今回は、SONY α7IIにKiponのY/C-S/Eマウントアダプターを介して Distagon 25mm f2.8 MM Gを装着し撮影しました。
Zeissのレンズには、AEタイプと、MMタイプと呼ばれる2種類があります。また、「G」はGermanyの略でWest Germany(当時は西ドイツ)、「J」はJapan、それぞれ製造国を表します。
10年程前に、CONTAX 139Quartzを使用していました。Konicaセンチュリア400のフィルムと、このレンズだけで写真を撮っていた時がありました。139Quartzのコンパクトなサイズに、この25mmのバランスが良く、ストリートスナップでは非常に軽快に写真が撮れました。純正の25mm専用アルミフードは比較的小さめでしたが、より小さい社外品のフードを装着していました。
狭い路地や高層ビル群など、全体を収めたい時には、28mmより少し広いこの画角がとても使い勝手が良いものでした。今回の写真と比べると少し派手ですが、レンズとの相性が非常に好みだった為、Konicaのカラーネガを使っていました
大きな建造物も、このレンズの得意な被写体だと思います。遠景の細かい直線の多い建造物を忠実に映し出してくれます。
東京都写真美術館(Tokyo Photographic Art Museum)は1995年にオープンした映像総合美術館です。2016年9月3日にリニューアルオープン、TOP MUSEUMという愛称になっていました。
この時期の夕方、日差しはとても弱く感じます。写真を撮っていると、建物に囲まれる場所は日没よりも随分早く辺りが暗くなるのを実感します。
日当たりの良いレンガ塀に蔦?が上に伸びています。デジタルでは四隅に少し流れを感じますが、コントラストも高くシッカリと解像しています。
こういうシチュエーションが、このレンズは得意だなと感じます。ライト内のリフレクターの反射、フロントカウルに写る空と雲がなんとも言えず、美しいです。
日差しの弱い冬の日。暗がりも潰れず、リースの細かい松の実やモミの枝なんかも良く描写してくれていますね。背景の建物の微妙なボケも綺麗です。
レンガやタイルの模様、よく見ると電飾の一つ一つを確認できます。パープルフリンジが多少出ていますがシャープです。
駐車場を俯瞰で撮影しました。周辺部に若干のマゼンダカブリを感じますが、艶や反射、質感をも描写してくれます。光と影の微妙なバランスも忠実に映し出すレンズです。
恵比寿横丁「山下ショッピングセンター」跡地に新たに作られた飲食店街です。入口看板の色は派手な印象でしたが、写真では幾分落ち着いているように感じます。しかしながら、繊細な描写で驚きます。
開放では、周辺部の描写低下を少なからず感じます。しかしながら1段絞り込むと周辺の性能低下は幾分改善され、コントラストも上がってきます。f8付近が一番良い描写かもしれません。全体的な色調として、派手さはなく、むしろ地味な印象です。派手な色調も落ち着き、階調を豊かに表現してくれます。
Distagon 25mm f2.8 MM Gは小型でスリムな標準レンズほど。α7IIに装着しても長さも気にならず、ちょうどよい感触です。発色こそ落ち着いていますが、画素数の高いカメラでも負けることなく、長く愛着を持って使えるレンズだと思います。実際、今でも時折使用しているほど好きなレンズです。
Zeiss 25mmは、今までにDistagon、Biogon、Topogon、Flektgonと各種設計をされています。その中で、今回のDistagonは逆望遠(レトロフォーカス)設計のレンズで、集光が良く、広角レンズに向いていると言われています。このレンズは、Zeissのレンズの中でも比較的初期に設計され、その後、MMシリーズにマイナーチェンジされました。
MMシリーズは、CONTAXが世界で初めて自動多段階露出機能(Automatic Bracketing Control、略称ABC機構/現在のオートブラケット)を搭載しました。また、CONTAX初のプログラムAEと、シャッタースピード優先AEを採用。このプログラムAEでは、絞り指標を最小絞りにさせて使うのですが、目印としてレンズの最小絞りとカメラ側のモードダイヤルが緑色になっています。円形絞りになりましたが、レンズ設計の変更はありませんでした。
Photo & Text by フジヤカメラ店スタッフ 久保田