こんにちは、ウエッキーです。
α7RⅢ発表後、これはまたヤバそうなスチルカメラが出てきたぞ…と。
誰もが、ミラーレス機の大きな飛躍を感じたのではないでしょうか?
しかし、このカメラ…
果たして、本当に「スチル機だけ」として考えるべきカメラなのでしょうか?
今日は真剣に、α7Rシリーズは「動画」に向くのか?という考察を、僕なりにしたいと思います。
初代α7Rの動画記録フォーマットは実は初代α7と変わりません。
最高画質のモードはAVCHDのFHDサイズ、60Pの28Mbpsですね。
しかし、α7Ⅱ以降(※正確には初代α7Sを含め)XAVC Sのフォーマットが採用されたことにより、α7シリーズが「動画機」としても考えうる選択が出てきました。
特に、動画の界隈では色味や明るさを編集上で変えることが難しいので、α7Sシリーズの高感度や、ピクチャープロファイルのS-Log2採用がα7Sシリーズを「動画機」として盛り上げた要因になったのではないかと思います。
しかし、α7RⅡの動画記録フォーマットを見直すと、ほとんどα7SⅡと同等なんです。
大きな違いは、S-Log3が使えるかどうか、くらいではないでしょうか。
(※機能的な差としてHS(ハイスピード撮影・スローモーション)の違いは大きいかもしれませんが。)
つまり、高感度を必要としない、S-Log3を使わない(そもそもグレーディングをしない)という撮影においてはα7RⅡも十分に信頼できるデータだと言えます。
α7SⅡがポストプロダクションに対して時間を割ける機能がついている一方、
α7RⅡはとってだしを得意とすると言い換えてもいいかもしれませんね。
さて、今回α7RⅢが採用する動画記録フォーマットは、二世代目のものとほとんど変わりません。
しかし、機能的なものとして注目すべき点が2つあります。
1つ目は「FHDサイズ・ノークロップのHSが撮影可能」になったということです。
α7SⅡも同等のHSが可能ですが、画素の関係からクロップされてしまいます。
例えば、ミュージックビデオでHSが使われることがありますが、
広角レンズを使ったダイナミックな表現をする場合、α7SⅡではクロップされてしまうため効果が薄かったのです。
2つ目は「ピクチャープロファイルのガンマにHLGが採用された」ことです。
(ピクチャープロファイルはSONYが業務用カメラにもつけている、ガンマや色味の基準を決めるための機能です)
最近Panasonic GH5のVer2でも追加された「HLG」とはどういうものなんでしょうか?
今テレビの業界では、4K・8Kと動画サイズに対して注目されていますが、
同時に「HDR」についても話題になっています。HDRの方式は大きく以下の3つ。
4Kブルーレイで使われる10bit(※明暗差を1024段階で説明する)の情報量の「HDR10」
12bit(※明暗差を4096段階で説明する)の情報量をもつ「Dolby Vision」
そして、NHKや英国のBBCが生み出した放送のための「HLG」
HLGは今後の放送業界にとって、標準の規格の一つになっています。
ITU-R BT.2100ガンマカーブによる、豊かな階調表現。
そして以前の規格であるBT.709よりも広い色域による色表現は、
今後の4K・8Kの美しさを保つ一つの手段となります。
例えば、風景の動画を撮るのであれば…
空の階調表現や、木々や水の質感表現をより際立てたり…
そんな効果が期待できそうですね!
というわけで、こんな動画をご用意してみました。
(以下、解説の為にどうか最後までご覧ください。)
これはPanasonicのカメラのフォトスタイルを選択し、ガンマを確認するためにテスト撮影を行ったものです。
(SONYのピクチャープロファイルにあたるものが、Panasonicの場合はフォトスタイルになります)
各素材の説明をしますと、
1番目:GH5 4:2:2 10bit 150Mbps フォトスタイル:スタンダード (適正露出)
2番目:GH4 4:2:0 8bit 200Mbps フォトスタイル:V-Log L(LUT:VLogL_to_V709_forGH4_ver100) (適正露出)
3番目:GH5 4:2:2 10bit 150Mbps フォトスタイル:HLG(ハイブリッドログガンマ) (適正露出)
というものになります。
最後にまとめたものは、個人的に注目してほしい太陽の周りをクロップしたものです。
1番目の素材は、ぱっと見綺麗な空に見えるのですが、太陽のあたりの雲の表現に誤魔化しがあり、白く飛んでしまっています。
2番目の素材は、これは僕がグレーディングを行った最終形です。オレンジ色を強くし、雲を立体感があるように出し、全体的にシャープな印象を残せるような画を目指しました。
3番目の素材は、HLGのとってだしです。加工することなく、撮影するだけで雲の情報を救う事が出来ています。
本来HLGのモニタリングは、HLGに対応したテレビでないと行えませんが、
恐らくそういったモニターでなくても、その違いが明確的に確認できているのではないかと思います。
(ウエッキーの家にはHLGモニタリングが出来るものがないので、普通のテレビで確認しましたが、差がわかりました。)
もう一つ注目すべきことがあります。
2番目のグレーディング後の素材ははっきり言って美しくありません。
グレーディングによって引き上げられた色や明暗差は目指すべき方向の通りになったのですが、
4:2:0 8bitという情報量の少ない素材を加工しているので、ザラつきのノイズが酷く表れています。
いかがだったでしょうか?
テストはPanasonicのカメラではありますが、
HLGの機能は今後の映像業界にとって重要な機能の一つであることは間違いなさそうです。
僕個人的には、α7RⅢを動画機として使うのは意外と「アリ」なんじゃないかな~と思います。
ただしそれは、ピクチャープロファイルを意識的に使うことで発揮されるのかな~とも思います。
是非この機会にピクチャープロファイル、使いこなしてみて下さいね!
logとHLGの使い分けが、新しい表現力になると思います!