OM-D E-M1 Mark III について、前機種 OM-D E-M1 Mark II とスペックを比較しながら魅力を探ってみたいと思います。
E-M1 Mark III(2020/2月発売予定) | E-M1 Mark II(2016/12月発売) | |
センサー/映像エンジン | 2037万画素 4/3型 Live MOS/TruePic IX New | 2037万画素 4/3型 Live MOS/TruePic VIII |
連続撮影速度 | 18コマ/秒(静音連写Lモード/AF/AE追従) | 18コマ/秒(静音連写Lモード/AF/AE追従) |
EVF/液晶モニター/タッチパネル | 約236万ドット/3.0型(104万ドット)/有 | 約236万ドット/3.0型(104万ドット)/有 |
手ぶれ補正 | 最大7.5段 New | 最大6.5段 |
5000万画素手持ちハイレゾショット | 〇 New | × |
星空AF | 〇 New | × |
マルチセレクター | 〇 New | × |
バッテリー/撮影可能コマ数/USB充電・給電 | BLH-1/約420枚/可 | BLH-1/約440枚/不可 |
重量 | 約580g(バッテリー、メモリー含) | 約574g(バッテリー、メモリー含) |
イメージとしては、OM-D E-M1 Mark II のボディに入った、E-M1Xというイメージですが、大きな違いは被写体認識AFが無い事で、これは映像エンジンTruePic VIIIを2基搭載したE-M1Xでないと実現出来なかったようです。
以下、OM-D E-M1 Mark II では出来なかった事を中心にレポートしたいと思います。
先に述べた通り、スペック的にはほとんどE-M1Xと言っていい内容です。特に目を引くのは、最高7.5段の手ぶれ補正(M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO /M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO 使用時)機能で、これは前機種EM-1 Mark IIよりも1段性能がUPした事になります。
例えば、1/45でシャッターを切らなければ手ぶれするようなシチュエーションで、4秒の超スローシャッターを切れるという事で、撮影者の技量にもよりますが、三脚の必要性がかなり小さく抑えられるカメラと言っていいでしょう。
実は、OLYMPUSのカメラを使ってみて、個人的におススメだな、と思った機能の一つがハイレゾショットです。
三脚の使用が必要だったハイレゾショットですが、OM-D E-M1 Mark III はこのハイレゾショットが、5000万画素手持ちハイレゾショットとして、手持ちでも行えるようになりました。より強化された手ぶれ補正機能のおかげだと思います。
一目瞭然でわかる程度に画質が良くなる機能が、三脚無しでも使えるようになった事は、風景写真など細密描写を求められる写真や、マイクロフォーサーズでも超高画質で撮りたいカメラマンには朗報だと思います。
暗闇で、極小さな被写体である星に、マニュアルフォーカスでピントを合わせるのは、思った以上に面倒な作業だと思います。OM-D E-M1 Mark III は、この面倒な作業まで、カメラ任せに出来るようになりました。
星空のような、暗い被写体に、どうやってピントを合わせるのか技術的な部分に興味が出ますが、撮影のストレスが大幅に少なくなるでしょうから、星景写真などを頻繁に撮るカメラマンにはかなり便利な機能だと思います。
ライブコンポジットは星景写真では定評のある機能ですが、OM-D E-M1 Mark III の星空AF機能は、より便利にノーストレスで星景写真が撮れる機能だと思います。
バッテリーの残量を気にしながらの撮影は、撮影に集中出来ませんし、モチベーションも下がってしまいます。
OM-D E-M1 Mark III では、USBからの充電、給電、に対応しました。いざとなったらモバイルバッテリーなどからの充電、給電が可能なので、実際に使うかは別としても、安心感をもって撮影にのぞめると思います。
又、USBの形式が、USB-Cとなった為、ケーブルを差し込む際に、裏表を気にせず挿せるのも便利です。
古いカメラファンの方はご存じだと思いますが、かつてオート露出について、絞り優先かシャッタースピード優先か、という議論がありました。今のカメラは、両方付いているのが普通なので、意味の無い議論です。
タッチパネルかマルチセレクターか、という議論があったかどうかは知りませんが、OM-D E-M1 Mark III には、タッチパネルとマルチセレクターの両方を装備され、どちらにも使えるようになりました。
どちらがいいかはさておき、スピードはタッチパネル、信頼性はマルチセレクターに分があるように思うので、タッチで大雑把な位置を決め、マルチセレクターで微調整といった使い方も出来ますから、両方の装備された事は、使い勝手の向上につながると思います。
併せて、非常にコンパクトなPROシリーズの標準ズームレンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO (35mm判換算で、24-90mm)が発表になっています。
写真を見る限り、PROシリーズレンズらしい高品位なデザインで、さらにフィルター口径は58mm、全長は70mmと、非常にコンパクトで、携行性のいいレンズです。
開放f値はf4と、明るくはありませんが、風景写真など、絞って使うユーザーには十分だと思いますし、なによりPROシリーズである事は、気軽に撮れて、画質的にも妥協したくないユーザーには最高のレンズだと思います。
E-M1 MarkIII の項でも紹介したハイレゾショットについては、レンズの性能が画質に大きく影響するようなので、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO + ハイレゾショットで、コンパクト高画質なシステムを組んでも面白いと思います。
コンパクトなボディに、E-M1Xとほとんど同等と言っていい機能が詰め込まれ、現時点で、マイクロフォーサーズとOLYMPUSの良さが、最も色濃く出たカメラだと思います。
中心に置かれる技術は、最高7.5段のセンサーシフト式手ぶれ補正という事になると思いますが、その技術が、低感度での撮影を可能としたり、手持ちハイレゾショットに転嫁されていたりと、マイクロフォーサーズの短所も長所も知り尽くした、OLYMPUSらしいカメラになったと思います。
フラッグシップ機のE-M1X は、プロユースを想定し、操作性の追求して開発された為、コンパクトさという、OLYMPUSとマイクロフォーサーズのメリットを一部捨てた感がありましたが、同等に近い性能を持ちながら、OM-D E-M1 Mark II とほぼ同じ大きさを実現している OM-D E-M1 Mark III は、一般ユーザーには受け入れられやすい機種に感じました。
>>> OLYMPUS OM-D E-M1 Mark III
>>> M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO