フジヤカメラ

 

分類

分類

2023.08.28
専門店・プロレビュー,

Nikon NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR レビュー × クキモトノリコ|動物園で高倍率ズームレンズを使いこなす

Nikon NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR レビュー × クキモトノリコ|動物園で高倍率ズームレンズを使いこなすキービジュアル

Nikon(ニコン)NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRは、フルサイズミラーレスZシリーズ用レンズとして初の高倍率ズームレンズ。

広角24mmから望遠200mmまで8.3倍の幅広い焦点距離域をカバーし、5.0段の手ブレ補正効果を発揮するレンズシフト方式VR機構を搭載。高倍率ズームレンズにもかかわらず小型軽量の約570gと軽く、旅行やスナップなどさまざまなシーンで活躍が期待できる一本。

今回は、フォトグラファーのクキモトノリコさんによる動物園の撮り下ろし作品をもとに、より実践的なレビューをしてもらった。


ライタークキモトノリコイメージ
■フォトグラファー紹介

クキモトノリコ

学生時代の海外ひとり旅をきっかけに一眼カメラを手に入れ、写真をはじめる。いくつかの職業を経て写真家へ転身、2010年よりカメラメーカーの講師に。現在は『たのしく、わかりやすい』をモットーにニコンカレッジの他、自治体主催を含めて様々な写真セミナーで講師を務めている。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員。
神戸出身・在住。晴れ女。

はじめに

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRは2020年7月の発売以来、小型・軽量でありながら8.3倍の幅広いズーム域を持つレンズゆえに日常での撮影から旅写真まで、さまざまな場面で活躍してくれるレンズとして私自身重宝しています。そんな中で、今回は動物園における撮影での使用感を検証してみました。

今回の撮影機材 ニコンZ 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

ニコンZ 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

動物園撮影で主流となる望遠側

動物園での撮影ではどうしても動物たちとの距離が離れていることが多いため、望遠域のレンズが主役となります。本レンズは一番望遠側が200mm。まずはこのテレ端、つまり一番望遠の状態での実写をご紹介します。

ニコンZ 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例:コアラ

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR・200mmで撮影
絞りF6.3・1/200秒・ISO1250・WBオート

画像にマウスを合わせると拡大表示します

画像をスワイプすると拡大表示します

コアラとの距離は2mほどでしょうか。200mmで画面内にちょうどぴったりな大きさで収まってくれました。ガラス越しですが、非常にクリアな写りで、しっかり入ったキャッチライトで瞳はまるでガラスのようです。

ニコンZ 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例:シロクマ

Nikon Z 6Ⅱ・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR・200mmで撮影
絞りF6.3・1/200秒・ISO800・+0.3EV 補正・WBオート

画像にマウスを合わせると拡大表示します

画像をスワイプすると拡大表示します

おもちゃとしてお気に入りのカゴに顔を突っ込んでウロウロ......かと思うと、急に水中へダイブ!とっさに被写体を追いながらシャッターを切った結果、わずかにではあるものの流し撮りとなりました。流し撮りを狙っていたわけではなかったためシャッター速度は1/200秒で背景の流れ具合はさほど大きくないものの、とはいえピントの合ったシロクマがブレた背景から浮かび上がりました

ニコンZ 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例:タカ

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR・200mmで撮影
絞りF8・1/2500秒・ISO640・WB自然光オート

画像にマウスを合わせると拡大表示します

画像をスワイプすると拡大表示します

かなり高速で飛来してくるのでなかなかに難しい被写体ですが、見事に餌をキャッチする瞬間を捉えました。素早い動きに合わせて瞬時に画角を変えられるズームレンズの良さを実感する場面であり、Z 9というカメラの性能による部分も多分にあるとは思いますが、S-Lineシリーズでなくともこの写真が撮れたという喜びは大きいものでした。

ボケ感と緻密な描写力

高倍率ズームゆえに開放F値は広角側でF4、望遠側でF6.3と大口径とはいえないものの、望遠側は被写界深度が浅くなるという特徴と組み合わせることで大きなボケを得ることが可能です。

ニコンZ 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例:フラミンゴ

Nikon Z 9・NIKKOR Z 85mm f/1.2 S ・71mmで撮影
絞りF8・1/640秒・ISO200・WBオート

画像にマウスを合わせると拡大表示します

画像をスワイプすると拡大表示します

撮影現場の状況

ニコンZ 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例:フラミンゴアップ

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR・200mmで撮影
絞りF6.3・1/400秒・ISO200・WBオート

画像にマウスを合わせると拡大表示します

画像をスワイプすると拡大表示します

上の状況説明写真から見て取れるように、細かなネットとフェンスという二重の障害物越しのフラミンゴ(71mmで撮影)ですが、焦点距離を200mm、絞りを開放のF6.3に設定することで、羽根にネットの影が落ちてはいるものの、ネットやフェンスの実像を感じさせることなくしっかり羽根のディテールを表現することができました。

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR ピントリング

なお、動く相手ゆえにAFでピントを合わせてもその後わずかにズレてしまう… そんな時はレンズを支えている左手の親指、または薬指でカメラ本体寄りのピントリングを回してピントの微調整を行いましたが、軽くて滑らかに回るピントリングのおかげでスムーズにピント合わせが行えました。この時、カメラ側の設定としてフォーカスピーキング機能をONにしておくとピントの山が掴みやすく、撮影がしやすくなります。

Nikon Z 6Ⅱ・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例:ワオキツネザル

Nikon Z 6Ⅱ・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR・200mmで撮影
絞りF8・1/640秒・ISO200・−0.7EV補正・ WBオート

画像にマウスを合わせると拡大表示します

画像をスワイプすると拡大表示します

同じく焦点距離200mmで絞りは開放から1段弱絞ったF8で撮影。背景の木漏れ日がしっかり玉ボケとなっています。

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例:オウムアップ

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR・175mmで撮影
絞りF6.3・1/80秒・ISO1250・−0.7EV補正・WB自然光オート

画像にマウスを合わせると拡大表示します

画像をスワイプすると拡大表示します

止まり木でじっとしていたベニコンゴウインコの羽根をクローズアップ。羽根の細かなディテールから玉虫色のようなグラデーションまで、しっかり描写してくれています。

やはり便利な高倍率ズーム

動物園での撮影では基本的に望遠側をよく使うわけですが、時には標準ズームの画角がほしくなることもあります。そんな時にレンズ交換をせずとも広角域も撮れる高倍率ズームはやはりとてもありがたいものです。

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例:ペリカン

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR ・200mmで撮影
絞りF8・1/500秒・ISO500・WBオート・–1.0EV補正

画像にマウスを合わせると拡大表示します

画像をスワイプすると拡大表示します

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例:ペリカン接近

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR ・79mmで撮影
絞りF8・1/500秒・ISO500・WBオート・–1.0EV補正

画像にマウスを合わせると拡大表示します

画像をスワイプすると拡大表示します

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例:ペリカン着水

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR ・79mmで撮影
絞りF8・1/500秒・ISO500・WBオート・–1.0EV補正

画像にマウスを合わせると拡大表示します

画像をスワイプすると拡大表示します

ペリカンが飛来する様子も、最初は望遠で捉えたのち、すぐにズームリングを回して画角を広げ、着水からすぐ目の前での急ブレーキまでをレンズ1本で賄えました。最前列にいると時々水飛沫が飛んでくることもあるそうですが、防塵・防滴性能を備えているので安心です。

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例:クマ

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR ・36mmで撮影
絞りF4.8・1/500秒・ISO500・WBオート・–0.3EV補正

画像にマウスを合わせると拡大表示します

画像をスワイプすると拡大表示します

暑さにバテている様子のヒグマをガラス越しに撮影。できるだけガラスに近づくことでガラスの写り込みを軽減するとともに、広角側で撮影することでレンズに近い顔や水から出した前脚が大きく写り、迫力が出ました。

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例:ダチョウ

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR・140mmで撮影
絞りF6.3・1/1250秒・ISO1250・WBオート・–1.3EV補正

画像にマウスを合わせると拡大表示します

画像をスワイプすると拡大表示します

忙しなく動き回るダチョウを追うにはやはりズームがとても役立ちました。結果的に望遠域となりましたが柵も消え、まるで黒いドレスを広げて少し伏目がちの、なんともエレガントな姿を捉えることができました。

200mmじゃ足りない!そんな時はDX域で300mm相当に変身!

私がよく行く動物園はいずれも都市部にあるからか、動物園の中では比較的動物たちとの距離が近い方ではないかと思うのですが、それでも焦点距離が200mmでは足りない!と思うことがしばしばあります。そんな時に便利なのが撮像範囲を「D X」に設定するクロップ撮影。APS-C規格のセンサーを持つニコンのDX機と同等の撮像範囲となり、焦点距離の1.5倍の画角となります。つまり、200mm×1.5=300mm相当となるのです。300mmが使えると、一気に動物の表情や仕草を大きく捉えることができて写真表現の幅も広がり、ファインダー越しに伝わる迫力も大きくなって撮影が楽しくなります。

観覧通路からは離れた木で寛ぐコアラ。200mmだと画面に占める被写体の割合が小さ過ぎますが、DXクロップにすることで解消しました。

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例:木の上のコアラ

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR ・200mmで撮影
絞りF6.3・1/500秒・ISO1000・WBオート・–0.3EV補正

画像にマウスを合わせると拡大表示します

画像をスワイプすると拡大表示します

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例:木の上のコアラ接近

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR ・200mm(35mm判換算300mm相当)で撮影
絞りF6.3・1/500秒・ISO1000・WBオート・–0.3EV補正

画像にマウスを合わせると拡大表示します

画像をスワイプすると拡大表示します

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例:ミーアキャット

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR ・155mm(35mm判換算232.5mm相当)で撮影
絞りF6.3・1/1250秒・ISO400・WBオート・–1.0EV補正

画像にマウスを合わせると拡大表示します

画像をスワイプすると拡大表示します

身長が30cmほどと小柄なミーアキャット。比較的近いところにいてくれたものの200mmでは足りず、DXクロップのありがたさを実感した1枚です。

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例:フラミンゴの羽

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR ・200mm(35mm判換算300mm相当)で撮影
絞りF6.3・1/1600秒・ISO200・WBオート・–0.7EV補正

画像にマウスを合わせると拡大表示します

画像をスワイプすると拡大表示します

フラミンゴの羽根の上にポツンと水滴が乗っていました。これも、DXでクロップしての撮影ゆえに撮れた1枚です。羽根のディテールもしっかり描写できていることがわかります。

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 作例:フクロウ

Nikon Z 9・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR ・200mm(35mm判換算300mm相当)で撮影
絞りF8・1/1250秒・ISO250・WB自然光オート

画像にマウスを合わせると拡大表示します

画像をスワイプすると拡大表示します

露出補正ボタンに「FX/DX切り換え」を割り当てておくと便利

この時使用したZ 9で、カスタムボタン機能の割当てで露出補正ボタンに「FX/DX切り換え」を割り当てておきました。これにより、高速で飛来する被写体でも被写体との距離やその大きさに合わせて瞬時に切り替えができ、非常に撮影がしやすくなりました。Z 6Ⅱなどでもいずれかのボタンに「撮像範囲選択」を割り当てたり、iメニューのカスタマイズをしておくと便利です。

Z 9での設定画面
Z 9での設定画面
Z 6Ⅱでの設定画面:カスタムボタンの機能
Z 6Ⅱでの設定画面
Z 6Ⅱでの設定画面:メニューのカスタマイズ

なお、Zシリーズはフルサイズ規格のFX機とAPS-C規格のDX機とで、レンズマウントのサイズ(径)が同じなので、本レンズをDX機(Z50、Z30、Z fc)に装着して撮影することも可能です。この場合も同じく1.5倍の焦点距離相当の画角となり、36-300mm相当のズームレンズとして使用することができます。

まとめ

これまで長らくZシリーズでは手軽な望遠レンズのラインナップが少なかったこともあり、私自身、望遠が必要な時には本レンズを持ち出すことが多く動物園撮影時にも愛用していました。

今後は望遠レンズの選択肢も増えるものの、ミラーレス機の中でもフランジバックが短い上にマウントが大きく、レンズを外すとすぐそこに大きなセンサーがあるためレンズ交換にとても気を遣うZシリーズにおいては、外でのレンズ交換を減らしたい時などに変わらず活躍してくれると考えています。

機材を少なく、また軽く抑えたい、そしてできるだけ外でのレンズ交換を減らしたいユーザーにはやはりおすすめの1本です。

レビューしたレンズ

Nikon NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

【商品情報】Nikon NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

» 詳細を見る

Nikon NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRバナー画像

作例に使用したカメラ

Nikon Z 9

【商品情報】Nikon Z 9

» 詳細を見る

Nikon Z 9バナー画像

Nikon Z 6II

【商品情報】Nikon Z 6II

» 詳細を見る

Nikon Z 6IIバナー画像

Photo & Text by クキモトノリコ

ブランド

Page Top
Page Top