SONYのコンパクトデジタルカメラ「RX100 シリーズ」は、そのコンパクトさと高性能さから、人気のシリーズです。
APS-Cサイズやフルサイズの一眼デジタルには及ばないまでも、一般的なコンパクトデジタルカメラよりも大型の1型センサーを搭載することで、カメラの小型化と高画質を両立させています。
その1型センサーがフルサイズセンサーに画質面でどのくらい迫るのか?
試してみました。
今回、画素数が同じくらいのフルサイズ一眼レフカメラとしてCanon EOS6Dを選びました。
レンズは、最高峰の標準ズームレンズEF24-70mm F2.8L II USM を使用。比較するカメラはSONY RX100M5を使いました。
一般的に、センサーサイズが小さくなると、低照度や高感度での画質の低下が問題視される事が多いと思います。
先ずは、センサーサイズの小ささが問題となりずらい、十分な明るさがあるシチュエーションでテストしました。画角は広角側24mm、f値は2.8を選択して撮影しています。
上の全体写真はEOS6Dで撮影したものですが、同じフレーミングで撮影して、ピントをひろった花の部分を拡大してみました。どちらがRX100M5の写真でしょうか?
目ざとい方は、右の画像のボケが小さい事に気づかれると思います。左がEOS6D、右がRX100M5です。1型センサーはフルサイズよりだいぶ小さいので、同じ画角なら焦点距離がかなり短くなり、それによってボケが小さくなります。
花びら(本当はガクですが)の諧調や、細部の描写はほぼ互角と言っていいと思います。ボケが小さいので、全体として見るとやや物足りなさを覚えますが、通常の照度であれば、シャープネスや諧調はフルサイズに勝るとも劣らない好描写を得られるようです。
次に同じように明るさが十分ある状況で、70mm望遠側、f値は2.8でテストしました。
上の写真は1型センサーの SONY RX100M5のものですが、70mm望遠側でもボケはそれほど大きくなりません。この辺りが同じ画角なら焦点距離が短くなってしまう1型センサーの厳しいところです。
さて、先ほどと同様に拡大してみます。
今回は左側がシャープで抜けがいいようです。左がCanon EOS6D+EF24-70mm F2.8L II USMです。RX100M5は望遠側が広角側の描写よりも、やや劣るのかもしれません。
さすがLレンズEF24-70mm F2.8L II USMは素晴らしくシャープです。
次に高感度での違いをテストしてみました。
雨上がりのテスト撮影だった為、雑草に水滴がついてみずみずしい写真が撮れました。
上の写真はEOS6Dで撮影しています。色の再現も豊かで、リアルな描写はさすがフルサイズです。感度は日陰のやや暗い場所での撮影だった為、ISO1600を選択。画角は約35mmです。
同じフレーミングで撮ったRX100M5の写真と比較してみます。
この写真では差が出ました。右がRX100M5ですが、ノイズが混じり、EOS6Dで撮影した左側の写真と比べて、立体感に欠ける写真になってしまっています。
さすがフルサイズ一眼はISO1600程度ではノイズはほぼ感じられません。EOS6Dは2012年発売と新しくないカメラですが、6年の月日を経ても、センサーサイズの違いによる有意性にはゆるぎないものがあります。
次にボケの大きさを比較してみました。
あたり前ですが、フルサイズ一眼の圧勝です。勿論上の写真がEOS6Dで撮影した写真です。f値は2.8です。
センサーが小さい分、焦点距離が短くなる1型センサーのRX100M5と比べて、フルサイズ一眼カメラは前ボケ、後ろボケともに大きくとる事が出来ます。言い方を変えれば表現の幅を大きくとれると言ってもいいと思います。
f1.4など極端に被写界深度を浅くとれる単焦点レンズが人気なのもうなずけます。
1型センサーを搭載した、SONY RX100M5は評判どおり高い描写性能を持っている事を再認識しました。特に、明るさが十分ある好条件下では、フルサイズと比較しても遜色無いレベルに感じます。ここまでの性能を持っていれば、A3程度の大伸ばしプリントにも十分対応出来るのではないでしょうか?
さすがにフルサイズと比較すると、低照度下など不利な部分は不利と出ますが、大半のユーザーは画質的にも満足されると思います。個人的には、画質よりもボケが小さい事で表現の幅が小さくなってしまう事が、マイナスポイントとして大きいと感じました。
メリットはなんといってもコンパクトである事で、撮影のフットワークをグッと軽くなります。どこに行く時も持って歩ける、高性能なコンパクトデジタルカメラとして、SONY RX100M5は、かなりおススメです。
今回のテストで、1型センサーのRX100M5が高画質である事を再認識しましたが、それと同じくらい、フルサイズセンサーが高画質である事を再認識しました。
テストに使ったCanonのEOS6Dは6年前に発売されたカメラです。
映像エンジンなどが進歩した現在でも、センサーサイズが優位にはたらく条件(高感度、低照度可下)では、1型センサーの限界とフルサイズセンサーの有意性を見せつけられる結果となりました。
この写真は下の写真からの拡大ですが、木の幹の質感や、一枚一枚の葉の諧調やディテールが細かに描写されています。
カメラは勿論ですが、超高性能を誇るCanonのLレンズ「EF24-70mm F2.8L II USM」の描写性能はさすがの一言につきます。
ボケの量が大きい事まで含めて、本気で「表現」するなら、フルサイズ一眼はさすがですね!