KenkoTokina(ケンコー・トキナー)atx-m 23mm F1.4 フジX の実写レビューです。
KenkoTokina(ケンコー・トキナー)atx-m 23mm F1.4 は、FUJIFILM(富士フイルム)Xマウント用のオートフォーカスレンズです。
コンパクトでリーズナブルな価格の23mmを、実写を中心にレビューしたいと思います。
少し意外ですが、FUJIFILM Xマウントはサードパーティー製のレンズが少ないマウントです。
特にオートフォーカスのレンズは、ZEISS Touitがあるくらいで、基本的に純正を使う必要がありました。
そんな中、KenkoTokina(ケンコー・トキナー)から2本のオートフォーカスで使えるXマウントレンズが発売された事は朗報と言え、そのままこのレンズの特徴の一つと言えるでしょう。
特徴的なのは、絞りのクリックが無い事です。
誤作動防止の為少し固めの絞りリングにクリックはありませんが、絞り値はExif情報にバッチリ記録されるので、後から絞り値を確認するためにメモをとる必要もありません。
ちなみに絞りリングにはAポジションもあるので、絞りをボディ側からコマンドダイヤルを使ってコントロールする事も可能です。
フードは花形、バヨネットタイプのしっかりしたものです。
少し残念なのは、レンズの取り付け指標が小さく、色も白なので、最初は取り付け指標がどこかわかりませんでした。
色を変えるなど、もう少しわかりやすくしてほしかったところです。
フィルター径: | 52mm |
最短撮影距離/マクロ最大倍率: | 0.3m / 1:10 |
最小絞り: | F16 |
長さ: | 約72mm |
重量: | 約276g |
絞り: | 9枚 |
フード: | 専用フード付属 |
>>> Tokina(トキナー) atx-m 23mm F1.4 フジX
開放F1.4としてはコンパクトなレンズの特徴を活かしたくて、テストボディにはFUJIFILM(富士フイルム)X-E3を選択しました。
液晶が可動しない事に若干の不満を感じつつも、レンズとのバランスも良く古いフィルムカメラのようなデザインで、撮っていて楽しい組み合わせです。
紅葉が始まったばかりの都会の公園を散歩しながらテスト撮影を行いました。
オーバーに飛ばし気味にした時のVelviaの色合いが綺麗です。
標準よりも背景が広く入る広角レンズなので、背景の雰囲気に注意しながらフレーミングし、シャッターを切ります。
35mmと50mm(35mm判換算)は似たようでいて表現の感じはだいぶ違うので、近い焦点距離でありながら両方欲しくなるレンズでもあります。
バックに公園の木々を入れて噴水に向かってシャッターを切りました。
もう少しはっきりと紅葉していて欲しかったところですが、都会の風景でも相手は自然なので仕方ありません。
マニュアルフォーカスでも撮れない写真ではありませんが、オートフォーカスはやはり便利で、今回の撮影は基本的にAFだけで行いました。
秋から冬にかけての低い太陽の光は、ものの陰影を際立たせてくれるので、写真を撮るにはいい季節です。
反面、日の暮れが早いので、写真を撮る時間を十分に取れないという欠点もあり、そういった意味では苦労する季節でもあります。
KenkoTokina(ケンコー・トキナー)atx-m 23mm F1.4の柔らかい描写は、近接時のボケも綺麗でフィルムシミュレーションとの相性も良さそうです。
池に写った紅葉した木々の色が美しくてレンズを向けました。
久しぶりの広角レンズのテストだったので、少し感覚が戻って来るまで時間がかかります。
標準とは違うと言い聞かせながらの被写体を探しも、新しいレンズを使う楽しさの一つかもしれません。
神社の裏の小道に、古い大木が植わっていました。
ノスタルジックな雰囲気を出したくてフィルムシミュレーションにクラシッククロームを選択しました。
その場で感じた雰囲気を直感的に写真に伝えられるフィルムシミュレーションは、ボケを大きく変えられる単焦点レンズと組み合わせる事で、表現する楽しさが倍増します。
石段の落ち葉と秋の日の陰影だけで、普段ならレンズを向けようとは思わなかった被写体かもしれません。
彩度が低いモノクロ寄りの色彩にしたくて、フィルムシミュレーションはネガスタンダードを選択しました。
コントラスト低めの画作りが、レンズの特性とマッチしたように思います。
紅葉に染まった葉を、逆光で露出をオーバーにして狙いました。
KenkoTokina(ケンコー・トキナー)atx-m 23mm F1.4は逆光では若干のパープルフリンジが発生します。
それ程強く出る訳ではないので、画像処理ソフトを使った後処理で対応出来るレベルだと思います。
物凄くシャープなレンズではありませんが、柔らか目の描写は、フィルムライクな写りを身上とするFUJIFILMのカメラに合うと思います。
開放F1.4の描写から見てみます。
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解像感は十分ですが、レンズ由来の柔らかさが残る優しい描写です。
若干のフリンジが見られますが、拡大してわかる程度なので、全体としてはそれ程目立ちません。
次にF8まで絞った描写を見てみます。
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絞ると開放よりもシャープさを増しますが、やはり物凄くシャープという程では無く、少し甘さの残る描写です。
今回はテストボディにX-E3を選んだので試せませんでしたが、クラシックネガのようなノスタルジックな表現との相性が良さそうに感じます。
少し柔らか目の描写のKenkoTokina(ケンコー・トキナー)atx-m 23mm F1.4 は、フィルムシミュレーションを活かしたスナップ撮影に、大いに活躍しそうなレンズです。
35mm判換算で35mmとなる焦点距離は、1本だけ持つ単焦点レンズとしても人気で、純正よりも1割ほど軽量でスリムなデザインも見逃せません。
Xマウントのサードパーティー製レンズとしては珍しい、オートフォーカスで使えるのも快適です。
価格的にリーズナブルなのもポイントで、初めてのXマウントの単焦点レンズとしてもおおススメです。
Photo & Text by フジヤカメラ 北原
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