カメラ用交換レンズは野外で使うものなので、使えば汚れてしまいます。そんな時、クリーニングを怠ると思わぬトラブルが発生して画質に悪影響を与える事もしばしばです。
特に高温多湿な日本では、レンズにカビが生えてしまう事があり、そうなると表面に跡が残ってしまい写りが悪くなる事は勿論、売却の際の金額も大幅に下がってしまいます。
今回はそんなトラブルを避ける為のレンズの清掃方法や掃除用品について解説したいと思います。
目次
レンズ清掃のポイント
レンズ清掃の手順
ブロアーでホコリを除去する
レンズを拭く
レンズ後面の清掃
鏡筒の清掃
レンズ内の清掃について
保護フィルター
ブロアーの種類
おすすめのブロアー
おすすめのクリーニングペーパーとクリーニング液
3i(サンアイ) 蔵Cura シリーズ
FUJIFILM(富士フイルム)レンズクリーニング・リキッド レンズクリーニングペーパー
KING(キング)クリーニングクロス
まとめ
レンズ清掃の基本は汚れやホコリを取る事です。特にカメラ・レンズに使われている光学ガラスにはカビが生えてしまう事があるので、使用後には必ず掃除をして汚れや油をふき取るようにしましょう。
カメラやレンズのトラブルは意外と長期間使わない時に発生するケースが多いので、使わなくても定期的に取り出して清掃がてらシャッターを切ったりオートフォーカスを動かしてやる事でトラブルを避ける事ができるでしょう。
カメラ用レンズは精密機械なので、自分でクリーニングする事をためらわれる方も多いと思います。
特にレンズ表面をさわって傷をつけてしまう事を恐れる方が多いと思いますが、最近のレンズ表面のコーティングはとても硬く、簡単には傷がつかないので、極端に神経質になる必要はありません。レンズの清掃は、いくつかのルールを守れば誰にでも出来る事なのです。
野外で使う事がほとんどのレンズは汚れるのが当たり前なので、自分である程度の清掃は出来るようになっておいて、レンズの性能を最大限活かした撮影をしましょう。
レンズ清掃をする際に最も重要な事は、レンズを拭く前にレンズ表面の大きなゴミや砂粒をブロアーなどを使って吹き飛ばしておく事です。
この作業を怠ると、レンズ表面についた硬い砂粒などによって簡単に傷が付いてしまいます。よくカメラの事を知らない人がハンカチでレンズを拭いて傷をつけてしまう事がありますが、これも実はハンカチだから傷が付くわけでは無く、拭く前にブロアーを使わなかった事が原因である事がほとんどなのです。
特に風の強い日や、砂浜などでは注意しましょう。
レンズを拭く際にはブロアーでゴミを吹き飛ばした後、専用のペーパーとクリーニング液を使ってレンズを傷めないよう優しく汚れをふき取ります。汚れが少ないなら、クリーニングペーパーだけを使って乾拭きしてもいいでしょう。
撮影後には毎回レンズ清掃をする事がおすすめです。付着した汚れからカビが発生する事が防げますし、急な撮影でもレンズが綺麗な状態で撮影にのぞめるからです。
とは言え、レンズを大切にするあまり、汚れてもいないレンズを何度も拭くのはレンズを傷めるリスクが増すだけなであまりおすすめしません。何事もほどほどにです。
レンズ交換を頻繁に行う方なら、レンズの前面だけでなく後面(後玉)をうっかりさわって指紋を付けてしまった経験を持つ方も多いのではないでしょうか。
実はセンサーに近いレンズ後面の汚れや傷は、画質への影響が大きいと言われているので、レンズ後面の汚れは前面以上に気にかけておく必要があります。
レンズの拭き方は前面と同様ですが、傷を付けないようブロアーを念入りに行うなど、より慎重に行った方がいいでしょう。
写りに影響は無いとは言え、鏡筒もセーム革など柔らかい布で拭くといったクリーニングをしておく方がいいでしょう。
特に夏場は汗などが渇いて白くあとが残る事もあるので、手でさわる機会が多いフォーカスリングなどは、ゴムや樹脂部品を傷めない程度に薄めたアルコールなどで拭っておいた方がいいかもしれません。
また、細かい隙間に入ったホコリなどは、歯ブラシや竹ひごなどを使うと綺麗に取り除く事が出来ます。
レンズ内の清掃は、残念ながら個人で行う事は出来ません。メーカーや専門の業者にメンテナンスをお願いする事になります。
レンズの種類や清掃する部分、取り扱う業者によって価格は違いますが、最低でも1万円以上のコストがかかるのが普通です。特にレンズ内にカビが生えてしまうと、通常はレンズの分解が必要になるので修理代は高額となり、場合によっては買いなおした方が安くつくケースすらあります。普段からクリーニングなどメンテナンスを怠らず、保管場所などに気をつけるようにしましょう。
経験的には長期間使わない事でトラブルになるケースが多いようなので、写真を撮らなくても、たまには防湿庫から出して動かしてあげるといいでしょう。
レンズ前面は非常に汚れやすい部分なので、保護用のフィルターをかけておく事もおすすめです。フィルターをかけておく事で、汚れるのはフィルターという事になり、レンズを直接清掃するよりもハードルが一気に下がります。
注意点は、フィルターをかけている事で安心してしまう為か、フィルターが汚れている方を多く見かける事です。フィルターが汚いとレンズ同様写りが悪くなる事もあるので、普段から清掃する事を心がけた方がいいでしょう。
marumi(マルミ)やKenko(ケンコー)などから、表面が撥水処理されていて汚れが付きづらく、落としやすいモデルが数種類出ておりおすすめです。
ブロアーには手でシュポシュポと握って使う、いわゆるブロアーと、缶の中のガスを吹きかけるタイプ(当店では缶ブロアーと言っています)があります。
前者は軽量でどこにでも持ち運べ、壊れるまでは永久に使えるのが利点、後者は風が強い事が利点となります。携帯にはブロアーを、自宅で使う時は缶ブロアーを使うといった使い分けがいいでしょう。
ところでブロアーには価格的に様々なものがありますが、どのような違いがあるのでしょうか?私の経験では価格の違いは主に耐久性です。3倍の値段のブロアーは、余裕で3倍以上長持ちする事が多いので、当店のようにお店で酷使するなら、高価なブロアーの方がコスパが高くなります。しかし、アマチュア写真家でそこまで使う方はめずらしいと思うので、使い易いものを選べばいいでしょう。
個人的におすすめのブロアーにU.N(ユーエヌ)のショットブローがあります。
通常ブロアーは長いくちばしの先から風が出る仕組みですが、このくちばしが短いのが特徴です。レンズとの距離感がつかみやすく、風を吹きかけたい場所にピンポイントで使える事や、全体にコンパクトになるのでカメラバッグなどへの収まりがいい事がおすすめの理由です。数年このブロアーを愛用していますが、壊れる事もなく使えているので、価格が高いブロアーではないですが頑丈さも十分と言えるでしょう。
又、自宅用に缶ブロアーもおすすめで、手で使うブロアーよりも風が強いので、ヘリコイドのラバーに付いたホコリを落とすさいなどに便利です。
個人的におすすめなクリーニングペーパーとクリーニング液は3i(サンアイ)の「蔵Cura」という製品です。
ムラになりづらく、アルコールフリーなのでガラス面を痛める事も少ない製品で、洗浄力だけなら他にいいものがあるかもしれませんが、使い易く感じて長らく愛用しています。
同じく蔵Curaのクリーニングペーパーも厚手で使い易く、ペーパーと液のセットもあるので、こちらもおすすめです。
FUJIFILMのレンズクリーニング・リキッド、レンズクリーニングペーパーはフィルム時代からある定番の製品です。
リキッドは蔵Curaよりも少しムラになりやすく使い勝手は劣りますが、汚れを落とす能力は高いので、油分などがこびりついてしまった時や、汚れたジャンク品のレンズなどの清掃には重宝します。
ペーパーは油トリガミのような質感で、お世辞にも使いやすいとは言えませんが、長く使われて来た実績があり安心して使えるところがポイントです。
カメラやレンズの清掃には使い捨ての製品が安心ですが、トレシーなどの専用の布を使う事もできます。
そんな中でおすすめはカメラアクセサリーのメーカーKINGが出しているクリーニングクロスです。トレシーなどよりも厚手で、使用されている超極細繊維「ベリーマRX」のくさび状断面構造により、クリーニングリキッドが無くても汚れを落とす事が可能となっています。
布に汚れが残っていると際付着の可能性があるので、こまめに洗濯して使うようにしましょう。