ズーム出来ない単焦点レンズは、一見すると不便なレンズに感じますが、表現力の高さ、専用設計故の性能の高さ、何より、被写体との距離感やアングルを創意工夫しながら撮る楽しさがあり、不便な道具を使う故の満足があります。
今回は多くのラインナップを持つEマウントの単焦点レンズの中から、おススメの13本を選んでみました。
目次
SONY(ソニー)を代表するカメラに、6100万画素という超高画素のセンサーのα7RIVがあります。
画素数が多くなれば、それだけ高精細な写真が撮れるようになりますが、カメラの性能を活かし切るにはそれだけシャープで高性能なレンズが必要になります。
先ずはそんな、超高性能なレンズを取り上げてみたいと思います。
実はこのレンズが発売された当時、6100万画素のα7RIVはまだ発売されておらず、当時の最高画素のカメラα7RIIIでテストしました。
その際の感想は「いくら拡大表示しても眠くならない」モニター上で等倍に拡大しても甘さを一切感じさせない驚くべき高性能さに、かなり驚かされたレンズです。
f1.4という明るい開放f値のおかげで、広角レンズでありながら大きなボケを楽しめるのも、特徴の一つです。
>>> SONY (ソニー) FE 24mm F1.4 GM 〔SEL24F14GM〕
SONY α7RIVのレビューの際使ったレンズの一本です。
同時に持って行ったズームレンズの性能を軽く凌駕する性能に圧倒され、単焦点レンズの高性能さを改めて知るきっかけになりました。
大きく美しいボケの海の中から、素晴らしくシャープに立ち上がる映像の美しさは、単焦点レンズの大きな魅力の一つです。大きく重いレンズですが、Gマスターの単焦点を代表する高性能なレンズだと思います。
>>> SONY (ソニー) FE 135mm F1.8 GM 〔SEL135F18GM〕
SIGMA初の開放f値1.2の大口径レンズは、開放f1.2とは思えない驚くほどの高性能さと併せて、どこかにSIGMAらしい写りのクセや個性も感じさせてくれる、レンズ選びの楽しさが詰まった一本。
単焦点レンズを1本持つならこの画角、と言われる事が多い35mmという汎用性の高い焦点距離に、開放f1.2の薄いピントから来る表現力の高さと、このレンズだけで撮影に出かける価値のあるレンズです。
レンズに合わせて被写体を探すのも楽しさが味わえます。
>>> SIGMA (シグマ) 35mm F1.2 DG DN | Art ソニーEマウント用
このレンズの存在が、この記事を書くきっかけの一つになりました。
本来AFのマウントであるEマウントで、マニュアルフォーカスのレンズ?と思うかもしれませんが、高性能をうたうAFレンズを軽く凌駕するシャープネス、解像力を持っている凄いレンズです。
ファインダー上で鋭く立ち上がるピントを見ながらフォーカスリングを操作するのも楽しく、特にα7RIVは576万ドットの高精細なEVF(電子ビューファインダー)を持っているので、このレンズとの相性は抜群と言っていいでしょう。
>>> Voigtlander (フォクトレンダー) APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical E-mount ソニーE
写真を撮るモチベーションを上げてくれるメーカーCarl Zeiss (カールツァイス)です(個人の感想です)。
かつては解像力よりもコントラストを重視し、線の太い描写というイメージのCarl Zeiss (カールツァイス)ですが、近年のCarl Zeiss (カールツァイス)は、ボケ味などの個性だけでなく、解像力などの性能面においても恐ろしく高いレベルにあります。
トップグレードの「Otus(オータス)」は、ライバルメーカーの開発陣から「Otus並み」と言えば高性能である事を表す、最高峰のレンズですが、ソニーEマウント用のシリーズ「Batis」も非常に高性能です。
>>> Carl Zeiss (カールツァイス) Batis 1.8/85 E-mount ソニーE
少しでも綺麗に撮ろう!カッコよく撮ろう!そんな気持ちでシャッターを切るなら、それは十分アートだと思います。
アートで重要なのは、個性です。
他とは一味違う、そんな個性的なレンズをセレクトしてみました。
変な言い方ですが、個性を人為的に作られたレンズで、そんな事が出来るのは、SIGMAの高い設計技術あってこそと言えるでしょう。
上の写真は、実は一部分を拡大したものなのですが、かなり大きく拡大しているにもかかわらず非常に高い立体感があるのは勿論、ボケの感じ、特に水滴のまわりのボケ感は、非常に美しく、まるでそうデフォルメされた画をみているようです。
高い解像感とシャープネスのSIGMAレンズの中にあって、それを一部捨ててでもボケの美しさを突き詰めた、個性派な一本と言えるでしょう。
>>> SIGMA (シグマ) 45mm F2.8 DG DN | Contemporary ソニーE
35mm、40mm、50mmと、不要とも思える非常に近い焦点距離で3本のレンズをラインナップしているSEシリーズは、それだけでもうアートです。
f1.2という非常に明るい開放f値から来る表現の幅の広さは勿論、f1.2で柔らかいフィルムライクな写り、f2.8では非常にシャープな抜けのいい描写に変貌するので、使いこなす難しさがあります。
SONY Eマウント専用設計で、レンズ情報をカメラに電気的に伝達できるため、フリンジなどの欠点を自動的に補正出来る事も見逃せません。
>>> Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 50mm F1.2 Aspherical SE ソニーE
前後の美しいボケ味や、開放で少し周辺部が暗くなるクラシックな写りが個性的なレンズです。
ライカMマウントのレンズで、Eマウント専用ではないので、フリンジ(明暗差の激しい境界部分に出る本来無い色)がのり易いという欠点がありますが、それでもどうしても推したくなる、魅力があります(使用にはマウントアダプターが必要)。
Vintage Line らしいクラシックなデザインは、使っていて楽しいですね。
>>> Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON Vintage Line 75mm F1.5 Aspherical VM シルバー
>>> Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON Vintage Line 75mm F1.5 Aspherical VM ブラック
今回取り上げた中で、唯一APS-Cサイズセンサー用のレンズになります。
16:9のタテヨコ比(アスペクト比)で撮影したものを、編集の際に2.7:1にヨコ方向を伸ばして使うという変わり種のレンズは、本来スクリーンで映し出す為のものです。
横方向に発生する青いゴーストや、点光源が楕円形に再現される特徴があり、古い映画を見ているようなノスタルジックな写りは、少し甘い描写と併せて、古い映画のスクリーンを見ているような、独特の雰囲気があります。
>>> SIRUI (シルイ) 50mm f1.8 1.33X アナモルフィックレンズ E-Mount ソニーE
単焦点レンズの利点は写りだけではありません。
小型、軽量なレンズは、カメラを持ち出す敷居を間違いなく下げてくれて、大きくて高価なレンズよりも、時にいい写真が撮れてしまったりします。
気軽に持ち出せる、お散歩の途中で肩の力を抜いて写真を撮る、そんな使い方も単焦点レンズの大きな魅力です。
24mmという広角レンズでありながら、200g程の軽量なSONY Eマウント専用レンズで、最短撮影距離は0.12mとマクロ撮影が出来るのが特徴の一つです。
ちょっとおもちゃっぽいデザインは、本格的で少し武骨なデザインのカメラとミスマッチにも見えますが、そこがちょっと可愛くもあります。
実は、見た目に反して非常に高い描写性能を持った羊の皮を被った狼的なレンズです。
>>> TAMRON (タムロン) 24mm F/2.8 Di III OSD M1:2 (Model F051) ソニーE
なんと162gという非常に軽量なレンズでありながら、開放f1.8で写りも良好と、お散歩用にピッタリです。
ボケ味が綺麗なのもいいところで、開放を活かしたピントの合う範囲を限定した写真を撮るのが楽しくなるレンズです。
実は他に2本の軽量なレンズ、AF 24mm F2.8 FE、AF 75mm F1.8 FEがあり、3本持っても500gを切る重量なので、お散歩用の3本セットで使っても面白いと思います。いずれもなかなか高性能です。
>>> SAMYANG (サムヤン) AF 45mm F1.8 FE ソニーE
一般的に言って、小さいレンズでは無いのでここにのせるべきか迷いましたが、性能の為なら大きさの事など些事と割り切るSIGMAというメーカーの事を知る身としては、その小ささに驚いたレンズです。
オートフォーカスレンズとは思えない、滑らかなフォーカスリングの動きや、絞りリングの採用など、写真を撮る為の機能もユーザー目線で良く考慮してあり、写真を撮る事をとことん楽しませてくれます。
勿論、性能的にも一切の妥協は無く、SONY(ソニー)α7RIVの6100万画素を活かし切る事が出来る数少ないレンズの1本でもあります。
>>> SIGMA (シグマ) 85mm F1.4 DG DN | Art ソニー E マウント用
一般的に見れば全く小さくも軽くもありませんが、400mm f2.8というスペックを考えれば驚異的に軽量で小さいレンズです。
使用した時、重量が3kgを切っている事を聞き、かなり驚きました。実際に使ってみて、軽量である事が超望遠レンズの世界をこれほど快適にしてくれるのかと、感動すら覚えました。
性能的にも一切の妥協なく、非常に高性能、そして非常に高価です。
>>> SONY (ソニー) FE 400mm F2.8 GM OSS
SONY(ソニー) Eマウントの単焦点レンズの中から、おススメの13本を選んでみました。
SONYは、フルサイズミラーレス一眼カメラのパイオニアだけあって、純正、サードパーティー織り交ぜて多くの選択肢があり、過去の記事から自身で使ったレンズを選ぶのが大変でもあり楽しくもありました。
マニュアルフォーカスや超望遠、アナモルフィックレンズなど、少し一般的なものから外れますが、SONY(ソニー) Eマウントならではと思い選択に加えました。
個性的なSONY(ソニー) Eマウントの単焦点レンズで作品作りを楽しみましょう!
Photo & Text by フジヤカメラ 北原