今年も沢山の新製品レンズを試させていただきましたが、レンズの特徴を文章に起こす際に、最も沢山使った単語は「ボケ味」と「解像感」だと思います。
今日はこのうち「ボケ味」の部分にフォーカスして、今年試したレンズの中で、個人的に印象に残ったレンズをいくつかピックアップしてみたいと思います。
最近は、レンズの良し悪しについて「解像感」や「シャープネス」といった性能だけでなく「ボケ味」に代表される、個性を重視するお客様が多いと感じます。
ここに、良し悪しだけでは語れない、レンズの奥深さがある訳ですが、私も「ボケ味」について、確かにレンズやメーカー毎に違いがあり「面白いな」と思う事も度々でした。
今回は、担当:Kの「個人的好み、独断、趣味」で、ボケ味が印象に残ったレンズを5本、選んでみました。
ボケ味には定評のあるメーカーSIGMAのマクロレンズです。
「カミソリマクロ」の二つ名の通り、シャープな描写性能が信条のレンズですが、ボケもシグマらしく美しいものです。
テスト撮影では、慣れないマクロ撮影に苦戦させられましたが、実際に撮れた写真は、写真のグレードが1,2段上がったんではないかと思えるくらい、柔らかく美しいボケ味を堪能させてもらえました。
カミソリなのに柔らかいとはこれ如何に!
ピントはシャープでありながら、ボケは柔らかい、理想的なレンズだと思います。
SIGMA (シグマ) 70mm F2.8 DG MACRO | Art レビュー
標準レンズの50mmが、随分と大きく、重くなった昨今ですが、その中でもかなり大きく、重い50mm標準レンズです。
世間では「高性能」と評判のようですが、個人的にはシャープなレンズというよりは「柔らかい」という印象の強いレンズです。
テストカメラのK-1との相性もあるのかもしれませんが、柔らかい、いい雰囲気のあるレンズだと感じました。
個人的にLimitedの43mmのような、収差の残った、いい言い方をすれば柔らかい、悪い言い方をすれば少し古くさい写りのレンズも結構好きです。このレンズにはそんな「柔らかさ」を感じました。
勿論解像力などはこちらの方が上ですが、良くも悪くもPENTAXらしさを感じるレンズでした。
HD PENTAX-D FA ★50mmF1.4 SDM AW レビュー
レンズじゃないじゃん!とお叱りを受けそうですが、単焦点レンズ搭載のAPS-Cサイズセンサーのカメラ、という事で、装備されたレンズも印象に残ったカメラだったので取り上げました。
FUJIFILMのレンズは、特にピントの合った部分からの初期の段階のボケに個性を感じる事が多いのですが、このカメラもFUJIFILMらしい写りで、好印象を持ちました。
APS-Cサイズセンサーという事で、開放では背景を大きくボカす事が可能で、そういった意味でも「一眼デジタル」に極めて近いコンパクトデジタルと言えると思います。
センサーもAPS-Cと大きく、フィルムシュミレーションも同社の一眼デジタルと同様でありながら、レンズが交換出来ない分、薄くコンパクトなデザインとなっており、一眼デジタルのスーパーサブとして使うのにもってこいのカメラだと思います。
長時間歩きながらの撮影でしたが、ポケットに入る大きさ薄さはとても重宝しました。
ここまで、多少なりと個性のあるレンズばかりを取り上げて来ましたが、逆に兎に角「素直なボケ味」のレンズです。
全般的にNikonのレンズはボケが素直なレンズが多いと感じます。
35mmは広角レンズですが、ズームと違い開放f値1.8の単焦点レンズでは、背景をある程度広く入れながら、なおかつ、ボケも大きくする事が出来て便利です。
Nikonレンズの素直なボケは、ピントの合った場所と、アウトフォーカスの場所のメリハリがついて、自然とピントの合った部分に視線が吸い寄せられます。
レンズの優秀さもさることながら、Z7の素晴らしさにも驚かされたテスト撮影でした。
Nikon (ニコン) NIKKOR Z 35mm f/1.8 S レビュー
画面全体に超高画質で均一な描写性能、前後の美しいボケ味、個人的に今年テストしたレンズの中でもトップクラスに好きなレンズです。
シャープでありながら、素晴らしく柔らかいボケのレンズで、個人的には「隠れボケマスター」と呼んでいます・・・が、全く浸透しません。
「とろける」というよりは「ふわふわ」なボケ味で、個性的でありながら、破綻する事も無いという100点満点なレンズだと感じました。
昼間のややオーバーに振った露出では、ほっこりした柔らかさを、夜間のスナップ撮影では、ちょっとファンタジーな非日常を再現をしてくれて、使っていてとても楽しいレンズでした。
レンズが、絵筆のように表現の一部を担ってくれる事を体験出来た、レンズです。
「ボケ味」を巡る冒険 2018 と題して、個人的に「ボケ味」の良さで印象に残ったレンズをピックアップしてみました。
ボケ味は、撮影者の好みを多分に含みますし、背景や明るさなどでイメージが変わる事もあるので、あくまで参考程度に見ていただけると助かります。
背景をボカして撮るのが好きなので、今年も美しい「ボケ味」のレンズに沢山出会えてよかったです。