SONY RX0 II のレビューです。
名称は「デジタルスチルカメラ」となっていますが、機能や形状から、動画で使用するユーザーがメインターゲットとなりそうなので、主に動画性能についてのレビューをお届けしたいと思います。
RX0 II の見た目で先ず目を引くのは、ティルト液晶を採用した事でしょう。
これにより、ローアングル、ハイアングルの撮影がやり易くなった他、自撮りもモニターを確認しながら出来るようになり、Youtubeなに動画をUPするユーザーにも使い勝手のいいカメラになったと思います。
又、動画撮影はFHDだけでなく、4K 30Pのフォーマットに対応し、本体内の電子手ブレ補正も搭載、10m防水・防塵、2.0m耐衝撃 機能と併せて、よりアクションカムに寄ったカメラになったと思います。
又、Log撮影(S-log2)も可能で、LUTを当てて、最近流行のシネライクな映像を制作する事も可能です。
前型のRX0は「多視点撮影」をカメラの特徴の上位に位置付けた、プロ寄りのカメラでしたが、RX0 II は、より撮影用途の広い、一般ユーザー寄りのカメラになったという印象です。
折角のティルト液晶と、動画機能も充実の機種という事で、ユーチューバー風(と言ったら、ユーチューバーの方に怒られそうなクォリティですが)の動画を作ってみました。
初めての試みで、かなり恥ずかしかったです。
テスト撮影は満開の桜並木で行いました。
春の日差しを浴びて、気持ち良く歩きながらの自撮りです。ティルト液晶を使って、撮影前に写る範囲を把握しながら撮影出来るので便利です。
しかし、普段やり慣れない事なのでちょっと恥ずかしいですね。
歩きながらの自撮りで威力を発揮したのが、電子手振れ補正です。
手振れ補正が歩行の際の振動を上手く補正してくれて、安定した画が撮れたと思います。
レンズは24mm相当(手振れ補正を使っているので、実際にはさらに画角が狭くなっているはずです)なので、自撮りで全身を入れるには、手持ちだと画角的に厳しいので、三脚に載せて少し体からカメラを離して撮影しました。
ワイド過ぎず、ナチュラルな描写です。
桜の花びらが敷き詰められた地面を入れたくて、カメラを持ち上げて俯瞰撮影しまいた。
不慣れな自撮りで、俯瞰した画を撮る際に、三脚が写ってしまいました(笑)
動画撮影時は、AFモードはPF(プリセットフォーカス)を使いました。
というよりAF-Cモードが無いので(これはちょっと辛い)、動画撮影時はこのモードを使うしか無いと思います。PFモードでは、1m~∞までの通常モードと、0.5~1mの近距離撮影用のnearモードを切り替えながら使う事になります。
2つのモードはボタン一つで切り替えられるようになっているので、切り替えに面倒はありませんが、どっちになっていたのか忘れてRECボタンを押してしまう事もあったので注意が必要です。
コンティニアスAFがあればなお良かったと思います。
RX0 II になって、4K:30pでの撮影が出来るようになりました。
個人的に4Kで撮影、編集をする事はほぼありませんでした。
パソコンのパワー不足やデータが膨大となって管理が大変、といった理由なのですが、今回、敢えて4Kでの撮影を行ってみました。
理由は、4KをFHDにダウンコンバートした画像の方が、FHDの撮って出しよりも画質がいい、といううわさを耳にしたからです。
上の画像が4K→FHDにダウンコンバート(adobe Media Encoder 使用)した画像(もとの画像から300%拡大)なのですが、4K→FHDにダウンコンバートのした画の方が、しまりがあって、細かい部分までよく解像しており、FHDより高画質に見えます。
うわさ通り、4Kからダウンコンバートした方がFHDの撮って出しより高画質なようで、撮影時のデータ容量が大きくなる嫌いはありますが、たとえFHDで使用する映像でも、高画質を望むなら4Kで撮影するのがいいようです。
普段使わなくても、ここぞという時に4Kでの撮影が出来るのは、やはり心強いです。
RX0 II の特徴の一つ、Log撮影(S-Log2)もしてみました。4Kでの撮影と同様、個人的には普段Log撮影も殆どしませんでした。
しかし、海外のYoutubeなどで、シネライクなカッコいい映像を見かける事が多くなり、LUTに興味があったので、せっかくの機会と思い試してみました。
Premierにデフォルトで入っているLUTをあてて、多少露出をいじっただけですが、なかなか上手くいったと思います(下半分がLUTをあてた画像)。
Logは、撮影時ファインダー上で仕上がりが確認出来ないなどの欠点もありますが、映像表現の幅が広がって楽しいですね。
ネット上でも様々なLUTが公開されているようなので、気に入ったLUTを見つけるのも楽しいと思います。
RX0 II の特徴の一つは、一般的なウェアラブルカメラよりも大型な、1型センサーを搭載している事です。よって、低照度下での動画撮影にかなり期待していましたが、結果は「まぁまぁ」という程度でした。もっとすごいと思っていたので残念です。
低照度に思ったより強くない事の理由は簡単で、いくらなんでもレンズの開放f値が暗すぎ(f4)ます。せめてf2.8だったら、他のウェアラブルカメラに対する、絶対的なアドバンテージになったかもしれないのに・・・残念です。
私は低照度下での撮影は、APS-Cサイズセンサーのカメラにf1.4のレンズを付けて撮影しています。
明るいレンズは、低照度下で圧倒的なパフォーマンスを発揮するので、動画で夜間など暗い場所で撮影する機会があるなら、カメラを買い替えるより安く済みますので試してみる価値があると思います(被写界深度が浅くなる事には注意)。
SIGMAの F1.4 DC DN | Contemporary シリーズ で焚火&夜景を動画撮影 記事
動画のテストを主にしましたが、写真も撮りました。
画質について、動画よりもシビアになる写真では、1型センサーとCarl Zeiss レンズの高性能がいかんなく発揮され、この大きさのカメラで撮ったとは思えない高性能さでした。
少し拡大してみます。
クリアな描写で、かなり高画質画だと思います。手のひらに収まる、小さなカメラの画質とは思えません。
RX0 II から、近接が20cmまでになったのも使い勝手を向上させています。
AFの精度も良く感じました。
動画と違って、シャッタースピードで露出を調整出来る写真では、低照度下でのクォリティも問題無いようです。
ちょっと残念なのは、動画→写真→動画といった撮影をする際、モードの切り替えをメニュー画面から行わなければならず、少し面倒でした。
こういった事は大きさとのトレードオフなので致し方ありません。
4K 30p、S-Log2、電子手振れ補正、自撮りも可能なティルト液晶、と小型の動画カメラとして、申し分ない性能だと思います。
こんな小さなカメラでここまで写るのか!と、感動すら覚えました。1型センサーとCarl Zeiss レンズの組み合わせも、高画質に大きく貢献していると思います。
今回は自撮りを主にテストしましたが、小ささや堅牢さを活かして、もっともっと可能性の広がるカメラだと感じました。