約70g軽量化、横幅は5mm小さくなりました。
逆に高さと厚みは大きくなりましたが、この2点はグリップ感の向上に重要なファクターとなるためむしろ歓迎ともいえます。ファインダー解像度など多くのスペックを維持しながら小型化を可能にしたLeica SL3には驚きです。
IP54の防塵防滴は継続して搭載されており、これまで同様さまざまな場面で使用できるので、オールラウンダーらしさが洗練された印象です。
Leica SL3はボタンの配置が変更になり、ダイヤルの追加となりました。
メニューやFNボタンは左側から右手でも操作しやすい右側へ、マウント横の前面ボタンも調整がなされています。
また、電源スイッチも変更になっており、レバー式からボタン式に変更、電源オン時はボタン部が点灯するように視覚的にも分かりやすくなっています。
さらに、軍艦部右肩にもダイヤルが追加されています。ここには任意の露出設定の割り振り可能となり、M型ライカのISOダイヤルのように使用できるようになるそうです。
Leica SL3のイメージセンサーはLeica M11・Leica Q3でも使用されている6000万画素のフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーを採用し、トリプルレゾリューションテクノロジーにも対応しています。
先代のSL2では4730万画素となっていましたが、現在の高画素フルサイズミラーレス機らしい画素数へと進化しました。
また、同じ画素数であるM11・Q3と異なる点として、Lマウント向けにセンサー上のマイクロチップが設計されています。
これによりアポ・ズミクロンのような高解像度のレンズの性能を最大限発揮できるようになっています。
もちろん、Mマウントレンズも考慮している設計のため安心して使用できます。
これまでのSLシリーズではコントラストAFがベースとなっていましたが、Leica SL3では像面位相差AFが追加となりました。
LeicaのコントラストAF(特にSL2)はコントラストAFとは思えないほど高速で動体撮影も難なくこなせるほどでした。
SL3に像面位相差AFが追加になったことで、非常に期待のできるカメラに進化しています。
さらに、像面位相差AFは写真だけでなく、動画でもその威力を発揮します。
コントラストAFは動作方式上、前後にピントが揺らいでしまうため、動画時には非常に見づらい映像になってしまいますので、位相差AFでは方式上、発生しない構造となっており、映像カメラとしても大きく進化した点といえるでしょう。
Leica SL3ではLeica Q3から採用されているMaestroⅣを搭載しています。
MaestroⅣはPanasonicとの協業で生まれたPanasonicの誇るL2 Technologyがベースとなった画像処理エンジンです。
最新映像エンジンにより、8K・C8Kの撮影や6000万画素の写真データをより高速に処理します。
8K撮影・6000万画素撮影可能と聞いて心配になるのは書き込み速度ではないでしょうか。
Leica SL3は、UHS-II・CFexpress TypeBの2種類のカード対応しており、8K動画でも、高画素の連写でも書き込み速度を心配せずに撮影を続けられるようになりました。
また、CFexpress TypeBに対応したことで、撮影後のワークフローの効率化できるというメリットもありますので、待ち望んでいたという方も多いのではないでしょうか。
ここまで大きくスペックアップを果たしたLeica SL3ですが、手ぶれ補正とフラッシュ撮影時の同調速度については、SL2の方が優勢となります。
まず、手ブレ補正に関しては0.5段の低下(SL2 5.5段→SL3 5段)となりました。6000万画素という高画素カメラなので、手ブレに対してシビアな部分となりますので残念な点です。
また、同調速度も低下(SL2 1/250s→SL3 1/200s)しています。SLシリーズをスタジオ撮影やポートレートをメインに使用しているという方には要注意となります。
個人的には、重量が増えても、手ぶれ補正とフラッシュ撮影時の同調速度はスペックダウンして欲しくなかったというのが正直な感想です。
SONY α7RVは2022年11月25日発売の6100万画素フルサイズセンサー搭載のミラーレスカメラです。
Leica SL3とほぼ同等の画素数を誇り、手ぶれ補正段数は8段、フラッシュ同調速度も1/250秒と現行フルサイズのミラーレスカメラとしてはフルスペックを誇ります。
動画についても、8K撮影可能な点やSONYのシネマカメラVENICEのノウハウを活かして作られたカラールックなどさまざまなスペックが最高峰となっています。
しかしα7RVはボディが小さいため使う方によっては手の収まりが良くない、軍艦部液晶が無い、CFexpressが主流のTypeBではなくType Aが採用されているなど細かいながらもストレスになる点があります。
そんな中Leica SL3は大きな手でもグリップ感が程よく軍艦部液晶を装備、ライカならではの色表現や8K撮影可能、CFexpress TypeB使用可能など不満な点が解消されています。
とにかくスペック重視という方はα7RV、すべての性能のバランスがちょうど良く取れているカメラがほしいという方にはLeica SL3がおすすめです。
Leica SL3はIP54の防滴・防塵、ライカならではの色表現や、描写力の高いLマウントレンズなどさまざまな要素がバランスよく整ったカメラです。
6000万画素センサーを搭載したフルサイズミラーレスカメラはまだ少なく、高画素でライカレンズを味わえる贅沢な機種となっています。
採用しているLマウントは、現在多くのサードパーティレンズが発売されており、いろいろ楽しみ方ができるカメラです。
Leica SL3の販売開始価格は100万円を超える価格となっています。一般に比較される、6000万画素フルサイズミラーレスが2台買えてしまうほどの価格です。
手ブレ補正の低さや電池持ちの悪さといった点で倍近い価格は見合わないように思えます。
100万円を超えるカメラとなると、FUJIFILM GFX100IIなどの中判デジタルと同じ金額です。やはり高額という点がデメリットとなります。
しかし、ライカならでは色やデザインは唯一無二であり、その点に価値を見いだせるのであれば非常に良いカメラといえるでしょう。
Leica SL3はライカならではのデザインや、SLシリーズならではの何でも撮影できるフルサイズミラーレスカメラです。
ライカのプロダクトデザインやライカの色表現、高いAF性能、IP54の防滴防塵性能など、どのような状況のフィールドでも撮影できる魅力はSL3にしかないものではないでしょうか。
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