フジヤカメラ

 

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2016.12.30
専門店・プロレビュー,

スタッフ高山のオレに試させろっ! 第44回「SONY (ソニー) Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS (SEL1635Z)」 編

東京都立代々木公園
f5.6 AE(1/320) +1 AWB ISO100 焦点距離 18mm
東京都立代々木公園は、渋谷区にあります。かつては陸軍の練兵場でした。その後、米軍の宿舎敷地・ワシントンハイツ、東京オリンピックの選手村を経て、昭和42年10月20日に開園されました。東京23区内の都市公園では5番目に広いです。これは原宿門入口付近の風景。16-35mmの超広角で構図を作り、そのまま仰け反って後ろにある木々を入れました。こんな撮影も楽しめます。
 

去る12月10日のこと。フジヤカメラ店本店前にあるイベントスペースで、ソニーのイベントが開催されました。スナップフォトグラファーの柳本史歩先生を講師に迎え、「スナップフォトにはαがお勧め ! 」と題し、ソニーαの魅力をたっぷり語ってもらうという内容。「撮りやすさと自由を与えてくれるカメラ」αシステムの魅力をあらためて楽しく学べる機会となりました。そのセミナーのなかで柳本先生が「最も気に入っているレンズ」として紹介されたのが、今回試してみたVario-Tessar T* FE 16-35mm F4なのです。早速、実力のほどを探ってみました。

 

ソニーFE 16-35mm F4は、2014年11月に発売されました。10群12枚のレンズ構成です。金属的で上質な外観はソニーの特徴ですね。鏡胴には青地に白文字で「ZEISS」の文字が。手によく馴染むので、やる気にさせてくれます。高度非球面、EDといった特殊ガラスを複数枚採用し、高い解像力、忠実な再現性、色収差補正を実現しています。この16-35mmをソニーα7IIに装着して、東京都立代々木公園に出かけることに。園内を回り、公園スナップ撮影を楽しんできました。

 

「しあわせの像」
f5.6 AE(1/100) +0.7 AWB ISO100 焦点距離 31mm
 

園内の端の方にひっそりと建っていた像です。案内板を見ると、「しあわせの像」と書いてありました。昭和46年に株式会社電通が、放送事業の育成発展に貢献した先覚者の功績を称える記念として、創業70周年を機に建設したものです。背景にある木々の明暗や、3体の像に刻まれた模様など、コントラストとメリハリがしっかり出ました。リアルな雰囲気を感じてしまいます。ZEISSの名を冠しているVario-Tessar T*レンズらしい、高コントラストな描写になりました。

 

地面が真っ黄色
f8 AE(1/125) ±0 AWB ISO100 焦点距離 35mm

遠目に見ても明らかにそれとわかる、地面が真っ黄色になっているエリアがありました。ちょっと心を躍らせて向かうと、一面が銀杏の葉で覆い尽くされていました。当然ながら、ここではポートレート撮影をしている若い方が多数見られました。なんとなくですが、モデルさんもちょっと嬉しそうに見えましたね。画面に落ち葉以外のものをなるべく入れないように構図を作って、木の影が柔らかく見えるように露出を決めています。さて、葉っぱは何枚あるのでしょう。

 

、手前 に木を入れて絞りは開放、背景に紅葉を置きました。
f4 AE(1/250) ?0.3 AWB ISO100 焦点距離 20mm
 

園内にはまだ少し、紅葉が残っていました。といっても、見頃は過ぎた感じです。なので、手前に木を入れて絞りは開放、背景に紅葉を置きました。ピントの合っているところの色乗りはかなり好みです。こうした撮影でも、フォーカスポイントを自在に広げられるソニーαはとても使いやすいですね。FE 16-35mm F4の最短撮影距離は0.28m。広角を生かしての、寄った撮影も可能です。広角ポートレートにも力を発揮してくれそうです。絞り羽根は7枚、円形を採用しています。

 

落葉した木々が集まる中、印象に残ったのが中央にある太い古木
f8 AE(1/200) +1.7 AWB ISO400 焦点距離 18mm
 

落葉した木々が集まる中、印象に残ったのが中央にある太い古木でした。存在感がとにかく大きくて、「この木が周囲の木々を引っ張っている、頼りになる存在である。」ということをアピールしようと思い、堂々と真ん中に置いて周りに木々を配し、画面の下には黄色い絨毯を入れました。ローアングルから狙うことによって、主題にした木の力強さを強調しています。16-35mm F4のような超広角でこの画面感覚を味わってしまうと、病み付きになります。とにかく面白いです。

 

キレイに見える紅葉が残っているところを発見。
f8 AE(1/160) +1.7 AWB ISO200 焦点距離 28mm
 

キレイに見える紅葉が残っているところを発見。ちょうど半逆光になるところから狙いました。背景には噴水がありまして、これの水が高いところまで上がってくるタイミングを待って撮影しています。画面の下には池があるのですが、人がたくさんいたのと、ちょっとごちゃごちゃしていたのですべてカットしました。葉の形がハッキリ出たので良かった。画面左上の隅から右の下まで、流れるように紅葉を配置しています。去りゆく秋に、手を振っているかのようでした。

 

落葉した木の枝の作る形が面白いと感じました。
f8 AE(1/320) +0.3 AWB ISO200 焦点距離 16mm
 

この写真にも噴水が写っています。1つ前のカットのちょうど対面に当たる位置からの撮影です。ここでは落葉した木の枝の作る形が面白いと感じました。大きな木を左側に、ちょっと小さめの木を2本、右側に配置して、画面の空間をなるべく小さくしています。中央には噴水を置いて、アクセントにしました。左の木にちょっと陽が当たって、良い雰囲気を醸し出していました。枝の1つ1つまでハッキリと解像してくれたので、求めていた雰囲気を出すことができました。

 

この木の枝にも感銘を受けました。
f8 AE(1/200) -0.7 AWB ISO200 焦点距離 35mm
 

この木の枝にも感銘を受けました。とても立派だったので、なんとかしてたくさん画面に入れたいと思ったのです。そこで、近付いて画面のほとんどをこの木で埋めました。残ったスペースには別の木を入れます。そして、遠くにはビルが見えました。日頃はでっかく聳えるビルを毎日のように見ているわけですが、自然の中に入ってしまえば、それは小さく見えるものなのです。こんなことをイメージしながら、画面を作りました。木々の紅葉が残っていたのはラッキー。

 
枝の流れに気を使いながら、画面全体の 主要な位置に紅葉を配置しました
f5.6 AE(1/320) +1 AWB ISO200 焦点距離 16mm
 

撮影したのは14時32分。西陽が入り込んできました。ちょうどその光を浴びていた紅葉があったので、近寄りました。葉を最も大きく狙えそうな場所では、ずっと撮影をしている方がいました。終わるのをしばらく待っていたのですが、なかなか場所が空きません。仕方がないので考えを切り替えて、隣のスペースから広く狙ったカット。枝の流れに気を使いながら、画面全体の主要な位置に紅葉を配置しました。陽が当たってコントラストが高くなり、遠景なので葉の傷みもほぼ気になりません。短時間でしたが、使ってみてソニー16-35mm F4の良さを実感できました。

 

帰り道を歩きつつ、ふと見かけた大きな木。
f4 AE(1/500) +0.7 AWB ISO200 焦点距離 25mm
 

帰り道を歩きつつ、ふと見かけた大きな木。切った跡と見られる断面がとても興味深かったので、開放のF4で撮ってみました。前後のボケがなんだか不思議な感じです。眺めていると、別の何かを連想してしまいそうですね。背景には枝を置いてみました。ボカせる広角は表現方法もいろいろと選べるので、来年も様々な場所でたくさん使って、面白さを実感したいと思っています。

 

α7II+FE16-35mm

 

ソニーα7IIに16-35mmを装着したところ。実は今回、撮影に夢中になってしまいまして、この写真を撮るのをすっかり忘れていました。帰りがけに機材を仕舞おうとして気付き、慌てて場所を探して撮りました。花形バヨネット式のフードはカチッと留まりますが、さすがに短さを感じました。

 

ボディとのマッチングはとても良いと思います。16-35mmという超広角ズーム、全域でF4ですから、そこそこ大きいと感じていましたが、ソニーα7IIに装着すると、使いにくさは感じません。左手の掌でしっかりズームリングをホールドできるのです。そしてこのズームリング、ムラもなく均一に回転してくれるので、安心感が大きいです。16-35mmの焦点距離目盛りは16、20、24、28、35の5 つでした。撮影してみて、とにかくムダのないレンズだと思います。構図を決めたり画角を変えたりといった動作がとてもスムーズなので、余計なことに惑わされたり迷ったり、ということが全くありませんでした。自然と、じっくり狙って慌てず撮ろう。という意識が生まれてくるのでしょう。AFは静かで正確性も高いです。ただ、フードはちょっと短いかもしれません。レンズの大きさや長さを思うと、ちょっとアンバランスではないかと感じました。

 

撮影した写真を見返してみました。いくつかのメディアで「周辺光量が落ちる」という評価をされているようですが、そこまでシビアには感じませんでした。シチュエーションと撮影の意図にもよるでしょうが、コントラストも良好ですし、たとえば木の幹や像の表面にある刻まれた模様など、忠実に再現されています。決して安くはないですが、価値の高いレンズでした。

 

今年の「オレため」はこれで終了です。たくさんのレンズを試すことができて、楽しい一年でした (笑)。これまでご覧いただきありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願い致します。

 

■撮影場所

東京都立代々木公園

https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index039.html

(2016年12月12日取材)

Photo & Text by 高山景司

※撮影はすべてJpeg、手持ちで行っています。クリエイティブスタイルは風景に設定。

 

>>> SONY (ソニー) Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS (SEL1635Z)


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