目次
FUJIFILM X100VIの特徴
Xシステムのコンパクトカメラが大幅進化
X100シリーズのコンセプトはそのままに
スナップシューターとしてより洗練された
フィルムシミュレーションに「REALA ACE」が追加
旧モデル(X100V)との比較と進化点
裏面照射型高解像4020万画素センサー
5軸、最大6.0段のボディ内手ブレ補正
被写体検出オートフォーカス
継承されたX100シリーズのコンセプト
変わらぬ質感、デザイン
X100シリーズのアイデンティティー「ハイブリッドビューファインダー」
ボディ内手ぶれ補正搭載もサイズアップはわずか
メリット・デメリットとおすすめユーザー
正当進化と呼べる各機能の大幅なブラッシュアップ
価格はやや高め
写真を撮るのが楽しくなるカメラ
まとめ
ファン待望とも言えるXシステムのコンパクトカメラ「FUJIFILM X100VI」が発表されました。
最新の4020万画素センサー、被写体検出機能を含む第5世代のオートフォーカスアルゴリズム、X100シリーズで初となるボディ内手ぶれ補正など、旧モデルのX100Vと比較しても大きな進化を遂げています。
スピード感あふれる撮影が可能になっただけでなく、風景などを高精細に写しとめる事もできるので、今まで以上に幅広い被写体に対応できるカメラになりました。
ファーストモデルのX100以降連綿と受け継がれてきたX100シリーズのコンセプトは余すところなく継承されました。
持っているだけで楽しくなる高い質感のボディや、OVFとEVFを瞬時に切り替えられるハイブリッドビューファインダー、アナログな操作性がそれで、やみくもに変化だけを追い求めないところにFUJIFILMのカメラ開発にかける情熱を感じます。
一言で言うなら「写真を撮るのが楽しくなる」X100VIはそんなカメラです。
ここ数年でFUJIFILMの評価を一変させたもの。それはオートフォーカスではないでしょうか。
ゆったりとした撮影では高い支持を得ていたFUJIFILM Xマウントカメラですが、複雑に動く被写体への対応にはオートフォーカス性能は少し物足りない。そんな評価を覆したのがX-H2Sの発売です。
FUJIFILM X100VIには最新のオートフォーカスアルゴリズムや被写体検出機能が搭載されていますので、一瞬を写しとめるスナップシューターとしてより洗練されたと言えるでしょう。
中判デジタルカメラ「GFX100II」に搭載されて好評だったフィルムシミュレーション「REALA ACE」が追加されました。
X100VIはXマウントカメラとして初めてREALA ACEを搭載したカメラになります。
フィルムライクという言葉がこれほどしっくり来るカメラも無いので、PROVIAと並んでスタンダードなフィルムシミュレーションが使える事はX100VIをより魅力的なカメラとしてくれそうです。
デジタルカメラの核となるイメージセンサーは、最新の4020万画素 X-Trans CMOS 5 HRセンサーになり画素数が大幅にアップしました(X100V:2610万画素 X-Trans CMOS 4センサー→X100VI:4020万画素 X-Trans CMOS 5 HRセンサー)。
これはAPS-Cサイズセンサーでは最高クラスの解像度を持ったセンサーであり、これによりX100VIが画質的にもトップクラスのコンパクトデジタルカメラとなった事を表します。
少し面白いのはレンズは旧モデルと同じものが使われている点で、このレンズがより高い解像度が必要な4020万画素センサーにも対応できる非常に高性能なレンズである事が証明されるかたちとなりました。
X100VIはX100シリーズではじめてボディ内手ぶれ補正を搭載しました。
これにより、手ぶれによる失敗が防げるという事は勿論、夜景などの低輝度下での撮影やスローシャッターを使った撮影など、幅広い表現が可能になりました。
又、手ぶれ補正は動画撮影にも有効で、滑らかで見やすい映像表現が可能です。
FUJIFILMのカメラが第5世代になって大きく評価を上げた点がオートフォーカス性能ではないでしょうか。
特に被写体検出機能はこれまでの他メーカーの製品と比べても遜色なく、一部機種を追い抜くレベルです。
コンパクトなボディと直感的な操作性、高性能なレンズで、スナップシューターとしても高い評価を得ていたX100シリーズですが、オートフォーカス性能の更なる向上で、よりその性能に磨きがかかったのではないでしょうか。
高い質感とクラシックカメラのようなスタイルはX100シリーズの特徴で、特に旧モデルとなるX100Vは細かい部分にまでこだわったデザインで高い評価を得ていました。
X100VIはX100Vと殆ど変わらないデザインです。
外観上の違いは、ハイブリッドビューファインダーの切り替えレバーの赤の塗りが無くなった、センサー指標の場所が変わったなどわずかで、2台を並べると間違い探しをしているようです。又、背面のDRIVE/DELETEが少しシャッター側に異動しており、右手の親指が届くようになりました。
X100シリーズのアイデンティティーとも言えるハイブリッドビューファインダーもそのまま継承されています。
せっかくなので液晶のドット数やファインダー倍率などが見直されていると良かったのですが、スペック表をみる限り変更はなさそうです。
しかし、機能が簡略化される機種もある中、カメラの重要な要素を変更なく搭載している(特にファインダーはコストのかかる部分ですし)あたりはさすがFUJIFILMだと感じます。
驚きなのは、ボディ内手ぶれ補正を新たに搭載していながら、ボディの厚みが旧モデルと比較して殆ど変わっていない事です。
正確には厚みが約2mm厚くなっているという事ですが、わずか2mmのサイズアップで手ぶれ補正を組み込んでいる事には驚きました。
又、手ぶれ補正が搭載された事でバッテリーの持ちが悪くなるように思えるのですが、カタログ上は僅かに撮影可能枚数が増えており、地味ながら実用上嬉しい点ではないでしょうか。
センサー・手ぶれ補正・オートフォーカスなど、撮影を快適に進めるうえで重要な機能が大幅に向上した正当進化モデルです。
目新しいところはありませんが、旧モデルが非常に高い評価を得ていただけに、余計な変化を求めなかった事はむしろ清々しいと思います。
必要な機能をブラッシュアップして余計なものを足さなかった事はこれまでのX100シリーズの評価を考えると大きなメリットと言えるでしょう。
デメリットは、コンパクトカメラとしては高額だという事です。
しかし、欠点の無い高性能な機種であり、デザインや質感も優れている事から、例えばライバル機種をLeica Q3と想定するならむしろコスパが高いと言えるかもしれません。
個人的には、写真を楽しむという面で得難い魅力を持ったカメラだと思うので、妥当な価格かなと思うのですがいかがでしょうか。
FUJIFILM X100VIは写真を撮る事をとことん楽しみたいユーザーにおすすめです。
高性能で表現力に富んだレンズ、高速・高精度でシャッターチャンスを逃さないオートフォーカス、難しい条件でも失敗を最小限に食い止める手ぶれ補正、シャッターを押す瞬間に写真の雰囲気をつくれるフィルムシミュレーション。これらは全て自分の思ったとおりの写真を撮る為の強力な武器になります。
気に入ったカメラを操作して思い描いたとおりの写真を撮りたい。X100VIはそんなユーザーの欲求をきっと満足させてくれるでしょう。
» 詳細を見る
Photo & Text by フジヤカメラ 北原