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2017.07.17
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スタッフ高山のオレに試させろっ! 第54回「SIGMA (シグマ) 24-70mm F2.8 DG OS HSM|Art」 編

キスゲ平園地
f6.3 AE(1/160) ±0 AWB ISO200 焦点距離53mm
キスゲ平園地は標高1,300mから1,600mにかけて広がる草原です。遊歩道や展望台も整備されていて、エリアに応じてA?Rまでのアルファベットが割り当てられています。緩やかな階段を上っていくのですが、右が森のような雰囲気、左は芝生の上に咲いた黄色い絨毯の風景を楽しむことができます。とても清々しく、森林効果による心身の健康増進にも期待できるそうです。

 

2001年の24-70mmF2.8 EX DG ASPHERICAL DFから数えて4代目にあたる、シグマの大口径標準ズーム、シグマ 24-70mm F2.8 DG OS HSM|Artが新登場 ! Artライン基準をコンセプトに掲げ、よりいっそうの高画質、高品質を目指しています。各メーカーがしのぎを削るこのクラス。早速持って撮影に出掛けました。

 

レンズを持って眺めてみると、クールさを感じます。ブラックの金属鏡胴はお世辞抜きにカッコいいですし、大きめながらも引き締まった印象を与えてくれます。しかし、さすがに重さは感じます。フィルターサイズ82mm、重量1,020gと大柄です。1日持って歩くのはやや厳しいかもしれません。それも含め、栃木県日光市にある霧降高原キスゲ平園地で試してみました。ニッコウキスゲが見頃を迎えましたが、展望台までは1,445段の階段を歩く必要があります。一気に最上段まで登り切り、そこから降りつつ撮影していこう、という戦略を立てましたが、見事なまでに、途中の風景に捕まってしまいました。

 

そもそも、休み休みでないとなかなか進めません。それでもようやく時間をかけて展望台まで辿り着いたのですが、なんとそこには一面に広がった霧が。当然周囲は真っ白で、何も見えませんでした。というわけで、歩きながら途中で撮っていたのが正解だったわけです。何が幸いするかわからない結果になりました。

 

期待通り、ピシッとした描写を見せました
f6.3 AE(1/160) ±0 AWB ISO200 焦点距離48mm

 

14群19枚のレンズ構成をもつシグマ 24-70mm F2.8 DG OS HSM|Art。画面周辺までの高い画質を実現するために、質の良いSLDガラス3枚、非球面レンズ4枚を採用しました。ズーム全域での高い光学性能を目指しています。階段を一気に上るという戦略は早くも崩れてしまい、眺める風景には思わずレンズを向けてしまいます。期待通り、ピシッとした描写を見せました。

 

望遠側、絞り開放で撮影
f2.8 AE(1/4000) +0.33 AWB ISO800 焦点距離70mm

 

望遠側、絞り開放で撮影。70mmといえど、近いところに咲いているニッコウキスゲを狙えば、適度に背景はボケます。意外にも、少しふんわりとした柔らかな雰囲気になりました。このボケ描写には、僅かに球面収差を残すというシグマのこだわりがあります。ボケの形状もできるだけ円形に近づけているそうです。絞り羽根の枚数は9枚。安定性が良く、信頼感も大きいです。

 

タテ位置にして奥行き感を出してみました
f16 AE(1/100) +1 AWB ISO400 焦点距離 44mm

 

タテ位置にして奥行き感を出してみました。手前よりも奥のほうに、たくさんの花が咲いているのがわかります。44mmというとほとんど標準に近いのですが、広々とした草原で手前を大きく入れると、広角のようにも使えます。3.5段(CIPAガイドライン準拠、望遠側)を超える手ブレ補正や大型HSM搭載による高速オートフォーカスなど、機能面でも魅力が多いレンズ、それがシグマ 24-70mm F2.8 DG OS HSM|Artです。

 

標準域での開放撮影
f2.8 AE(1/640) +0.3 AWB ISO200 焦点距離 57mm

 

標準域での開放撮影。左側のニッコウキスゲの下に、同じく黄色い小さな花がしっかりと咲いていましたので、この2つを中心にしました。距離が遠くになるにつれてボケの量が大きくなり、円状に変わっていくのがわかりますね。雨が降りそうな天気でしたが、レンズマウントに施されたゴムシーリングや、前面レンズに使用された撥水・防汚コートによる安心感がありました。

 

標高1,449m地点にある「避難小屋」
f16 AE(1/60) +0.3 AWB ISO400焦点距離 24mm

 

画面の中央に見えるのは、標高1,449m地点にある「避難小屋」です。ここから階段の勾配が急になり、歩くのが厳しくなりました。それでも、ふうふう言いながら年配のかたが多数歩く姿が印象的でした。けっこうしんどいです。上からこの階段を覗いてみると、けっこう急なことがわかります。たまたま人の姿が見えなくなったので、これはチャンスだと思って撮影しました。

 

展望デッキは3か所あります
f11 AE(1/80) +0.3 AWB ISO400

 

展望デッキは3か所あります。最も高いところまで我慢できず、途中で寄ってみることに。じゅうたんと呼ぶには少し早かったですが、芝生に映えるニッコウキスゲはまるで、「氷の妖精」と呼ばれるクリオネのようでした。霧に包まれて幻想的な雰囲気です。次第にこの霧は強くなり、標高1,582mの小丸山展望台から眺めようとしたら、一面真っ白で何も見えなかったのです。

 

広角端24mmでの開放撮影
f2.8 AE(1/1600) +0.7 AWB ISO200

 

広角端24mmでの開放撮影。手前に主題となるニッコウキスゲを入れて、背景の広い範囲をボカして撮ることができます。これは明るい広角レンズの醍醐味といえるでしょう。描写は思っていたよりも柔らかい感じ。ふわりとした印象があります。それでも、花の一片一片はしっかりシャープな写りを見せました。撮影者の要求に、きっちりと応えてくれるレンズだと思います。

 

緑のコントラストはとても好み
f13 AE(1/100) ±0 AWB ISO400 焦点距離 24mm

 

今回の撮影では、いつもより24mmでの撮影が多かったように思います。これもその1つ。何気なくカメラを向けて、あまり深く考えずに撮影しました。どんよりした天気でしたが、手前から奥までの木々、そして葉の描写が鮮やかです。緑のコントラストはとても好みですね。歩きながら気になる風景を見つけてカメラを向けることは、宝探しのようですね。とても楽しいです。

 

ニッコウキスゲ
f8 AE(1/125) ±0 AWB ISO400 焦点距離 47mm

 

これも、シグマ 24-70mm F2.8 DG OS HSM|Artを持ち歩きながら見つけた風景。大きく伸びる木の下には、たくさんのニッコウキスゲがありました。蝶が休んでいるようにも見えますね。この場所だけに集中して集まっているのが不思議でした。みんなでこの木を守っているのか、より美しく見せるために飾り付けられているのか。そんなイメージが次々に沸き起こりました。

 

キヤノン EOS 5DMark III+シグマ 24-70mm F2.8 DG OS HSM|Art

  キヤノン EOS 5D Mark IIIにシグマ 24-70mm F2.8 DG OS HSM|Artを装着したところ。大柄ではありますが、持った時のバランスは良かったです。キレのいいAFは信頼できますし、何の不安もなく撮影を終えることができました。さすがに1,445段の階段は厳しいけれど、見える風景は格別です。来年も来てみたいですね。

 

さて、シグマ 24-70mm F2.8 DG OS HSM|Artですが、装着したEOS 5D Mark IIIとのマッチングは良好でした。ややレンズが大きい印象はあるのですが、いざ構えてみるとホールディングもしやすく、しっかりと支えられるような自然な指の配置が得られます。手前にピントリングがありますが、ズームリングまでの距離は適度で、特に遠さを感じたり操作面で気になることもなかったです。手ブレ補正がしっかり効いているのも、ファインダーで確認できました。素早いAFは、カメラを向けてから実際にシャッターを押すまでの時間を短縮できます。特にこうした観光地ですと、じっくり撮影するのが厳しい時もあるので、とても助かりました。

 

写りに派手な印象はなかったのですが、質実剛健といいますか、高い基本性能を持ちながらもそれを決して誇示せず、黙って結果で示すタイプだと感じました。24-70mmF2.8というスペックをもつレンズは各メーカーから発売され、ライバルも多いクラスになります。しかし、そこで埋もれることはなく、確実に独自のポジションを確立できる存在といえるでしょう。硬派なイメージが強いのは、その鋼鉄のような外観も理由でしょうか。 純正ではなく、堂々とシグマレンズを選択する。その理由はもう価格面だけではないぞ、そう断言できると感じたのです。

 

■撮影場所
日光市霧降高原 キスゲ平園地
http://www.kirifuri-kogen.jp/guidance.html

 

Photo & Text by 高山景司

※撮影は手持ちで行っています。ピクチャースタイルは風景に設定。

 

>>> SIGMA (シグマ) 24-70mm F2.8 DG OS HSM|Art


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