カメラのレンズには、写る範囲を変えられるズームレンズや近い距離を撮影できるマクロレンズまでたくさんの種類があります。カメラによって使用できるレンズ規格「マウント」が決まっていますので対応していないレンズを選んでしまうとカメラに取り付けられないということも...。
そのようなことがないように使用するカメラのレンズ規格「マウント」に対応しているか、レンズに写る範囲やレンズが取り込める光の量などを事前にチェックしてから選びましょう。
この記事では、レンズの選び方やチェックポイントを詳しく解説していきます。
目次
カメラレンズの種類と選び方
マウントとは
対応のセンサーサイズ
焦点距離とF値
単焦点レンズとズームレンズ
標準レンズとは
マクロレンズ
カメラレンズの使い方
レンズ交換
ピントとズーム
絞りリング
レンズフードとフィルター
レンズの保管と清掃
レンズとカビ
レンズ清掃に便利なグッズ
中古レンズを選ぶ際のポイント
レンズ内のコンディション
フォーカスや絞りの動作
外観
まとめ
レンズ沼!?
カメラレンズを選ぶ際にチェックしておくべきポイントは、「マウント」と「センサーサイズ」が使用するカメラに対応しているか、そしてレンズの「焦点距離」と「F値」が欲しいものと合っているかを確認することです。基本的にはレンズの名称にこの特性が記載してあります。
これらを把握していないと使用しているカメラで使えなかったり、思っていたような写真が撮れなかったりしますので、必ず事前に確認をしておきましょう。
マウントとは、カメラの取り付け部分の名称です。マウントにはメーカーごとにいくつかの規格があり、同じ規格でないと取り付けることができません。
マウントは規格によって「Canon RFマウント」や「SONY αマウント」のように〇〇マウントといった名前が付いていますので、自分のカメラのマウントの名前を覚えておきましょう。
カメラのセンサーサイズは「フルサイズ」「APS-C」「マイクロフォーサーズ」というように、カメラによって異なります。レンズは、どのサイズのセンサーサイズに対応しているかが決まっているので、購入前にチェックしておきましょう。
特にフルサイズまで対応したマウントだと、同じマウントの中にフルサイズセンサーまで対応したレンズとAPS-Cサイズセンサーまでしか対応していないレンズが混在しているので注意が必要です。
また、大きなサイズのセンサーに対応したレンズは小さなサイズのセンサーのカメラには使えるなど、ルールが細かくて難解なので、わからなかったらメーカーやショップに問い合わせてしまっても良いかもしれません。
レンズの名称には焦点距離とF値(開放F値)が記載されています。
焦点距離はmmで表され、写真用のレンズでは写る範囲(画角)を表します。標準レンズ(標準レンズについては後述)よりも焦点距離が長いレンズが遠くのものを大きく撮れる望遠レンズ、標準レンズよりも焦点距離が短いレンズが広い範囲が撮れる広角レンズです。
F値(開放F値)はF〇〇や1:〇〇といったように記載され、レンズが取り込める光の量の最大値を表します。F値が小さいほど取り込める光の量が多い明るいレンズです。また、レンズにはF値が小さいほどピントの合う範囲が狭くなるという特性があるので、ボケを大きくしたいなら、できるだけF値の小さなレンズを選ぶと良いでしょう。
焦点距離が固定され、画角(写る範囲)を変えられないレンズを単焦点レンズ、焦点距離を変えて、写る範囲を変えられるレンズをズームレンズと言います。
単焦点レンズは「F値が明るい」「画質が良い」といった特徴がありますが、写る範囲が変えられないので細かな画角の調整を自分が動いて行う必要がある少し扱いの難しいレンズです。
ズームレンズは画角を変えられるので、細かな画角の調整がやりやすいのがメリットですが、F値を明るくするのが難しくF2.8より明るいレンズはほとんどありません。以前であれば、ズームレンズの方が画質が劣るといった一文を付け加えるところですが、最近のレンズ設計技術の進歩は目覚ましく、ミラーレス用ズームレンズの中には単焦点レンズと見分けが付かないレベルの、非常に高性能なレンズもあります。
一般的にフルサイズカメラ(または35mm判フィルムカメラ)に取り付ける50mm焦点距離のレンズを標準レンズと言います。
標準レンズよりも焦点距離が長いレンズが望遠、短いレンズが広角です。また、センサーサイズが変わると同じ焦点距離でも画角が変わり、APS-Cでは焦点距離×1.5(Canonは1.6倍)、マイクロフォーサーズでは焦点距離×2がフルサイズ換算の画角となります。APS-Cでは30~35mmくらいが、マイクロフォーサーズでは25mm前後が標準レンズです。
標準レンズにはF値が明るく高性能なレンズが多いので、写真に慣れて来たら1本はもっていたいレンズです。
マクロレンズは、小さなものに近寄って大きく写すためのレンズです。
多くのマクロレンズが単焦点なので、花や昆虫、アクセサリーなど小さなものの撮影だけでなく、明るいF値によるボケを活かしてポートレートなどにも使える、意外と汎用性の高いレンズです。被写体に近づいてピントが合う最も短い距離の事を「最短撮影距離」といい、最短撮影距離で1cmの被写体がセンサー上に1cmに記録されることを「等倍」と言います。
本格的なマクロレンズでは等倍まで近づけるのが普通で、中にはCanonのRF100mm F2.8 L MACRO IS USMのように等倍を超える撮影倍率のレンズもあります。
レンズの取り付けは、カメラの取り付け指標にレンズの取り付け指標を合わせて、レンズを回転させてレンズがロックされればOKです。取り外しはレンズのロックボタンを押して取り付けとは逆方向にレンズを回します。
ここで注意する点は、レンズ取り付けはロックボタンは押さずに行うことです。たまにロックボタンを押しながら取り付けている方を見かけますが、ロックがかかったカチッという音がしなくなったり、レンズによってはロック位置を行き過ぎてしまうケースもあるので、取り付け時にはロックボタンを押さない方が良いでしょう。
レンズ交換は慣れていないと落下などの事故につながるので、使用する前に自宅で練習しておくのがおすすめです。
ズームレンズには2つのリングがあります。ひとつが手動でピントを合わせる際に使うピントリング、もう一方が画角を変える際に使うズームリングです。
2つのリングの位置関係はレンズによって違うので、撮影前にそれぞれの位置を覚えておくと良いでしょう。
また、それぞれのリングが滑らかに動かないと撮影の際にストレスになったりするので、可能なら実際にレンズを操作して確認をしましょう。
絞りリングはレンズによって付いているものと付いていないものがあります。
付いていないレンズはカメラ側のダイヤルで絞りを変えることになりますが、絞りを一気に大きく変える場合にはレンズの絞りリングがあった方が操作がスピーディーに行えるので、そういった操作が必要な明るい単焦点レンズには絞りリングが付いていることが多いようです。
レンズによっては絞りリングが絞り以外の操作に使える便利なものもあります。
レンズ購入時に是非検討して欲しいアクセサリーがレンズフードとレンズフィルターです。
レンズフードはレンズ前面に装着するひさしの役割を果たすアクセサリーで、レンズに直接光が当たるのを防いで画質を向上させる役割があります。高級タイプのレンズではフードが付属品として付いて来るのが普通で、それだけレンズの描写性能について重要な役割を果たしているということでしょう。
レンズフィルターはレンズ前面にねじ込んで使うガラス板ですが、レンズに傷が付かないようにする保護フィルターを筆頭に、ソフト効果や色を強調するフィルターなど様々な種類があります。
初めて聞くと驚くかもしれませんが、レンズに使われる光学ガラスにはカビが生えます。
カビは湿度が低い場所には生えずらいので、レンズの保管はできるだけ湿度の低い場所で行うのが良く、湿度を低く一定に保つ防湿庫や防湿ケースに入れておくのが理想です。経験的にはカメラバッグに入れっぱなしというのが一番カビが生えやすいので、少なくともバッグから出して保管するのが良いと思います。
また、レンズに汚れが付いているとそこからカビが生えるケースもあるので、撮影が終わったらまめに清掃する方が良いでしょう。
レンズの清掃というと傷を付けてしまうのではないかと躊躇する方もいますが、最近のレンズコーティングは非常に頑丈なので、手順さえふめば誰でも行えます。
必要な道具はブロワー、クリーニングペーパー、クリーニング液の3つで、いずれもカメラ専門店で取り扱っています。
手順は先ずブロワーでレンズのホコリを吹き飛ばし、クリーニング液を少量付け(汚れが少ない時は乾拭きでもOK)、クリーニングペーパーで表面を拭きます。あまりゴシゴシこすると傷がついてしまうので、優しくやるのがポイントです。
カメラ用レンズは流通量も多くカメラ程複雑ではないので、予算次第で中古を検討するのもおすすめです。
とはいえ、高額な精密機械を中古で購入することに不安を感じるのではないでしょうか。そこで、中古でカメラレンズを購入する際チェックすべきポイントをいくつかご紹介します。
いずれも店舗での購入を前提にしていますが、もしネットで購入するなら、信頼の置ける専門店で保障の付いた製品を購入するのが良いと思います。
光に透かしてレンズ内のコンディションを確認します。カビが生えていたりレンズが白く濁るクモリという現象がおきているレンズは描写性能が低下するので避けるのが無難です。
ズームレンズや広角レンズは慣れないとレンズ内を見るのが難しいので、そういった場合は店舗スタッフに見てもらった方が良いかもしれません。
また、程度にもよりますが、ホコリや塵は入っているのが普通で写りにも影響しないケースが多いので、あまり気にしなくて良いでしょう。
オートフォーカスや絞りなどの動作部分が正常に作動しているか確認します。最近のカメラ用レンズは電動で動く部分が多いので確認はカメラに装着して行います。
絞りはレンズ前面から動いているかを確認、オートフォーカスは正確にピントが合うか、作動時に異音がしないかなどを確認しましょう。
しかし、例えば異音などは正常なものを知らないとわかりませんし(古いレンズの中には、正常でもびっくりするくらい大きな音がするレンズもあります)気になる場合は、店舗スタッフに確認しても良いと思います。
車などとちがい、カメラのレンズはどのくらい使われたかを外観のコンディションから想像するしかありません。
外観に傷が多いものやツヤが出たもの、ぶつけた跡(業界用語で「アタリ」と言ったりします)があるものは避けた方が良いでしょう。
また、マウント部分にあまりにも傷が多いレンズはそれだけ頻繁にレンズ交換されていることが想像できますので、その場合も避けた方が無難かもしれません。
レンズにはカタログにのるスペック以外にも、それぞれのレンズごとに写り方の個性があります。そのため、レンズの写りの個性を求めて彷徨う愛好家も多く「レンズ沼」にハマる写真好きが後を絶ちません。
知らない人から見れば無駄なことをしているように見えるかもしれませんが、実際沼にハマってみると思った以上に楽しく、写真を長く撮り続けるモチベーションになったりします。
このブログでは、レンズの実写作例レビューも掲載していますので参考にしていただきながら、レンズ沼に楽しくハマっていただればと思います。