KenkoTokina(ケンコー・トキナー) atx-m 33mm F1.4 フジXの実写レビューです。
KenkoTokina(ケンコー・トキナー) atx-m 33mm F1.4は、Xマウント用のサードパーティー製レンズとしては珍しい、オートフォーカスの標準レンズで、同社のatx-m 23mm F1.4と兄弟のようなレンズになります。
>>> KenkoTokina(ケンコー・トキナー) atx-m 23mm F1.4 フジX 実写レビュー
特徴や写りについて、実写レビューを中心にみてみたいと思います。
atx-m 33mm F1.4の特徴をまとめると
・Xマウントでは珍しいサードパーディー製オートフォーカスレンズ
・クリックの無い絞りリング
・クリックは無いがExif情報にはF値もバッチリ記録
・絞りリングの動きは、誤作動防止の為少し固目
・純正に近いデザイン
といったところで、atx-m 23mm F1.4と同様です。
atx-m 33mm F1.4が23mmと大きく異なるのは、純正と比較した時です。
大きさは純正の35mm F1.4よりも大きく、価格差も23mmほど大きく無い事から、写りのクセや絞りクリックの有無、花形フードまで含めたデザインの違いが選択のポイントになりそうです。
フィルター径: | 52mm |
最短撮影距離/マクロ最大倍率: | 0.4m / 1:10 |
最小絞り: | F16 |
長さ: | 約72mm |
重量: | 約285g |
絞り: | 9枚 |
フード: | 専用フード付属 |
>>> KenkoTokina(ケンコー・トキナー) atx-m 33mm F1.4 フジX
地元の方が手入れされているのでしょう。花が活けらたお地蔵さんの足元にはなぜか整然と松ぼっくり並んでいました。
ただ歩くだけと違ってカメラを持っていると、こんなちょっとした事にも視線が向くので、散歩が楽しくなります。
ほっこりとした気持ちでカメラを向けました。
紅葉は、していたりしていなかったりと、まだ少し早く、日陰のモミジの葉は青々としていました。
日向と日陰のコントラストが綺麗に感じてシャッターを切りました。
自然な遠近感の標準レンズは、目で見たままの光景をそのまま切り取れるので、わかり易い反面、レンズを使った脚色をしずらいので難しいレンズでもあります。
茅葺き屋根の厚みってすごいですよね。
ペラペラのトタン屋根と比べると、雨が漏らないようにするのに、これほどの時間と手間がかかった昔は大変だったろうなと思います。
KenkoTokina(ケンコー・トキナー) atx-m 33mm F1.4は、ボケの美しさも、シャープネスも高いレベルにあるようです。
綺麗に折られた千羽鶴に、地域の信仰の厚さを感じます。
場所や気分によってまちまちですが、今回はフィルムシミュレーションにクラシッククロームを多く使いました。
多摩の面影が色濃く残る里山を散歩しながらの撮影だったので、時代を感じる少し色褪せたカラーバランスを無意識に選んでいたようです。
子供のころ住んでいた、平屋建ての借家には、縁側がありました。
夏には冷たい麦茶を飲んだり、冬の寒い時期には日向ぼっこをした記憶が蘇るのか、縁側に座っていると楽しい気分になります。
木漏れ日が縁側で踊る様が綺麗です。
蟷螂の斧は、無駄ではかない抵抗の意らしいですが、小さなカマキリが鎌を振り上げる姿が可愛くて、思わずシャッターを切りました。
KenkoTokina(ケンコー・トキナー) atx-m 33mm F1.4の最大撮影倍率は1:10なので、マクロには弱いですが、明るいF値を活かして、カマキリ以外をアウトフォーカスにすることで、視線を誘導する事が出来ます。
秋の日を浴びたカマキリの美しい緑色を、Velviaが綺麗に再現してくれました。
木漏れ日にフレアを出して輝きを感じるように撮りました。
ゴーストやフレアの感じがいいアングルを探しながらフレーミングしています。
KenkoTokina(ケンコー・トキナー) atx-m 33mm F1.4は、逆光耐性は高くないレンズですが、そんな弱点をわかった上で長所に変えるのも、写真の楽しさです。
庭木と茅葺き屋根は、昔は普通でありふれたものだったと思いますが、現代ではかなり贅沢なものになってしまいました。
私が写真を撮り始めた頃は、フィルムで撮るのが普通でしたが、現代ではかなり贅沢なものになってしまいました。
大袈裟に言えば、時代を切り取って来た写真やカメラも、それ自体時代の一部な訳で、撮られたもの同様変化して行くわけです。
メーカーの説明では開放では柔らかめ、絞るとシャープになるとの事でしたが、開放は兄弟レンズの23mmよりもシャープに感じ、使い易いレンズだと思います。
初めに開放F1.4の描写を見てみます。
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開放から十分にシャープで、2400万画素を十分活かせる解像力を持っています。
開放のシャープネスは純正より良好に感じますが、ボケはじめに、FUJIFILMのレンズのような霞がかかっていくような柔らかさは無いので、ここは好みの分かれる部分だと思います。
次にF5.6に絞った際の描写を見てみます。
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十分にシャープな描写です。
若干のフリンジが惜しいところですが、良好な描写性能を持ったレンズだと思います。
KenkoTokina(ケンコー・トキナー) atx-m 33mm F1.4 フジXは、実用的で良好な描写のレンズです。
純正と比べて明確にここがいい!と言える部分の少ないレンズなので、決め手に欠けますが、フードまで含めたデザインや個性、幾分か安いコストで選べばいいと思います。
個人的に23mmと迷ったなら、価格的な利点も大きい23mmを勧めると思いますが、33mmと23mmでは表現に結構差があるので、難しいところです。
今後の展開にも期待したいレンズシリーズです。
Photo & Text by フジヤカメラ 北原
>>> KenkoTokina(ケンコー・トキナー) atx-m 33mm F1.4 フジX