ついに、ブラックマジックデザインより、ブラックマジックポケットシネマカメラ(BMPCC) 4Kが発表になりました!4K DCI 60p、デュアルネイティブISO、5インチの大型タッチパネルなど、現在の動画のトレンドを押さえた素晴らしく高性能なシネマカメラです。しかも税込み16万円弱という、リーズナブルな価格!欲しい!
残念ながらフジヤカメラでは扱いが無いのですが、姉妹店のフジヤAVICで現在(2018.5.5)絶賛予約受付中ですので、是非ご予約下さい!
さて、フジヤカメラではカメラ本体の扱いはないのですが、ブラックマジックポケットシネマカメラ 4K(BMPCC 4K)はマイクロフォーサーズ規格のレンズマウントを採用している為、BMPCC用のレンズは沢山扱っています。
今回発売となったブラックマジックポケットシネマカメラ(BMPCC)4Kより、センサーサイズが以前より一回り大きいマイクロフォーサーズとなり、35mm画角換算は焦点距離×2となりました。25mmが標準レンズという事です(旧BMPCCはスーパー16mmサイズ。35mm画角換算は焦点距離×3、だいたい17mmが標準レンズとなりました)。
今回はこのブラックマジックポケットシネマカメラ(BMPCC)4K用のおススメレンズを紹介したいと思います。
動画に向いたレンズとは、どんなレンズでしょうか?
個人的に以下の要件を可能な限り満たしたレンズだと思います。
フォーカスやズームの動き自体が映像表現として使われる動画では、レンズのフォーカスやズームが滑らかに動く事はとても重要だと思います。MFで撮影された動画は、フォーカスの動きががとても綺麗ですよね!
1.で書いたとおり、ズームの動きが映像表現として使われる動画では、ズームした時にピントが移動してしまうと、都合が悪いです。同様に、ピントの移動で画角が変化してしまうのも、映像にした時少し気になります。
実は写真用のレンズは、前記のような事はあるのが普通です。写真用のレンズでは上記のような要件を満たしたレンズは皆無だと思います。ズーム時にピントがどのくらいずれるのか、フォーカスの移動で画角の変化がどのくらいあるかを把握して使うしかないと思います。
しかし、写真のカメラマンで上記のような事が起こっている事に気づいている人は少ないかもしれませんね!
動画は撮影中に絞りを変えると、一瞬明るさが変わってしまいます。カメラのAEが一瞬のうちに入って来る光の変化に対応しきれない為に起こる現象ですが、これを防ぐ為には絞りのクリックを無くし、手動で絞りを変化させる必要があります。
動画向きのレンズといっても、写真用のレンズをいわば流用するわけですから、上記の要件を全て満たすレンズはまず無いと言っていいと思います。今回は、出来るだけ上記の要件を満たし、プラス表現の幅の広い、4Kにも対応出来る高性能なレンズをピックアップしたいと思います。
以下の記事について画角についての注意:通常マイクロフォーサーズカメラは「焦点距離の2倍」で35mmカメラの画角換算を出しますが、BMPCCのセンサーのサイズは18.96 x 10mmと通常の写真用マイクロフォーサーズカメラとは少し異なります。正確には35mmカメラ換算が「焦点距離の2倍」では無いかもしれません。しかし当記事では、誤差は大きく無い、と判断して、35mmカメラ換算は焦点距離の2倍としました。
旧タイプの「BMPCC」では35mmカメラ換算24-54mmの標準ズームレンズ的な扱いでしたが、センサーがマイクロフォーサーズ規格になったBMPCC 4Kでは35mmカメラ換算16-36mmの広角ズームレンズになります。
f値も2.8-4と、背景ボケを期待できる明るさです。
なによりこのレンズの良さは、ズーム、フォーカスの動きが滑らかだという事です。ズームの回角度も8-18mmの2.25倍のズーム比に対して約90°あり、ゆっくりしたズームもやり易いです。
又、同社の「G VARIO 7-14mm / F4.0 ASPH.」だと、構造上フィルターの装着が出来ませんが、「LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm/F2.8-4.0 ASPH.」は67mm径のフィルターが装着出来る為、シャッタースピードの自由がきかず、NDフィルターを装着するケースが非常に多い動画撮影には便利です。
標準レンズでも、同じくパナソニックのf値2.8-4のレンズを推薦したいと思います。
BMPCC 4Kでは35mmカメラ換算24-120mmの標準ズームレンズとなり、1本だけ持っていくならこれでしょう。特に一本で中望遠までをカバーしているのは心強いです。
広角ズームの「8-18mm/F2.8-4.0」と同様に、ズーム、フォーカスともに滑らかな動きです。実は「LUMIX G X VARIO 12-35mm / F2.8 II ASPH. / POWER O.I.S.」とどちらを推すか少し悩みました。
というのも「12-60mm / F2.8-4.0」は、5倍のズーム比に対して約90°の回角度しかありません。ズームの動きが滑らかな為、ズーミングはし易いのですが、ゆっくりズームするジワズーは少しやりずらいです。対する「12-35mm / F2.8」は約3倍のズーム比に対して90°弱の回角度を持っており、ゆっくりズームをするのはやり易いです。
全域f2.8である事を含めて、どちらを選ぶかはユーザー次第だと思います。
背景が大きくボケる単焦点レンズは、動画でも魅力です。むしろ、一眼デジタルで動画を撮る最大のメリットは背景を大きくぼかせる事、と言っても過言ではないかもしれません。
しかし、マイクロフォーサーズのレンズで注意をしなければならないのは、センサーサイズがAPS-Cやフルサイズよりは小さい為、同じ画角、同じ明るさのレンズを装着した場合ボケの大きさは小さくなってしまうという事です。
例えばマイクロフォーサーズで25mm f1.4のレンズと、フルサイズで50mm f1.4のレンズはだいたい同じ画角になりますが、焦点距離は25mmと50mmなので、焦点距離が長いフルサイズの50mmの方が背景ボケは大きくなるという事です。
そんな中、Voigtlander (フォクトレンダー)のf0.95のシリーズは、非常に強力な武器になります。マニュアルフォーカスレンズ専用レンズの為フォーカスの動きは非常にスムーズです。又、フォーカスのクリックをキャンセルする機能も付いており、動画を意識した設計なのかもしれません。
ブラックマジックポケットシネマカメラ 4K(BMPCC 4K)使用時には35mm換算で、21mm、35mm、50mm、85mmと広角から中望遠までカバー出来るのもラインナップとして嬉しいです。
ブラックマジックポケットシネマカメラ 4K(BMPCC 4K)の標準レンズとなる焦点距離です。
絞りの動きがカチャカチャとうるさいレンズですが、絞りのクリックキャンセルの機能の無いレンズですので、撮影中に絞りを変えることは無いと思いますので、この欠点には目をつぶりました。
ごくノーマルなAFの標準レンズですが、F1.4の明るさと「Leica」ブランドの信頼性で推薦したいと思います。「SUMMILUX」である事を考えると、なんとなく割安感を感じるレンズです。
F1.4の美しく大きなボケが魅力です!
おススメレンズの中に、望遠レンズが無い事を不審に思った方もいると思います。これは!という決定版と言っていいレンズが思いつかなかった事と、標準ズームで紹介した12-60が中望遠をカバーしているのが理由ですが、今月末に発売が予定されているPanasonicの50-200mm/F2.8-4.0が、かなり期待できそうです。
広角、標準ズームレンズで推薦したシリーズの望遠ズームですので、ズームやフォーカスの動きは滑らかだと思われます。又、どうしても大柄になりがちな望遠ズームの中で、明るさを2.8-4に抑える事で、コンパクトなレンズに仕上がっているのも推薦の理由です。
是非テストしてみたい注目のレンズです!
今回は、ブラックマジックポケットシネマカメラ4K(BMPCC 4K)に使うレンズをまとめてみました。
写真用レンズは、描写力に重きをおいて選ぶ方が多いと思います。ズームやフォーカスが映像表現として使われる動画の場合、プラス、操作性に留意する必要があると思います。
写真用のレンズはシネレンズに比べて、コンパクトである事が多く、撮影の全てを一人で行う機会が多い、アマチュアカメラマンは助かります。しかし、専用ではない、ある意味「代用品」ですので、使用には多少の工夫が必要です。今回紹介したレンズはいずれも、動画用として「いい線いっている」レンズだと思います。
又、ZeissのLoxiaのように、完全では無いにしろ、あらかじめ動画を意識して設計されたレンズも、ちらほらと発売されるようになって来ました。今後、アマチュアの動画ユーザー向けのレンズが発売されて来るといいなと思います。
Photo & Text by フジヤカメラ 北原