オリンパスのミラーレス一眼を使用するのは、オリンパス・ペン E-P1以来だ。私は当時フィルムカメラ至上主義者として、デジタルカメラに対してどこか懐疑的な思いがあった。しかし、E-P1だけは違った。アスペクト比1対1、いわゆるスクエアフォーマットで撮影が出来る唯一のレンズ交換式デジタルカメラとして様々なオールドレンズを装着し撮影を楽しんだ。私以外にもカールツァイスや、シュナイダーのレンズと合わせ、デジタルの擬似ローライ、擬似ハッセルとして愛用した人は多いのではないだろうか。フィルムカメラのペンFを意識したボディフォルムとオリンパス独自の画作り。マイクロフォーサーズという比較的小さなセンサーながら、ハンデを感じさせないカメラだった。それから早8年が経ち最新のOM-D E-M1 Mark II(12月下旬発売予定)を試してみた。
今更E-P1と比較をしようとは思わないが、手に取った時のすっと馴染む感じ、小型ながらバランスの取れた重厚感と精密感がOM-D E-M1 Mark IIを触った瞬間にE-P1のそれと同じように感じられた。普段スナップ写真が多いので、気になるのはファインダーの見易さと、AFの合焦スピードだ。しかしEVFもこれほど見やすくなったのかと思わず唸った。重度のアナログ人間で、圧倒的な光学ファインダー派なのに全く意識をすることなく撮影できた。AFのスピードも「おおっ」とつぶやいてしまうほど。勿論精度も高い。何度かガラスの反射にやられたのか、思ったところに合わないこともあったが、そのくらいは何も気にならない。分かりやすい操作も重要なファクターだが、これに関しては慣れによる所も大きいと考えている。
ボディ、レンズ合わせて6.5段分の手ぶれ補正機能のふれこみは伊達ではなかった。まさか2.5秒でこれほど止まるとは、言葉も無い。メーカーの話だとこれ以上の手ぶれ補正は地球の自転の関係で不可能だとか。まるで自分が上手くなったかの様に、迷惑な錯覚すらさせてくれるカメラだ。因みにレンズが12-100mmではないので、ボディのみ5段分の手ぶれ補正だ。
ファインダーを覗き、何も考えずシャッターを切ってみる。静かなそして上品なシャッター音だ。最近のデジタルカメラは高画素化に伴いシャッターショックが少ない。ぶれない様にする為には仕方が無い事かもしれないが、これには物足りなさと少々の寂しさを感じる。
全く動かない物撮りでない限り、写真を撮る際のタイミングがとても大事なのは言うまでもないが、このカメラはその要求に本当に良く答えてくれる。
肘をつけての撮影だが、露光時間は5秒。三脚はおろか一脚さえも必要ないのかと疑ってしまう。色も自然で大変好みの描写だ。点光源も変なフレアなどは一切見えない。
グラデーションもとても綺麗でイメージ通りに撮影出来た。普段からレンズを数本持ち歩くので、小型軽量というアドバンテージは計り知れない。スナップは荷物が多いだけで撮影に支障が出てしまう。
こういったアンダー気味の写真でも雰囲気を壊すことなく再現してくれる。矛盾するようだが、大きなサイズのセンサーでオリンパスのカメラを見てみたい気持ちが湧く。きっとオリンパスの、OMの精神が大きなカメラは作らせないだろう。
質感表現も申し分ない。光の状態が良かったので、解像感だけ増してカリカリとするような描写にならないか心配したが、杞憂に終わった。個人的にとても好きな写真になってくれた。
初めて行った街では、色々と目に見えるものが新鮮に映る気がする。カメラを持っていると尚更だ。ミラーに写る建物にも、何の苦もなくピントを合わせてくれた。
カメラを選ぶ時に大事なポイントは人それぞれなのだが、私は数字上のスペックが素晴らしいカメラよりも、「このカメラを使ったときに良い写真が多いんだよね」という方がカメラ本来の姿だと思っている。EVF、AFスピードと精度、防塵防滴、手ぶれ補正、堅牢なボディ、肝心の画作り、私が撮りたいと思っている写真を撮るための道具としてOM-D E-M1 Mark IIは最高の選択肢のひとつだ。
使用機材:OM-D E-M1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
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