今回は、レトロなデザインのレンズを持って地元をお散歩してきました。フォクトレンダー NOKTON 58mm f1.4 SL IIN。
58mm?ずいぶん中途半端な数字だなと思われるかもしれませんが、一眼レフカメラが作られ始めた頃は、58mmや55mmが標準でした。ミラーが干渉しないように、レンズの後玉からフィルム面までの距離を長く取らなければならず、焦点距離を短くする事は設計上難しかったのです。
長く愛されているレンズとして存在は知っていましたが、恥ずかしながら実際に使ったことはありませんでした。今回は、Nikon D750 に装着して試してみました。まず、カメラとの重さのバランスがいいですね。レンズの外装もデジタルデジタルしていないので、見た目の相性もいいと思います。
伊勢丹ビルは、よく観るととても装飾が凝っていて非常に緻密なデザインのもとに造られているのがわかります。独特な"伊"のロゴは、創業者による草書だそうです。
お祭りが続きましたね。提灯の微妙な光の濃淡と、青の三つ巴の鮮やかさが目に止まりました。
毛並みも綺麗なので、首輪はしていませんでしたが飼い猫かも知れません。やはり猫を見ると撮りたくなってしまうものです。
70Cm位まで寄って撮影。ハンドル、ロッドブレーキの金属感に惚れ惚れ。実用車も最近は見なくなりましたね。
ピントリングは波型で幅が大きく、高級感があります。ピントを合わせる上では、とても滑らかで扱いやすかったです。ピントリングをまわしながらファインダーを覗いてみると、ピントが合うに従ってジワっと山が掴めてきます。とてもピント合わせがしやすいです。
絞り環のクリックはしっかりしていますが、最小絞りでロックができるとなお良かったかもしれません。何かの拍子に絞り環がズレてしまうことが何度かありました。最小絞り以外にズレてしまうと、エラー表示が出てシャッターが切れなくなるので気をつけましょう。
建物まで約20m。狭い路地では少し窮屈な画角かもしれませんが、少し離れれば3階建ての建物もこれだけ余裕に入ります。
看板や弦植物の色合い、電灯の光、画角、それらがファインダーを覗いた時にすべてが気持ち良く感じて、思わずシャッターを押しました。
この日は小雨で花もしっとり、水滴の重さで花びらがつぶれています。
ほぼ最短側(45Cm程)で撮影してみました。開放でのボケのとろける感じと、花の柔らかさのバランスが綺麗でした。
色々と撮り歩いてみると、質感を表現するのが得意なレンズだなと感じました。金属の艶、塗装の艶、花のしっとりした質感、毛並みなど、しっかりと描写されていますね。光の表情の微妙な違いをも映してくれるかのよう。また、ボケが綺麗でびっくり!立体感を表現してくれる、とろけるようなボケでとても驚きました。
今回初めてこのレンズを使いましたが、今までこのレンズを使わなかったことを後悔しました。ロングセラーのわけがわかったような気がします。値段も手頃なのでおすすめ。もはやマニュアルフォーカスのマストアイテムかも知れません。
※撮影はすべてJpeg、手持ちで行っています。
Photo & Text by フジヤカメラ店スタッフ 久保田
このNOKTON 58mmは、東京光学でつくられていたものを、コシナが2003年に「Auto-Topcor 58mm F1.4」として発売しました。その後、NOKTON 58mm F1.4 SL II(2007年発売)、NOKTON 58mm F1.4 SL IIN(2012年発売)と、外装のデザインを変えながらつくられています。さらに10月27日には、NOKTON 58mm F1.4 SL II Sが新しく発売予定です。クラシックなデザインで、シルバーとブラックの2色展開。現行のSL IINより値段が高くなるので、まだまだSL IINの需要も続きそうですね。
レンズ構成:6群7枚
最短撮影距離:0.45m
フィルター径:58mm
質量:320g
撮影で使用したレンズ: ABランク 33,480円
中古の見つけやすさ:☆
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