シグマから新しい望遠ズームレンズ、100-400mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryが発売されました。このレンズは2月に開催されたCP+で展示されており、その際に少し触っています。しかし、この時の感触はあまり良いものではありませんでした。これは全くの固定観念なのですが、こうした超望遠域のズームでは、重さと長さのバランスを保つため、三脚座の装着が必須ではないかと考えます。それがなかったので拍子抜けしました。持ってみると確かに軽いのですが、どうしても安定性に欠けると思っていたのです。実際に使ってみて、これに対する考えがどう変わるのだろうか。そういう観点からも、是非使ってみたかったレンズです。
あらためてじっくり眺めてみると、実にセクシーな外観をしています。曲線基調の滑らかなボディライン、付け根のところにくびれがあるフードの形。なんというか、とてもオシャレなイメージなんですね。前述したような三脚座の付いたどっしりしたレンズに比べると、どこか優しい雰囲気を漂わせています。実際にキヤノンの100-400mmを愛用しているので、これはやはり、いつも使っている動物園での撮影で試したい ! というわけで、愛機EOS-1D Xに装着して、茨城県日立市にある「かみね動物園」に行ってきました。結果、頼りになりました。
のんびり寝ているサイと桜。来年は満開のタイミングで来てみたいです。シグマ 100-400mmF5-6.3 DG OS HSM Contemporaryのレンズ構成枚数は15群21枚。それほど多くのレンズを使っているとは思えない重量です。最短撮影距離は1.6m。望遠マクロレンズとしても使えます。
カピバラのところに寄ってみたら、1頭がゆっくりと泥水のある場所に向かい、そのまま横たわって遊び始めました。こういう時、ズームはとても便利です。至福? のひとときを感じる表情を撮りました。三脚座はなくても安定性も十分です。その分軽量になり、機動力があります。
愛らしい姿で人気のコツメカワウソ。仲良く寄り添って寝ていました。起こしてしまわないようそっと近付いたものの、タテヨコどちらで狙うか少し迷い、結局はタテにしました。ピントの合っているところはしっかり、背景は柔らかく。毛の質感にメリハリがあります。さすがシグマ。
望遠側開放での撮影です。お行儀良く座っているカピバラを狙いました。ピントは目元に合わせています。シグマ 100-400mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryは、SLDガラス4枚を採用するなど、画質に対する追求にも手抜きがありません。楽しい「満足」を手軽に得られるのです。
2頭のアジアゾウはお互いがフェンスで遮られています。そこを乗り越えるかのように身を乗り出し、ヒソヒソ話をしているようでした。加速度センサーを利用したシグマ 100-400mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryの手ブレ補正は、カメラを上下や斜めに動かした場合も有効です。
毛繕い中のメスライオン。こういうシーンでは、来園のお客さんから「やっぱりネコねぇ」というセリフがほぼ必ず飛び出します。ポカポカした日差しに照らされ、のんびりとした自由な時間を楽しんでいるようでした。軽快な操作性は、構図作成時の決断力も早まるように思います。
アメリカビーバー。桜の花びらを鼻にくっつけたまま泳いでいました。こんなチャンスは滅多にないと思ったので、なんとか撮りたいと追っかけました。AFの追従も見事です。咄嗟にカメラをセットした割に、ちゃんと撮れていて良かった。水の中にある体もキラキラしていました。
日が傾いてきて、西陽が当たっていたプール。元気に泳ぎ始めたカバの姿を捉えました。鼻先の描く波紋が面白いです。写真で見るとカバが日焼けしているようにも感じますが、この撮影を終えたら、こちらもすっかり日焼けしてました。これで撮影も終わり。出口に向かったのです。
帰り道にふと遠くを眺めたら、クモザルが空中散歩をしていました。これは撮るしかない ! 急いでカメラを構えてズームを動かし、構図を作って撮影。ここで、躊躇いもなくズームを操作していることに気付きました。三脚座がないのに、全く違和感なく使えてしまいました。あらら。
キヤノンEOS-1D Xに装着したところ。小型軽量でAFは早くて正確。手ブレ補正や簡易防塵・防滴構造を採用。マウントコンバーターMC-11との併用で、キヤノン用はソニーEマウントボディにも対応しています。加えて写りもいい。これだけの特徴があって価格もたいへん魅力的。シグマ100-400mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryはすごい ! これが撮影を終えての感想でした。
シグマ 100-400mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryのコンセプトは、「ライト・バズーカ」。70-300mmクラスのような小型軽量のボディでありながら、優れたパフォーマンスを発揮するのが自慢です。撮影を始めた頃は、ズームリングの位置がやや遠いと感じました。ただこれは、慣れが解決してくれます。実際、撮影を終える頃には無意識のうちに、きっちりと画角を整えることができていました。これに加えて、フードにある「くぼみ」を使ってズーミングすることができます。こうすれば、直進式ズームとして使うことも可能なのです。フィルター径67mmにもビックリですが、重さもフード装着時で1,220g(実測)。軽量といえるレベルです。
使っていても特に違和感はなく、いつもと同じような感覚で写真を撮っていました。三脚座は確かにないけれど、操作スイッチの出っ張りがレンズを載せた掌に引っかかるので、思っていたほどの使いにくさはありません。OSは2種類、カスタムスイッチも用意されています。超音波モーターHSMによるAFの早さ、正確性の高さはもちろんのこと。キレのある写りにも、大きな満足感を得られます。そして、8万円台(フジヤ価格、4月21日現在) という価格にはビックリしました。見事なコストパフォーマンスと言えます。1本あれば損はしませんよ ! !
■撮影場所
日立市かみね動物園 http://www.city.hitachi.lg.jp/zoo/ (2017年4月19日取材)
Photo & Text by 高山景司
※撮影はJpeg、手持ちで行っています。ピクチャースタイルは風景に設定。
祝!オレため連載50回!!
高山より一言:
「オレため」は今回で連載第50回を迎えました。これまでご覧いただきありがとうございます。
これからも、オレ流で様々な機材を試したいと思っています。楽しんでもらえたら嬉しいです。
>>> SIGMA (シグマ) 100-400mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporary