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2018.11.21
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SIGMA (シグマ) の F1.4 DC DN | Contemporary シリーズ で焚火&夜景を動画撮影

キャンプでの焚火や夜景など、低照度下で動画を撮影をする際の画質劣化の解決方法として、SIGMAの「F1.4 DC DN | Contemporary シリーズ」レンズを使う方法を提案したいと思います。

 

通常シャッタースピードを「1/フレームレート」よりも遅く出来ない動画の撮影では、低照度、高感度時のノイズは大きな問題だと思います。

 

もともと低照度に強い「SONY α7SII」や「Panasonic GH5S」といったカメラを使う事で、この問題は大幅に改善しますが、いずれのカメラも高額で、おいそれと手の出る価格ではありません。

 

かくいう私も、メイン機材はSONY α6300+10-18mm f4な為、焚火や夜景など、キャンプの撮影では、画質の低下(主に酷いノイズの発生と、それによるシャープネスの低下)を我慢しながら使っていました。

 

F1.4レンズの優位性

そんな折、SIGMA (シグマ)より「56mm F1.4 DC DN | Contemporary」が発表されました。これによりSIGMAのAPS-Cサイズセンサーカメラ用の、開放f値1.4のレンズシリーズも「広角、標準、望遠」と3種類揃う事になりました。

 

開放f1.4という事は、f4と比較して3段階明るいという事になり、例えばf4、ISO25600で適正露出が得られるシチュエーションで、ISOを3段低いISO3200に設定出来るという事です。

 

これは、圧倒的に画質が滑らかで綺麗になる事を表します。

 

状況にもよりますが、この3本があれば、低照度下での動画撮影も、ノイズの少ない高画質で、明るくリッチな画が撮れるんではないか?と思い、趣味のキャンプに行った際、実際にテストしてみました。

 

実写テスト

キャンプ時の夜間撮影は、非常に光が少ない、撮影は難しい条件になります。

 

焚火など、ある程度光がある部分は明るく撮れるのですが、周囲は闇にまぎれてしまいます。全体の雰囲気が伝わるように、感度を上げるとノイズが酷くなり、画質的にいまいち。もう少し、周囲の状況が伝わる、明るく滑らかな映像にならないか、と不満に思っていました。

 

今回SIGMA 「16mm F1.4 DC DN | Contemporary」「56mm F1.4 DC DN | Contemporary」の2本を使ってキャンプの動画を撮ってみました。

 

露出はいずれも、マニュアルでシャッタースピードは1/30に、f値は1.4、ISOはオートにしてありますが、最高感度をISO12800までに設定しています。

 

 

いかがでしょうか?

 

焚火の炎、一瞬の火の粉や煙、ロウソクの瞬きや周囲の雰囲気も真っ暗にはならず、高画質に写しとれていると思います。又、夜景では、街の灯りが肉眼で見た以上に明るく再現され、リッチな映像になっていると思います。

 

さらに、ISOが比較的低く抑えられているので、滑らかな映像になりました。闇夜がノイズの少ない締まった黒に再現される為、コントラストの高いシャープな映像になります。

 

又、広角、望遠の2本が用意されている為、16mmで引きの画を、56mmで背景をボカした寄りの画を撮影する事が出来るので、編集を意識した撮影もし易いんではないかと思います。

 

SIGMAの「F1.4 DC DN | Contemporary シリーズを使った低照度撮影テスト 写真①

 

「56mm F1.4 DC DN | Contemporary」で撮影したカットから切り出した静止画です。

 

背景や黒いジャケットも十分な階調を残して描写され、又、余裕のあるISO感度で撮影出来ている為、ノイズの少ないなめらか映像となっています。

 

例えばf4で、ここまで滑らかな画を撮ろうと思うと、もっと暗いノイズの多い眠い映像になってしまっていたと思います。

 

又、56mmという長めの焦点距離もあって、背景が大きくボケ、立体感のある映像になりました。

 

SIGMAの「F1.4 DC DN | Contemporary シリーズを使った低照度撮影テスト 写真②

 

夜景についても、肉眼以上に明るくリッチな画を撮る事ができます。

 

シチュエーションとしては静止画やタイムラプスで補ってしまう事も出来ますが、動画なら光の瞬きなど、動きを表現する事も出来るので、他に代えがたい魅力的な映像になります。

 

一部明るい星が写っているのも、f1.4という明るいレンズならではだと思います。

 

16mmという画角も、十分にワイドな表現をする事が可能で、30mmよりも手振れが目立たずに済むので、手持ちでの動画撮影でも使い易いと思います。

 

SIGMAの「F1.4 DC DN | Contemporary シリーズを使った低照度撮影テスト 写真③

 

今回使用したカットで、唯一大きくノイズがのってしまった画像です。

 

このカットだけ、ほぼ真っ暗に近い状況だったので、ISO感度を上限のISO25600に設定したました。さらに後処理で露出をプラス3段しているので、ノイズが酷いのは仕方がないと思います。

 

ギリギリの映像ですが、動画で撮影したお陰で、焚火の揺らめきが木々の葉に写る様が、魅力的な映像として撮影出来たと思います。解放f1.4のレンズが無ければ撮れなかった映像です。

 

驚きなのは、高感度で撮影したおかげで、星が写っています。滑らかに撮ろうと思ったら、α7SIIやGH5Sなどの、低照度に極端に強いカメラ+大口径レンズが必要なシチュエーションだと思います。

 

SIGMAの「F1.4 DC DN | Contemporary シリーズを使った低照度撮影テスト 写真④

 

焚火から立ち上る煙の様子が、詳細に描写されていて綺麗です。

 

SIGMA 56mm F1.4 DC DN | Contemporary で撮影したカットですが、このレンズは背景の美しいボケ、それほど高額では無い価格、優れた光学性能と、動画カメラマンにも是非おススメしたいレンズです。

 

ところで、以前、焚火を撮影していた際、夢中になり過ぎてオンカメラマイクのウィンドジャマ―を焦がしてしまった事があります。

 

焚火の撮影にはくれぐれも注意しましょう!

 

3本揃えてもコンパクト

APS-Cサイズセンサーカメラ用のレンズという事で、非常にコンパクトなのも魅力的なシステムです。

 

重量も、一番大きい 16mm F1.4 DC DN | Contemporary でも、405gと軽量で、3本持っても約950gと1kgを切る重さです。

 

とかく荷物が多くなりがちな動画カメラマン、特にワンオペで撮影を行うアマチュアカメラマンには、この軽量、コンパクトさは大きな魅力だと思います。

 

まとめ

SIGMAの 16mm F1.4 DC DN | Contemporary 、30mm F1.4 DC DN | Contemporary 、56mm F1.4 DC DN | Contemporary は、3本で多くのシチュエーションに対応出来、f1.4という明るさを活かして、多彩な表現が可能な、動画ユーザーにおススメしたいレンズです。

 

今回試した、焚火や夜景など、キャンプの夜の撮影には絶大な威力を発揮しました。

 

欠点は、レンズ交換の手間がある事から、チャンスには弱い事、撮影中の画角変化を活かした表現手法は基本的に使えない事ですが、明るい故の表現力の高さ、低照度時の強さは代えがたい能力だと思います。

 

3本合わせても新品で12万円を切る価格も、例えばSONYのフルサイズ用のf4の広角ズームレンズが、14万円近くする事を考えれば、コストパフォーマンスが高いと言えると思います。背景の大きくボケるf1.4の単焦点レンズは、ズームレンズよりも多彩な表現の可能性を持っていると思います。

 

ドキュメンタリーのように、場当たり的に撮影して行くよりも、キャンプなど低照度時の撮影には、映画チックにある程度編集を意識して撮影していく方や、かなりおススメのレンズです。


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