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2016.11.18
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スタッフ高山のオレに試させろっ! 第37回「OLYMPUS (オリンパス) M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」 編

ユーシン渓谷
f5.6 AE(1/500) -1 AWB ISO1600 焦点距離 66mm
ユーシン渓谷は、神奈川県西丹沢の玄倉川上流にあります。ハイキングコースはユーシンロッジを往復する約19kmですが、到着したのが遅かったので、途中で引き返しました。紅葉が進んでいて、遊歩道からでもこのようなシーンはあちこちで見られます。どんよりした天気でしたが、12-100mmはコントラストがとても高くて驚きました。葉の形も、1つ1つがハッキリと解像しています。

 

きっと心待ちにしていたオリンパスファンの方もいらっしゃるでしょう。ついに、PROシリーズの高倍率ズームレンズが発売になりました ! 135mm換算で24-200mm相当の画角をカバーするM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROです。もちろん、ただ倍率が大きいだけじゃありません。特殊レンズを贅沢に採用した高画質、防塵防滴仕様、強力な手ブレ補正など、魅力的な性能を持っています。それでいて、小型軽量はきっちり守られました。オリンパスユーザーの一人としてもたいへん気になります。そこで、このレンズを持って神奈川県にあるユーシン渓谷に行ってきました。5時間フォトハイクをして、感じたことをお伝えします。

 

林道
f8 AE(1/160) -0.3 AWB ISO1600 焦点距離 12mm

 

林道は一般車両の通行が禁止されています。といっても、ここをクルマが走っていることのほうがビックリしてしまいます。ずっとこのような道が続いていて、ガードレールの内側からすべて撮影しています。それでも、このような場所は歩いているだけでもワクワクします。出かけたのが平日ということもあり、訪れている人もあまり多くはありませんでした。広角端の12mmで撮影していますが、周辺もしっかりと描写されています。

 

小さな滝を発見
f7.1 AE(1/25) -1.3 AWB ISO1600 焦点距離 28mm

 

歩いている時は、前を見て振り返って、左右も確認することにしています。そこには、意外な被写体が存在していることもあるからです。川と反対側のほうを見上げて、この小さな滝を見つけました。水がとても冷たそうです。周辺を緑だけにして、葉で覆うような構図にしました。

 

素晴らしい渓谷の紅葉
f7.1 AE(1/125) -1 AWB ISO1600 焦点距離 18mm

 

素晴らしい渓谷の紅葉。写真を撮ったあとも、しばしその場に立ち尽くして眺めていました。晴れていたら良かったのですが、どんよりした天候を思うと、これだけ撮れていれば満足です。岩が白いので、画面にたくさん入れるとそちらに目線を奪われてしまいます。そこで、隅に配して面積を小さくし、できる限り紅葉を入れ、左右の木々がなるべく繋がる場所を探しました。12-100mmという高倍率なので、構図をシミュレーションしながらの撮影も可能でした。

 

ススキと紅葉
f4 AE(1/800) -0.3 AWB ISO2000 焦点距離 100mm

 

ススキと紅葉を一緒に撮っていて、はじめは広角で狙うもどうにもしっくりいかず、望遠側で狙ってみました。秋らしい雰囲気になったかなと思います。風が吹いてススキがしなるタイミングを狙ってシャッターを切っています。左右のススキのバランスに、最も気を使いました。

 

2時間半ほど歩いて、ようやく紅い葉を見つけました
f6.3 AE(1/160) -1.3 AWB ISO2000 焦点距離 35mm

 

2時間半ほど歩いて、ようやく紅い葉が出てきました。とても鮮やかです。撮影したのは14時48分でした。かなり寒くなってきて、だんだん暗くなり始めたので、そろそろ潮時かな。と思ってこのあと引き返しました。次回はロッジまで行きたいものですが、片道3時間以上かかるそうですので、行くなら朝から林道に入る必要があります。次は晴れるといいなぁ。

 

ボディは愛機、オリンパスOM-D E-M1です。パワーバッテリーホルダーHLD-7も使っています。これに12-100mmを装着しても、重量は1,300g程度です。レンズ本体の重さはフードを装着して600gほど。この軽さは、未舗装の林道を長時間歩くという状況ではとても助かりました。これがもし一眼レフだったら、さすがに疲れてしまうだろうと思います。しかし今回は最後まで、撮影意欲が衰えることはありませんでした。

 

24-200mmの画角があれば、引いて撮りたいときやクローズアップしたい時など、様々な状況にも対応することが可能になります。外観スタイルは12-40mmF2.8PROをそのまま伸ばしたような印象でした。手ブレ補正のスイッチが搭載されているのが目を惹きますね。フォーカスクラッチはけっこう軽いです。しかし、カメラを構えると自然に人差し指を添えるようなホールディングになるので、誤作動することは1度もありませんでした。ズームリングは、親指と中指でしっかりとホールドできます。ズームの目盛りは12、18、25、35、50、70、100の7つ。回転角が大きくなった影響なのか、多少の重さを感じました。AFはもちろん、ストレスなく狙ったポイントに向けて合わせてくれます。

 

不思議な形状の苔
f 4.5 AE(1/250) -1 AWB ISO2000 焦点距離 100mm

 

往路の際には気付かなかったのですが、復路で発見。苔だと思うのですが、なんとも不気味な形状をしていて、殊更にそのことが印象的でした。アメーバのようにも見えるし、意志を持って蠢いている虫のようでもあります。目にしたときよりも、ファインダーでこれを覗いて確認したときのほうがリアリティがあり、とても面白いと感じました。なのでバックもちょっと不気味に。12-100mmの最短撮影距離は、100mm側でも45cmです。これが大いに助かりました。

 

苔の生えた木や岩
f5.6 AE(1/60) -1.3 AWB ISO2000 焦点距離 31mm

 

苔の生えた木や岩の配置がとても興味深かったので、撮ってみました。誰かが並べ替えたのかと思うほどです。上の方から流れてきて、むかなりの年月が経過したものと思われますが、このような風景を見ると、いったい上はどうなっているのか、とても興味が湧いてくるのです。

 

玄倉ダム近くの調整池の風景
f5.6 AE(1/50) -1.3 AWB ISO2000 焦点距離 66mm

 

玄倉ダム近くの調整池の風景です。なんの変哲もない、ただ岩が写っているだけのカットだと思われがちなのですが、実はこれ、画面上にある岩の白いところ以外はすべて水面下なのです。いくつかある葉はすべて、水の上に浮かんでいるものです。この透明度にはビックリしました。PLフィルターは使用していません。オリンパスを含むミラーレス機では、露出補正による色あいの変化を確認しながら撮影できるので、たいへん便利だと感じています。

 

新青崩隧道
f5.6 AE(1/200) -0.7 AWB ISO2000 焦点距離 21mm

 

林道にはトンネルがいくつかあります。その中で最も長い新青崩隧道は、電灯が設置されていないので真っ暗です。懐中電灯がないとかなり怖いのですが、出口付近からは素晴らしい景観を楽しむことができます。これも晴れていたらまた違った写真になったかもしれませんが、これだけでも十分以上に楽しめました。今回はトータルで、400カット以上撮っていました。

 

M12-100mmPRO+OM-D E-M1

 

オリンパスOM-D E-M1に12-100mmを装着したところ。もうすぐ発売になるE-M1 MarkIIとの組み合わせでは、なんと手ブレ補正効果が6.5段になります。レンズ構成は11群17枚。それでこの軽さですからビックリ。抜群の機動性は、フォトハイクのお供にピッタリの存在といえます。今後のオリンパスにも期待したいですね。

 

写りですが、ピントの合ったところのしっかりした解像と、ボケの部分のメリハリがきちんとしていました。それでいて、パンフォーカス気味に撮ると、画面のコントラストがとても高いことがわかります。雨男の本領発揮で、天気予報は晴れだったのに、現地に着いたらどんよりと曇っていました。それでも、しっかりと色が出ています。パソコンで写真を確認した際も、現地で歩いて目にした驚きと感動がしっかりと記録されていて、とても満足でした。たくさん荷物を持てない撮影などでは、機材の軽さが大きくモノを言います。でも、軽いというだけで妥協はしたくない。これの答えになってくれるでしょう。旅写真を撮りに行くオリンパスユーザーの一人としては、どうしても所有したいレンズです。でも、12-40mmF2.8PROも気に入ってるので、困っています。

 

■撮影場所

・ユーシン渓谷

※撮影はすべてJpeg、手持ちで行っています。ピクチャーモードはナチュラルに設定。

Photo & Text by 高山景司

 

>>> OLYMPUS (オリンパス) M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO


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