Panasonic (パナソニック) LUMIX G9 PRO のファームアップデートVer.2.0がリリースされ、G9 PROの動画性能、特に画質の部分が大幅に強化されました。
Panasonic (パナソニック) LUMIX G9 PRO は本来、写真用の最上位機種という位置づけであり、その分動画については、おまけ的な位置づけでした。
Panasonic (パナソニック) には動画向きの上位機種 GH5 がありますので、G9 PROに高度な動画機能を付ける必要が無かった、という事情もあったと思います。
それでも G9 PRO は、最上位機種なだけあって、動画撮影時の最高転送ビットレートは150Mbpsあり、一般的なデジタル一眼カメラとしては高画質な部類に入ります。
アクセサリーシューにsmall Rigのハンドルを装着しただけですが、グッと動画機っぽいルックスになります。
G9 PRO 今回のファームアップデートの動画機能の大きな目玉は、 4:2:2 10bit の内部記録(ボディ内のSDカードへの記録)に対応した事です。
スチルカメラの上位機種として、既に多くの支持を集めている G9 PRO が、4K 30p 4:2:2 10bit LongGOP 記録が可能となり、写真と動画をシームレスに行き来しながら撮影を行う、映像クリエイター向きの機種に進化したと言っていいと思います。
先ずはファームアップデート後の、Panasonic (パナソニック) LUMIX G9 PRO についての動画機としてのメリットをGH5やライバル機と比較しながら見ていきたいと思います。
いきなり価格の事を書くのもどうかと思いますが、これは大きなポイントです。
何故なら、ライバルメーカーSONYの α6400 が、かなり買いやすい価格だからです。動画撮影のエントリー機として高い支持を得ているα6400の存在は、価格的に動画エントリー機の無かった Panasonic には痛いところでした。
確かに GH5 は動画機としてトップクラスの性能の機種ですが、α6400 と比べて実売で倍近い金額(2019.11.23現在)です。動画ユーザーには定番と言っていい機種ですが、購入には相応の覚悟が必要でした。
又、下位機種のPanasonic G99は、手振れ補正などな動画撮影時でも良く効いて魅力的ですが、画質的には最高転送ビットレート 100Mbps、FHD撮影時ではわずか28Mbpsと、多少なりとも画質にこだわるなら、いまいち感を拭えないスペックです。
つまり「動画に強い」と言われる Panasonic の評価は、上位機種 GH5 を使ってこそのものなのです。
これは、コストを抑えながら動画にチャレンジしたいユーザーには大きなマイナスポイントで、最初の1台としてPanasonicを選ぶ敷居を高くしてしまっていました。
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ここで、ファームアップした、Panasonic (パナソニック) LUMIX G9 PRO の登場です。
ニッチな市場を狙ったカメラはどうしても高額になる傾向があります。最近では動画や映像制作をするアマチュアカメラマンも多くなったと思いますが、やはり写真ユーザーの多さにはかないません。
GH5は確かに非常に高性能だと思いますが、ある程度ターゲットを絞ったカメラ故、価格はマイクロフォーサーズのカメラの中でもトップクラスに高価なカメラです。
対する Panasonic (パナソニック) LUMIX G9 PRO は、ユーザーの多さを味方に付けて着実に値下げされ、今ではかなり買いやすい価格になっています。
写真用カメラとしてはPanasonicの中でも最高性能を誇るカメラが、動画についても中級以上の性能となってこの価格は、明らかにお買い得感があります。
G9 Pro が GH5 よりも優れている点があります。それが手振れ補正です。
ボディ内手振れ補正とレンズ内手振れ補正を連動して制御する Dual I.S.2 は、最高でシャッター速度6.5段分の手振れ補正効果を実現するとともに、特に中望遠以降の望遠域において、安定した映像を提供します。
勿論、G9 Pro の Dual I.S.2 は動画撮影時のブレ補正にも対応しているので、動画撮影時の手振れも、効果的に抑えます。
ここで言う「軽い」は2つあります。
1つは言葉そのままの物理的な重量が軽い事、もう一つはデータが軽い事です。
先ず、物理的な重量は G9 PRO が約658g(バッテリー、メモリーカード含む)、GH5 が約725g(同)なので、50g程軽量になります。
ほんの少しの事ですが、GH5が決して軽量なカメラではないので、無理くり取り上げてみました。
もう一つはデータが軽いという事です。
これは、見方によってはマイナスな要素です。データが軽いという事は、それだけ圧縮し劣化した画像だと言えなくは無いからです。
しかし!
4K 4:2:2 10bit のような重量級の動画データを快適に編集できるような環境を持っている人が、どのくらいいるでしょうか。現実にはそれ程いないと思います。
しかも!そういったデータを編集する方は普通カラーグレーディングをかなり本格的に行うと思います。つまり、編集ソフトはダビンチリゾルブ、データ形式はBRAW、カメラはブラックマジックデザイン、がベストな選択だと思います。
今回取り上げた Panasonic (パナソニック) LUMIX G9 PRO は、その一歩手前、便利にも使えて、ある程度本格的なニーズにも応える、画質的にもミドルグレードのカメラだと思います。このカメラで動画に慣れて、より本格的に「メイク」する映像を撮りたくなったらブラックマジックデザインに進めばいいと思います。
(人気のポケットシネマカメラ4Kとマウントが同じでレンズが共用出来るのもポイントです)
そんなユーザーに4K 4:2:2 10bit 150Mbps は、丁度いいクォリティのデータなのではないでしょうか。
ここまでいい事ばかり書いて来ましたが、Panasonic (パナソニック) LUMIX G9 PRO は、動画用として設計されているGH5に、動画機として劣る点が多くあるのも否めません。
以下は、G9 PRO が、GH5に劣るポイントをいくつか列挙してみました。
・C4K(4096×2160)サイズは撮れない
・4K60P 4:2:2 10bit は外部記録となる
・最高転送ビットレートは大きく劣る(GH5は400Mbps)
・GH5sと比較すると低照度性能は大きく劣る
やはり、画質について上を見ればGH5の方がかなり有利になります。特に転送ビットレートは、撮って出しでも画質に違いが出る事があるので、GH5は有利になります。
4K 60p が外部記録なのもマイナスポイントで、スローモーションとクイックモーションを取り混ぜたような映像を作りたい時、60pで気軽に撮って、24pで再生、2.5倍のスローモーションにする、といった事はG9 PROでは出来ません。
又、個人的に注目したいのは、派生モデルであるGH5sの存在で、他メーカーと比較しても圧倒的に強力な低照度時の画質の良さは、発売から2年弱経った今でも価値を失っておらず、逆に動画機の上位機種「EVA-1」と比較すると安く感じるくらいです。
動画好きとして、おススメ出来るミラーレス一眼カメラが増える事がとても嬉しいです。
PanasonicはGHシリーズのおかげで「動画に強い」という印象が強いメーカーですが、現行機種のGH5が安くないカメラなだけに、これからスタートするユーザーには敷居が高い印象がありました。
しかし、Panasonic (パナソニック) LUMIX G9 PRO は今回のファームアップにより、動画機としてもかなりレベルの高いカメラとなり、実売価格もGH5よりはだいぶ安い事から、これから本格的な映像制作を志すユーザーの方におススメし易い機種になりました。
個人的にはGH5が少し色褪せた感は否定できず、これから買うならGH5sかG9 PROかな、と感じます。