Panasonic (パナソニック) LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S. の実写レビューです。
フルサイズセンサーを搭載したLUMIX Sシリーズ用レンズの中でも、描写性能を特に重視したフラッグシップモデル「S PRO」のうち、大口径望遠ズームを担うのがこの「LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S.」です。
パナソニックのレンズらしい、解像感一辺倒ではない柔らかで立体感のある描写が特徴となっています。
特徴/操作性
Lマウントで唯一の大口径望遠ズーム
堅牢なつくりと滑らかな動作は正にプロ仕様
便利な機能
実写レビュー
高画素機の性能を余すところなく引き出せる
高速で俊敏なオートフォーカス
張り付くように止まる手ぶれ補正
画角・絞りを問わず安定した描写性能
テレコン使用時でも画質劣化が少ない
画質
解像感
テレコン使用時の解像感
ボケ味
LUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S.との比較
おすすめユーザー
まとめ
Panasonic (パナソニック) LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S. は、2020年1月に発売された、Lマウントのミラーレスカメラ用レンズです。
パナソニックのLUMIXボディだけでなく、シグマやライカのLマウントボディでも使用可能な、Lマウントで唯一の(2022.6現在)大口径望遠ズームレンズとなっています。
F2.8通しの大口径望遠ズームは、所謂大三元の一角を担うレンズであり、プロユースを前提にした高いレンズ性能や、堅牢性、操作性などを達成しています。
ミラーレス用の大口径望遠ズームとしては平均的なサイズですが、17群22枚レンズが詰まった鏡筒はずっしりと確かな手応えがあります。
ズームリング、フォーカスリングの動きは遊びが無く精密、防塵防滴はもちろんマイナス10℃の耐低温性能を備えた高い堅牢性があるのも、プロ仕様の「S PRO」シリーズならではです。
フォーカスリングはスライドさせて即座にマニュアルフォーカスに移行する事ができる機構を持ち、滑らかな動きで厳密なピント合わせもやりやすい仕様となっています。
鏡筒側面にはフォーカスリミッターと手ぶれ補正の動作モード切り替えスイッチが配置され、ズームリングとフォーカスリングの間に3つのフォーカスボタンがあります。
フォーカスボタンは事前に撮影者の好みに合わせて機能を割り当てておく事ができますが、3つのボタンそれぞれにではなく3つとも同じ機能になります。
着脱可能な三脚座は、台座部分がアルカスイスタイプになっているので、対応の雲台であればプレート無しでそのまま取り付けできる、最近のトレンドになっている仕様です。
フィルター径: | Φ82mm | 最短撮影距離/最大撮影倍率: | 0.95m/0.21倍 |
---|---|---|---|
最小絞り: | F22 | 絞り羽根: | 11枚羽根(円形虹彩絞り) |
長さ: | 約208.6mm | 重量: | 約1,570g |
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テストボディには高画素機のS1Rを選びました。
カメラの設定は、フォトスタイル:スタンダード、ホワイトバランス:AWB、回折補正と周辺光量補正はオフ、その他は初期設定のまま撮影しています。
被写体は望遠ズームということで、普段から撮り慣れた鉄道写真、より長焦点での撮影も頻繁に行うので、テレコンバーターでの撮影も試してみました。
高い場所から俯瞰で、風景も取り入れての撮影は鉄道写真では定番の撮影方法です。
Panasonic (パナソニック) LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S. は画質的に申し分ないレベルにあり、約4730万画素センサーの性能を十分に引き出せるどころか、まだまだ余裕があるようにさえ感じられます。
それでいてエッジが立ってカリカリ硬い描写というわけではなく、柔らかさと立体感のある自然なシャープさは以前テストしたPanasonicのレンズと同様の傾向です。
絞り開放でAFCモードというシビアな条件にして動体追従しましたが、ピントを外す事はまれで、ほとんどのコマで正確に追従されており、高速で正確なオートフォーカスです。
画質的にも絞り開放から甘さは全く感じられず、開放から躊躇なく使える画質だと感じました。
パナソニック独自の「空間認識AF」は動体追従性能で他社と比べると今一歩な所もありましたが、世代を経るごとにしっかりと改良されていて、マイクロフォーサーズ機の頃よりも格段に精度が上がっているのを改めて確認できました。フォーカススピードはボディ側の性能による所が大きいですが、レンズ内モーターの高速な動作がピントのスピードや精度に大きく貢献している事は間違いないでしょう。
ボディ側とレンズ側の協調制御で約7段分(S1シリーズの場合)と、高い効果が得られる手ぶれ補正は、静物は勿論、鉄道のように動いている被写体にも有効です。
作例5はカメラを振って被写体を追いかける流し撮りをしながら撮影していますが、ファインダー内で新幹線がぴたりと止まっているのがわかり、動きながらの撮影でもフレーミングがとてもしやすいと感じました。
Panasonic (パナソニック) LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S. は、レンズ名称にLEICAの名前こそ付きませんが、ライカカメラ社の厳しい評価基準をクリアし「Certified by LEICA」認証を受けている高性能レンズです。
絞り開放から甘さを感じさせない高い解像感があり、絞りや焦点距離による画質の差は最小限に抑えられています。
最近ではこういった高性能レンズも多くあるので、まるで普通の事のように感じますが、開放F値が固定された大口径ズームで絞り値による画質の変化が殆ど無い事は、実はかなり凄い事だと思います。
Panasonic (パナソニック) LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S. の特徴のひとつに、テレコンバーターが使える事と、テレコンバーター使用時の画質劣化が少ない事があります。
作例9と作例10では2倍のテレコンバーター「DMW-STC20」を使用して撮影していますが、絞り開放でも予想していたよりも画質の落ち込みが少なく、十分以上に実用的であると感じました。
鉄道のような望遠レンズ主体の撮影が多くなる被写体では望遠端200mmでは心もとない事も多く、テレコンバーターを使って400mmまで使えると思えば安心感につながりますし、画質の劣化も少ない事を考えると、レンズ購入時にテレコンバーターを同時購入する事もおすすめです。
作例3を拡大して解像感をみてみましょう。
絞り開放でここまで大きく拡大しても甘さはほとんど感じられないシャープなレンズです。
メーカーの製品情報を見てもレンズコーティング等の言及は特にされていないですが、とても抜けの良い描写で、反射防止対策も徹底されていると思われます。
次に作例10を拡大して、2倍テレコンを使用した状態での解像感をみてみます。
さすがに拡大すると若干の甘さがわかりますが、劣化の度合いはわずかで、絞り開放で2倍テレコンバーターを使用している事を考えれば、かなり優秀な部類と言えるでしょう。
以前は「2倍テレコンを使うと画質が大きく落ちるから、1.4倍で留めた方が良い」とよく言われましたが、レンズ性能の向上によりそれも昔の話なのかもしれません。
線路沿いで列車を待つ間、急に野良猫が現れたので素早くカメラを向けシャッターを切りました。
開放の大きく自然なボケ味は、鉄道のみならずスナップやポートレートでも活躍しそうです。
又、瞬間的なシャッターチャンスを逃さないオートフォーカスのスピードも証明された事になり、Panasonic (パナソニック) LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S. が望遠レンズに必要な要素を高いレベルで持っている事が確認できる結果となりました。
手前から奥へとてもなだらかで自然なボケ味です。口径食の発生も少なく高い解像感との両立もなされています。
現時点(2022.6月)でLマウントで唯一の大口径望遠ズームであるLUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S. は、ある意味唯一無二のレンズであり、購入を悩むライバルの少ないレンズです。そこで、ここでは同じPanasonic (パナソニック) のLUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S.を比較対象として選びました。
いずれも「Certified by LEICA」認証を受けた高画質なレンズなので、F2.8を取るか、小型軽量を取るかが選択のポイントになります。
当然、LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S. がスペックでLUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S.に劣る部分はありませんが、500g近い重量差は持ち運びの負担という意味で大きな違いとなります。風景など、絞って使うシーンの多い被写体ではLUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S. を、大きなボケを活かしたい撮影や、手持ちでテレコンバーターの使用が前提なら、1絞り明るいLUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S. を選ぶのがおすすめです。
定番の大口径望遠ズームレンズなので、画質やボケにこだわる全てのカメラマンにおすすめのレンズです。
テレコンバーターを装着した際の画質の劣化も最小限なので、400mm f5.6として使う事を視野に入れられるのもPanasonic (パナソニック) LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S. の大きなメリットと言えます。
望遠域の大半をカバーできる高性能で汎用性の高い大口径ズームは、被写体を問わずLマウントカメラを使う幅広いユーザーにおすすめのレンズです。
・「Certified by LEICA」認証を受けている高性能レンズです
・AFボタンやアルカスイスタイプに対応した三脚座など、使い勝手も良好です
・プロ仕様のレンズは高い耐久性や堅牢性、滑らかな操作感を持っています
・テレコンバーター装着時の画質劣化も少なく、幅広いユーザーにおすすめです
レンズ選びの参考にしていただければ幸いです。
フジヤカメラでは、Panasonic(パナソニック)ミラーレス用レンズの中古商品を多数取り揃えております。在庫は日々更新されますのでどうぞこちらからご確認下さい。
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